経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

実質的な参入障壁から考える

2008-03-24 | 新聞・雑誌記事を読む
 日経ヴェリタスの第2号、創刊号に比べるとちょっと読みどころが少ない印象ですが(500円はちょっと高い!)、セブン&アイの金融事業に関する記事はなかなか興味深いです。コンビニの店舗そのものは飽和状態にあり、品揃えや陳列方法を工夫してもライバル店に「すぐにまねされてしまう」とのこと。そこで「競争力を決めるのはセブン銀行をはじめとするサービスの質」という狙いから、店舗にATMの設置を進め、収納代行業務とATMの利用手数料が収益の一つの柱となってきているそうです。その結果、為替リスクや不良債権とは無縁な新しい銀行のビジネスモデルが構築されているとのこと。
 ここまでが記事の内容で、なるほど、綿密に練られた戦略の下に進められてきた事業なんだなぁ、と納得させられますが、ではこのモデルだと他のコンビニに「まねされてしまう」ことはないのでしょうか。さすがに「すぐに」とはいかないでしょうが、このビジネスモデルを特許として独占できるわけではないので、理屈の上では追随できない話ではないようにも思えます。但し、品揃えや陳列方法と異なるのは、このモデルを追随するためにはATM網の構築に多額の投資が必要になるという点です。おそらく他社が参入するかどうかを実質的に決める要因は、そういった大規模な「投資の決断ができるかどうか」という点になってくるのではないでしょうか(そういう意味では、財務基盤の磐石なセブン&アイと同じことはなかなかできそうもありませんが)。ここで特許がどのように貢献できるかということを考えてみると、ビジネスモデルそのものの保護に直接貢献することはできないものの、実質的な参入障壁を「投資の決断」と捉えて、「投資の決断」を難しくさせるということを目的に据えて考えれば、いろいろできることがあるように思います。これだけでは何を言いたいのやら不明なエントリとなってしまいましたが、事業に貢献する特許を考えていくためには実質的な参入障壁からアプローチする発想が必要ではないか、というのが言いたかったところということで。


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