コザ暴動が教えること/外岡秀俊 ほか

2010-06-16 11:26:36 | 沖縄
空から振りまいたように、万緑の森に無数の白い花が咲いている。
イジュという名のかれんな花がひらくのは、沖縄の人々が「若夏」と呼ぶ今の季節だ。
鳩山由紀夫前首相の辞任表明の日から、菅直人新首相が誕生するまで、「政変」の
きっかけとなった沖縄の各地を歩いた。
さぞ怒りや憤りが充満しているだろう。そう思って訪ねると、人々の反応は意外なものだった。
「鳩山さんはよくやった。彼だけが沖縄の基地問題を、全国化、国際化してくれた。結果的
に米国に押し切られたが、歴史的には、沖縄にプラスだろう」
そう語るのは、基地問題を全国に発信してきた音楽家の海勢頭豊さん(66)だ。
「鳩山さんのお陰で、沖縄は保革を問わず一つにまとまった。ただし40年前のように、差
別への怒りは、種火として県民の心にくすぶっている。今後の菅さんの出方次第だ」
「40年前」とは、海勢頭さん自身が現場で目撃した「コザ暴動」を指している。

「大変だ」。米軍クラブに勤める友人が、血相を変えて飛び込んできた。
海勢頭さんは、当時はまだコザ市と呼ばれた沖縄市の盛り場にライブの店を開いたばかりだ。
1970年12月20日。未明の繁華街を50メートルほど走って大通りに出た。
大勢の群衆が米軍の車両をひっくり返し、火を放っていた。
米憲兵隊は、空中めがけて威嚇発砲したが、これが逆効果となった。
暴徒は投石を繰り返して二手に分かれ、黒いうねりとなって米軍基地に向かった。
早朝まで続いたコザ暴動で、炎上した車は82台。
米兵、住民計88人が負傷し、21人が逮捕された。
「守礼の国」「非武の島」沖縄で、軍政下に起きた唯一の住民暴動である。
前年11月の日米首脳会談で、いよいよ本土復帰が目前に迫ったが、「基地負担の軽減」を
望む県民の声は少しも交渉に反映されなかった。
「復帰」への期待は幻滅に変わる。
ベトナム戦争の泥沼化で、米兵はすさみ、事件や事故も絶えない。
暴動9日前には米軍事法廷が、糸満市での酒酔い運転で主婦を死亡させた米兵に、証拠
不十分で無罪判決を出したばかりだった。
発火点は、ささいな交通事故だった。
当時高校教師をしていた安里嗣則さん(70)は、忘年会の帰りに、米兵の運転する車が、
男性をはねた現場を目撃する。
ケガは軽かったが、群衆の不満が爆発した。
「糸満を許すな」。糾弾の声があがった。
沖縄からの移民が多いサイパンで生まれた安里さんは、米軍の猛攻で住民が岬から次々に
飛び降り、波打ち際を遺体が埋め尽くす場面を見た。
妻の姉も「ひめゆり部隊」で戦死した。
悲惨な戦争の後も、なぜ沖縄だけが、もがき苦しむのか。
安里さんはリンゴ箱の上に立ち、米軍を非難する演説をした。
いったん近くの自宅に引き揚げて数時問眠った安里さんは、上空を旋回するヘリの音で
目覚めた。
大通りに戻ると群衆は、米軍住宅地に近づいていた。
坂の下に目をこらすと、米兵が阻止線を張っている。
前列に立てひざ、後方には立ったまま銃口を向ける米兵が並んでいた。
道路わきには、琉球警察の機動隊も密集している。
「すでに、われわれの意思は示した。これで、終わろう」
安里さんは30分の演説で必死に説得し、約3千人の群衆をとめた。
後日、安里さんは騒乱罪の容疑で逮捕されたが、演説で流血の事態を避けたことがわかり、
不起訴となった。

同じく現場を目撃した元沖縄市職員の今郁義さん(63)は、今春から毎月、「コザ暴動を
検証する会」を開いている。
「先月まで、沖縄ではコザ暴動当時と似た不満が広がっていた。首相の辞任で、空気は
変わった。今では鳩山さんが沖縄の基地を、日本全体の問題として提起したのはよかったと
思う。しかし問題は、新政権がどうするかにかかっている」
沖縄選出の照屋寛徳・社民党国対委員長は、「日米共同声明はいわば国際公約。総理が
辞任したから直ちに一方的に破棄するというわけにはいかないだろう」という。
しかしその一方、新政権に対し、「普天間飛行場の辺野古移設は、沖縄の強い反発、怒り、
抵抗があることを受け、米側との交渉を仕切り直しするべきだ」と訴える。
かつて国民に約した「地元合意」「連立合意」「日米合意」の3点のうち、他の二つを積み
残したままの見切り発車だったからだ。
鳩山前政権は最後まで社民党との連立維持を模索した。
閣議決定の直前にも、移設先に「辺野古」の文字を入れず、「地元の合意を得るべく努力
する」という素案を社民党に示した。
しかし、福島瑞穂大臣を罷免した後の閣議決定には「辺野古」と明記し、地元の「合意」を、
「理解を得るべく」に変えた。
参院選後には、日米が約束した「代替施設の位置と工法」を決める8月末の期限がやって
くる。
合意を盾に強引な手法をとれば、県民の心にくすぶる怒りの種火は、再燃しかねない。
「コザ暴動」のような正面衝突は、二度とあってはならない。
ここは一歩立ち止まり、政府は地元との対話を、最優先にするべき時ではないか。
*2010.6.16朝日新聞
**********************

緊急シンポジウム
-名護・沖縄から5.28日米共同声明を問う-
日時/6月20日(日)13:00~17:00 資料代500円
会場/名護市民会館中ホール(TEL:0980-53-5427)


第1部 普天間基地移設候補地から 午後1:00~2:45

 司会:清川紘ニ(法政大学沖縄文化研究所)

基調報告/「歴史の転換点に立って‐今、嘉手納から日米安保を問う」
 嘉手納町長 宮城篤実
冷戦の終焉後20年経過した現在、日米が「抑止力」論で想定する敵国とはどこに存在するのだろうか。
日米安保条約は締結後50年が経過した今、書き換えられるべき時にきている。

報告①/「徳之島訓練場移設を拒否する‐4・18島民大会の成功をふまえて」
 伊仙町長 大久保 明
徳之島への基地の分散は軍拡に他ならず、世界平和の流れに逆行するものである。
今、我々がなすべきことは、基地を移設する議論ではなく、軍縮の議論に問題を止揚していくことだ。

「普天間基地移設拒否、徳之島の自然と平和を守る」 伊仙保健センター所長 澤 佐和子

報告②/「5.28声明に挑む名護の闘い」
 名護市長 稲嶺 進
共同声明は地元の合意や閣議決定がないなかで頭越しに行われた。地方自治に対する冒涜であり
民主主義を否定する蛮行である。いかなることがあっても基地の建設は許さない。

「普天間基地辺野古移設復活案に対峙する名護市民」
 浦島悦子 ヘリ基地いらない二見以北十区の会

パネルディスカッション 宮城篤実 大久保明 澤 佐和子 稲嶺 進 浦島悦子


第2部  5.28日米共同声明を問う 午後3:00~4:30

 司会:石原昌家(沖縄国際大学名誉教授)

基調報告/「日米共同声明を問う」 沖縄大学名誉教授 新崎盛暉

報告①/「徳之島移設案に対する民主党鹿児島県連の方針」 県連代表 川内博史
※沖縄等米軍基地問題議員懇談会‐5.27普天間問題緊急声明‐
「国外、県外」を求め政府は米国政府と交渉すべきである。
在沖海兵隊は2014年までにグアムに8000人、残りの部隊をテニアンへ移設すれば
辺野古に新基地は必要ない。」と決議、わずか1日で182名が署名した。

報告②/「辺野古案復活に対する民主党沖縄県連の方針」 県連代表 喜納昌吉
「辺野古周辺とする政府方針の撤回と国外移設の実現を党と政府に求めていく。
県連、地元の了解がなく実現は不可能である。辺野古埋め立ては自然への冒瀆であり、
到底容認できるものではない。」

報告③/「県民大会の成功をふまえて日米共同声明に対決する」 那覇市長 翁長雄志 

特 論/沖縄知事の役割と日米共同声明の問題点について
①「仲井眞県知事が今なすべきこと」元沖縄県知事 大田昌秀 
②「辺野古『移設』と知事権限」 仲地 博(沖縄大学)
③5・28声明における問題点「環境影響評価」について 桜井国俊(沖縄大学)

第3部  5.28日米共同声明「普天間・辺野古移設」に対して我々はどう対応すべきか。  
司会:岸本洋平(名護市議会議員) 桜井国俊(沖縄大学)  午後4:30~5:00
フロアより‐日米共同声明・辺野古基地「移設」に対する会場からの市民の発言。

(※出演者の都合により1部プログラムの変更がある場合もあります。)

主催:沖縄の「基地と行政」を考える大学人の会
共催:名護市、徳之島、伊仙町、天城町  後援:沖縄タイムス 琉球新報
お問合せ/098-832-8225 沖縄大学 桜井国俊

シンポジウム開催にあたって

6月20日(日)の本シンポジウムでは、5月28日付け日米共同声明で明らかになった普天間基地の名護「移設」問題に対し、いかにして現地沖縄・名護から新たな運動展開が起こされるべきかが討議される。
会場には、県外移設地にあげられた徳之島から大久保伊仙町長が参加し、名護市との連携を求める。徳之島では3町長(徳之島、伊仙、天城、人口2万6千人)が一致して反対声明を行い、3月28日と4月18日の2度にわたる島民大会にはそれぞれ4千2百人、1万5千人が集まり、5月7日には首相官邸に2万6千人分の「絶対反対」の署名を届けた。島民大会では「戦争に通じる基地経済を拒否し、子宝に恵まれた長寿の癒しの島を誇りとして、島の自然と平和を守り、農業畜産を中心とする自給自立経済でやっていく」と宣言している。
降って湧いた普天間基地移設問題を、地球上から武器をなくして平和を実現していくための軍縮の契機ととらえる、と大久保伊仙町長は語っている。さらには鹿児島県からも、徳之島「移設」白紙撤回を官邸に求めた民主党県連代表川内博史衆議院議員が、「辺野古は不要」という沖縄米軍基地衆参議員懇談会の決議を携えて参加する。川内議員は去る5月27日、自ら会長をつとめる沖縄米軍基地衆参議員懇談会において「緊急声明」(グアム・テニアンへ、辺野古不要)への署名を呼びかけ、わずか1日の取り組みで182名の同意署名を獲得した。徳之島と名護、鹿児島県と沖縄県が連携し、国を動かしていかなくてはならない現在、この議員懇談会の動きは今後の運動への大きな展望を与えるものである
鳩山首相は「移設地」の決定には3者―米国政府、沖縄名護市民、連立与党―の同意が前提になると繰り返し述べてきた。しかし5月28日の日米共同声明は地元沖縄と連立与党を切り捨て、日米政府間のみで取り決められたものである。政治主導を主張してきた鳩山首相ではあったが、再び外務・防衛官僚に取り込まれ、閣僚による日米安全保障委員会レベルで日米声明は作成された。菅新総理もこの共同声明を継承していくと述べている。だが、少なくとも日本の首相とオバマ大統領の会談が予定されている11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)までに、決着をみることはないであろう。11月には県政の焦点である知事選がある。もしそれ以前に強行されるようなことになれば、沖縄県民の怒りが爆発し、辺野古新基地建設は着手できずに日米関係を揺るがすことになりかねないからである。
辺野古「移設」案は、環境影響評価(アセスメント)の早期完了を条件とし、その期限を8月としている。新たな運動へと結びつく当面の争点のひとつを、ここに見出すことができよう。つまり、現行アセスメントはその違法性をめぐって国内訴訟が起こされている最中であり、似たケースであるアメリカのジュゴン裁判も勝訴している。アセスメントの欠陥をついた運動は、移設進行を喰い止める有効なカウンターの一つとなる。
いま、求められているのは、安全保障問題そのものであり、冷戦後の東アジア安全保障の構想など新たな日米間の戦略的な議論を先行させることである。そのためにも「移設」の時期や場所の議論ではなく、まずは共同声明の見直しに向けて日米両政府にあらゆる角度からせまっていくことであろう。

この運動の主人公は他ならぬ市民の一人一人です。会場でそれぞれの想いや考えを述べ、討議してみてはどうでしょうか。名護市民・沖縄県民の多くの方々の参加をお待ちしています。

沖縄の「基地と行政」を考える大学人の会
石原昌家(沖縄国際大学)                  
我部政明(琉球大学)                    
桜井国俊(沖縄大学)             
照屋寛之(沖縄国際大学) 
仲地 博(沖縄大学)
前田哲男(沖縄大学)
古関彰一(獨協大学)
清川紘ニ(法政大学沖縄文化研究所)  

主催:沖縄の「基地と行政」を考える大学人の会
共催:名護市、徳之島町、伊仙町、天城町  後援:沖縄タイムス 琉球新報

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JVJA 沖縄緊急報告会
「沖縄緊急報告会~真の抑止力とは」
期日 2010年6月27日(日曜日)
場所 明治大学リバティタワー1階 1012教室(定員280人)
時間 開場 13:00 開演 13:30~17:00
資料代 1,000円
共催  現代史研究会 /日本ビジュアル・ジャーナリスト協会(JVJA)

※先着順に受付(予約は必要ありません。定員 280 名)
定員を超えた場合は会場収容人員の都合により、ご入場を制限いたします。あらかじめご了承ください。
会場までのアクセス http://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/suruga/access.html

プログラム内容:(内容、順番、出演者については諸事情により変更される可能
性がありますこと予めご了解ください)
1、挨拶に代えて(生方卓明治大准教授)
2、嬉野京子氏報告
3、滝本匠氏報告
4、豊田直巳氏報告

出演者略歴と報告内容
・嬉野京子氏(ジャーナリスト、写真ディレクター。日本リアリズム写真集団の創立に参加。元日本写真家協会理事。米軍占領下の沖縄で米軍車両が少女をひき殺した現場を撮影、大きな反響を呼んだ)
報告内容・・・米軍占領下の沖縄から今日の沖縄まで、40数年間取材を積み重ねてきた「沖縄」について語る。1967年の伊江島での農民不当逮捕を撮影したために米軍憲兵に指名手配され住民の協力で「脱出」した自身の経験や、沖縄で訓練を受けベトナム従軍経験がある元兵士の平和活動家アレン・ネルソン氏の生き様についても触れる)
・滝本匠氏(琉球新報記者。米ワシントンDCへの特派員経験もあり、日米両政府や沖縄の現場での取材実績も豊富)
  報告内容・・・詳細は追って追加します。
・生方卓氏(明治大学政治経済学部准教授。社会思想史、哲学 、倫理学から現代史まで幅広い分野で研究を重ねる)
報告内容・・・武力が本当の抑止力になるのか? 沖縄戦で、武力衝突や集団自決を免れた島には何があったのか――、の話も交え、「本当の抑止力」について考察を深める。
・豊田直巳(フォトジャーナリスト。日本ビジュアル・ジャーナリスト協会正会員。2003年、平和・協同ジャーナリスト基金賞奨励賞)
報告内容・・・詳細は追って追加します。

お問い合せ JVJA事務局 office@jvja.net

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ルース駐日大使18日来沖、菅首相23日来沖への抗議行動/沖縄平和市民連絡会
1.ルース駐日米大使の来沖に抗議する行動
 ・集合日時:2010年6月18日(金)12時
 ・集合場所:県民広場

2.菅首相来沖にあたっての抗議行動
 ・集合時間:2010年6月23日(水)10時
 ・集合場所:摩文仁平和公園入り口

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6・26 高江座込み3周年集会/辺野古通信
高江座り込み3周年集会

6/26(土)東村屋外運動場(平良の東郵便局、サンライズひがし隣り)にて高江3周年座り込み報告会を開催します!
14:00から16:00予定、雨天決行です。皆さま予定をあけておいて下さい。
詳細については調整中です。
LIVEなども盛り込んで楽しめるように考えてます。
沖縄防衛局は7月から工事再開を宣言しています。今の高江の状況を共有し、これからの取り組みを確認し、外へ向けて発信していきたいと思います。県民大会のような結集をつくりあげましょう!!
どうぞよろしくお願いします

 ・とき:6月26日(土)午後2時~4時
 ・ところ:東村平良在運動広場地図はこちら

 ※当日は那覇から貸切バス(大型)が下記のとおり出ます。
 ・出発時刻:11時(時間厳守)
 ・出発場所:県民広場(県議会横)
 ・貸切バスは那覇インターから自動車道を名護まで通ります。自動車道沿いバス停での乗降は可能。
 ・バス賃(往復):1,500円
 ・昼食:各自持参、途中購入可能。

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だれでも分かる普天間問題のまとめ~ツイッターでの議論から分かったこと【随時更新】/情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)
http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/fa0cc8f98048e54cabda1659f8fd2534


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