伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む元市議会議員。1960年生まれ。最近は遠野和紙に関わる話題が多し。気ままに更新中。

カワズの声を聞きながら続く和紙・楮保存会の作業に参加

2024年04月13日 | 遠野町・地域
 遠野町入遠野にある遠野和紙工房「学舎」。昔、営林署の事務所や宿舎が設置されていた場所だが、現地の営林署が廃止された現在はほぼ取り壊され、残された旧事務所棟と県の補助金を受けて建設された遠野和紙工房「学舎」で遠野和紙継承の取り組みが進められている。

 工房前には田んぼが広がる。田起しがされるなど田植えの準備が進んでいる。その田んぼからはカエルの合唱が聞こえる。「ゲコゲコゲコゲコ・・」の声が多数被さる。アマガエルだ。

 4月に入った頃、田んぼから聞こえ始める声がアマガエルだと知ったのはたぶん昨年のこと。あの小さい身体から、田んぼを制圧するような大音量を発する力には意外性もあり、驚きを感じたものだ。

 よく晴れた空の元にあった保存会活動の2日目(10日)の田んぼからもチラホラ聞こえてきたが、強雨だった1日目(9日)は、雨が強くなる前の時間段違いにたくさん聞こえてきた。


 雨が強まって後、鳴き止んだのか、雨音にかき消されたのか、そこは分からないのだが、聞こえてこなかったのは不思議と言えば不思議?

 さて、この2日間の保存会活動は、しょしとり(楮の皮の黒皮などを削ぎ落とし白皮を作る作業)を続けた。3月で作業を終えた昨年に比べ、今年はすでに昨年より半月程余計に作業が遅れている。それでもまだまだ終らない。4月いっぱいかかるのではないだろうか。

 処理した楮の皮は、温かくなってからの作業となっているせいか、カビの跡が散見された。



 楮の枝からはぎとった皮はいったん竿にかけ乾燥させ保管し、後に水で戻ししょしとりをすることが多い。乾燥させる際は、黒皮を束ねるが、この束ねた部分が乾燥しにくくカビが発生することがある。

 全体として作業が遅くなったため、暖かい気候になってから竿にかけることになったため、カビが発生しやすくなったことが原因なのだろう。

 しょしとり作業でユニークな場面もあった。しょしとりでは、白皮のカビ跡などの汚れや堅く変質した皮の部分を取り去る。後の塵取り作業でも同様の作業をするが、前段階で少しでもきれいな皮にしておくことで、次の作業負担を軽減する目的で、一昨年から少し念入りに作業をするようになった。

 この作業の一環で、皮から塵を切り取ったのだが、これが漫画ゲゲゲの鬼太郎に登場する妖怪「一反木綿」にしか見えない皮があった。偶然が生み出した美術作品に、ほっこりしながら作業を続けた。


 しょしとり後、宇宙に散らばる銀河のような模様が浮かび出た白皮。



 天文の話題で時々見るような画像に見えたのだが、渦巻き銀河に見えるところなど褐色の部分やオレンジ色っぽく変色している部分は紙漉きに適さないので除去する。実際除去すると、残る白皮はごくわずか。労多くして成果が少なそうなこの皮は、残念ながら廃棄の運命だ。

 しょしとり後の白皮に桜の花びらが貼り付いていた。



 いつ付着したのか分からない。戸外の桜はたしかに散り始めている。季節の贈り物は、作業に一息を入れてくれる。

 この作業に加えて今週は、来週に控えている紙作り体験の準備作業がある。体験メニューはしょしとりと塵取り、打解(叩解)に加え紙漉きを実施しようと考えている。このため、塵取り(白皮からごみ等を取り除く作業)前の白皮、塵取り後の白皮に加え繊維化した楮を用意しておかなければならない。

 保管している乾燥白皮3kgの者熟(炭酸ソーダを加えて煮る作業。白皮を柔らかくし、ごみの除去等をする)をしたのが10日、1晩そのままにして11日に皮を釜から上げ水にさらし、12日、13日に、合わせて7時間程かけて2kg程の塵取りをした。




 来週は、塵取り後の白皮を木槌で叩く打解とその後のビーター(長刀ビターにかけて皮を繊維化する)処理をして、10日木曜日実施の紙作り体験に備えなければならない。

 体験で漉いた紙を乾かす作業もあるし、合わせて自分達の紙漉きもして、乾燥機を効率よく使いたい(灯油燃料の乾燥機は立ち上げに時間がかかるため、できれば乾燥作業はまとめてやりたい)ので、来週もほぼ出ずっぱりか?


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