今回は、「小学生に対する単位の教え方…第一ステップ 単位の構造を理解させる」について、引き続き《その3》として、体積・容積の単位について説明したいと思います。
内容の説明については、家庭でお子様を指導する時に心がけるポイントを、一般の方が分かるように書いたものです。ご了承下さい。(以下の内容は、公立小学校での指導用に作成した教材です。)
今日も、ドン太とビージェーが、単位の苦手なヤン太に、単位の学習についてアドバイスしています。
「ヤン太、大分単位の問題につて、分かってきたようだね。
それで今日は、体積と容積の単位について、みんなで考えてみようと思うんだ。」
ドン太が、言い出しました。
「体積・容積の単位を考えるとき、思い描く図形は何だったっけ?」
ビージェーは、ヤン太に聞きました。
「そんなこと知っているよ。立方体でしょ。」
「そうだね。《体積・容積の単位》のキーワードは、《体積(容積)の単位は、立方体で考える》だったね。」
「そういえば、僕たちは小学3年で、かさ(容積)の単位mℓ・dℓ・ℓを習ったよね。」と、ドン太が言いました。
「その後ずっと、かさ(体積や容積)の単位の勉強をしなかったよね。」と、ヤン太が不思議そうに言いました。
「6年になって体積の意味を学習して、体積の単位として㎤・㎥を新しく覚えてから、3年に学習した、容積の単位mℓ・dℓ・ℓを加えて、その単位の関係を学習するんだ。」と、ビージェーが言いました。
(注)容積は、ある容器に入る量のことです。ですから、一般的には、液体の量などを表します。
しかし、基本的には、容積は体積と同じことで、単位をことさら区別する必要はありません。
「単位が増えて、なんかこんがらかっちゃって、分からなくなってしまったよ。」
ヤン太が、恥ずかしそうにみんなに言いました。
「それじゃぁ、みんなで、体積と容積の単位を、復習してみようよ。」
ビージェーの提案に、みんなが賛成しました。
「体積・容積の単位は、面積の単位の覚え方と同じように、
《立方体の一辺の長さとその体積の単位》との関係を覚えるところからスタートするんだ。
じゃあ、ぼくの質問にみんな答えて。」
ビージェーは言いました。
「それでは、一辺の長さが1cmの立方体の体積は?」
「1㎤(立方センチメートル)!★」…(6)
「一辺の長さが10cmの立方体の体積は?」
「1ℓ(リットル)!」…(7)
「一辺の長さが1mの立方体の体積は?」
「1㎥(立方メートル)!」…(8)
「その通り!その3つの単位が基本となって、単位の変換を考えるんだ。」
「たとえば、1ℓ(一辺10cm)の立方体の中に、1㎤(一辺1cm)の立方体が何個はいるかな?
立方体の体積の公式を使っても良いし、図形的に考えても、縦方向に10個、横方向に10個、高さ方向に10個はいるよね。だから…」
「1ℓの立方体の一辺は、10cmだから、10×10×10で、1ℓは1000㎤だね。」
「そうだね。このことから、1ℓの1000分の1が1㎤なので、
次の単位を1000分の1にするm(ミリ)をℓの前につけて、
1mℓは1㎤と同じ大きさの単位になるんだ。」
「それから、cc(シーシー)も容積の単位で、
1㎤と1mℓと同じ大きさの単位だから、一緒に覚えておこう。」
「同じように、1㎥は、何㎤なのか、答えてみてよ。」
ビージェーはみんなに聞きました。
「1㎥の立方体の一辺は、100cmだから、
100×100×100で、1000000㎤だね。」
「そうだね。こんどはむずかしいよ。では、1㎥は、何ℓかな?」
「1㎥(一辺100cm)の立方体の中に、
1ℓ(一辺10cm)の立方体が縦方向に10個、横方向に10個、高さ方向に10個はいるよね。」
ヤン太が言いました。
「だから、1㎥は、10×10×10で、1000ℓだね。」
と、ドン太が答えました。
「その通り。それで、1ℓの1000倍が1㎥なので、
1000倍を表すk(キロ)をℓの前につけて、1000ℓは1kℓと書き換えられるので、
㎥とkℓとは、同じ大きさの体積を表すんだよ。」
「だんだん分かってきたよ。もう少し整理すると、」
と言いながら、ドン太が、ノートに書いていきました。
(一辺の長さ)1cm→10倍→10cm→10倍→1m(100cm)
になっているから、
(立方体の体積)㎤=mℓ=1cc→1000倍→1ℓ→1000倍→1㎥=1kℓ
となっている。
それから、補助の単位として、
1dℓは、1ℓの10分の1だから、「1ℓは10dℓ」
「そうだね。本当に分かっているか、テストをするよ。」
そういいながら、ビージェーは幾つかの問題を、2人に出しました。
「1200㎤は、何ℓになるかな?」
「1ℓは、1000㎤だから、1200÷1000で1.2ℓが、答えだね。」
ヤン太が答えました。
(初めは、1ℓは、10×10×10で、1000㎤だから、と言わせるようにします。)
「よくできたね。では、380dℓは、何㎥かな?」
「dℓから㎥に、直接単位を変えられないから、
順に変えていくと、まず1ℓは10dℓだから、380÷10で38ℓ。
次に、1㎥は1000ℓだから、38÷1000で、答えは0.038㎥になるね。」
ドン太は、真剣な顔で言いました。
(この変換も、初めは1㎥=1kℓで、1000ℓだから、と言わせます。)
「単位の基本を覚え、そして、順を追って考えていくと、間違いなく正解を出すことができるんだよ」
3人は、ちょっぴり体積と容積の単位に自信がついたように感じました。
体積・容積の単位変換においても、子供に相似を使った考えを理解させて、単位相互の関係をビジュアルに納得させることが大切です。
単位相互の関係を、丸暗記させるのではなく、答えを出す筋道も含めて、単位変換の式を子供に言わせることが重要です。
後は、練習で知識を定着してください。
単位に関する指導法に興味ある方は、以下のブログも参考にしてください。
小学生に対する単位の教え方…第一ステップ 単位の構造を理解させる
小学生に対する単位の教え方…第一ステップ 単位の構造を理解させる(2)
小学生に対する単位の教え方…第二ステップ 単位変換で注意するポイント・最終回
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