さいごのかぎ / Quest for grandmaster key

「TYPE-MOON」「うみねこのなく頃に」その他フィクションの読解です。
まずは記事冒頭の目次などからどうぞ。

犯行告発ep4・サファイア・アキュゼイション4

2009年07月30日 02時58分27秒 | 犯人特定
※初めての方はこちらもどうぞ→ ■うみねこ推理 目次■ ■トピック別 目次■


犯行告発ep4・サファイア・アキュゼイション4
 筆者-初出●Townmemory -(2009/07/24(Fri) 00:27:17)・(2009/07/30(Thu) 02:07:10)

 http://naderika.com/Cgi/mxisxi_index/link.cgi?bbs=u_No&mode=red&namber=29497&no=0 (ミラー
 http://naderika.com/Cgi/mxisxi_index/link.cgi?bbs=u_No&mode=red&namber=29865&no=0 (ミラー
 Ep4当時に執筆されました]


●再掲にあたっての筆者注
「うみねこのなく頃に」公式掲示板にて、「サファイア・アキュゼイション」(蒼き告発)シリーズという企画が行われています。

 これは、各エピソードの各殺人現場で、いったい誰が殺人をし、誰がその共犯者なのか、考えうるパターンを最大3個まで挙げて、その結果を集計し、
「いったい誰がどのくらい怪しまれているのか」
 を、数値化してみよう、という企画です。

 わたしが提出した答えを、以下に再掲します。今回はep4です。

 犯行告発ep1・サファイア・アキュゼイション1
 犯行告発ep2・サファイア・アキュゼイション2
 犯行告発ep3・サファイア・アキュゼイション3

 2回に分けて集計されたものを、ひとつの記事としてまとめます。
 引用部(青字)は、出題者・藤井ねいのさんの書き込み内からの出題部です。

 以下が本文です。


     ☆


 アキュゼイションに回答します。
 が、長いです。
 何でいつもこう長いかというと、すべての犯行を、物語として、ひとつの流れの中に位置づけたいという欲求があるからです。
 それと、もうひとつ。「考えた結論」が重要なのではなく、「どのように考えたのか、その方法」つまり、「戦い方」を示すことに意味があると考えるからです。推理の結果ではなく、推理方法がコンテンツです。


>【EP4】第1の晩 食堂
>〔被害者〕右代宮夏妃・右代宮秀吉・右代宮絵羽・右代宮留弗夫・右代宮楼座・呂ノ上源次


 パターン1(のみ):朱志香(殺害)

 いつもだと真里亞は薔薇庭園でベアトリーチェに会うのですが、ep4では、金蔵に会ったと言っています(でしたよね?)。
 これは、いつもはベアトリーチェというキャラをロールプレイしている中の人(朱志香)が、今回は金蔵をロールプレイするよというサインと見ます。
 つまりこのエピソードで金蔵として活動している人は朱志香だという考えです。

 親族会議の席に、「金蔵様のおなりです」みたいな感じで、源次に露払いされて登場したのは、実際には朱志香という考えです。
 朱志香は全話共通で、金蔵から家督と財産のすべてを継承している。そういう理解で物語を考えることにします。

 朱志香は、何らかの形で、その場にいる全員に家督継承を認めさせたあと、
「私(朱志香)の後継者を決めておこう。それは譲治・戦人・真里亞の中から選ぼう」
 というようなことを提案します。親チームはこれに全員が乗っかります。自分ちの子供が選ばれれば、事実上、財産を自分が管理できるからです。

 その後継者テストの内容が、
「金蔵が一家を皆殺しにしようとしている。すでに何人も殺された。この状況を信じさせた後に『自分・愛する者・それ以外のうちひとつを見捨てるとしたらどれか』という質問をし、答案を検討する」
 というものだった……というのが、ep4に関する、(わたしの)基本的なアイデアです。

 さてそれをふまえて第1の晩の犯行。被害者を見ると、良い感じに、4家族ぜんぶの構成員が最低ひとり以上含まれておりますね。子供チームをまんべんなく動揺させることができそうです。
 朱志香は「とりあえず6人ほど惨殺されたことにしよう」ということで、この6人を選んで、死んだフリをさせます。残りのメンバーは「さらわれた」ということで、別室に移っていただく。
 死んだフリチームの6人は、さらわれるチームが退去したあと、本当に殺されます。


 殺害方法なのですが、毒殺か射殺したあと頭部を半壊させる……これでOKなのですが、個人的趣味により小型爆弾説をとることにします。
(前にもちょっと書きましたけれど)ラテックスか何かでできた、頭部が半壊しているように見える特殊メイクを6人にかぶらせる。そのメイクには少量の爆発物と信管が内蔵されており、遠隔スイッチを押したら、メイクは爆発で消失したうえ、本当に頭部半壊死体ができあがる。

 この手法のメリットは、朱志香がいちいち殺して死体加工しなくてすむ……それ以上に、「実の親や叔父さん叔母さんたちの絶命の瞬間を見なくて済む」点にあります。

 もうひとつ。ep1の第6~8の晩も、あの被害者3人がグルなら、これと全く同じ手法がとれます。犯人は書斎の中にいながら、3人を殺すことができます。


>【EP4】第2の晩 朱志香の自室・東屋
>〔被害者〕右代宮朱志香・右代宮譲治


 パターン1(のみ):朱志香(殺害・自殺)

 譲治については、朱志香が拳銃で眉間をズバン、でOKだと思います。彼女は消音器つきの自動拳銃を隠し持っているという考えです。

 戦人を除くすべての殺人が終了して、残りは彼だけになったタイミングで、ネクタイとジャケットの、いわゆる「ブレザーベアト」の扮装をして、嵐のベランダに姿を現します。
 で、例の三択クイズを出して、戦人の解答に失望します。

 ep4の朱志香の特殊な動機として、このクイズを出したかったんじゃないかなと思います。これって、
「おまえの愛はどこにあり、どんな種類のものであり、どっちの方向を向いているのだ?」
 ということを問うものだと思うのです。
 本来的には、誰かが碑文の謎を解き、みんなで九羽鳥庵にたどり着き、そこで、「ああ金蔵翁はこんなにひとりの女を愛していたのか」ということを知ったとき、みんなの心の中におのずと問いかけられるものだったんじゃないのかな、と思うのですが、3ゲームやってきて誰もそういうことを考えてくれないので、業をにやして、もう直接みんなに質問することにした。そんなイメージで見ています。

 さて、戦人の答えに失望したブレザー朱志香は、戦人を遠い礼拝堂に向かわせ、それで稼いだ時間で自室に戻り、私服に着替え、電話で予告しておいた通り、少量のプラスチック爆弾をこめかみに押し当て、信管をつきさし、自ら頭を砕いて死亡。


 余談になりますけど、三択クイズの真里亞の解答は「どれも選ばない。そのことにより全員が悪魔に殺される」だったんじゃないかな、と推測。
 大きな目で見れば、それは、誰も死んでいないのと同じになる。
 ……という考え方がこの物語にはあると思うのです。


>【EP4】第4~8の晩
>〔被害者〕嘉音・紗音・南条輝正・右代宮蔵臼・右代宮霧江


 パターン1(のみ):朱志香(殺害)

 状況がうまく再構成できていないんですが、全部朱志香さんが始末なさったということで、よろしいと思います。
 霧江あたりが、何かコレおかしいなと気付いて、逃げだし、そこをまとめて殺されたというくらいの形で良いと思います。
 嘉音は朱志香の仮想人格(だという推理)なので、ひっこめるだけでいなくなります。

 霧江の最後の電話は、そこに朱志香も同室していたと見ます。消音器つきの拳銃で、足やら腕やらをプスプスやられながら、脅されて、悪魔が本当にいるとかいうことを言わされていたのだという考えです。鍵穴からどうのというのも、脅しで言い含められた虚構だと思います。

 銃器にくわしそうな知り合いにきいてみたところ、威力の弱い22口径あたりの拳銃なら(コルトウッズマン?)、ちょうどそういうイメージの威力なんじゃないかということでした。


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 アキュゼイションへの回答です。


>【EP4】園芸倉庫
>〔被害者〕郷田俊朗・熊沢ちよ


 パターン1(のみ):朱志香(殺害)

 郷田、熊沢は、前回で回答しました「大人がよってたかって子供チームをびびらすドッキリ作戦」の共犯者と見ます。
 主な役割は、血相を変えてゲストハウスに飛び込み、「金蔵が魔法で6人を殺害した」と報告に行くことです。その後、園芸倉庫に閉じこめられることも、シナリオとして言い含められていたと考えます。

 彼らには、もうひとつ指示されている行動があって、それは、
「子供たちが園芸倉庫を開けに来た場合、首をくくって死んでいるふりをせよ」
 というものだった、と考えます。
 郷田のTIPSに、
「彼らは自らロープに首をかけた。たまには面白い経験だった」
 と書いてありますが、この推理では、この記述をそのまま真に受けます。

 本来なら、たまの面白い経験で済むはずだったのですが、首謀者の朱志香が現れ、
「ちょっとリハーサルしてみろよ」
 とでも言ったんじゃないかしら、と思います。
 こんな感じでしょうかお嬢様。といって、わっかに首を通す2人を確認したところで、朱志香は拳銃を取り出し、2発。

 園芸倉庫のタグのついたニセ鍵を郷田のポケットに入れ、シャッターをおろして施錠。


>【EP4】第9の晩
>〔被害者〕右代宮真里亞・右代宮戦人


 パターン1(のみ):真里亞(服毒自殺)、朱志香(自殺教唆、爆弾起爆)

 真里亞は「毒をのんで、自殺せよ」という指示をうけて、素直にそれに従った……と考えます。
 もちろん真里亞は、朱志香のやっていることも、その奇妙な理念や論理もぜんぶ知っていて、すすんで協力しているのだ、と見るわけです。

 それは黄金郷へ行くための手続き。黄金郷では願いがかなう。エンドロールが言うように、「真里亞は失った母の愛を」手に入れます。
 真里亞が死ねば、「ママが私を愛してくれない」という事実を観測する自分がいなくなり、「ママは私を愛してくれている」という可能性を手に入れることができます。

 朱志香としては、どこで死んでもらっても良かったと思うのですが、きっと真里亞が、「ママの隣で眠りたい」と言ったのじゃないかな。
 彼女は自分で客間まで行って、そこで毒を受け取り、それを飲み、ママの隣に自分で横たわって胸の上で手を組んだのだろう……という想像です。

 それを見届けてから、朱志香はコップなどを片付けて、その場を施錠したのでしょう。この直後、彼女はベランダに出て、嵐に向かって絶叫することになります。


 戦人の死因は、いつも通り、深夜24時の爆弾です。朱志香の自殺後、時限装置によって起爆したと見ます。
 現場消滅、証拠隠滅によって、六軒島連続殺人は無限の解釈が可能になるわけで、つまりこれが無限の魔法の正体と考えています(これが多分ルールY)。
 よって、「わたしはだぁれ」の答えは、大づかみな意味で、「無限の魔女ベアトリーチェ」とも言えます。(ぎりぎりで思い直してひっこめた片腕は「黄金」のほうだろう)


>【EP4】1998年 六軒島
>〔被害者〕須磨寺霞・黒服たち・右代宮縁寿


 パターン1(のみ):天草十三(霞と黒服を射殺)、縁寿(飛び降り自殺)

 霞と黒服がバタバタと死んでいったのは、天草十三による長距離狙撃のため。特にひねらなくてもこれで良いと思います。
 その後天草が縁寿を殺したという説があって、魅力を感じますが、ここでは別の考え方をしたいと思います。1998年の六軒島に現れるエヴァ・ベアトリーチェや絵羽の姿は、「六軒島の因縁」や「ベアトリーチェの呪い」の擬人化で、縁寿はそれを打ち破ったのだという比喩表現じゃないかな。

 六軒島から帰還したあと、縁寿はビルの上から自分で飛び降りた、という考えのほうが、ドラマ的に整合させやすいので、そちらを採ります。
「魔法を理解した縁寿が、可能性の海の中に自分自身を還元した」
 という理解です。
 死ねば、少なくとも「お兄ちゃんが帰ってこない」という確定的事実をリジェクトすることができる。可能性の海の中で、再会できるみこみはゼロではない。

 ベルンカステルが縁寿をだまして飛び降りをさせた、というよりは、縁寿は自ら納得ずくで飛び降りた、という理解をしてあげたいのです。

 そういう、おそるべき決断ができること、そういう人のことを「魔女」と呼ぶ。そんな解釈も、できなくはないかな。
 わたしのこの推理だと、ep4というのは、3人の魔女が、それぞれの願いを抱いて自殺するお話……そういうまとめかたもできそうです。何だか悲しくなってきちゃった。


●追記(090730)
 1998年六軒島のシーンを読み返してみたのですが、絵羽おばさんの姿で登場したのは天草十三、と考えたほうがやっぱり整合しそうです。ということで、その点のみ、考えを変えました。
 でも、銃の暴発は実際に起こって、天草十三は死亡もしくは重傷を負い、縁寿は生存した。縁寿はその後自分の意志で自殺。この流れは保持しておきたいと思います。



■続き→ 犯行告発ep5・サファイア・アキュゼイション5(上)


■目次1(犯人・ルール・各Ep)■
■目次2(カケラ世界・赤字・勝利条件)■
■目次(全記事)■


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 「魔女の手紙」の取り出し方

●盤面解析
 駒の動きその1・南條(大爆発説)
 駒の動きその2・戦人、真里亞、嘉音
 ルールXYZを指さそう
 駒の動きその3・銃(とわたしはだあれ)
 駒の動きその4・盤面(I)
 駒の動きその5・盤面(II)
 駒の動きその6・盤面(III

 チェックメイト――黄金郷再び・金蔵翁の黄金郷
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