「マッキーのつれづれ日記」

進学教室の主宰が、豊富な経験を基に、教育や受験必勝法を伝授。また、時事問題・趣味の山登り・美術鑑賞などについて綴る。

マッキーの一問必答(13):半径×半径の数値を求めて解く問題

2015年03月07日 | 学習指導法



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 「一問必答」は、「一問一答」に掛けた造語として、今回のシリーズで用います。中学受験した学校に合格するために、ぜひ正解してほしい問題の中で、特に経験的に修得すべき基礎的知識を含む26年度の問題を取り上げ、ポイントを解説します。今回で、このシリーズは、いったん終了します。

 半径が出ていないのに、円の面積が求まるの?中学の三平方の定理が分からないのに、どうやって半径を求めるの?そんな疑問が浮かぶ問題です。こうした問題を解くポイントは、半径が出ていなければ、半径×半径の数値が出せるかどうかを考えます。この解き方は、やはり経験的に覚えることが大切です。

 このパターンの問題は、円と正方形が絡んで出題されます。正方形の面積は、一辺×一辺で求めることができますが、正方形はひし形の仲間ですから、対角線×対角線÷2でも計算することができます。このことをうまく使って、半径が出ていなくとも、半径×半径の数値を導き出して考える問題です。

【26年度の入試問題】 (分数の表記および記号が、実際の入試問題と若干異なります。)

1.東邦大学付属東邦中学校

この年の東邦大東邦の算数の問題は、問題1が計算3題、問題2が小問3題、問題3から問題7までが小問2~3題で構成された大問の出題でした。今回の問題は、問題2の小問として出題された問題です。

【問題】
下の図のように、正方形ABCDの4つの頂点を通る円がある。また、点E、F、G、Hはそれぞれ辺AB、BC、CD、DAのまん中の点である。この円の面積が10㎠であるとき、四角形EFGHの面積を求めなさい。ただし、円周率を3.14とし、小数第2位を四捨五入して答えなさい。





2.江戸川女子中学校

この年の江戸川女子の算数は、問題1では計算4題を含む小問13題、問題2から問題4まで小問3題で構成された入試問題でした。今回の問題は、問題1の小問として出題された問題です。

【問題】
下の図のように、1辺の長さが10cmの正方形と4分の1円があります。円周率を3.14とすると、車線部分の面積の合計は□㎠です。



3.ラ・サール中学校

ラサールのこの年の算数は、問題1が計算3題、問題2が小問4題、問題3から問題6までが小問2~3題で構成された大問でした。今回取り上げた問題は、問題2の小問の一つとして出題された問題です。

【問題】
対角線の長さが10cmの正方形Aがあります。その一辺を半径とするおうぎ形Bと、対角線を半径とするおうぎ形Cを右の図のように作ります。
(ア)2つのおうぎ形の面積の比を求めなさい。
(イ)2つのおうぎ形の面積の差を求めなさい。円周率は3.14とします。




【解答と理解しておくべきポイント】

1.東邦大学付属東邦中学校

小さい時から、折り紙をしている方はすぐに分かるでしょう。正方形ABCDの面積が出れば、その半分が正方形EFGHの面積となります。

円の面積は出ていますが、円の半径は出ていません。正方形ABCDの一辺の長さも出ていません。そこで、この正方形の面積を、対角線×対角線÷2=直径BD×直径AC÷2ということに注目して求めることを考えます。

直径=半径×2ですので、正方形ABCDの面積=直径BD×直径AC÷2
=半径×2×半径×2÷2=半径×半径×2と変形することができます。

円の面積=半径×半径×3.14=10(㎠)から、
半径×半径=10÷3.14=約3.18と導き出すことができます。ここで、半径の長さを求める必要はありませんし、小学生が求めることもできないはずです。

この数値を使って、正方形ABCDの面積=半径×半径×2=3.18×2=6.36
よって求める正方形EFGH=6.36÷2=3.18
少数第二位を四捨五入して、求める面積は3.2(㎠)




2.江戸川女子中学校

斜線部分の面積は、四分円の面積から正方形の面積を引いて求めることができます。正方形の一辺の長さは出ていますが、円の半径は出ていません。

円の半径は、正方形の対角線の長さと一致しています。このことを利用して円の面積を求めます。

まず正方形の面積は、一辺×一辺=10×10=100(㎠)
また、対角線の長さをXcmとすれば、
正方形の面積=対角線×対角線÷2=X×X÷2=100でもありますから、

X×X=200・・・このことから半径×半径=200であることが分かります。

よって求める斜線部分の面積は、半径×半径×3.14÷4−正方形の面積となり、
200×3.14÷4−100=157−100=57(㎠)




3.ラ・サール中学校
(ア)2つのおうぎ形の面積の比を求める。
おうぎ形Bの面積は、半径×半径×314×270/360で求めることができます。
また、半径×半径は正方形の面積と一致しますから、その数値は、10×10÷2=50となります。

よって求めるおうぎ形BとCの面積比は、
(50×3.14×270/360):(10×10×3.14×45/360)
=50×3/4:100×1/8
3:1

(イ)2つのおうぎ形の面積の差を求める。
これは、前の問題の(ア)ができれば簡単です。
おうぎ形B−おうぎ形C
=50×3.14×270/360−10×10×3.14×45/360
=(37.5−12.5)×3.14
=25×3.14
78.5(㎠)



円の面積を求める問題で、半径の長さが出ていないとき、半径×半径の数値が出せるかどうか考えて解く問題でした。この解き方も、日常の学習で経験的に習得すべき考え方です。

最新の中学入試問題を使い、こうした経験的に理解しておくポイントを含む問題を取り上げ、13回にわたって説明してきました。難しい問題ではありませんが、出題頻度も高く、理解していないと解く手がかりが掴めない問題です。

2月上旬の中学入試、そして3月2日には都立高校の合格発表、続いて国立大学の合格発表があり、今年の受験シーズンは終了します。今度は、今年度入試問題が出そろった頃に、問題を分析して、別の視点から合格のためのアドバイスをしたいと思います。

コメント
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