経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

一朝一夕には難しいよ

2007-09-10 | 新聞・雑誌記事を読む
 フジサンケイビジネスアイの「中小企業の戦略を考える(21)」が興味深いです。このシリーズの中でも今回はちょっと迫力が違う感じなのですが、おそらく、一番しんどいところを実際にやっている、という自信が伝わってくるからではないかと思います。
 コンサルティングの方法論としては、

 ・・・最初にやることは、依頼企業のイメージする新事業、新製品のライバルとなりそうな他社の状況を調査して事業化推進上の障壁を洗い出すことだ。その時、邪魔になる特許などを持っていたならば、知財コンサルティングに入る。
 「選択肢は3つ。その特許の無効性を明らかにして権利をつぶすか、その特許以上に強力な技術を開発して特許化する。これらができないなら、邪魔な特許を迂回(うかい)して作れる製品にするか、交渉してその特許を利用する」。・・・

と紹介されていますが、これ自体は極めてオーソドックスな方法だと思います。ところが、「一朝一夕には難しいよ」と仰られているように、外部の人間が何でそんなところにいるの?という周囲の疑問をクリアして現場に身を置き続け、開発や営業で多忙な中小企業の中で、必要な情報を貰いながらシコシコと知財の作業を続けるということが、実際はどれだけ大変かということは想像に難くありません。そこを実際に踏ん張ってやっているところが、「知財ビジネスは厳しい」と言われている中でも実績を出せるポイントなのでしょう。
 「ぬるくない知財戦略」で、理屈どおりにいかない部分をどうやって耐えて結果を出していくかが成果の分かれ目ということを書きましたが、おそらくこのコラムのポイントも同じことなんだと思います。コンサルティングの成否のポイントは、理屈の部分以上に、覚悟とか執念とかによる部分が大きいのではないでしょうか。


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2 コメント

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ラリー (大阪の弁理士受験生)
2007-09-11 13:04:30
私も多喜義彦氏が仰られていることについて同感です。
開発活動と一体でなければ、いい知財活動ができないと思います。
新たな道を切り開いていく開発活動は、自動車のラリーと同じで、「車」(事業体)に同乗して「ドライバー」(開発者)の横で「常に」開発の方向性を案内する「ナビゲーター」(知財担当者)がいなければ、いい開発活動(知財活動)は行えないと思います。
抽象的に事業体の進むべき道を提示したり、問題が生じたときにアドバイスを行ったり、埋もれている発明を発掘するだけの「車」に同乗しないF1の「ピット作業」のような知財活動(現在の知財コンサル?)では、本当の意味での知財活動はできないと思います。
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Unknown (土生)
2007-09-11 22:22:55
大阪の弁理士受験生さん、
コメントありがとうございます。
「車に同上しない・・・」はわかりやすい譬えですね。
「ナビゲーター」には、速く走るだけなく、戦況を見渡せる幅広い視野が求められますね。
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