伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む元市議会議員。1960年生まれ。最近は遠野和紙に関わる話題が多し。気ままに更新中。

保存会のアクアマリンふくしま紙漉き体験に参加した

2024年03月17日 | 遠野町・地域
 アクアマリンでの紙漉き体験は2回目。昨年3月のアクアマリンエッグ改修にともなうイベントの一環に組み入れていただき、保存会としてはじめて(たぶん)の紙漉き体験を開催した。エッグの一画に、保存会のメンバーに加え、地域おこし協力隊員といわき市遠野支所の職員合わせて十数人と体験者がひしめき合いながら進行するような体験だった。

 今回使わせていただいた会場は、アクアマリン見学の道順からいえば出口付近となるアクアルームとエントランスホール。非常に見通しが良く広々としたロケーションの良い会場ながら、ホールはガラス張の広い空間。少し温かすぎる環境で、若干汗をにじませながら体験会を進めた。ちょっと温かすぎるため、水に粘りをつける役割のネリにトロロアオイ(温かいと成分が分解して粘りがなくなってしまう)を使わず、化学ネリを使用させていただいた。もちろん、紙になる繊維は遠野産の楮から撮りだしたものだ。

 体験希望者には、まず受付で希望時間に予約を入れてもらう。




 開始時刻の10時、アクアマリンを観覧にきたお客さんも、まだまだ水族館を巡っている方々が多かったと思う。その時点では予約1人の状態だった。しかし、10時を過ぎた頃から希望者が増えて、12時頃まで用意した体験用漉き舟(洗面器より少し大きめのたらいで代用)3台でほぼ途切れなく体験者が簀桁をふるった。



 予約制としたものの体験する開催場所が観覧コースの最後の方だということもあって、事前予約は少なく、受付すぐに紙漉き体験となるケースが多かったようだが、午前中、とにかく午前はせわしなく体験を実施した。

 そんなこともあって、展示兼乾燥作業をするアクアルームも忙しかったようだ。



 今回は吸水後にアイロンを使って紙の乾燥をした。この作業はだいたい10分程度だろうか。待ち時間には紙漉きの道具などを見学していただいた。特に役割分担をした分けではなかったが、手すきの会員が道具や紙漉きの説明に立ってくれたよう。体験者やその家族に和紙の理解が広がっただろうと思う。

 さて昼になって退館を急ぐかのように足早に目の前を通り過ぎるお客さんが増え、やがて人通りも途絶えがちになった。



 写真で紙を漉いているのは3歳9ヶ月の幼児。我が家の1人孫と1ヶ月違いの同い歳だ。たぶん今日の体験者で最年少だったと思う。補助してもらいながらもしっかり紙漉きをして、質問にもはきはき答えてくれた。頼もしいものだ。

 今回は、前回昼休憩を交代にとることを前提にして休憩時間なしにタイムスケジュールを組んで、結果休憩なしに作業を続けた反省もあって、今回は12時から13時は休憩時間とした。ただ休み過ぎかなとも思う。休んでいる時間帯に通りかかって体験をしたいと希望した方がいても、休憩時間と時間予約制の事前告知がしてあるために体験に入れることもできない。

 ここは改善の余地があったかなと思う。全休時間を30分程度にして、紙漉き補助者が交代で対応できるように昼の時間帯の予約受付数を減らすなどで対応するスケジュールを組むことが必要かなとも思った。

 そんなことを考えながら午後の時間帯に突入した。再開の午後1時過ぎ、しばらくは体験者がごく少ない時間が続いたが、終ってみれば午後3時過ぎまでに40人程が紙漉きを体験。午前の時間帯とほぼ同じ忙しい時間を過ごすことになった。

 保存会員は高齢者が多く、80代後半のベテランボランティアをはじめみなさんにご活躍をいただいたのだが、ここまで出張ってがんばるみなさんには頭が下がる思いだ。こうした活躍もあって、今回の紙漉き体験のイベントも無事終了できた。

 イベント実施者ということもあり、館内をうろつくわけにもいかないので分からなかったのだが、こんな素敵な雰囲気でイベント風景を見ることが出来たようだ。



 きれいな大きな花かごのようなものが遠目に見えていた。紙漉きの実施場所はちょっと地味っぽくも見える。次回があるとするば、次回は見え方に工夫を凝らすことも必要かな・・。

 最後の受付時間は午後3時40分。この時間に予約が入っていないことを確認してイベントは終了、撤収作業に入った。午後4時過ぎに撤収作業を終了し、帰路に着いた。



 小名浜港から見た夕方の空。手前の舟は何かの作業船のようだが、広い空と工業港の小名浜港らしい景色が広がっていた。

 保存会の体験は、昨年のアクアマリンを皮切りに、今年度はミドルベリー大学(2回)、ケンチクの日イベント、大東大学生等、二十歳の酒プロジェクト、会津短期大学などを受け入れてきた。技術習得をめざす本格的研修以外で、楮の伐採から抄紙(紙漉き)までの各作業を体験できる体験会はあまりないんじゃないかなと思う。今回は紙漉きだけの体験だったが、機会があればぜひご活用いただきたいもの。もっとも全工程を体験できるのは、材料が残っている冬場しかできないのだけれど。

 夜、アクアマリンの担当者様からメールが届いていた。
 「電源ドラムを忘れています」
 あちゃー、いつもいつもご迷惑をかけてしまう。
 イベント実施にあたり様々お世話になり、大変助かった。感謝の一言しかない。
 「いつでも取りに来てください。」とのこと。
 次の保存会作業日までに引き取りに行かなければ・・。


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