環境と体にやさしい生き方

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TPPと遺伝子組み換え種子メジャーの野望

2011年07月11日 | エネルギー・食料・資源
菅首相は、2010年11月にTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉参加のための関係国との協議着手を正式表明しました。また、それと同時に、農業力の競争強化への取り組みの決意も示しました。

そこへ本年(2011年)3月11日に東日本大震災が発生したため、震災とそれに伴う原発事故への対応を優先させるとして、同月、TPPの検討を先送りすることを表明しました。
一方、識者の中には、震災復興のためにもTPPなどの経済連携協定を推進するべきであると主張する人もいます。

しかし、このようにTPP推進を声高に叫ぶ人たちが、いったいどこまでこの問題について研究しているのかはなはだ疑問です。

TPPはそもそも、ニュージーランド、シンガポール、チリ、ブルネイの4カ国が、小国同士の戦略的提携により市場での存在価値を高めることを目的として、2006年に発効したものです。
ところが、2010年10月以降に米国が加わったことで米国主導に転換し、2011年のAPECまでに妥結結論を得るという目標が設定されたのです。

現在参加を表明しているのは、当初の4カ国に米国、オーストラリア、ベトナム、ペルー、マレーシアを含めた9カ国で、2015年をめどに関税全廃を実現するべく協議を進めています。

米国が参加したことで、TPPの目的が大きく変化したのです。
TPPへの日本の参加は、米国の輸出政策に寄与する一方で日本の経済力を低下させるのは明らかです。

オバマ大統領は、2010年の一般教書演説で「5年間で輸出を倍増」させると表明しました。その大きなターゲットは日本です。
現在のドル安政策も輸出力強化のための戦略のひとつです。

米国にとってTPPの目的は日本農業市場の開放であり、日本に安価な農産物の輸入が増えることは一時的には消費者に恩恵を与えるかもしれませんが、結果的には国内農業の衰退につながり、そのツケは消費者に跳ね返ってきます。
また、円高・ドル安は日本企業の輸出力の低下を招き、この影響を回避するために企業の国外移転が加速すると、工業でさえ衰退しかねません。

TPPへの参加は、国民の生存にとって最も重要な食糧をますます海外に依存する結果となってしまいます。
そして、その先にはさらに大きな問題が潜んでいます。strong>
それは、TPPへの参加によって、遺伝子組み換え種子メジャーに日本の食を完全に牛耳られてしまう恐れがあるということです。
すでに、日本は遺伝子組み換え作物の最大輸入国であり、私たちは知らず知らずのうちに多くの遺伝子組み換え由来の食品を食べています。
このことについては、過去のブログで書きましたので参考にしていただきたいと思います。また、近いうちに最近の遺伝子組み換え作物の動向についてもブログで紹介していきたいと思います。

【遺伝子組み換え食品関連の過去ブログ】
遺伝子組み換え食品最大輸入国日本(2007.02.26)
身近にある遺伝子組み換え食品(2007.03.05)
遺伝子組み換え食品は安全か?(2007.03.11)
遺伝子組み換え食品の安全性と対策(2007.03.17)

ご参考までに上記過去ブログの要点を列記します。
・日本は遺伝子組み換え食品の最大輸入国である。
・遺伝仕組み換え作物開発の本当の目的は開発企業の売上増大である。
・遺伝子組み換え作物で多いのは、大豆、トウモロコシ、ワタ、ナタネであり、大豆の半分以上がすでに遺伝子組み換えである。
・日本で流通している大豆の60%程度は、遺伝子組み換えのものと思われる。
・日本が輸入している穀物用トウモロコシの約50%は遺伝子組み換えのものと思われる。
・日本で遺伝子組み換え作物が多く出回っているにもかかわらず、そのように感じられないのは、表示方法の問題がある。
・遺伝子組み換え作物・食品の安全上の評価基準は、「実質的同等性」という、非常に曖昧なものである。
・遺伝子組み換え食品(種子植物)の安全性の審査は、基本的に、申請する業者が作成した資料だけに基づいて行われている。
・遺伝子組み換え食品に関する事件や実験結果から、これらが必ずしも安全であるとは言い切れない。
・食糧自給率の低い日本は、食糧の多くを、遺伝子組み換え作物大量生産国の米国に頼らざるを得ない。

(注:上記の遺伝子組み換え作物の比率等はさらに高くなっています。)

私が危惧するのは、日本のTPP参加は遺伝子組み換え作物の国内栽培につながりかねないということです。
世界一の遺伝子組み換え種子販売企業モンサントは、種子を支配することで世界の食糧を支配しようとしています。
モンサントは除草剤ラウンドアップの販売で有名ですが、大豆やトウモロコシ、綿などの遺伝子組み換え(GM)種子を世界的に販売しており、GM大豆の世界シェアは9割を超えています。

日本では、消費者の多くがGM作物に対する健康上の不安が払拭できないため、国内でのGM作物に対する研究は官、民とも消極的です。そうかといって、食料増産のための別の方法を積極的に推し進めているかといえば、必ずしもそうではありません。日本の食の未来はお寒い限りにもかかわらず、TPPによって種子メジャーに牛耳られるようになると食糧の確保と食の安全・安心はますます危機にさらされてしまいます。


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