くらぶアミーゴblog

エッセイを綴るぞっ!

ココロの処方箋

2005-03-01 17:18:43 | 本と雑誌
es-mussnicht180

「トイレに行くのも惜しい」と開高健が評したスパイ小説


 今日は、非常に困難な折衝を、ようやく98%まで片付けてきました。決して望んだ結果にはならなかったのですが、その中で最高の選択肢をとり、相手から充分な譲歩を得ました。実はこの問題のために、ここ三週間ほど落ち込んでいたのですね。 
 なんとなれば本日は、僕が落ち込んだときに“処方箋”となりうる書物を、ここにご紹介させていただきたいのであります。
 一番最初に出会ったのは星新一の短編『処刑』でした(新潮文庫『ようこそ地球さん』収録)。これは死刑を宣告された囚人が、絶望と自棄の果てに、つかの間ではあるけれども生の輝きを見つける話し。二十歳代にはずいぶんお世話になりました。今でも効果はあると思われるので、最終手段として必ず持っております。
 次に見つけたのはJ・M・ジンメルの『白い国籍のスパイ』(祥伝社)。出会ったのはずっと昔なのですが、二年ほど前に久しぶりに読み直したとき、真の処方箋となることが判明した小説です。一昔前の児童文学のような平明な文体なのですが、根底には強い人間愛が流れている。娯楽としてもオススメです。
 この二冊は、例えば商品先物で失敗して進退窮まったときとか(かなりヤバいな)、全幅の信頼をおいていた知人がドロンしたときとか(これもキビシイぞ)、そういうときに効く処方箋書物。男女間の辛い出来事に効くのはディック・フランシスの『利腕』です(ハヤカワ文庫)。
「ふふふ...」と暖かく微笑をもらした御同輩もいることと思われます。ジョンブルの自虐的な美意識が、カッコいいと思える思想にまで昇華している作品です。
 経験上知り得たこととしては、一時熱中しても翌日にはすっかり忘れている、というのでは処方箋になりません。だから映画よりは本とか絵画のほうに分があるようですね。
 落ち込み対処法は書物以外にもあるです。しかしそれはまた次の機会に...♪