事実は映画よりも奇なり

乳がんで余命2週の告知もキリスト教の27歳の裏千家師範は延命薬で百八夜を内鍵付きの病室にて戦うも・・・

2/8 さすが裏千家も師範の愛弟子だった

2009年11月25日 11時11分05秒 | 朝顔 「椿灰」 

 3/8

孤立した男の私は、
ヒヨロ、立ち上がり、フラフラ、壁も天井もない土間の応接間、大きなバーベキューのテーブルの側、手作りの長椅子に戻って、
ヘタ、座り込んでしまう。

少しして、気にかけてくれたのだろう、朝風みたいに歩み寄ってくれた娘たちと話し始めるは爽やかさが、止まり木に渡った。
クララの弟子という純粋な立場の人とならば、それも遠方、膨らむ桔梗色の満足感だけ取り出せるかも、と一気に期待した。わだかまりなんて知らない筈だから、とも後ずさりしそうになる気持ちを拭い去れた。
この数週で思い出せたばかりの過去を閃光が照らし出し、破天荒な初舞台の緞帳を上げる今日は六回忌法要の翌日だった。

「テニスなんてどうでも良い」
優に優しい弟子の娘と薄暗くなるまで話し込んだ。
横合いから、キッチリと口を挟む、なかなかしっかりした娘の方は、弟子の両親から御目付け役を仰せつかる友達だった。
近くのペンションを予約していたので御目付け役だけチェックインで先に入ってもらい、弟子と二人だけで花を咲かせる。わナンバーで一足先に離れる御目付け役が、私と山の中で二人っきりになる弟子を心配していた。
二人の掛け合いを思い出すと笑える。
夕食時の呼び出しに応じて送る道は上り坂でした。

興奮しだす西日の、飛び離れて優れだす草葉の影が邪険な透明人間の罪を分身で引き回し、吸い寄せる陰が暗幕で隠さない、隠し切れない、隠しおおせる時でした。

なぜトタン屋根の組み立て住宅もキャンプ場そのものにした小屋に住んでいるのか完璧に理解していたばかりか、その言い回し持つ決まりごとも自然の妙には驚かされた。まだ二十歳ちょっとなのに流石の弟子である。

・・・彼女を観た。

翌朝、少し前から土砂降りも黒髪の山を下り、昨日より一時間ほど早めの十時頃、約束通りにやってきた。
あまりにも気持ち良くって早くから目が覚めている。澄み渡った空に朝霧のしめやかさと共に待ち構えていたら、二十五年ぶりという大型台風十三号が先に来た。
お尻をツルツルのタイヤでモンローウォークさせながら、山道は黒川温泉の露天風呂まで縫い、遅い夜まで三人で過ごす。








コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。