私の小説

想い浮かぶまま小説を書いてみました。
一度には掲載できませんので何回かに分けて掲載します。お読みいただけたら幸甚です。

ガアルフレンド15

2011-03-29 11:18:05 | Weblog

翌日「お早う御座います」とやってきた千里と初詣に府中の大国魂神社と高幡不動尊に揃ってお参りに行き、千里も賢三も受験の合格をお願いしてきた。帰宅して千里の手作り料理と御節の残りで師食事を楽しみました。
「千里のお陰で今年は何年かぶりに楽しい正月が出来て有難う、千里も愈々受験の本番が近づいてきたから叔父さんの事は当分気にしなくていいから勉強に専念して頑張っておくれよ、時々でいいから電話で声さえ聞かせてくれたらいいからな、合格したら何をご褒美にあげようかな」
「千里、頑張って絶対合格するからね、じゃあ今日は此れで帰ります、叔父さん暫らく我慢していてね」と言って千里は帰って行きました。

3月の初め「叔父さん!試験受かったよ、今日発表があったの」と弾んだ声で千里は合格を知らせてきました。
「良かったなー、おめでとう千里の事だからキッと合格するとは思っていたけど、お母さんも喜んでおられるだろう、叔父さんも嬉しいよ」
「母も大喜びで、私の後継者が出来たと喜んでいます」
「早速合格祝いをしなくちゃー、千里の都合のよい日を連絡してくれ、千里が好きなものを何でもご馳走してあげるから」「有難う御座います、又お知らせします、今日は母の次に叔父さんに合格を知らせようと思って、これから学校の先生にも知らせます」
という事で千里は念願の看護婦養成学校に見事合格しました。
後日千里の希望でおすし屋さんで合格祝いの食事をし、その席で賢三がスイスに行ったとき購入して殆んど使っていなかったロレックスの腕時計を買った時のケースにいれ千里に「男物だからサイズが少し大きいけど仕事の時に役に立つと思うからお祝いに上げる」と言って千里の腕にはめてやりました。
「わぁー凄い時計だねー一生使えそう、千里嬉しいー、叔父さん何よりなプレゼントを有難う」ととても喜んで腕に嵌めたり外したり何度もして喜んでいました。

さて、この御伽噺はこの辺でお終いです。
千里は看護婦養成学校を首席で卒業し都内の病院に入り小児科担当の看護婦として社会人1年生の道を歩みだしました。
賢三の所には病院の休みの日には必ず顔をみせに来ていましたが、今までと違ったのは看護婦の知識を披露して賢三に健康管理を徹底させるようになった事です。
「叔父さん血圧を測ってあげるからとか、コレステロールか高いと体に良くないから
野菜や魚中心の食事にしてね、叔父さんには何時までも健康で居て欲しいからね、千里のいう事をちゃんと聞いて実行して頂戴ね」なんていうようになりました。
「はいはい、千里のいう事をちゃんと聞いて健康管理しますよ」と賢三は日毎に成長してゆく千里に目を細めるこの頃です。
沙織をなくし生甲斐を無くし掛けていた賢三でしたが千里と知り合ってからは以前の元気を取り戻し、会社では「富樫さんこの頃何かいいことが有ったんですか?生き生きとしておられますねー」と皆に言われるようになっています。
千里との関係はこれからもズーット続く事でしょう、今週も「叔父さん、千里です」とやってくるのを心待ちにしている賢三です。
                          終わり

ガアルフレンド14

2011-03-27 10:40:40 | Weblog

夏休みが終わって千里は受験勉強の追い込みに入り以前のように遊びには来てくれなくなりましたがそれでも週に1度は電話して来てくれ月に1度はやってきて賢三を喜ばせてくれました。秋は釣瓶落としの日のように瞬く間に過ぎて行き、町にはクリスマスイルミネーションが灯り歳の瀬を迎える頃になりました。
沙織が亡くなってから正月といっても御鏡モチを飾り元日には雑煮を食べるくらいで、正月料理のおせちを買うわけでもなく、暮れに買いだめしておいた材料で何時ものような簡単な料理を作って三が日を過ごしていましたが、今年は千里から電話があって「叔父さん、お正月には何処かに出かけますか?出かけないなら千里とお正月をしませんか?」と言ってきた。
「正月に出かけても混雑しているし、旅館もホテルも高いばかりでサービスも行きとどかないので家でおとなしく適当に何か作って食べ、1年の疲れ休めをすることにしているから何処にも出かけないよ」「そうだったら、31日は家のお手伝いで叔父さんの所に行けないけど30日は大丈夫いなので朝から叔父さんの所に行くから待っていてね」と言って30日の朝9時ころ「叔父さんお早う}と千里は約束通り来てくれました。
やってきた千里は「叔父さん午前中に掃除をするから手伝ってね、午後は一緒に買い物に行きましょうね」と言って賢三が日ごろあまり掃除をしていなかったところまで賢三の手も借りなhがら隅から隅まで綺麗に掃除をしてくれました。「さあこれで1年の垢落としができて気持ち良く御正月が迎えられるね」「有難う、千里のおかげで家の中がすがすがしく思えるよ」「良かった」
午後千里のお供をして駅前のスーパーなどに買い物に行き、正月用に作られた小さなパックに入った、田作り、黒豆、昆布巻き、栗きんとん、蒲鉾など正月の縁起料理に肉類など細々と買い集めました。「足りない分は千里の家で作ったのを少しずつ持ってくるからね」と久し振りに正月の用意を整えてくれました。
「叔父さん、御元日には来れないけど2日は母さんが病院の泊まり番で朝から出かけ3日の夜にしか帰ってこないから叔父さんと2人で御正月を祝いましょう、10時ころには来られると思うけど叔父さんが御元日の朝食べられるように今日買ってきたお料理を大皿に盛り合わせて冷蔵庫に入れておきますから食べていてね」「そうだ、千里が正月を一緒にしてくれるということならしばらく使っていなかった上等な屠蘇器があるからそれを出して屠蘇を祝おうか」「そんな屠蘇器があるなら使いましょよ、御正月!という気分になるものね」「OK,出して洗っておくよ」
「これでよしっと、叔父さん私帰るけどお酒飲みすぎないでよ」と千里は夕方帰ってゆきました。
約束通り2日の10時ころ「叔父さん、おめでとうございます」と千里はやってkました。部屋に入ると正座して「叔父さん、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」と神妙に年賀のあいさつをして「叔父さん、寂しかった・母に言ってあるから今日と明日御正月をしましょうね、それから、これ母から、飲んでくださいって」と日本酒の大吟醸を呉れました。「いやー、上等なお酒を有難う。改めて千里あけましておめでとう、叔父さんの方こそ今年も宜しく。じゃあ先ずは御屠蘇を祝おう」と屠蘇を祝い、用意していたお年玉を「千里、お年玉だ、何か自分の好きなものでも買いなさい」と言って渡した。
「えーっ、お年玉を下さるの?嬉しいー、中を見てもいい?ひゃー3万円も入っている、おじさん有難う、こんなにいただいていいかしら、千里が看護婦さんになってお給料を頂けるようになったら叔父さんにお年玉上げるからそれまで待っててね」
「嬉しいことを言ってくれるねー、楽しみに待ってますよ」
暮れに千里が用意しておいてくれた元旦用の盛り合わせに千里が自宅から持ってきた料理などを加えて恰好よく盛りなおし千里に御酌をしてもらいながら食べる久し振りの正月料理は一段と美味しく賢三は知らず知らずお酒もすすみよいきぶんになりました。
「いやー、こりゃー最高だ、楽しいねー、叔父さん酔っぱらってしまったよ、一寸横になってもいいかい」と賢三はすっかり良い気分に酔ってしまいました。
暫く良い気持ちになって寝てしまっていた賢三が目を覚ますと枕をあてがい布団も掛けてもらっていました。
「いやー、千里をほったらかしにしていい気分で寝てしまってたな~、御免御免」「叔父さん凄く気持ちよさそうに寝ていたよ、目ざましに美味しいお茶を淹れましょうか」「ああ、欲しいねー、こんな気持ちになった歩正月は叔母さんがまだ生きていた時以来だけど、千里がしてくれたことが叔母さんがしてくれていたことと同じなので叔父さん驚いたなー」「叔父さんが気持ち良さそうに寝てしまったので、こんな時叔母さんだったらどうしてあげるだろうと思って、したんだけれど叔父さんが喜んでくれて良かった」「叔父さん今夜はすき焼きしますからね、それまでテレビでも見ていてね」
「はいはい判りました」と賢三は夕食のしたく一切を千里に任せウイスキーをちびちび遣りながらテレビを見ていました。
「叔父さんすき焼きの支度できたけど炊いてくださる?千里が炊くより叔父さんが炊いてくださるほうが美味しいと思うのだけど」「任せておけ、おばさんと居たときも鍋料理は叔父さんが炊く役目で、鍋奉行と言ってたからな」「矢張り叔父さんに任せたのは正解だった、千里が家で炊くよりずっと美味しいは」「そうかい、褒められて嬉しいなー」と2人は仲良く鍋を囲んでいました。

ガアルフレンド13

2011-03-07 11:11:45 | Weblog

取引先の、それも仕事で接している女性が好きになったからと言って、仕事とプライベートは別とはっきりけじめをつけなくてはいけないと思い、仕事で遠藤さんの会社に行ったときには挨拶と一寸した軽口をきくくらいで仕事の場は仕事オンリーで事務的に仕事を進めていた、遠藤さんも心得ていてビジネスライクに接してくれていた。
お互いの仕事が終わったあとや休日には遠藤さんを誘いデートを重ねたが自分の会社の他人や遠藤さんの会社の人に気付かれないように気を配ってデートしてたね。こうして遠藤さんとの絆が深まってきた時叔父さんは名古屋の支店に転勤になってしまった。
名古屋と東京と離れ離れになってしまい今までの様にデートはできなくなったけれど、月に一度は名古屋と東京の中間地点の静岡あたりで落ち合ってデートしてた。静岡駅で東と西に分かれて帰るときは寂しかったねー、名古屋に帰るとその晩遅くまで遠藤さんに自分の思いのたけを手紙にしたためて送ると遠藤さんからも楽しかったことや別れる時寂しくて思わず涙がこぼれたなど書いた手紙が来た。
4年間の付き合いでお互いが無くてはならない存在であるという事が確信でき結婚した。
結婚式で花嫁衣裳に身を包んだ美しい沙織を見て「今日から沙織は僕のものだ、僕の奥さんだ」と思うと嬉しさがこみ上げてきたと同時に「何事があっても僕は沙織を幸せにする」と心に誓ったよ。
結婚当初の僕たちの愛の巣は6畳一間に簡単な台所がついただけの狭いアパートで家財道具も最小限のものしか入らない所だったけれど大好きな沙織と毎日一緒に居れるだけで楽しくて幸せ一杯だった。風呂なんてなかったから一緒に銭湯に行くんだが、大体出る時間を打ち合わせし番台越しに顔をあわせて帰っていたよ。毎日が夢の様に過ぎて行き1年後には公団の3LDKに入居が決まり引越し、此処なら赤ちゃんが出来ても大丈夫だからと思っていたら上手い具合に沙織が妊娠し、良かったーと喜んでいたけど妊娠7ヶ月目でお腹の中の赤ちゃんが死んでしまい死産した。悲しかったが仕方が無い、沙織も大変なショックを受けたが、お医者さんから仮に生まれても障害を持ったお子さんになっていましたよと言われ、神様が生まれた赤ちゃんの親にも後々まで大変な思いをさせ赤ちゃんにも辛い思いをさせないようにして下さったのだ、今度は五体満足で元気な赤ちゃんを授かるよう神様にお願いしようという事で2人ともショックから立ち直った。
でもその願いは虚しく2人ともどこも悪くないのにお医者さんに行ったり色々してみたがそれ以来赤ちゃんは授からなかった。
赤ちゃんが授からなかったと言うわけではなったが叔父さんは時には叔母さんの子供の様に甘えたり、やんちゃを言ったりしておばさんから「大きな子供で仕方が無いねー」と言いながら叔母さんは僕の甘えたりやんちゃを言ってみたりすることが楽しかったようだった。
こんな生活は叔父さんと沙織叔母さんの2人だけの秘密で、会社や友人の間では叔父さんは強持てのぞんざいだったので誰も想像が出来ない秘密のお遊びだった。
叔母さんは心の広い気持ちが豊かな人で、芯も強い人だったので何でも叔母さんに話すと叔父さんは気持ちが落ち着き安心できた、そういうところはお袋さんみたいだったけど叔父さんに甘えるのも上手で剛柔をうまく使い分けられる人だった。
何時までも新婚家庭みたいで楽しく過ごしている内に20年の月日が過ぎて行き、結婚20周年記念にはアメリカとカナダを半月かけて旅行し、これからは毎年2回は海外旅行をしようという事にして翌年からは2年続けて4回ヨーロッパに旅行して大きな感激と楽しみを味わった。
この次は北欧に行こうと計画を立てていたのに、それまで元気で風邪一つ引かなかった叔母さんが珍しく風邪を引いた、日頃元気だったので直ぐ治ると思っていたが中々治らず、掛かっていたお医者さんから肺炎の症状があるので大きな病院に直ぐ入院して治療した方がよいと言われあわてて入院したが思っていたより重症で入院して1週間目に叔母さんはあっけなくこの世を去ってしまった。
忘れもしないが入院して4日目に叔母さんが「賢さん私にもしもの事が有ったら間に合わないので今のうちに話しておくけど、今まで長い間私を愛し大切にしてくださった事本当に嬉しかった、貴女と結婚して本当に良かった、私は貴方のお陰でこの世の幸せを独り占めできたわ、私のもしものことがあってあなたを残して旅たつような事がおきたら御免ね、でも万一そうなったとしても私の全ては貴男の心の中で何時までも生き続けているからね、貴方は私がいなくなった後も長生きして人生を楽しんでくださいね、貴方が楽しんでくださるという事は貴方の中で生き続ける私も楽しさを味わうという事になるからね」というから、何を言っているの、元気者の沙織だから直ぐよくなるよ、元気になったら約束していた北欧旅行に行こうよね」と励ましたのだが此れが沙織と交わした最後の会話になり翌日には意識が朦朧とし始めもうまともに口も聞けなくなり入院後1週間目に叔父さんの腕に抱かれて安らかな顔をしてあの世に旅立って行ってしまった。
千里が話して呉れている叔父さんの顔を見たら叔父さんの目には涙が浮かんでいた。
「これで御終い、つまらない話を聞かせてしまったなー。さあもう遅いから寝るとしよう」
「叔父さんごめんね、忘れていた悲しい思い出を思いださせてしまって、でも叔母さんはおじさんにそんなに愛されて幸せだったね。千里も結婚するときは叔父さんが叔母さんをこころから一杯愛したように、千里を心から一杯愛してくれる人と結婚したいなー、この世の中には何処かに必ずいると思う」
「そうだよ、必ずいるから希望を持って、その人に出会ったとき恥ずかしくない人間であるようにこれから心をもっと自分を磨かなくてはいけないよ」
「はい、判りました、そのように努力します」といっていた千里が

「ねえー、叔父さん御願があるの」「なんだい?」「叔父さんのベットに入らせてほしいの、いい?」「いいけど、どうしたんだい?」と言うと千里は賢三のベットに潜り込んできて「夕方、林のベンチで叔父さんにもたれかかっていた時、背中のぬくもりがとても気持ちがよかったの。なんだか凄く安心感というか気持ちが安らぎ身体中の力が抜けてゆくみたいだったの。千里は今まで甘えさせれもらったことがなかったから叔父さんに甘えさせてもらって初めて甘えるということはこんなにいいものだということを知ったの、だからもう一度甘えさせてもらって叔父さんの温もりの中で寝たいの」としがみついてきました。
「千里、さっき叔母さんの話をしていて、ふと思ったんだけど、千里を叔父さんに引き合わせ、可愛い娘を持った父親の楽しさを味わわせて呉れるように叔母さんが天国から仕組んでくれたんだ、自分の代わりに僕の手助けをしてくれ、可愛く甘えてくれ、僕が楽しい思いが出来るように、そして僕の心の中で生き続けている沙織叔母さんも自分が子供を持った母親と同じ喜びや楽しさを味わっているんだと思った。千里のお母さんには申し訳ないけど、育てる苦労もせずにこんな大きな娘を沙織叔母さんが神様にお願いして授けてくれたんだとね」
「千里、これからも叔父さんに甘えていい?千里も叔父さんを自分のお父さんのように大切にするからね、気持良くなって眠くなってきちゃった、御休みなさい」と言うか言わないうちに千里はもうすやすやと気持ちよさそうに寝てしまった。
何時も1人で寝ているのに横に千里が一緒に寝ているので賢三はなんとなく寝付けないまま千里と初めて出会った時のことなど思い浮かべていましたがそのうちに千里の寝息に誘われ知らぬうちに夢の世界に入ってゆきました。