翌日「お早う御座います」とやってきた千里と初詣に府中の大国魂神社と高幡不動尊に揃ってお参りに行き、千里も賢三も受験の合格をお願いしてきた。帰宅して千里の手作り料理と御節の残りで師食事を楽しみました。
「千里のお陰で今年は何年かぶりに楽しい正月が出来て有難う、千里も愈々受験の本番が近づいてきたから叔父さんの事は当分気にしなくていいから勉強に専念して頑張っておくれよ、時々でいいから電話で声さえ聞かせてくれたらいいからな、合格したら何をご褒美にあげようかな」
「千里、頑張って絶対合格するからね、じゃあ今日は此れで帰ります、叔父さん暫らく我慢していてね」と言って千里は帰って行きました。
3月の初め「叔父さん!試験受かったよ、今日発表があったの」と弾んだ声で千里は合格を知らせてきました。
「良かったなー、おめでとう千里の事だからキッと合格するとは思っていたけど、お母さんも喜んでおられるだろう、叔父さんも嬉しいよ」
「母も大喜びで、私の後継者が出来たと喜んでいます」
「早速合格祝いをしなくちゃー、千里の都合のよい日を連絡してくれ、千里が好きなものを何でもご馳走してあげるから」「有難う御座います、又お知らせします、今日は母の次に叔父さんに合格を知らせようと思って、これから学校の先生にも知らせます」
という事で千里は念願の看護婦養成学校に見事合格しました。
後日千里の希望でおすし屋さんで合格祝いの食事をし、その席で賢三がスイスに行ったとき購入して殆んど使っていなかったロレックスの腕時計を買った時のケースにいれ千里に「男物だからサイズが少し大きいけど仕事の時に役に立つと思うからお祝いに上げる」と言って千里の腕にはめてやりました。
「わぁー凄い時計だねー一生使えそう、千里嬉しいー、叔父さん何よりなプレゼントを有難う」ととても喜んで腕に嵌めたり外したり何度もして喜んでいました。
さて、この御伽噺はこの辺でお終いです。
千里は看護婦養成学校を首席で卒業し都内の病院に入り小児科担当の看護婦として社会人1年生の道を歩みだしました。
賢三の所には病院の休みの日には必ず顔をみせに来ていましたが、今までと違ったのは看護婦の知識を披露して賢三に健康管理を徹底させるようになった事です。
「叔父さん血圧を測ってあげるからとか、コレステロールか高いと体に良くないから
野菜や魚中心の食事にしてね、叔父さんには何時までも健康で居て欲しいからね、千里のいう事をちゃんと聞いて実行して頂戴ね」なんていうようになりました。
「はいはい、千里のいう事をちゃんと聞いて健康管理しますよ」と賢三は日毎に成長してゆく千里に目を細めるこの頃です。
沙織をなくし生甲斐を無くし掛けていた賢三でしたが千里と知り合ってからは以前の元気を取り戻し、会社では「富樫さんこの頃何かいいことが有ったんですか?生き生きとしておられますねー」と皆に言われるようになっています。
千里との関係はこれからもズーット続く事でしょう、今週も「叔父さん、千里です」とやってくるのを心待ちにしている賢三です。
終わり