事実は映画よりも奇なり

乳がんで余命2週の告知もキリスト教の27歳の裏千家師範は延命薬で百八夜を内鍵付きの病室にて戦うも・・・

チェックアウトの時間帯

2009年08月25日 13時42分05秒 | 朝顔 「椿灰」 

 「 一夜 」 から

季節はずれのお祭り騒ぎから奥様に避難を促されて突破した離れ離れの静けさにて、やっと成り行きの理由を聞かされた

「降りるところを見られている。『交際してある』と、『朝帰り』と思われている。あの日は仕事にならなかった」
と院長は苦々しく解き明かしてくれました。

1~2週間を遡ってみましょう。

その朝、院長宅に買い上げられた商品を届けたのですが、診療時間の都合で院長も奥様も立ち会えないんで、彼女一人が自宅に残っててくれたんです。10時を少し回るくらいの時間でした。
私はといえば、この日は天気も良かったので彼女んちに届けたら少し遠くまで飛ばすつもりで、何時もは遊びでしか使わない派手な車を使ってしまった。
なのに彼女はそんなこととは露知らず、
「医院まで送ってください」って言うんだ。
断れない。
「可愛い車ですね」って彼女は誉めてくれる。
つかの間もドライブ気分は勝手に恋人たちでした。樹脂の屋根も取り外していたから尚更気持ち良い。
医院前の大通りは渋滞しており、慌ただしかった。助手席側に商用車やらが忙しく入り乱れて走り過ぎるんで、
「ちょっと待って」
歩道から車道から蟹文字めかして回り込み、車を脅しつつの途切れ途切れの間隔を突いて開け放すドアにて、歩道へとしなやかに呼び水した。
この二人にスポーツカーも二人乗りの着眼点だ。月曜。仕事で乱れる気ぜわしさにあっても際立ってたんでしょう。
たまたま用事で外出着を羽織った職員に、わざわざ医院の近くは見つかるからと離れたところで降り立った、この風景を、見てくれと言わんばかりで注目される羽目に陥ってしまったんです。
ぽかぽかした日差しに身支度の僕らは映画していた。

離れたところというのも、隠れるようにしてと受け止められる。
必見のシーンで見つけた職員にしてみれば、同世代しか勤務していない仲間たちへと跳んで帰って、これ以上盛り上がる話題はないと断言できる。
「彼氏はおられないのかしら
「男嫌い
「結婚は
この決定的な朝までは火種さえ狩り出せなかったらしい。そういうわけで、
「これは
まるでビルを空調から興奮させてしまう騒ぎになったんだ。有名な子だから特にだ。仕事で来院する私も見知っているわけだし。
発見した時間はホテルのチェックアウトの時間帯ともピッタリ重なり、秘話へと一致させた。
「外泊。朝帰り」で決まった


働いている女性達からは、「お姉さん」みたいに慕われ、何と言うことなしに面倒見が良かったという。
人となりに肌優しく、「おめでとう」をユーモアに包み、子猫に鈴がかかったと見て、じゃれあってたんでしょう。
それからというもの、今日ごとに、
「いつ来られるんですか」と私の訪問で冷やかされっぱなしだったらしい。
瑞々しさゆえに打ち解けると蒸し暑い大気へ、まんまと私は飛び込んでしまったわけだ

明日のタイトルは「サクランボの哀しい詩」




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