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漢字の世界 その2 国名など

2010年11月19日 11時58分25秒 | 日記
2010年11月19日 漢字の世界 その2 国名など


先に、当ブログに、
    漢字の世界 その1 塒という字(2010/10/30)
を投稿したが、今回は、その第二弾で、国名、都市名等の、漢字表記について触れている。

■地球上の大陸は、アジア、ヨーロッパ、アフリカ、北アメリカ、南アメリカ、大洋州等、幾つかの地域に分けて呼ばれている。又、現在、地球上に存在する独立国の中で、国連に加盟している国は、192のようで、この他に、国連には加入していないが、それに準じる国などが4、更に、紛争中の地域などがある。
 日本語で、国名や都市名を表記する場合、現在は、日本、中国、台湾、韓国、北朝鮮関連は、漢字を使うが、これら以外は、原則カタカナ表記であり、アルファベット表記等の場合もある。
 以前、日本製の地図や新聞や文書などで、大陸名/地域名、外国名や、外国の都市名などが、漢字で表記されたことがある。 現在は、この様な、漢字による表記は使われず、カタカナに変わっているのだが、以前の名残で、主要な国名を、一文字の略称で呼ぶ表記は、その簡便さから、新聞や放送などで、今も健在である。又、国家間の条約や協定、首脳会談なども、略称で呼ばれることも多い。また、現在も、会社名などに、大陸名/地域名等に由来する漢字が使われている例もある。

 以前に使われていた、大陸名/地域名、国名、都市名の、日本語での漢字表記の主な例について、カタカナ表記、漢字表記とその略称を、以下に示す。合わせて、中国語での表記についても、分った範囲で示してある。

■大陸名/地域名
カタカナ表記   日本語漢字表記・略称        中国語表記
  アジア     亜細亜 亜州             亜州
          東南亜細亜 東亜細亜 南亜細亜 
          中東亜細亜 極東亜細亜
          西亜細亜
  ヨーロッパ   欧羅巴                欧州
          欧州 西欧 東欧 北欧 南欧
  アフリカ    阿弗利加 非州?            非州
  アメリカ  亜米利加 米州
  北アメリカ   北亜米利加  北米
  中央アメリカ  中央亜米利加 中米
  南アメリカ   南亜米利加  南米
  オーストラリア 濠太剌利 豪州 大洋州       澳大利亞
  アラビア    亜剌比亜               阿拉伯
  シベリア    西伯利亜              西伯利亜

 日本語での漢字の表記は、殆どが、原語の発音に近い漢字をあてている。又、中国語の表記は、日本とほぼ同様の表記のようだ。 
  
■国名
カタカナ表記 日本語漢字表記⇒略称      中国語表記
 アイルランド    愛蘭⇒愛         愛爾蘭
 アメリカ(合) 亜米利加⇒米 米国    ○美国
   頭文字の亜は他でも使うので、略称は、米
 アフガニスタン阿富汗斯坦           阿富汗
 アルゼンチン  亜爾然丁⇒爾         阿根廷
   頭文字の亜は他でも使うので、略称は、爾
 イギリス     英吉利⇒英 英国     英国
   イングランド   英蘭            英格蘭
   スコットランド 蘇格蘭            蘇格蘭
 イタリア     伊太利⇒伊 伊国      意太利
 イラン       伊蘭           伊朗
 イラク      伊拉久
 インド       印度⇒印         印度
 インドネシア 印度尼西亜⇒尼    印度尼西亞
 エジプト     ☆埃及⇒埃         埃及
 オーストラリア 濠太剌利⇒濠 濠州     澳大利亞
 オーストリア   墺太利⇒墺         奥地利
 オランダ      和蘭⇒蘭        荷蘭
  頭文字の和は日本国名に使うので、略称は、蘭
 カナダ      加奈陀⇒加         加拿大
 キューバ      玖馬⇒玖         古巴
 ギリシャ     ☆希臘⇒希         希臘
 コロンビア   哥倫比亜⇒哥         哥倫比亜
 コンゴ       公果⇒公         剛果
シリア      叙利亜⇒叙         叙利亞
 スイス       瑞西⇒瑞         端士
 スエーデン     瑞典⇒典         瑞典
  頭文字の瑞はスイスに使うので、略称は、典
 スペイン    ☆西班牙⇒西          西班牙
 タイ         泰⇒泰         泰国
 チリ        智利⇒知         智利
 デンマーク     丁抹⇒丁         ○丹麦
 ドイツ       独逸⇒独 独国     ○徳意思 徳国
 トルコ     ☆土耳古⇒土          土耳其
 ニュージーランド 新西蘭⇒新   新西蘭
 ネパール     泥婆羅           尼泊爾
 ノルウエイ    ☆諾威⇒諾         揶威
 パキスタン   巴基斯坦
 ハンガリー  洪牙利⇒洪         甸牙利
 ビルマ      ☆緬甸⇒緬        緬甸
 フィリピン    比律賓⇒比         菲律賓
 フィンランド  芬蘭⇒芬         芬蘭
ブラジル    伯剌西爾⇒伯 伯国     ○巴西
フランス     仏蘭西⇒仏 仏国     ○法国
ベトナム      越南⇒越         越南
ペルー  秘露⇒秘         秘魯
ベルギー   ☆白耳義⇒白         比利時
ポーランド  波蘭⇒波         波蘭
ポルトガル    葡萄牙⇒葡         葡萄牙
南アフリカ  南阿弗利加          南非
メキシコ     墨西哥⇒墨         墨西哥
ルーマニア  羅馬尼亜⇒羅         羅馬尼亞
ロシア      露西亜⇒露 露国   ○俄羅斯
中国語表記は、オロシャから?   

日本語の漢字の表記は、殆どが、原語の発音に近い漢字をあてているが、☆印は、通常の発音とは少し違う当て字である。
国名を、一字で表す略称がほぼ確立しているのは、上表のように、40カ国程度だろう。 この場合、旧漢字国名の頭文字が使われる場合が殆どであるが、元の漢字の国名は、すっかり忘れ去られてしまっているのも、不思議な現象である。
以下に、略称を用いた、幾つかの例を示す。
   例:英国で保守党が勝利
     普天間問題で日米安保体制に亀裂?
     米中が制海権を巡って綱引き
 
中国語の国名表記は、日本語と類似しているものが多いが、その中で、欧米の主要国の表記が、発音の捉え方は、ほぼ同じなのだが、使う漢字の違い等から、○印で示すように、日本の場合と異なるものがあり、慣れないと、別の国のように見えてしまう。

■都市名
カタカナ表記  日本語漢字表記     中国語表記
 アテネ      雅典          ●雅典
 ウイーン     維納  維也納      ●維也納
 ウラジオストク  浦塩斯徳
オックスフォード 阿斯福 牛津◎    ●牛津
  (牛はOx の、津はFordの意訳)
 ケンブリッジ   剣橋◎
(剣は発音、橋はBridgeの意訳)
 サイゴン     西貢           自貢
 サンフランシスコ 桑港◎          聖弗蘭西斯科
  (桑(そう)は発音に近い当て字?      中国語の聖はSanの意訳?
港は発音の後半に近く、香港に似せた?)
サンクトペテルブルク聖彼得堡       ●聖彼得堡
 シアトル     舎路           西雅圖
 シカゴ     市俄古           芝加哥
 シドニー    雪得尼          悉尼
 ジャワ      爪哇           ●爪哇
 ジュネーブ    寿府           日内瓦
 シンガポール  新嘉坡 星国         新加坡
 ニューヨーク   紐育           ●紐約
 パリ       巴里          ●巴黎
 ハリウッド    聖林◎          好葉璃
(完全意訳:Holly聖 Wood林)
 ハワイ      布哇
 バンコク     盤谷
 ベルリン     伯林          ●伯林
 ホノルル    花瑠璃
 マニラ     馬尼刺          馬尼拉
 モスクワ    莫斯科          ●莫斯科
 ラングーン    蘭貢
 ローマ      羅馬          ●羅馬
 ロスアンゼルス  羅府◎          洛杉基
(羅は発音の頭に近い、府は、
駿府等と同じ意?)
 ロンドン     倫敦          ●倫敦
 ワシントン   華盛頓          ●華盛頓

上記のように、殆どが、原語の発音に近い漢字をあてているが、◎印は意訳的である。
これらの表現法は、原語の発音を真似た、日本独自の当て字と思っていたが、調べてみると、漢字の本家本元の中国でも、上に示すように、主要都市名が、日中でほぼ同じなのは驚きである(●印)。これは、日本では、中国の表記を手本にして作ったため、とも考えられるのだが、長い歴史を経た後も、漢字の発音の仕方が、日中間で、大きくは違ってはいない、と言うことでもあろうか。
米国の都市名などは、日中間で違いが大きいが、これは、中国語では、発音にかなり忠実なのだが、日本語では、意訳するなど、遊び的な感じもあるため、であろうか。
 日本の文学作品で、タイトルに、漢字の都市名を使った例として、次が思い浮かぶ。
   夏目漱石  倫敦塔
   芹沢光治良 巴里に死す

■以前は、クイズ式に、漢字一字の国名を当てたり、漢字の外国の都市名を当てたりして、楽しんだものだ。 そのため、一時は、細かい知識を詰め込んで、覚える努力もした。これらは、日本語としては、日常的に使われる、主要20カ国程度の国名の略称を除けば、範囲がかなり限定された、ほぼ過去形の知識に属する楽しみになる。
しかし、今回、改めて、調査し、中国語との対比にまで進んで、本家本元の中国での、漢字による都市名、地域名等の数の大きさを、考えてしまったのである。
即ち、中国では、外国の国名だけでなく、外国の都市名等も、すべて漢字表現の訳だから、途轍もなく膨大な数の、漢字の都市名等があることとなる。 この場合、日本語でのカタカナのように、表音文字的に使われる漢字を選定して、ネーミングに統一性を持たせているのだろうか。
これに比べれば、歴史上では使われた、日本語での、一握りの漢字都市名等は、まことに小さく、取るに足らないもので、知識として覚える意欲が、すっかりなくなってしまった次第である。 

■ここに至って思うことは、日本語には、漢字から発明された、表音文字の仮名文字があって本当に良かった、と言うことだ。しかも、ひらがなに加えて、カタカナがあることも今や、大変な財産だ。
表音文字のひらがなは、平安時代の昔から、送り仮名として、また、漢字が書けない場合などに使われてきた。
カタカナの歴史は良くは知らないが、西洋や外国の文物が大量に入ってきた明治以降、特に、この昭和の終戦後に、大きな存在意義を見い出したのではないか。 日本語化した外国語や、外国の国名や、都市名等を表記するのに、カタカナを使うというのは素晴らしく、表現が統一され、文章が非常に読みやすくなる。
 若し、カタカナが無く、前述のように、外国の国名や、都市名等を表記するのに、以前のように、すべて漢字で表記するとしたら、どうなっていただろうと、恐ろしくなる。また、ひらがなで表記したらどうだろうか。 送り仮名と、都市名等の区別がつきにくく、混乱するであろう。
 いっそのこと、漢字からハングル文字に重点を移した韓国のように、日本も、漢字を使うのを止め、仮名文字(ひらがな、カタカナ)や、アルファベット文字(ローマ字)だけにすることも考えられるのだが、果たして、どうだろうか。
 日本においては、伝来した漢字文化を受け入れ、吸収し、発展させて仮名文字を編み出す、とともに、元来の日本語と、漢字の意味や漢字の熟語とを対比し検証しながら、訓読みと音読みに体系化し、無数の熟語も創出している。更に、地名などでは、アルファベット(ローマ字)も使う等、日本語の多様さには、改めて、驚かされる。ここに至るまでの、先人達の労苦には、頭が下がる思いだ。
 でも、多様なだけに、日本語は、日本人にも、外国人にも、習得が難しい言語とも言え、この国際化時代には、大きなハンデにもなる。このような国は他にはないのではないか。

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