ハナママゴンの雑記帳

ひとり上手で面倒臭がりで出不精だけれど旅行は好きな兼業主婦が、書きたいことを気ままに書かせていただいております。

オットー両親の飼い犬

2011-05-16 13:51:43 | 義理の家族のこと

オットーの両親は、仕事を定年退職したあと田舎の村はずれのせいせいした家に引越した。
もう25年近く前のことだ。村には教会と、郵便局を兼ねたちっぽけな雑貨屋があるのみ。
イギリスではどんな小さな村にも必ずあるはずのパブだが、そのパブですら、そういえば・・・ ない


向かって右隣に家が一軒あるだけで、左隣も裏も道路を挟んだ手前側も、だだっ広い農地。寂しい場所なので、防犯のため犬を飼うことにした。
オットー父はドイツ人なので、彼の選択は、もちろんドイツ・シェパード。(オットー母は女中扱いなので、意見など訊かれることもない。)
そんな訳でオットーと私が1992年に知り合ったとき、オットーの両親はパットというメスのシェパード犬を飼っていた。
パットは1988年2月から飼い始めたそうだ。子犬時代のパットはこちら。


1994年6月からケイトーを飼い始めた私達。その年のクリスマスにケイトーを連れていってみたが、残念ながらパットにはあまり歓迎してもらえなかった 

(パットをさりげなく手で牽制するオットーと、タメイキをつくケイトー。くすっ。)

パットが高齢になってきたため、1997年10月からオットーの両親は、後釜となる子犬を飼い始めた。それがこちら、オスのマックス。


マックスが子犬のうちはよかったが、いつまでも子犬のままではない。あっという間に大きく強くなったマックスは、先住者のパットより威張り始め、そのためパットは居場所がなくなりオドオドと小さくなって暮らさなければならなかった。
そうしてパットは、失意のまま(←私の偏見かも、ですが)11歳だった1999年に他界した。

オットーの両親は犬の躾ができない。断言してしまうが。
子供の代わりとなった犬を、甘やかすだけなのだ。(もっともオットーによると、男の子たちがオットー父に甘やかされた思い出は皆無だそうだが。)
パットは生来の性格が良かったようでそれほど問題はなかったが、マックスは違った。

力でパットの上に立つことを覚えたマックスは、電話が鳴ると義父か義母が話している間中吠え、訪問者があれば吠え、挙句の果てに遊びに行っていた義妹の夫のお尻をパクリとやり、通知か何かを持ってきてくれた隣人のお尻もパクリとやり、滞在していた義弟②の耳を噛んで穴を開けた。幸い?出血沙汰になったのは義弟②の耳だけだったが。
でもオットー両親特にオットー父は、その場では一応マックスを叱るものの、基本的には「番犬だから攻撃的くらいでないと役に立たない」というスタンス。きちんと躾けるつもりはなかった。
(否、一度トレーニング教室に義父が参加したのだが、「もう来ないでください」と言われたのだった。これはマックスの問題というより、アドバイスを素直に受け入れない義父の方に問題があったと思われる。)

オットー父の考えでは、義妹の夫が噛まれたのは、彼が急に居間に入ってきてマックスを驚かせたから。
隣人が噛まれたのは、門の所に注意札が下がっているにもかかわらず、門を開けて入ってきたから。(前庭にマックスがいたが、義母もいたので隣人は入っても大丈夫と思ったらしい。)
義弟②が噛まれたのは、戸口に背を向けてキッチンでシリアルを探してしゃがみこんでいたから。
注意していなかった人間の方が悪い、ということなのだ。

幸いオットーは両親に対して「マックスが別室に閉じ込められていない限りは遊びに行かない」とはっきり言ってくれたので、私達は成長してからのマックスを至近距離で見たことはない。いつもオットー両親の寝室に閉じ込められていたから、マックスを見たのは庭から、窓ガラス越しでのみ。でもマックスは私達が見えている間中激しく吠え立てるので、近寄ることはできなかった。
こちら、オットー両親の居間に飾ってあるマックスの写真です。


オットーの両親は、マックスと『お近づき』になろうと『努力』しない私達(実際にはオットーのみです、オットーが矢面に立っていてくれたから)に時折不満を漏らした。
「もっとひんぱんに遊びに来れば、マックスも馴れて何もしなくなる」と。
でもそれって、本末転倒では??? 何で人間が、自分のものでもない犬に馴れて「いただく」必要があるの???
百歩譲ってオットーと私だけならともかく、幼いムスメをマックスにさらす気は全くなかった。小型犬ならまだしも、45kgもあるシェパードだもの。
一噛みで一生残る傷を負わされることだって十分あり得るもの。

月日は流れ、マックスも年を取り、耳が遠くなり動きも鈍くなり、今年の3月24日に他界した。
マックスが逝ってしまう前から「また次の犬を飼いたい」と言っていたオットーの両親。
義父などは、マックスがまだ(ヨロヨロながらも)歩けるし食べられもした頃から「もうそろそろ(安楽死させてやって)いいんじゃないか」と義母をせっついていたそうだ

でも何分彼等自身が85歳と83歳という高齢なので、オットーも義弟②も義妹も「せめて中型犬にしたら」と父親を説得しようとした。
が、予想されたことながら、『家庭内独裁者』の義父はまったく耳を貸さなかった。
義母は最初は中型犬に傾いていたが、マックスが逝ってしまうと、「やっぱりシェパードがいいわ」と翻意。

先月、ムスメと私がドイツで一週間を過ごして戻ったら、新しい犬が既に来ていた。
名前はシンディーといってメス、1歳です。


オットー両親はまずこの近辺のアニマル・シェルターを何軒か回ったが、高齢を理由にシェパードの譲渡を断られたそうだ。
が、車で小一時間かかるシェパードのレスキュー・シェルターまで行ったら譲渡してもらえることになり、4月11日(月)に車で迎えに。
翌日の12日(火)、一人で車でスーパーに行っていた義父は急に気分が悪くなった。
店の人にしばらく腰掛けて休ませてくれるよう頼んだところ、救急車が呼ばれ、義父はグロスター・ロイヤル病院に運ばれる羽目に。
(後で大事になったとき自分達をカバーするため、スーパー側では『すぐに救急車を呼ぶ』というのがマニュアルになっているものと思われる。)
幸いどこも異常なく、不調も治まり帰宅できることになったが、自分の車はスーパーの駐車場に残してきたまま。義母は運転できないしオットーは仕事中、私はドイツ。
車で小一時間かかる所に住む義妹を煩わせるのも気が引け、義父はタクシーを呼んでもらって30分ほどの距離をスーパーまで戻ったそうだ。
新しい犬を迎えた翌日にこんなことで・・・ 大丈夫だろうか。

義父はそれ以降も背中や脚の痛みを訴え、ほとんど歩けなかったり、歩けても杖を使わなければならなかったり。先週あたりからやっと、普通に歩けるようになったようだ。
が、家庭内では『自分が法律』の義父。シンディーが新しい家に慣れるまでは、自分以外の人間がシンディーを庭に出すときは必ずリードをつけなければならないと決めた。自分の時はリードなしでいいけど。
シンディーはマックスよりは軽そうで、体重は35~40kgくらいじゃないかと思う。
私も初めてシンディーに会った時、リードをつけて一緒に庭を歩いてみたが、やはり22kgしかなかったケイトーとは違った。飛び立った鳥に向かってシンディーが急に突進していった時、咄嗟に踏ん張れずに数歩引きずられた。私にはケイトーのサイズが限界でそれ以上はムリ、と実感した。

 義父とムスメとシンディー。

私は一昨日も昨日も遅番で仕事。オットーとムスメは一昨日の土曜日、オットー両親の所へ夕飯に行った。昨日はオットーは家で絵を描き、ムスメだけ義妹一家に拾われてまた義両親宅に行ったのだが、そのムスメによると、義母は野鳥の雛を見つけて駆け出したシンディーに引張られて転んでしまったとか。
・・・大丈夫だろうか・・・、 というより、大丈夫じゃないじゃないですか・・・

唯一幸いなことは、シンディーはマックスと違って性格が良さそうなこと。まだ若いので人が来ると最初は興奮して吠えたり飛びついたりするが、やがておとなしくなって床に寝そべる。
85歳と83歳のオットー両親。シンディーを最後まで飼ってやることは、99%無理だろう。
散歩らしい散歩をさせてやることもないだろう。まだ若い犬なのに。
(4月末に6日ほど両親宅に滞在していた義弟②がある日シンディーを朝晩の2回、長い散歩に連れ出してやったら、義父は文句を言ったそうだ。「一日に2回も散歩させてやったら、それを毎日期待するようになってしまう」と。)

正直言って、オットー両親にシンディーを譲渡したシェルターに対し、私は怒りを覚えている。まだ若い今ならシンディーは、一生飼ってくれられる別の家にもらわれることも可能なのに。シンディーの幸せを一番に考えれば、無責任なことこの上ない。まだ若くて元気なシンディーに引張られて、オットー父か母が転んで怪我をすることだって十分あり得る。
ネットで見つけたシェルターらしいが、連絡先は携帯の番号だけで住所も固定電話の番号もなし。シンディーに関する書類は「あとで郵送するから」と言っておきながら、いまだに送って来ない。ちゃんとしたシェルターではなかったし、犬の反応が鈍いことから『シンディー』という名前も本物ではないのでは、とオットーは疑っている。

が、念願のシェパードを手に入れたオットー両親はご満悦。
義父はともかく、小学校の先生をしていたし常識的だと思っていた義母までがそうなので、私は驚きと共に失望も、ここだけの話、感じてしまっている。
私も年を取ったとき、同じように自己中に無責任になってしまうのだろうか。
そうなったら全力で私を諭して止めてくれるよう、今からムスメに頼んでおいた方がいいかもしれないな・・・ 

モヤモヤを吐き出してすっきりしました。読んでいただき、ありがとうございました。

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2 コメント

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素直な感想・・・ (ウイママ)
2011-05-17 09:14:57
素直な感想だけど・・・
まず言えるのは犬達がかわいそう・・って思った。
シェパードはとても訓練性の高い犬だから、難しい性格でも訓練(しつけ)で矯正は充分出来るのに・・・残念ね・・・

特に警察犬指定犬種(シェパード・ラブラドール・ゴールデン・ボクサー・ラフコリー)は訓練(しつけ)が必要だと聞いています。
犬を飼う・・特に大型犬ならちゃんとしたしつけや運動が大切なのは当然なのにね。 

飼い主でその子の犬生が決まっちゃう・・
マックスも、ちゃんとしつけが入っていればみんなから愛されただろうに・・・

特に高齢者なら・・・最後まで見れないから飼いたいけど飼えない・・ってよく聞くけどね~
怪我をされてからじゃ遅いのにね

スーパー頑固者(ごめんなさ~い)にも困ったものね・・・


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そぅ~、本当に困ってます! (ハナママゴン)
2011-05-18 21:58:34
素直な感想、ありがとう。ほんと、おっしゃる通りです。

子供が親を選べないのと同様、犬も飼主を選べないものね。マックスもちゃんとした飼主に飼われていたら、賢く行儀よく成長して、全く別の犬生を送っていただろうな・・・

シンディーは1歳になっているとはいえ、無法状態で飼われているのでマックスと同じ道をたどらないかと不安・・・

あぁ~、手遅れにならないうちに、何とかならないものかしら・・・

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