2012年2月18日(土) 地球最北の町 その2
先日、当ブログに載せた、下記の記事
地球最北の町 その1 (2012/2/16)
で宿題となっている白夜、極夜について、今回、触れる事としたい。
地球は、自転しながら、太陽の廻りを公転していることから、通常の地域では、朝の時刻には陽が昇り、夕の時刻には陽が沈む事を繰り返している。 更に、地球の自転軸が傾いていることから、同じ地域で、四季の変化が起こることとなり、日の出、日の入りの時刻は季節によって変化している。
公転運動の中で、北極線(北緯66度33分)より北の地域では、夏期は、一日中、太陽が地平線より下にならず、陽が沈まない、夜の時刻も明るい「白夜」となる。一方、冬期は、逆に、太陽が地平線から姿を見せず、昼の時刻も暗い、「極夜」となる。
スバールバル諸島のロングイヤービエンの場合は、案内書等によれば、以下のようだ。
白夜: 4月~8月 5カ月間
極夜: 11月~2月 4か月間
ネットの中で、地球上の、任意の緯度、経度の地点での、任意の月日の、日の出・日の入りの状況を計算し、グラフで表示してくれる、素晴らしいサイト(下記)があることを知り、早速、使わせて頂いた。
ロングイヤービエンの、緯度は北緯78度、経度は東経15度なので、これを入力すると、例えば、以下の様な、太陽高度のグラフが得られる。
このグラフは、4月20日の状況で、その頃に始まる白夜の時の、太陽高度を表しており、高度が最低となる午前8時でも、地平線(高度0)より下がらないことを示しているとともに、午後8時頃に、太陽が最も高くなる様子も示している。
極夜、白夜の期間以外は、通常の昼夜がある訳で、上記のサイトで調べた結果、ロングイヤービエンでの、年間の昼夜変化の状況は下図のようになるようだ。 極夜が終わると、通常の昼夜となり、続いて、白夜が始まる。白夜が終わると、再び、通常の昼夜が訪れ、そして、又、極夜が始まる。 このパターンが、毎年、繰り返される。図には、それぞれの境界となる、目安の月日が示されているが、境界の前後では、昼や夜は、徐々に長くなったり、短くなったり、変化していく訳だ。 上記の案内書の情報と、ほぼ一致している。
白夜、極夜が出来る理由を、北半球の場合について考えて見る。単純化するために、地球は球体とみなし、太陽からの光は、地球に対して、ほぼ並行光線とみなす事が出来る、とする。
地球の自転軸(地軸)の、公転面に対する垂線からの傾き(角度α 23度26分)があるため、太陽光が地球の接線となる地点(緯度β)以北は、夏期は太陽が沈まず(白夜)、冬期は太陽が現れない(極夜)こととなる。この境界となる線を、北極線と呼んでいる。
αとβは、α+β=90度の関係にあることから、β=北緯66度33分である。白夜、極夜が現れる、実際の地域は、光の屈折率等も関係して、北極線で示される緯度の範囲よりも、やや広くなるようだ。これらの関係を、下図に示す。
又、公転運動の中で、夏期には、地軸の傾きにより、赤道が移動して、北半球では太陽が真上にくる地域が出来、この限界を、北回帰線と呼んでいるが、この線は、地軸の傾きα度と同じ緯度の、北緯23度26分になる。
冬期には、太陽が南半球側に移動するため、北半球では、太陽の高さが、大幅に低くなる。
南半球の場合は、北半球とは逆になり、南極線、南回帰線があり、夏と冬も逆になる。
白夜、極夜とも、体験したことは無いが、白夜については、比較的楽に過ごせるのではないか。特に、都会では、夜も明るいのには、慣れている昨今だけに、人為的に暗くすれば、寝るのは、そう難しくはあるまい。
一方、極夜は、生物にとっての、生きるリズムの基本となる太陽が現れないのだから、問題は多いと思われる。ビタミンDの服用などが行われるようだが、人体の健康や、精神的な面も含めたケアが必要だろう。
宇宙ステーションでの長期滞在では、人為的に、昼夜を作る必要があるのは、言うまでも無い。
ここで、言葉について触れたい。
日本語の白夜は、英語では、midnight sunで、真夜中の太陽 と表現している。ひょっとしたら、英語では、white night と言うのでは、と思ったのだが、当てが外れた。
ロングイヤービエンでは、白夜の頃で一番日が高いのは、20時頃で、24時ではないようだ。midnight sunと言う言葉の、midnightは、通常は24時のこと?
良く歌われる、自分も好きな歌謡曲の「知床旅情」に、
遥か国後(クナシリ)に 白夜は明ける
と詩的な表現があるが、あの、国後辺りでは、緯度が低いので、白夜は現れないだろう。
一方、今回初めて知った、日本語の極夜だが、英語では、polar night とあり、極夜は直訳のようで、白夜に比べて、少し機械的な語感がある。
雰囲気のある白夜の表現に合わせて、極夜ではなく、黒夜とか、ぬばたまの夜、などと言っても面白いかもしれない。