3月30日の毎日新聞に「ホイッスル・ブロワー」
(笛を吹く人)、 の話がある。
(発信箱というコラム欄、福本容子記者)。
.
アイリーン・フォスター という(笛を吹く人)への
米国政府の処置の話で、日本人から見ると
本当に羨ましい。 (笛を吹く人)とは、
ラルフ・ネーダーが70年代に作った用語で、
反則を見付けた審判が笛で警告することから来ていて、
「告発者」、「通報者」、の意味だとのこと。
フォスターは、ひと昔前に大騒ぎになった
「サブプライム住宅ローン」で有名な大手
金融会社に勤めていて、貸出しに法律違反
などの問題が無いか、社内調査をする担当
だったが、07年に大変な不正を見付けた。
融資を増やすため、借手の収入を水増ししたり、
署名を切り張りする組織的な偽装工作である。
上層部に報告したけれど聞き入れられず、
警告を続けていたら、クビにされた。
この件について米国政府は、11年9月に会社に対し、
フォスターに93万ドル(~7700万円)を支払い、
解雇も取り消すことを命じた。
この処置、このスピードは、本当に羨ましい、
というよりも、本来は、当然のことであり、
それが出来ない日本は、
リビアや北朝鮮に近い、奇怪な社会である。
米国では、150年前の南北戦争時代に、
「不正に声を上げる人、を守る法律」
が出来た、 という。
“笛”のお陰で政府が詐欺を働いた企業などから
資金回収ができたら、最大その3割を与える
制度もあり、80億円貰った人もいるという。
★ ★ ★ ★ ★
一世紀半前に開国して、文明先進国の後追いをした
日本は、諸制度の導入をしたけれど、
制度の基礎にある「合理性」
は理解せず、 輸入しなかった。
.
例えば、明治時代に、特許制度を作ったが、
実施の細部に問題点がいろいろとあった。
現在の中国が、商標とか特許とかで、20世紀の日本
と同じ問題で、諸外国とトラブルを起している
のも、「先発権」という精神を抜きに、
制度を真似したからである。
.
日本の特許制度も、明治時代に作ってから
昭和の終わり近くまで、公務員が発明をしても、
特許権は取ることが許されず、
それによる利益は得られなかった。
.
発明というものの考え方、の根底が、先進国とは
根本的に違っていたからであり、ブログ
▲ {[3a]プライオリテイ尊重事件}:[C-7]
に書いてあるとおりだった。
それに対する批判的意見が、科学雑誌などに
掲載されることはあった。
ても、事態を決めるのは、法科出身の官僚であり、
条文の字句には煩くても、合理性には鈍感な
彼等に対して、科学技術は影響力がなかった。
発明家の意見は、無視以下の無効であった。
流石に諸外国との交流が激しくなる中で
その修正が行われるのには、
特許法がスタートしてから100年以上掛かった。
現在では職務発明とか、勤務発明とかいうもの
の考え方の根底から理解が変わって、
それぞれに報奨金が払われるようになり、また
身分が公務員であっても特許の取得が可能になった。
現在の中国では、外国の特許や商標などで中国で手続き
されていないものを、中国人が取得することが
普通に行われて先進国から非難されているが、
文明の遅れているかの国では
不都合と考える人の方が少数派である。
.
全て、その様な風に物事は進むのだ。
★ ★ ★ ★ ★
.
アイリーン・フォスターが07年に笛を吹いてから
一連の出来事が生じ、米国政府の対応で
結論が出たのが、11年(四年目)であった。
.
日本では、年金資金の運用で大損したのに、儲けを
装い続けたAIJ投資顧問について、05年度以降4回、
当局に通報があったが、活かされなかった
ことが11年に分かった、という。
その事実が分かったのが、6年目であり、それへの
対応が行われるかどうかは不明、である。
.
「検察は正義の味方、というのは、神話(迷信?)」
と、日本の検察の内部から「ホイッスル・ブロワー」
が声を上げた笛の音は、我々も聞いていた。
前回記事の末尾に書いた通り、佐久間氏が、
そのことを紹介したブログ記事:
▲特捜神話の終焉:[B-131][2010/9/9]
▲特捜神話の終焉(続):[B-132][2010/9/11]
を書いたのは、2010/9で、大阪地検事件の前であった。
.
それなのに、
世間一般も、我々もその笛の音を正確に理解しなかった。
元検察官の吹いた笛の音を耳にした我々ですら、
今年になって大阪地検への処罰が出ても
未だ、認識が不十分だった。
.
大阪地検特捜部で、村木厚子氏の取調べを担当した
前田検事の実刑が確定し、上司の特捜部長、
副部長の有罪も、昨年12年3月30日には
地裁で言い渡されて、最近は検察に対する疑惑も
多少は世間でも語られるようになった。
それでも社会一般では、まだ神話(迷信?)を
疑わない人が多いのだろう。
.
我々だって
▲バブル獄中記とO君(2):[A-151]
に書いたように、無実の罪を自白(!)して服役し、
何かの機会に冤罪が明かになった人物の報道
を見ると、何故、被告は取調べ、乃至は裁判の
過程で無実を主張しなかったのかと、
不思議に感じたものである。
今回の長田氏の本を読んで、冤罪を生じる事情が
初めて理解出来たのだった。 この状況は
恐らくは まだ数十年間は継続するのだろう。
★ ★ ★ ★ ★
然しながら遠い未来ではあっても、何時の日にか
日本の歴史にも「笛を吹いた人」の業績が正しく評価
されるようになる、ことは間違いない。 その様に考えて、
O君の実名を此処に明かしておくことにする:
佐久間氏が▲出逢い (8)終章(続):O君の評価:[B-16]、
に書いて以来、仲間が今まではO君の仮名で記述してきた人物、
拙ブログでも、▲歴史認識(2):[A-13]、
以来、O君の仮名で記述してきた人物、
O君とは、新潟相互銀行の大森龍太郎氏の事であった。
そして、
▲ 出逢いの問題 (7)終章:O君:[B-15][2005/07/01]
にあった、もう一人のO氏とは、長田庄一氏の事だった。
(笛を吹く人)、 の話がある。
(発信箱というコラム欄、福本容子記者)。
.
アイリーン・フォスター という(笛を吹く人)への
米国政府の処置の話で、日本人から見ると
本当に羨ましい。 (笛を吹く人)とは、
ラルフ・ネーダーが70年代に作った用語で、
反則を見付けた審判が笛で警告することから来ていて、
「告発者」、「通報者」、の意味だとのこと。
フォスターは、ひと昔前に大騒ぎになった
「サブプライム住宅ローン」で有名な大手
金融会社に勤めていて、貸出しに法律違反
などの問題が無いか、社内調査をする担当
だったが、07年に大変な不正を見付けた。
融資を増やすため、借手の収入を水増ししたり、
署名を切り張りする組織的な偽装工作である。
上層部に報告したけれど聞き入れられず、
警告を続けていたら、クビにされた。
この件について米国政府は、11年9月に会社に対し、
フォスターに93万ドル(~7700万円)を支払い、
解雇も取り消すことを命じた。
この処置、このスピードは、本当に羨ましい、
というよりも、本来は、当然のことであり、
それが出来ない日本は、
リビアや北朝鮮に近い、奇怪な社会である。
米国では、150年前の南北戦争時代に、
「不正に声を上げる人、を守る法律」
が出来た、 という。
“笛”のお陰で政府が詐欺を働いた企業などから
資金回収ができたら、最大その3割を与える
制度もあり、80億円貰った人もいるという。
★ ★ ★ ★ ★
一世紀半前に開国して、文明先進国の後追いをした
日本は、諸制度の導入をしたけれど、
制度の基礎にある「合理性」
は理解せず、 輸入しなかった。
.
例えば、明治時代に、特許制度を作ったが、
実施の細部に問題点がいろいろとあった。
現在の中国が、商標とか特許とかで、20世紀の日本
と同じ問題で、諸外国とトラブルを起している
のも、「先発権」という精神を抜きに、
制度を真似したからである。
.
日本の特許制度も、明治時代に作ってから
昭和の終わり近くまで、公務員が発明をしても、
特許権は取ることが許されず、
それによる利益は得られなかった。
.
発明というものの考え方、の根底が、先進国とは
根本的に違っていたからであり、ブログ
▲ {[3a]プライオリテイ尊重事件}:[C-7]
に書いてあるとおりだった。
それに対する批判的意見が、科学雑誌などに
掲載されることはあった。
ても、事態を決めるのは、法科出身の官僚であり、
条文の字句には煩くても、合理性には鈍感な
彼等に対して、科学技術は影響力がなかった。
発明家の意見は、無視以下の無効であった。
流石に諸外国との交流が激しくなる中で
その修正が行われるのには、
特許法がスタートしてから100年以上掛かった。
現在では職務発明とか、勤務発明とかいうもの
の考え方の根底から理解が変わって、
それぞれに報奨金が払われるようになり、また
身分が公務員であっても特許の取得が可能になった。
現在の中国では、外国の特許や商標などで中国で手続き
されていないものを、中国人が取得することが
普通に行われて先進国から非難されているが、
文明の遅れているかの国では
不都合と考える人の方が少数派である。
.
全て、その様な風に物事は進むのだ。
★ ★ ★ ★ ★
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アイリーン・フォスターが07年に笛を吹いてから
一連の出来事が生じ、米国政府の対応で
結論が出たのが、11年(四年目)であった。
.
日本では、年金資金の運用で大損したのに、儲けを
装い続けたAIJ投資顧問について、05年度以降4回、
当局に通報があったが、活かされなかった
ことが11年に分かった、という。
その事実が分かったのが、6年目であり、それへの
対応が行われるかどうかは不明、である。
.
「検察は正義の味方、というのは、神話(迷信?)」
と、日本の検察の内部から「ホイッスル・ブロワー」
が声を上げた笛の音は、我々も聞いていた。
前回記事の末尾に書いた通り、佐久間氏が、
そのことを紹介したブログ記事:
▲特捜神話の終焉:[B-131][2010/9/9]
▲特捜神話の終焉(続):[B-132][2010/9/11]
を書いたのは、2010/9で、大阪地検事件の前であった。
.
それなのに、
世間一般も、我々もその笛の音を正確に理解しなかった。
元検察官の吹いた笛の音を耳にした我々ですら、
今年になって大阪地検への処罰が出ても
未だ、認識が不十分だった。
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大阪地検特捜部で、村木厚子氏の取調べを担当した
前田検事の実刑が確定し、上司の特捜部長、
副部長の有罪も、昨年12年3月30日には
地裁で言い渡されて、最近は検察に対する疑惑も
多少は世間でも語られるようになった。
それでも社会一般では、まだ神話(迷信?)を
疑わない人が多いのだろう。
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我々だって
▲バブル獄中記とO君(2):[A-151]
に書いたように、無実の罪を自白(!)して服役し、
何かの機会に冤罪が明かになった人物の報道
を見ると、何故、被告は取調べ、乃至は裁判の
過程で無実を主張しなかったのかと、
不思議に感じたものである。
今回の長田氏の本を読んで、冤罪を生じる事情が
初めて理解出来たのだった。 この状況は
恐らくは まだ数十年間は継続するのだろう。
★ ★ ★ ★ ★
然しながら遠い未来ではあっても、何時の日にか
日本の歴史にも「笛を吹いた人」の業績が正しく評価
されるようになる、ことは間違いない。 その様に考えて、
O君の実名を此処に明かしておくことにする:
佐久間氏が▲出逢い (8)終章(続):O君の評価:[B-16]、
に書いて以来、仲間が今まではO君の仮名で記述してきた人物、
拙ブログでも、▲歴史認識(2):[A-13]、
以来、O君の仮名で記述してきた人物、
O君とは、新潟相互銀行の大森龍太郎氏の事であった。
そして、
▲ 出逢いの問題 (7)終章:O君:[B-15][2005/07/01]
にあった、もう一人のO氏とは、長田庄一氏の事だった。