H26 年10月から高齢者(原則として65歳以上)への肺炎球菌ワクチンの定期接種がスタートしています。
江戸川区では以下の対象者が指定医療機関で接種する場合、自己負担4,000円で接種できます。
★平成27年度対象者
- 平成27年4月2日から平成28年4月1日の間に65歳・70歳・75歳・80歳・85歳・90歳・95歳・100歳になる方。
- 60歳以上65歳未満で、心臓・腎臓・呼吸器の機能障害またはヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害で身体障害者手帳1級をお持ちの方。
※既に23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチンの接種を受けたことがある方は対象外です。
これまで高齢者に使用されていた23価肺炎球菌ワクチン(ニューモバックスNP)に加え、小児の定期接種に用いられてきた13価肺炎球菌ワクチン(プレベナー13)が平成26年6月から65歳以上の高齢者にも接種出来るようになり、現在、2種類の肺炎球菌ワクチンが高齢者へ接種可能です。
しかし定期接種化により公費助成で接種可能なものは、23価のニューモバックスNPのみとなっており、もしプレベナー13を接種しようとすると1万円前後の自己負担が必要となります。
では2つの肺炎球菌ワクチンにどんな違いがあるんでしょうか?
小児が主に使用しているプレベナー13には、免疫記憶を高める免疫誘導作用と粘膜免疫を誘導するため鼻咽頭粘膜への菌の定着を防ぐ、といった特徴があります。
それに対しニューモバックスNPは、国内で20年以上使用経験のあるため安全性が高く、血清型も23価とカバー率の高いワクチンであるというのが特徴です。しかし接種後徐々に免疫が減弱するため、米国では5年後の再接種が推奨されており、また鼻咽頭粘膜への菌の定着は予防できません。
そのため、米国疾病対策センター(CDC)ではニューモバックスNPとプレベナー13の両方の接種を推奨しています。
順番もまずプレベナー13を接種後、ニューモバックスNPを連続で、といった感じです。
まずプレベナー13で免疫反応を記憶させた後、ニューモバックスNPを接種することで、2つのワクチンに共通した11種類の肺炎球菌抗体がブースター効果で上昇するようです
2つの肺炎球菌ワクチンを日本ではどのように使い分けるのか…
日本呼吸器学会ワクチン検討ワーキンググループ委員会と日本感染症学会ワクチン委員会の合同委員会で「65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方」が発表されています。
自己負担でプレベナー13を接種後、6か月~4年以内に定期接種であるニューモバックスNPを接種する方法などいろんなパターンが記載されていますが、一般の方々へはなかなか分かりにくのではないでしょうか
今のところ2種類を接種した国内の明確なデータは乏しく、カバー率の高いニューモバックスNPの接種は必須で、その前にプレベナー13を接種するかは患者さんの状態や年齢を踏まえて要相談と言った感じのようです