地震が起きたり、11月なのに雪が降ったり、予測しないことが起こると落ち着かなくなってしまうわたしです。
聖書には「立ち返って静かにすれば、あなたがたは救われ、落ち着いて、信頼すれば、あなたがたは力を得る。」(イザヤ30:15)と書かれていますが、この言葉を心にとめて日々過ごしたいと思います。
日本クリスチャン・ペンクラブ関東で発行している「文は信なり」ニュースレター35号にわたしの書いたクリスマス童話が掲載されました。原稿用紙4枚の短編です。
わたしは、短編が苦手で、原稿用紙10枚以下の童話が書けませんでした。ストーリーを思いついた瞬間、長い作品になっているのです。そのわけは、ドキドキハラハラするようなおもしろい作品にしたい。複雑で謎解きも入っているようなストーリーにしたい。読者に伝えたいことをふんだんに盛り込みたい……などと思っているからです。
児童文学の仲間に、「あなたは長編型なんだから、長編を書いていけばいいのよ」と言われました。長編型と短編型があるのですね。長編だと書き上げるのに何年もかかってしまいます。レターに掲載したり、合評会に持っていったりするには短編の方がいいのです。
去年ぐらいからやっと原稿用紙5枚作品が書けるようになりました。今年は3枚の作品をと思ったのですが、オーバーして4枚作品になってしまいました。複雑なことは考えない。素直な気持ちでまっすぐにイエス様の方を向いて書いたら短い作品が書けました。紹介させていただきます。
タンタとタッタ 土筆文香
タッタとタンタはようくんのくつしたです。
タッタ、タンタ、タラッタラッタ、タンタ
ようくんの足にはかれるとタッタとタンタはうれしくてうたいます。
ようくんがねむっていると、なきごえが聞こえてきました。ふとんの上にくつしたのかたほうがピクピク動いています。
「どうしたの?」
「ぼく、タッタ。弟のタンタがつれていかれちゃったんだよう」
ようくんはくつしたをぬいだとき、かたほうずつほうり投げたことを思い出しました。
「ネズミがタンタをくわえて走るのをみたんだ」
「えっ、ネズミが?」
ようくんはびっくりしました。
「このへやは、ネズミの通り道になっているんだ。ベッドの下をみてごらん」
ようくんがベッドの下をのぞくと、緑色のラインがみえました。ラインはつくえの下を通り、かべのところで消えています。
「ラインをたどっていくと、かべを通りぬけられるんだ。かべの向こうに別の世界がある」
「別の世界?」
「ぼくをポケットに入れて、ラインの上を歩いて」
ようくんは、つくえの下にもぐってラインの上を進み、かべにつきあたりました。すると、いつの間にかかべを通りぬけていました。
そこはまぶしいほど明るくて、青空の下に雪の原っぱがどこまでも広がっています。はだしの足が冷たくて、ようくんは足を上げたりおろしたりしました。
向こうに小屋がみえます。
「ネズミはきっとあの小屋にいる」
タッタがポケットでモコモコ動きました。
ようくんは足が冷たいのをがまんして雪の上を歩きました。
小屋の戸を開けると、ネズミたちが輪になっていて、その真ん中にタンタがいました。
「ぼくのくつした、返して」
ようくんが持ち上げると、キーキーと声がしました。タンタの中にネズミの赤ちゃんが三びき入っていたのです。
「今年はとくべつ寒い冬で、子どもが何ひきも死んだんだ」
「でも、これがあると子どものいのちが助かるの。かしてもらえないかしら」
父さんと母さんネズミが前足をすり合わせました。
「ぼくはかまわないけど、タッタは?」
ようくんがタッタをポケットから出すと、タッタはピクピクうなずきました。
父さんネズミがタッタをみつけました。
「もうひとつのくつしたさんも、かしてくれないか」
みると、ふるえているネズミの赤ちゃんがもう三びきいました。
タッタまでかしたら、ひとりぼっちになってしまいます。ようくんが迷っていると、
「ぼくもネズミさんをあたためてあげたい」
タッタがいいました。
ようくんは、タッタをネズミにさし出しました。なみだがほおを伝わり、しょっぱい味が口に広がりました。
小屋を出ると外は雪がふっていました。ようくんは、急に心細くなりました。家に帰るにも雪の原ばかりで帰り道がわかりません。
風がふいて、ふぶきになりました。体がこおりそうです。一歩も歩けなくなって、雪の上に倒れてしまいました。
ザックザックと足音がして、だれかが近づいてきました。その人は、赤いふくを着て赤いぼうしをかぶり、白いひげの……サンタさんです。
サンタさんは大きな手を広げてようくんをだき上げ、ふところに入れました。サンタさんの上着の中はふわふわであたたかです。
「今日はクリスマスなの?」
ようくんがたずねると、サンタさんはうなずきました。
「ようくんはクリスマスにいいことをしたね」「いいこと?」
「タッタとタンタをネズミにかしてあげたじゃないか」
「サンタさん、みてたの?」
サンタさんはにっこり笑いました。
「クリスマスはプレゼントをもらうより、あげる人の方が幸せになるんだよ」
ようくんはほっとしてサンタさんにだかれてねむりました。
目がさめると自分のベッドにいました。まくらもとに二つのくつしたがおいてあります。タッタとタンタです。くつしたの中にたくさんのおかしがつめられていました。
「ネズミさんたちはどうしたの?」
「元気で大きくなったよ。春になったから、サンタさんに連れられて帰ってきたんだ」
タッタとタンタが口をそろえました。かべの向こうでは時間のたつのが早いのです。
ようくんは、おかしを分けて家族のみんなにプレゼントしました。ネズミのためにラインの上にもおきました。
タッタとタンタは、ひさしぶりにようくんにはかれて、うれしそうにうたいます。
タッタ、タンタ、タラッタラッタ、タンタ
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聖書には「立ち返って静かにすれば、あなたがたは救われ、落ち着いて、信頼すれば、あなたがたは力を得る。」(イザヤ30:15)と書かれていますが、この言葉を心にとめて日々過ごしたいと思います。
日本クリスチャン・ペンクラブ関東で発行している「文は信なり」ニュースレター35号にわたしの書いたクリスマス童話が掲載されました。原稿用紙4枚の短編です。
わたしは、短編が苦手で、原稿用紙10枚以下の童話が書けませんでした。ストーリーを思いついた瞬間、長い作品になっているのです。そのわけは、ドキドキハラハラするようなおもしろい作品にしたい。複雑で謎解きも入っているようなストーリーにしたい。読者に伝えたいことをふんだんに盛り込みたい……などと思っているからです。
児童文学の仲間に、「あなたは長編型なんだから、長編を書いていけばいいのよ」と言われました。長編型と短編型があるのですね。長編だと書き上げるのに何年もかかってしまいます。レターに掲載したり、合評会に持っていったりするには短編の方がいいのです。
去年ぐらいからやっと原稿用紙5枚作品が書けるようになりました。今年は3枚の作品をと思ったのですが、オーバーして4枚作品になってしまいました。複雑なことは考えない。素直な気持ちでまっすぐにイエス様の方を向いて書いたら短い作品が書けました。紹介させていただきます。
タンタとタッタ 土筆文香
タッタとタンタはようくんのくつしたです。
タッタ、タンタ、タラッタラッタ、タンタ
ようくんの足にはかれるとタッタとタンタはうれしくてうたいます。
ようくんがねむっていると、なきごえが聞こえてきました。ふとんの上にくつしたのかたほうがピクピク動いています。
「どうしたの?」
「ぼく、タッタ。弟のタンタがつれていかれちゃったんだよう」
ようくんはくつしたをぬいだとき、かたほうずつほうり投げたことを思い出しました。
「ネズミがタンタをくわえて走るのをみたんだ」
「えっ、ネズミが?」
ようくんはびっくりしました。
「このへやは、ネズミの通り道になっているんだ。ベッドの下をみてごらん」
ようくんがベッドの下をのぞくと、緑色のラインがみえました。ラインはつくえの下を通り、かべのところで消えています。
「ラインをたどっていくと、かべを通りぬけられるんだ。かべの向こうに別の世界がある」
「別の世界?」
「ぼくをポケットに入れて、ラインの上を歩いて」
ようくんは、つくえの下にもぐってラインの上を進み、かべにつきあたりました。すると、いつの間にかかべを通りぬけていました。
そこはまぶしいほど明るくて、青空の下に雪の原っぱがどこまでも広がっています。はだしの足が冷たくて、ようくんは足を上げたりおろしたりしました。
向こうに小屋がみえます。
「ネズミはきっとあの小屋にいる」
タッタがポケットでモコモコ動きました。
ようくんは足が冷たいのをがまんして雪の上を歩きました。
小屋の戸を開けると、ネズミたちが輪になっていて、その真ん中にタンタがいました。
「ぼくのくつした、返して」
ようくんが持ち上げると、キーキーと声がしました。タンタの中にネズミの赤ちゃんが三びき入っていたのです。
「今年はとくべつ寒い冬で、子どもが何ひきも死んだんだ」
「でも、これがあると子どものいのちが助かるの。かしてもらえないかしら」
父さんと母さんネズミが前足をすり合わせました。
「ぼくはかまわないけど、タッタは?」
ようくんがタッタをポケットから出すと、タッタはピクピクうなずきました。
父さんネズミがタッタをみつけました。
「もうひとつのくつしたさんも、かしてくれないか」
みると、ふるえているネズミの赤ちゃんがもう三びきいました。
タッタまでかしたら、ひとりぼっちになってしまいます。ようくんが迷っていると、
「ぼくもネズミさんをあたためてあげたい」
タッタがいいました。
ようくんは、タッタをネズミにさし出しました。なみだがほおを伝わり、しょっぱい味が口に広がりました。
小屋を出ると外は雪がふっていました。ようくんは、急に心細くなりました。家に帰るにも雪の原ばかりで帰り道がわかりません。
風がふいて、ふぶきになりました。体がこおりそうです。一歩も歩けなくなって、雪の上に倒れてしまいました。
ザックザックと足音がして、だれかが近づいてきました。その人は、赤いふくを着て赤いぼうしをかぶり、白いひげの……サンタさんです。
サンタさんは大きな手を広げてようくんをだき上げ、ふところに入れました。サンタさんの上着の中はふわふわであたたかです。
「今日はクリスマスなの?」
ようくんがたずねると、サンタさんはうなずきました。
「ようくんはクリスマスにいいことをしたね」「いいこと?」
「タッタとタンタをネズミにかしてあげたじゃないか」
「サンタさん、みてたの?」
サンタさんはにっこり笑いました。
「クリスマスはプレゼントをもらうより、あげる人の方が幸せになるんだよ」
ようくんはほっとしてサンタさんにだかれてねむりました。
目がさめると自分のベッドにいました。まくらもとに二つのくつしたがおいてあります。タッタとタンタです。くつしたの中にたくさんのおかしがつめられていました。
「ネズミさんたちはどうしたの?」
「元気で大きくなったよ。春になったから、サンタさんに連れられて帰ってきたんだ」
タッタとタンタが口をそろえました。かべの向こうでは時間のたつのが早いのです。
ようくんは、おかしを分けて家族のみんなにプレゼントしました。ネズミのためにラインの上にもおきました。
タッタとタンタは、ひさしぶりにようくんにはかれて、うれしそうにうたいます。
タッタ、タンタ、タラッタラッタ、タンタ
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