「マッキーのつれづれ日記」

進学教室の主宰が、豊富な経験を基に、教育や受験必勝法を伝授。また、時事問題・趣味の山登り・美術鑑賞などについて綴る。

マッキーの算数指導法:式のたて方のコメントに応える

2013年02月04日 | 学習指導法



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 今朝教室に出ると、以下の私のブログにコメントがありました。今日は、このことについて、綴りたいと思います。

マッキーの教育論:ネット評論家の無責任な教育論

《コメント内容》

 5個箱があって、それぞれに10個のクッキーが入っている。クッキーの総数は?この場合、私は5が10個分と自然に思い浮かびますが、5×10とするのは間違いなんでしょうか?

《私の回答》

 大人が勝手に答えを考えるのなら、このコメントを寄せた方が言うように、式の立て方など、どうでもよいでしょう。

 「クッキーが入ったお菓子箱がa箱あり、それぞれにb個のクッキーが入っているとすると、クッキーの総数は何個でしょう」という問いを、中学1年生の文字式の問題として出題したとします。

 b個のクッキーがa箱分だから、b個のa倍で、b×a=a×b=ab(個)とするのが正しい表記法で、考え方をそのまま式に表したba個は、順序が間違っているのでバツとなります。それは、文字式は「交換の法則」をすでに織り込み済みにして、アルファベット順に表記しなければならないからです。

 最初の式をたてる場合、アルファベット順を無視して、小学校風に考えの手順通りに式をたて、その後にアルファベット順に書き直すのが一般的な生徒のやり方です。なぜなら、アルファベット順で式をたてる場合、考える手順を表記しているわけではないので、頭の中でアルファベット順に書き直す時に間違えるからです。中学生の学力でさえ、考える手順を式で表し、自分も理解しながら答えを求めることが必要です。

 小学校では、「考えた手順を式に表します」が、中学校ではアルファベット順に書きならべることにより、式を美しく見せるという別の側面から出てきたルールにより、「かけ算の順序」が決まります。したがって、文字式の解答には、考えの手順は隠れてしまい、数学的なルールによって出された結果のみしか知ることができません。

 このようなことからも、小学校2年生や3年生に、物事を筋道たてて指導する場合は、コメントをされた方の式の立て方は、大きな問題があります。また、積分定数さんの主張を読むと、小学生に対する学習指導経験が無いか乏しいと考えられます。(何度も指摘しますが、大人が答えのみ知りたいなら、式の順序など、どどうでもよいと言って差し支えありません。)

 この積分定数さんの問題を、小学校2・3年生に出題するなら、「クッキーが入ったお菓子箱が5箱あり、それぞれの箱には10個のクッキーが入っているとすると、クッキーの総数は何個でしょう。」となります。積分定数さんの問題の「5個箱」は、助数詞を正確に書くと、「5箱」となります。

 この方が思いついた5×10という式は、5箱の10個分で50箱となってしまいます。

 式を立てて考えを深める学習が重要な小学校低学年では、10個の5箱分(倍)、すなわち10×5=50個と指導しなければなりません。答えが合っていれば、式などどうでもよいだろうという主張は、極めてマズイ結果しか残りません。

 繰り返しますが、交換・結合・分配の法則をあたりまえのように使える中学生以上と、数え棒やおはじきなどの算数教材を手で操作しながら考えていく小学校低学年の指導法とは、異なるのも当然です。
 
 「積分定数さん」が、小学校2・3年生に教える場合、5箱×10(倍)=50個?と教える方が良いか、10個×5倍=50個と教える方が子供たちに理解させ易いかを比べてみて下さい。式の立て方などどうでも良いと考えているようですが、単位が入った式で解き方を教えてみて、低学年の子供たちが数値をどのように扱って答えを出すのかを知るべきでしょう。

「この場合、私は5が10個分と自然に思い浮かびますが、5×10とするのは間違いなんでしょうか?」…積分定数さんの問いですが、大人が勝手に浮かんだ考え方を、子どもに教えようとする事自体、大きな勘違いといえるでしょう。

 5にはなぜか単位を付けていませんが、この方の式に単位をつけるとすれば、5箱の10個分ということになり、パズルの如く言い訳を駆使しない限り、この式を子どもに説明することができません。こうした主張をする方は、式に意味が無いと言いながら、天邪鬼的に式に意味づけすることが好きなようです。

 私がこの質問に応えるとすれば、日頃の私の指導では式の立て方が違っていてもバツとはしませんが、「君ね、答えは合っているけれど、どういった考え方で式をたてたの。」(こういった質問は、小学4年生以上ですけれど)と質問して、筋道たてて応えられたらすんなりとマルをつけるといった対応をしています。

 算数の学習の意義は、論理的なものの考え方を鍛えることであり、そして自分の考えを他人に示して、論理的に説明できる力を付けることだと、私は認識しています。決して出題された問題の答えを出すのが目的ではありません。

答えの数値は同じなのだから、どう教えようが良いじゃないか!
自分の考えを、筋道立てて説明する必要があるから、算数嫌いになるのだ!


そう主張する方がいますが、それは大きな間違いです。


「先生、なんで数学なんて勉強するの! 俺、社会に出たら絶対ルートなんか使わないから!」・・・数学嫌いな生徒がよく主張することです。

 もしも算数・数学が、答えの正誤が問題にされるだけなら、また式の立て方などどうでもよく、答えに到達すればいいのだと考える指導者は、上記の生徒に対して「全く君の言うとおり!」と応えなければなりません。


(追記)
 
ネット上で、こうした問題が取り上げられ、議論されていることを調べて知りました。私自身は、こうした場を使って意見を述べたことがないのですが、今回の問題に関して言えば、ネットでは、意見が集約されていくと言うよりも、焦点がぼけて拡散されていく印象を受けます。小学生低学年を指導する現場の実情を無視して、感情的な議論を好むネット中毒者が、深夜に大活躍する議論では、互いの考えが深まりません。残念ながら、「積分定数さん」もこうした範疇に入る人物であることを、何人かの人から後日指摘されました。誠に残念なことです。


プリントを、汚さないでね!・・・と思ったら、ちょっと書かれている英語を読んでね!


関心のある方は、以下のブログも参考にご覧ください。

マッキーの算数指導法:式のたて方のコメントに応える(2)
 

マッキーの算数指導法:式のたて方のコメントに応える(3) 



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