WATERCOLORS ~非哲学的断章~

ジャズ・ロック・時評・追憶

いじめた生徒は出席停止に??

2006年11月26日 | つまらない雑談

 ニュースによれば、「教育再生会議」がいじめた生徒は出席停止にという提言をしたということだ。まったく何もわかっていない人たちだ。大衆の支持を得るためのポピュリズムと揶揄されても仕方がない。実際そうなのだろうが……。

 いじめ問題に心を痛めている傍観的人々にとっては、加害者を厳しく処分することは気持ちのよいことだろう。もちろん、いじめがはっきりしているのであれば、それでよいのだが、かつてこのブログで論じたように、多くの場合、いじめはいじめとして認定・立件するまでが困難だというところに現実的な問題がある。平気で嘘をつく加害生徒や皮相な人権意識をたてに屁理屈をいう保護者、それらとのトラブルを避けたい校長や教委など多くの障害が考えられるわけだ。

 問題生徒を「出席停止」にすること自体はかつてから可能なことであったので、この提言は別段新しいことをいっているわけではないが、それを再び強調してマスコミを使って流すことによって、いじめがさらに地下にもぐり、立件が困難になることも考えられる。

 政治権力が為すべきは、いじめを立件するマニュアル、すなわちいじめの可能性が考えられる場合に嘘をつく生徒や人権をたてにとる保護者に対して、先生方がどうすればよいのか、あるいはどういう権限が与えられるのかをはっきりと示すことであろう。

過去の記事

いじめ問題に一言

いじめは、「なれ合い型」学級で発生し易い


ファンキーという感覚

2006年11月26日 | 今日の一枚(G-H)

●今日の一枚 90●

Blowin' The Blues Away    

Horece Silver

5550006_1  50年代ファンキージャズの推進者のひとりホレス・シルバーの『ブローイン・ザ・ブルース・アウェイ』。気持ちいい。かっこいい。音楽にただ酔いしれるのみである。

ファンキー・ジャズとは何だろう。例えば、ウィキペディアはこう説明する。

「ハードバップのうち、プルースのフィーリングを強調し、ファンクの要素が加わった形態。黒人的要素がより強く、ビー・バップやハード・バップに共通した要素である、コードを分解し、旋律を再構成する際に、ペンタトニック(五音階)や黒人音楽を意識したスケールを意図的に用いたものも多い」。

 よくわからない。当然だ。ファンキーとは概念ではなく、感覚だからだ。ファンキーという理論や概念が先にあって、それに基づいて音楽が成立しているのではなく、ある一群の音楽傾向をたまたまファンキーと呼んでいるに過ぎないからだ。無理に説明すれば、黒人的な、ゴスペル風味のあるブルース感覚溢れる音楽とでもなるのだろうが、結局聴いてみなければわからない。

 ところで、日本人はファンキーが好きなようだ。なぜだかわからないが、そこに加味されているブルースの感覚が日本人好みなのかもしれない。ずっと昔聴いたレコードだが、ベン・シドランに『ラヴァー・マン』というアルバムがあって、日本人ビジネスマンを皮肉った「ミツビシ・ボーイ」という曲が収録されているが、その中で「ブルースは好きですか」というセリフが日本語で登場する。「ブルースは好きですか」といってアメリカ人の気を引こうとするワンパターンな日本人を揶揄しているわけである。しかし、これは単に日本人ビジネスマンがアメリカ人に取り入ろうとする手段というだけでなく(それもあるだろうが)、実際ブルースの感覚が好きな人は多いのではないだろうか。ブルースを聴いていて演歌的な部分を感じることもよくあるが、私などもかつてギターでブルース曲をアドリブで弾いていると、あまりの気持ちよさに2,3時間があっという間に過ぎていることがよくあった。意外に、もともと労働歌であるブルースと日本のネイティブな音楽はつながりがあるのだろうか。

 世界の音楽を理論的に解析して、気持ちよさの構造を探ってみるのも面白いかもしれない。