「マッキーのつれづれ日記」

進学教室の主宰が、豊富な経験を基に、教育や受験必勝法を伝授。また、時事問題・趣味の山登り・美術鑑賞などについて綴る。

マッキーの学習指導法:今年の開成中学入試問題「算数」・・・その2

2016年02月15日 | 学習指導法



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 『マッキーの学習指導法:今年の開成中学入試問題「算数」』に続いて、今年の開成中学の入試問題を取り上げ、出題意図を含め、受験対策に役立つ解説をしましょう。多くの受験生が、トップ校を受験するわけではありませんが、トップ校の入試問題には、受験生が学ぶべきポイントが象徴的に取り上げられていますので、指導する保護者の皆様には、とても参考になると思います。

 前の問題は、開成中学の算数入試問題の【問題1】を取り上げました。今日は、「仕事算」「単位量あたりの大きさ」などの考え方と、割合の考え方を用いて解く【問題2】について取り上げましょう。取り上げる入試問題は、私なりの解き方で説明しますが、上位校の算数の解法は幾通りか考えられます。その中でも分り易い解き方を説明することにします。

【問題2】

 3人の職人A、B、Cの1日あたりの賃金はそれぞれ6000円、9000円、30000円です。ある仕事をA1人に頼むと600日、B1人に頼むと400日、C1人に頼むと200日でちょうど完了します。職人が2人、あるいは3人で同じ日に作業したとき、それぞれの能率は1人のときと変わらず、その合計の作業がされます。また、最後の日は途中で仕事が完了しても1日と数え、1日分の賃金を支払います。以下の問いに答えなさい。

(1)どの日も、A、B2人だけで作業すると、この仕事は何日で完了しますか。

(2)210日以内にこの仕事を完了させるとき、賃金の合計金額が一番少ないのは、A、B、Cそれぞれに何日ずつ頼むときですか。また、そのときの賃金の合計金額はいくらですか。

(3)賃金の合計金額を420万円以内とするとき、この仕事が完了するまでにかかる日数が一番少ないのは、A、B、Cそれぞれに何日ずつ頼むときですか。また、そのとき何日で仕事は完了しますか。

【解答・解説】

 最初の(1)の問題は、いわば仕事算の基本的な問題として解くことができます。仕事算とは、全体の仕事量を1と置き、それぞれの単位時間あたりの仕事量を求めて解く問題のことを言います。この問題であれば、Aの一日あたり(単位時間)の仕事量は、1/600、Bの一日あたりの仕事量は1/400です。

 よって求める日数は、1÷(1/600+1/400)=240(日)・・・(1)の答え、と出すことができます。これは、とても簡単な問題です。予習シリーズでは、こうした問題を、最小公倍数を使って整数計算させていますが、計算は簡単になりますが、子どもたちが全体を見積もって解いていくことができないので、あまり良い解き方とは言えません。

 次は(2)の問題です。(1)で求めたように、AとB二人だけでは、この作業が終わるのに240日かかってしまいます。したがって、AとB二人で210日働き、残りの作業をCにやってもらった時、『賃金の合計金額が一番少ない』という条件を満たすはず。

 よってCが働く日数は、{1-(1/600+1/400)×210}÷1/200=25(日)・・・Cの日数
考え方で説明した通り、AとBはそれぞれ210日。
賃金の合計金額
=(6000+9000)×210+30000×25=3900000(円)
この問題も比較的考えやすい問題です。

 最後の(3)の問題です。A、B、Cの働く日数をそれぞれA、B、Cと置いて、与えられた条件を文字式で整理してみましょう。

 作業(仕事)の量の関係から、1/600×A+1/400×B+1/200×C=1・・・①

 賃金の合計金額を420万円以内という条件から、
 6000×A+9000×B+30000×C=4200000・・・②
 (小学生は不等式が解けないので、一応420万円として計算します)

 ①を簡単にして、2×A+3×B+6×C=1200
 ②を簡単にして2×A+3×B+10×C=1400

 中学生では、三元一次方程式ですが、小学生では消去算と呼びます。
 4×C=200
   C=50(日)

 上の式にC=50を代入すると、2×A+3×B=900となります。不定方程式のようですが、2人が一緒に連続的に作業を進める時が、『仕事が完了するまでにかかる日数が一番少ない』という条件を満たしますので、A=Bと考えます。

 よって、2×A+3×A=900  5×A=900  A=180(日)

 以上のことから、A180日、B180日、C50日となり、180日でこの仕事が完了するというのが(3)の答えとなります。

 仕事算的な考え方ができること。また、与えられた条件を理解して、文字式等で条件を整理することができることが、この問題を解く条件となります。けれども、問題の意味を理解できれば、比較的解き易い問題と言えるでしょう。


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