パナソニック電工派遣社員佐藤昌子さんが正社員で職場復帰/レイバーネットML

2009-12-27 06:50:13 | 労働運動
東部労組の石川です。

パナソニック電工派遣社員佐藤昌子さんが正社員で職場復帰を闘い取りました!
画期的勝利です。

以下の声明メールを転送します。

裁判和解に際しての声明

パナソニック電工派遣社員佐藤昌子さん、正社員で職場復帰を闘い取る

併せて、争議解決金の支払いをかちとる

佐藤昌子さんと心を一つにして職場復帰闘争を支援してくださいました全国の仲間の皆様、

おかげさまで、パナソニック電工争議が勝利解決しました。本当にありがとうございました。

2009年12月25日

全国一般全国協議会 宮城合同労働組合

同 ふくしま連帯ユニオン

パナソニックの偽装派遣を告発し、解雇撤回、

直接雇用を求める佐藤昌子さんを支援する会


1 勝利和解の成立

本日12月25日、福島地方裁判所郡山支部で原告佐藤昌子さんと被告パナソニックグループ3社との間で10項目の和解が成立しました。主な内容は次の通
りです。



① 2010年1月1
日、佐藤さんをパナソニック電工ホームエンジニアリング(パナソニック電工ショウルームの運営に当たる電工の完全子会社)の正規社員とする。

② 同年1月5
日、佐藤さんがパナソニック電工ホームエンジニアリングからパナソニック電工への出向社員として、従前勤務していたパナソニック電工福島住設建材営業所
において就業を開始する。

③ パナソニック電工ホームエンジニアリングが佐藤さんに対し、争議解決金を支払う。


すなわち、佐藤さんが自らの闘いをとおして労働権・生活権を奪還し、さらに、期間6ヶ月の派遣雇用契約に起因する長年の雇用不安に終止符を打つことがで
きました。


今日、派遣・非正規労働者の労働権・生活権は司法の場において否定され、これを受けて行政機関の派遣・非正規への対応も過酷なものとなりました。今年3
月に最高裁が上告を棄却して確定した伊予銀行事件高松高裁不当判決は、「登録型派遣は何年働こうが契約更新期待権が発生しない」とし、登録型派遣に対し
て解雇権濫用の法理の適用はないと断言しました。また、さる
12月18
日の松下プラズマディスプレイ事件最高裁不当判決においては、「偽装請負は本来労働者派遣であり、労働者派遣では特段の事情がない限り、派遣元が雇用主
であるから派遣先と派遣労働者との黙示の雇用関係は存在しない」とし、派遣法を大いに利用して、吉岡さんと松下プラズマディスプレイとの間の黙示の労働
契約の存在を認定した大阪高裁の判決を廃棄しました。

上述のように、最高裁が派遣・非正規の基本的人権を認めない立場をとるなかで、派遣労働者が裁判によって正規社員の身分を新たに獲得し、従前の労働現場
へ復帰を果たし、併せて争議解決金を支払わせた事例は、おそらく本件が初めてです。そして私たちは、パナソニックグループが比較的短期に争議責任を取っ
たことを一定評価します。パナソニックグループ各社が、本日のパナソニック電工争議の和解を契機に、プラズマディスプレイの吉岡さんをはじめ、解雇争議
の当事者たちをすみやかに職場に戻して全てのパナソニック争議を解決し、対等な労使関係を樹立するよう切に求めます。

2 裁判経過の概略

佐藤さんは3人の子供を育てながら松下のために一生懸命ひたすら働き続けてきました。

ところが佐藤さんが松下電工福島住設建材営業所に就業してから17年8ヶ月経過した平成20年8
月、派遣先松下電工が電工の完全子会社の派遣元アロービジネスメイツに対し、同年9月30
日(松下がパナソニックに商号変更する前日)を解除日とする労働者派遣契約解除通知を行い、これを受けてアロービジネスメイツが佐藤さんに対し雇用契約
の解除予告を行いました。すなわち、佐藤さんの失業はパナソニックグループの内部事情だけが原因であり、佐藤さんには何ら帰責性がありません。したがっ
て、パナソニックグループには自らが作り出した本件争議を、誠実かつ謙虚な姿勢で主体的に解決することが最初から求められていたのでした。

佐藤さんは裁判において、証拠を基に次の主張を行いました。

①平成3年1月、松下電工福島住設建材営業所所長・課長が佐藤さんの採用面接を行い、賃金その他の労働条件を決定し、課長が佐藤さんに対し採用通知を行
い、佐藤さんが同年2月から上記事業所でショウルームアドバイザーとして就業を開始し、課長が直接賃金を支給した。派遣先が行なう事前面接でさえ派遣
先・派遣労働者間の雇用契約が推認されるところ、本件では派遣先による事前就業及び賃金の支払いまで実行されており、しかも派遣元アロービジネスメイツ
が佐藤さんに接したのは就業から
6
年も後であり、松下電工が佐藤さんの実質的雇用主であることは明らかである。一方、派遣元アロービジネスメイツは派遣先松下電工のための形式的雇用名義
者にすぎない立場となり、あるいは派遣先のための代理ないし代行的雇用ということになる。

②佐藤さんがアロービジネスメイツからの業務委託スタッフや派遣の外形をとっていても、佐藤さんの「始業、終業時刻」と「残業及び休日出勤の枠」及び
「業務内容」を松下電工が決め、「教育訓練」も松下電工が自費で行い、アロービジネスメイツが振り込む賃金も松下電工が佐藤さんとの採用面接で決めた賃
金をベースにしており、アロービジネスメイツへの転籍後においても、佐藤さんと松下電工の黙示の労働契約を推認できる特段の事情が累積しており、佐藤さ
んの実質的雇用主は依然として松下電工であった。そして佐藤さんには解雇される理由はなく、松下電工が行なった本件解雇は権利の濫用として無効である。

これら佐藤さんの主張は、佐藤さんが収集した元同僚の陳述書6通を含む65
個の証拠に裏づけられており、松下電工による採用面接・賃金決定と支払い等、裁判は事実関係において佐藤さんに有利に推移していました。こうした状況の
下で、裁判所が証拠調べ(証人尋問)を前にして双方の当事者に対し和解協議への移行を提起し、
9月から本日まで計7回の和解協議が行なわれた結果、前掲の内容で勝利和解が成立しました。

3 今後の課題

年末年始の派遣村の事態に象徴されるように、無慈悲な派遣・非正規切りの嵐の真只中、佐藤さんは全国の多くの仲間たちに支えられながら裁判・抗議行動を
闘い、派遣切りされて失業の身となった人々の苦悩を代表してマスコミにも大胆に訴え、ついに正規社員で職場復帰を実現しました。

私たちは、佐藤さんの闘いの勝利が「明日なき労働の担い手」と言われる派遣労働者に希望を与えることになると確信します。また私たちは、佐藤さんを失業
させ、一挙に数十万の派遣労働者を失業させた首切り法=労働者派遣法をけっして許しません。来春通常国会での派遣法抜本改正をステップにして、派遣法全
面廃止へ向け全国の仲間と共に闘い抜く決意です。


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