どうしようどうしようもなくてのひらに花 やさしさの鍵がこわれて 飯田篤史 このあふれだす感じはなんだろう。 華やかにあふれだして、どうしようと思ってしまう、 この気持ちはなんだろう。 (恋に似てるな。) 「やさしさの鍵がこわれる」というのは、 私だったら、やさしくなくなる。という意味で使ってしまいそうなんだけど、 ここでは、鍵がこわれたことでやさしさがとめどなく溢れる・・・というような。いっぱいいっぱいまで溢れてる。光。 こういうあふれんばかりのやさしさ。 とまどってしまうほどのやさしさ。 もてあましながらもとどまることのないおもい。 とてもまぶしくて、うらやましくもおもいます。 |
実らない果実のほうが好き鍵を太陽にかけたから笑おう ハナ うん。うん。笑おう。(強く) 女子だなぁ。 この気持ちも。 この気持ちを共有できるのも。 笑い声がきこえる気がする。 蝶々のように舞う女子たちの。 逃げ場をさがした言い訳も、 どうしようもなく自由でいられたことも、 そうだよね、って確認しあった、 私たちという存在も、 ぜんぶぜんぶ、 泡のようで、でも真剣だった。 からっぽのようで、でもそこにはなにかあった。 私たちは、私たちのままでいられた。 だから、笑えたの。うん。 |
あなたまでゆくのか春の鍵盤に淡い指紋を残したままで 村上きわみ 「あなたまでゆくのか」という言葉がやわらかく重く横たわっていて、また、きわみさんの言葉に呑まれてしまう。 あなたまでゆくのか あなたまでゆくのか 落胆のようで、 でも、どこか覚悟していたような強さと重さを帯びていて、 どうしようもなくなる。 子供のようには泣けなくなる。 淡い指紋を残したままというのが、 悲しいとか、恨めしいなどという感情よりも先に、 そのひとが確かにそこにいたという、さいごの証として息づいているみたい。 「春」と「淡さ」が、作品を暗くさせなくて。 とてもほのかに、去りゆく人の面影を残し、 たたずむ残されたものの心を、そっと包み込んでいます。 |
屋上の鍵を盗んでわたしたちこれから( )のはなしをしよう 遠藤しなもん 「( )のはなし」とは、「かっこのはなし」と読めばよいのでしょうか? 内緒話とか、秘密の話とか、二人だけの話とか、 そんなありきたりな言葉ではなく、( )のはなし。 ちょっとわくわくしました。 ( )のなかには何が入るんだろう。 どきどき。わくわく。 「屋上の鍵を盗んで」 という、やんちゃなシチュエーションも、好きです。 縛られているものに気づいていて、そっから飛び出したがってる感じ。 これもわくわく。 なににもとらわれない場所で、なににもとらわれないはなしをしよう。 |
<振り返り>
この辺のお題は難しかったです。消化試合のような気分が強い期間。
広がりのある単語は、その広がりとどう向き合えばいいのかわからずに逃げ、広がらない単語は、広がらないために自分の限界と思いのみこんでいた・・・そんな時期だった気がします。