私は、子供の頃、小学校の教師から「仏教では、因果応報と説く。
身体障害者を見ると、親の因果とか、先祖の因果で ああなった
などと云う。これは 怪しからんことだ」と 教えられた。
戦後、日本の因習・文化がすべて否定された時代だった。
文部省選定映画『福沢諭吉』では、諭吉が子供の頃、
祠(ほこら)の中の石を、路傍の石と取り替えても罰が
あたらなかったという逸話が、ことさら衝撃的だった。
こうして、学校教育の現場で、神仏への畏敬の念を
こき下ろす指導がされた。
東京では、ほとんどの家で、神棚も仏壇もない。
だが、名古屋に来て驚いたのは、どこの家庭にも立派な
仏壇がある。毎月一度は「おっす様」と呼ばれる檀家寺の
お坊さんに来ていただいて、お経を唱えていただく。
月始と15日にの2度は、氏神様や檀家寺にお参りに行く。
毎朝行く人も少なくない。
戦後、新興宗教が 雨後の筍のごとく芽生えた。中には
いかがわしいものも多く、マスコミは こぞって
「新興宗教はいかがわしい」という論調である。
しかし、今なぜか宗教ブームである。ロシア正教が一世紀に及ぶ
ソビエト連邦統治下で、徹底的に弾圧破壊にもかかわらず、
復活してきたのと同じ。宗教に救いを求める人、宗教を
生きる糧とする人が多いということだ。
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