2011年11月17日 辛味のこと―キムチの話
食味の中で、辛味は、変化に富んでいる味覚だが、唐辛子の辛さについて、当ブログの下記記事
ハバネロかな? (2011/10/3)
で触れている。
今回は、具体的な食品として、キムチについて取り上げて見た。
キムチは、韓国(朝鮮半島)では良く食べられている、伝統的な国民的漬け物で、各家庭ごとに、家伝の漬け方があるとか。日本国内でも、最近は、キムチがかなり一般化し、韓国の食材店だけでなく、スーパー等でも、容易に手に入るようになっていて、美味しいキムチが食べられるようになっている。
市販のキムチ(国産)
以前は、キムチは、血を連想させるような赤色が、気味悪く、見ただけで辛そうで、独特の匂いもあり、自分は、余り好きにはなれなかった。それが、10年ほど前に、韓国での国際会議で出張し、一週間ほど滞在して、連日、キムチや焼き肉を食べて以来、すっかり、韓国料理のフアンになってしまった!
その後、近くの行きつけのラーメン屋にも、キムチがあることを知り、其の味に魅せられてしまった。この所は、夫婦で出かけては、「おつまみキムチ」と「ご飯」を頼み、定番のラーメンが出てくる前に頂くのが、慣例となっている。
このラーメン店のキムチは、自家製を売りにしている。以前は、かなり、濃厚な味だったのだが、ここ数年は、漬ける人が変わったのか、少し味がさっぱりしたものになっているが、それはそれで、又、大変、美味しいのだ。このラーメン店には、勿論、キムチラーメンもある。
キムチの事は良く知らないし、自家で漬けたことは無いが、物の本や、ネット情報等によれば、白菜に、塩と唐辛子をまぶして、漬けるようだ。言うまでも無く、白菜には、優しい甘味があり、どんな味にも馴染む、汎用性がある。
キムチの味付けには、色んな薬念(ヤンニョム)が、入る。薬念としては、好みによって、各種の物があるようだ。
植物性:唐辛子 ニンニク ニラ 生姜 ゴマ 昆布 松の実 梨 柿 林檎 等
動物性:アミの塩辛 烏賊 粉末鱈 牡蠣 牛肉 煮干し 干しエビ 魚醤 等
旨味のポイントとして、動物性の、アミ(アミエビ)の塩辛が入るようだ。これで、発酵食品となり、キムチ独特の風味(臭味!)が出ることとなる。アミは、釣りの時に、コマセに使う、あのアミだろうか。 臭いは、クサヤ等と共通のものかも知れない。
漬けこむ期間は、早いものは、1週間程で、出来あがるようだが、じっくり、数か月間、かける場合もあるようだ。
ネット情報によれば、朝鮮半島では、当初のキムチは、唐辛子ではなく、山椒を使っていたので、赤色ではなかった、と言う。秀吉の朝鮮出兵の折に、日本から伝わった唐辛子を使うようになった、とあり、唐辛子が本格的に使われるようになったのは、18世紀頃以降と言う。
日本では、唐辛子と言うように、唐伝来の辛子(芥子)は、当然、朝鮮半島を経由して、日本に伝来したと思っていたのだが、これが逆に、日本から朝鮮に伝わった、とは信じられないことだ! 機会があれば、真偽の程を、確かめたいものである。
上述の、行きつけのラーメン屋に、最近、キムチを大いに食べよう、とのビラが貼り出されている。キムチの辛味の主なものは、唐辛子だが、これも含めて、三つの栄養成分の効能を、以下のように、PRしている。
唐辛子に含まれる成分:カプサイシンの効能→消化促進
にんにく 〃 :スコルジニンの効能→スタミナ増進
生姜 〃 :ジンジョロルの効能→血行循環の改善
三つの成分の各々の効能については、ここでは取り上げないが、この店のオリジナルとして、日本人の味覚に合うように、酸味を抑え、甘味を増したキムチに、なっているのだろう。これからの、向寒の季節、健康増進のために、キムチを大いに食べるとしようか。
一方、最近は、浅漬けキムチの素、などもあるので、機会を見て、自家製のキムチも、試みてみる事としたいものである。