ゼルダ・フィッツジェラルドの、『ワルツはわたしと』を読みました。
ゼルダ・フィッツジェラルドは、スコット・フィッツジェラルドの妻です。
かなりの長編です。しかし、ゼルダはこの長編の第一稿をわずか二か月程度で書いています。
この作品は、ゼルダが、『統合失調症』の治療のために、病院に入院している時に書かれたものだと思われます。
正常な精神状態ではないのにもかかわらず、これだけの長さの作品が書けたということには驚くのですが、やはり、物語としてはまとまりがなく構成もいびつで、思いついたことを書いているだけという印象を受けます。
物語の時系列に関係なく、エピソードが挿入されることが多く、読者は、このシーンは、いったい何時の時代のどういうシーンなのかということが分からなくなります。
物語の場面のジャンプが頻繁に起こっていて、会話にしても、誰が話しているのか分からないシーンもあって、読者は、作者の意識の流れから置いてけぼりになります。
この作品を読むのにはかなりの時間がかかりました。
物語は、ゼルダの少女時代から、結婚して、バレーのレッスンを受け、身も心もすっかりバレー漬けになっていく様が描かれているのですが、ほとんどこれは、フィクションというよりは、夫のスコット・フィッツジェラルドとの出会いと、その後の結婚生活の実際の体験を基にして書かれたものだと思われます。
ゼルダの翻訳作品は、おそらく、『ゼルダ・フィッツジェラルド全作品』(新潮社)のみだろうと思います。
ゼルダを知るためにはたいへん貴重な作品集です。
ゼルダ・フィッツジェラルドがどういう人物が知らない人が多いと思います。
ごく一部のゼルダを知る方にとっては、『ゼルダ・フィッツジェラルド全作品』(新潮社)は、とても貴重な本です。
おそらく、数年もしないうちに、絶版になると思われます。
この作品集の中には、長編小説以外に、戯曲、短編小説、エッセイも編集されているので、順次読んでいきます。
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