Movies!!

映画感想ブログです。3周年を迎えました♪
相変わらず、日本映画と香港映画が好きです。

要塞監獄プリズナー107 LAST LIGHT

2005-12-20 16:21:39 | 映画(や行)
キーファー・サザーランド、フォレスト・ウィッテカー、クランシー・ブラウン出演。キーファー・サザーランド監督作品。93年。

K・サザーランドが監督・主演した、地獄の監獄生活と重厚な人間ドラマを描くケーブルテレビ用ドラマ。凶悪犯罪を犯した者が収容される通称“デス・ロー”という監房。そこでは、暴力と恐怖が支配していた。死刑囚のデンバーは、唯一人間的な黒人看守と友情を築き、人生の意味を悟る。そして、彼は、非道な看守と凶悪な囚人たちをすべて敵にまわし、人間の尊厳をかけて命がけの抵抗を続けるのだった。(all cinema onlineより)

キーファーのファンになって初めて観た映画が「乱気流/グランドコントロール」ならば、キーファーが監督をしている作品で初めて観たのが、これです。今迄に3本の作品を監督していますが、私はこれが一番好きです。
というか、キーファーが出演している作品の中でも1、2を争うくらい好きです。
手に入れてから初めて観た時の衝撃は凄いものがあり、その後、毎日のようにこればかり観てました。
粗筋を読めば分かると思いますが、非常に重い作品です。が、たくさんの人に観てもらいたいと思う、素晴らしい作品です。日本では未公開の上、ビデオしか発売されておらず、レンタル屋でもなかなか見つけることはできないかと思います。それが非常に残念・・・。

今回、久しぶりに観たのですが、大泣きしました。こんなに泣くドラマだっけ??というくらいに・・・(苦笑)
脚本、演出、演技、どれをとっても秀逸です。

キーファーは、囚人のデンバー役です。トップシーンから驚かされます。デス・ローと呼ばれる小さくて、光の入らない真っ暗な監房に5週間も閉じ込められていたデンバーは、真っ裸で、ク○まみれになっています。そこから出して独房へ戻したのが、新任の看守フレッド(フォレスト・ウィッテカー)。彼は、人と光に怯えているデンバーを暴力を奮うことなく、シャワーを浴びせ、独房に戻します。デンバーをデス・ローに入れた張本人の主任が付き添いますが、その主任に対して発した言葉(これが、映画の中でキーファーが最初に発する言葉です)が「F○CK YOU!」(苦笑)
キーファーが裸だった事にも驚きましたが、それよりも、画面から伝わってくる痛々しさが胸をうち、目を離すことができませんでした。そこにいるのは、キーファーではありません。もちろん、ジャック・バウアーでもありません。デンバー以外の何者でもありませんでした・・・。私は、その強烈な存在感に圧倒されて、ただ食い入るように画面を見つめるだけでした。
デンバーは、死刑囚で、看守一人を含む3人を殺しています。一見、同情すべき点はないように思えます。デンバーの生い立ちは、子どもの頃から里子に出され、矯正施設に入所し、そこで人を殺して、刑務所入り・・・生い立ちには同情すべき点が見られますが、それを考慮しても、やはり死刑は間逃れないのでしょう。
生い立ちを考えると、たいした教育も受けていないように思いますが、頭はいいです。チェスでは本を読みながら、他の囚人に勝ってしまうし、他の囚人から、恋人に出すラブレターの書き方を聞かれて、スラスラと文章を言っています。
それから、デンバーのセリフ一言一言が、とても胸を打ちます。そのたびに涙を流す私(苦笑)。
「あの時、俺は透明だった。殴れば殴るほど、俺は消える。誰にも俺のことは分からない」

普通の暮らし、普通に働く事を望み、そして死ぬ事を望む死刑囚デンバー・・・

そんなデンバーを、人として扱う看守フレッド。口では、あんな奴は監房に閉じ込められて当然だ、それだけのことをしてきた人殺しだと罵るけれど、デンバーに対する主任たちの見過ごせない暴力を訴えるために立ち上がります。
デンバーにクビにされたという女性弁護士がフレッドに連絡してきます。彼女はデンバーについて言います。彼は私の嫌がることを見つけ、怒らせる、そして自分の悲しみの道連れにしようとする、と・・・
現実の世界でも、こういう人はいます。そういう人は大抵の場合、頭がいい。人の嫌がることを見抜き、それにつけこみます。私達は、その言葉に惑わされて、その人を評価してしまうけれど、本当に見なくてはいけないのは、その言葉の後ろにある、その人の悲しみや絶望です。そういう人達にとって、言葉は、自分を守るために発しているものなのだから。

フレッドは女弁護士にクビになってホッとしただろう?と聞きます。弁護士は言います。「ホッとしたわ。彼が心配になったから。・・・苦しかったわ」と。

フレッドは父親に虐待されて育っているという境遇です。そして、元警察官ですが、不必要な銃の扱いをしたという嫌疑で、警察を追われます。
フレッドがずっと心に引っかかっていた父親に対する想いは、ラストで、デンバーに話す事によって、救われます。
デンバーとフレッドは友情で結ばれ、悲しいクライマックスへと向かっていきます。

フレッドは、この後もきっと闘ったのでしょう。その結果は分かりませんが・・・
暴力や人の尊厳について考えさせられる作品です。

デンバーが最期に書いて、聖書にはさんだ手紙には、何が書かれていたのでしょうか。

非常に深い作品で、観るたびに新しい発見があります。デンバーの行動や言葉には、すべて意味があるようです。(昨日初めて気付いた事もありました)
観終わった後もいろんなシーンを思い出して、考えてしまいます。
看守役のフォレスト・ウィッテカーですが、彼は、「フォーン・ブース」でもキーファーと共演してます。あれを、共演と呼ぶのかどうか分かりませんが(笑)
音楽は去年だったか・・・キーファーと一緒に「Iron Works」という音楽レーベルを立ち上げたジュード・コールが担当しています。
キーファーはこの時、27歳くらいのはずですが、演技もさることながら、素晴らしい演出です。つくづく日本未公開なのがもったいないです・・・。ちょっとでも興味のある方には、観てもらいたい・・・・・・。

最後に一つ。邦題の「要塞監獄プリズナー107」ってどうなんです??このタイトルだと、脱獄できない場所から脱獄しようとする囚人の話かと思ってしまいます。
そんな話じゃないのに~~~「Last Light」でいいじゃないですか。
たぶん、今なら、きっとそのままの「Last Light」というタイトルになるんじゃないかな・・・


最新の画像もっと見る