一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

シンドラー社製エレベーター問題

2006-06-09 | あきなひ

シンドラー社エレベーター、閉じ込め・急降下各地で
(2006年6月8日(木)08時04分 朝日新聞)

死亡事故以来シンドラー社製エレベーターの信頼性が問題になっています。

シンドラー社はHPに「当社製エレベーターでの事故について」と題する文章を掲載しています。

事故がありましたエレベーターは、シンドラーエレベータ株式会社が1998年に設置を行い、2005年3月までは当社が保守を担当し、その後は2社が保守を行っております。

捜査による詳細が出るまで、事故に関するコメントは差し控えさせていただきます。しかしながら、2006年6月6日時点では、この事故がエレベーターの設計や設備によるものではない事を確信している旨を述べさせていただきたいと思います。


昔エレベーター会社の人に聞いた業界事情です(もう10年以上前の話なので現在は事情が違うのかもしれませんので為念)

① 大手3社の寡占状態
日立、東芝、三菱の3社で市場の70くらいを占めている。4位がオーチスエレベーター(世界シェアではNo.1)、5位がフジテック(世界のシェアは結構高い)で、その他は規模的にはきわめて小さい。

② 利益の源泉はメンテナンス
エレベーターは一度納入すると定期メンテナンスによる収入が継続的に入るので、極端な話大きなビルなどでは原価割れでも納入するほうが大事。

③ メンテナンスのしくみ
メンテナンスはフルメンテナンス(定期点検+部品の無償交換)とPOG(略称うろおぼえ。定期点検のみで部品は都度実費請求)の2つがある。
フルメンテナンスの方が金額は高いが、長期的にはワイヤーの交換など大掛かりな費用が必要になるのでトントンのはず。
部品供給の問題等もあり、納入業者のメンテナンス部隊(子会社)が受注することが多い(こういう形で顧客を囲い込んでいる)。
※その昔、独立系の業者に部品供給を制限したとして大手各社が公取委から指摘を受けたことがあったようです(うろ覚え)

④ 新規参入の難しさ
独立系のメンテナンス専業会社も何社かいる。
中古マンションや中小ビルを中心に管理費削減などにおいてシェアを増やしている。
しかし、メンテナンス会社は定期点検以外に緊急時の閉じ込め対応なども必要で、24時間のコールセンターや対応部隊を揃えないといけないので、独立系といえども参入はなかなか難しい。
※ちなみにエレベーターの非常ボタンは、誤って押したりいたずらも多いので、通常は10~20秒押し続けないとセンターにつながらないようになっているそうです。いざというときのためにお知り置きを。


テレビで聞いたところでは、シンドラー社は世界シェアは2位ですが日本には拠点がなかったため、日本の中堅会社を買収して日本法人にしたそうです。
現在国内シェア1%とかなり厳しい営業状況のようですね。
私自身「そういえばエレベーターでなくエスカレーターで"Schindler"というロゴを見たことがあるような・・・」という程度の認知度でした。

上のリリースによれば、死亡事故のあったエレベーターはメンテナンスはシンドラー社が行なっておらず、同社はメンテナンスの不備が原因と示唆しているように読めます。
もっとも記事を見ると、他のシンドラー社がメンテナンスしている物件でも事故がおきていたようです。
※小ネタですが、普通の電気を動力とするエレベーターは消費電力を少なくするために滑車を中心にして人の乗るカゴとカウンターウエイト(重し)でバランスを取っていて、ウエイトはカゴに定員の1/3(うろ覚え)程度が乗っている状態に設定されているそうです。
なので、ブレーキが壊れた場合「急降下」でなく「急上昇」するそうで、上記記事の「女児をのせて急降下」というのは制御の問題ではないかと思います(あまり自信なし)。
(6/9追記:エレベーターの制御は、地震時には最寄階で停止、火災時には1階に下りて停止、というプログラムが通常のようで、そうだとすると「急降下」というのは火災報知機と制御盤との連携の問題かと)


次に、「では誰に責任があるのか」という話。

エレベーターは建物の一部なので、工作物責任が適用になります(製造物責任(PL)法は不動産には適用にならない)。
そうすると、一義的には管理者、管理者に過失がなかった場合は所有者(これは無過失責任)ということになります。賃貸マンションとか学校などの場合は所有者が責任を負いますが、分譲マンションの場合は共用部なので管理組合(=居住者全員)の責任になります。
そして、所有者はメンテナンスに不備があればメンテナンス会社に求償し、機械自体に不備があれば建築を請け負った建築会社、分譲マンションの場合は売主に瑕疵担保責任を問うことになります。
ただし後者の場合、それぞれの契約で瑕疵担保期間というのが定められているので、一定以上の築年数の物件は責任追及できない、と言うことになります。
そして、シンドラー社は建設会社との契約上の瑕疵担保責任の範囲で責任を負うことになります。

その意味では、シンドラー社は(そもそもが欠陥商品であることを知りつつ納品したのでなければ)被害者に対し直接法的責任を負う立場にはないので、会社の主張も理屈は通っています。 

ただ、商売として考えるのであれば 

シンドラー社のエレベーターは事故が多い 
しかも事故原因がメンテナンスにあるのか機械にあるのかの立証は難しい 
会社としても法的責任をベースにしてしか対応しない 

となると、発注主も二の足を踏んでしまうので、ここで受身で開き直るのは得策ではないと思います。
また、仮に機械自体に問題がなく、メンテナンス(自社および独立系業者)に問題があったとしても、レピュテーションは大きく傷つくと思います。 その意味では今回の対応は問題が多いと思います。
国交省次官、シンドラー社の対応に不快感(朝日新聞)
 (2006年6月8日(木)19時00分 朝日新聞)など参照


では、なんでこういうことが起きてしまったのでしょうか(報道されたように自社メンテナンス物件でも事故があるという前提で)。
想像するに

① 営業先は全国に広がるものの、メンテナンス組織を全国に張り巡らせることが費用的に負担だった。

そのため
②-1 一部地域では独立系のメンテナンス業者にまかさざるを得なかった
②-2 支店といいながら地元業者へのフランチャイズのような形を取らざるをえなかった
②-3 直営面メンテナンス部隊を作ったものの、人員が十分でなかった

③ また、メンテナンスでも利益を上げようと、手順を省略し小人数で簡略なメンテナンスマニュアルを作ったり、独立業者への部品供給においても高値を提示し結果的に部品交換をしないインセンティブを与えた

④ その結果メンテナンスのレベルを維持できなかった

というようなことだったのではないかと思います。
 

今回の事件で心配は、スイスの本社で「どうせ1%のシェアだしここまで評判が傷ついたら回復は難しそう」といって日本を撤退してしまうことです。
そうすると、部品の供給が滞り、利用者は困ってしまいます。
世界的メーカーらしいので、そこまですることはないとは思いますが・・・

万が一シンドラー社に「バンザイ」された場合に、構造偽装同様公的援助、ということになるのでしょうかね・・・
政治家の先生方は、構造偽装問題に比べてそこまで積極的でないかもしれませんね。




ということで最後にちょっとメモ
総研の詐欺容疑、立件を断念…捜査終結の方向
(2006年 6月 8日 (木) 03:01 読売新聞)
だそうです。

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農業従事者の天国(極楽)と地獄

2006-06-08 | 余計なひとこと

余丁町散人さんが農業協同組合新聞の記事を紹介されていました。
農林水産「9条の会」が全国のつどい開く

この改憲反対理由がふるってます(下線筆者)

とくに今回の改憲の動きが日本の食料自給率の低さと海外依存の強さとを関連させ、自由貿易を守り海外輸送の安全を確保する必要がある、といった理由づけをして9条改正が考えれていると指摘。
こうした改憲の動きを抑えるためにも食料自給率向上とWTOルールの改定などを要求する運動を強めることや、消費者・市民との連携で農業や地域を守ることも一層重要になるなどと話した。

便乗というか牽強付会というか・・・



そしてちょうど今日この判決が。

ドミニカ移民訴訟、国の対応「違法」 賠償請求は棄却
(2006年 6月 7日 (水) 13:02 朝日新聞)  

1950年代後半、政府の政策に応じて中米・ドミニカ共和国に渡った日本人ら計170人が「募集時の約束と異なる悪条件の土地を与えられ、困窮生活を余儀なくされた」として、国に計約32億円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は7日、請求を棄却する判決を言い渡した。
金井康雄裁判長は「外相や農相、担当職員は、農業に適した土地かどうかを調査する義務や、移住希望者に情報を提供する義務に違反した」と述べ、当時の国の対応は違法だと指摘した。しかし、提訴時には入植から20年以上が過ぎ、賠償請求権が消滅していたと結論づけた。

〈ドミニカ移民〉
56~59年、日本からドミニカ共和国に249家族(1319人)が入植した。戦後、海外からの引き揚げ者などで急増した人口を減らすため、日本政府は中南米への移住を推進。ドミニカ移住もその一つだった。募集要項では約18ヘクタールの肥沃(ひよく)な土地を無償譲渡するとされたが、実際の配分面積は狭く、土地も耕作不適地で、移住者に所有権はなく耕作権しかなかった。移住者の生活は困窮し、61~62年に約130家族が国費で集団帰国した。残留した移住者は00年に提訴。帰国者も訴訟に参加し、併合審理されていた。

判決自体は仕方ないと思うのですが、国がなんらかの救済措置をとるべきではないかと思います。


ところで上の「9条の会」の構成員は親の田畑を受け継いだ農家の方々がほとんどだと思うのですが、今日のドミニカ移住問題の判決を見てどう思うのでしょうか。

ドミニカ移住計画は要するに国による体のいい「口減らし」だったわけで、同じ農業に従事する者として(そして移住者のおかげで過当競争を避けられた者として)、かつての仲間に援助の手を差し伸べようという発想は・・・多分ないのでしょうね。

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金融商品取引法成立

2006-06-07 | ネタ
ファンド規制強化 金融商品取引法成立
(2006年 6月 7日 (水) 16:03 産経新聞)


おそらく通称「「金取法」と呼ばれることになると思います。





ちなみに、「マン管法」と呼ばれている法律もあります
(正式名称は「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」です)












いえ、それだけの話なんですけど・・・






ちょっと
品格品確法
上問題ありましたか?
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ヤブヘビだった?

2006-06-07 | M&A

村上氏の記者会見は検察のお気に召さなかったようで、続々とネガティブ・キャンペーンが張られてます。

資金足りずLD接近 株買収で村上ファンド
(2006年 6月 7日 (水) 06:58 共同通信)
村上ファンド、ライブドアの株買い占め準備を認識
(2006年 6月 7日 (水) 03:01読売新聞)
ライブドアの時間外取引、村上元代表が仕組む
(2006年 6月 7日 (水) 03:00 読売新聞)


さらにちょっとした疑問。

証券取引法では、インサイダー取引に関する罰則として財産の没収というのがあります。

第198条の2
次に掲げる財産は、没収する。ただし、その取得の状況、損害賠償の履行の状況その他の事情に照らし、当該財産の全部又は一部を没収することが相当でないときは、これを没収しないことができる。
一  第百九十七条第一項第七号若しくは第二項又は前条第十九号の罪(=「第百六十六条第一項若しくは第三項又は第百六十七条第一項若しくは第三項の規定に違反した者 」)の犯罪行為により得た財産
2  前項の規定により財産を没収すべき場合において、これを没収することができないときは、その価額を犯人から追徴する。

ところで、ニッポン放送の株式を保有していたのは6/3付朝日新聞によれば

複数の会社の複合体からなる村上ファンドのうち、大半のニッポン放送株を所有してきたのは投資顧問会社「MACアセットマネジメント」。

ということです、ところが今は同社は投資顧問業を廃業し、投資ヴィークルも阪神電鉄の大量保有報告書を見るとシンガポール法人に一本化しているということは、MACアセットマネジメント名義の財産はほとんどないんじゃないか、と思われます。

そうすると「財産の没収」が適用された場合、上の証券取引法198条の2第2項の「前項の規定により財産を没収すべき場合において、これを没収することができないときは、その価額を犯人から追徴する」が適用され、「犯人」である村上氏個人の財産にかかってこられてしまうのではないでしょうか。


とすると、何のためのシンガポール移転で、何のための記者会見だったのか、というのがなおさらわからなくなってきてしまいました・・・

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組織運営の難しさとか世代論とか

2006-06-07 | あきなひ

村上ファンドを見てみると主要メンバーの異常なまでの「内輪」度合いに気づきます

創業メンバー(現パートナー)は
 村上 世彰 1983年 東大法学部卒
 丸木 強   1984年 東大法学部卒
 滝沢 建也 1983年 東大法学部卒
そして顧問弁護士で監査役の
 中島章智   1984年 東大法学部卒

とほとんど同級生に近いですね(中島氏は生年や弁護士登録年次からみると実際に同級生かも)

ブティックの投資顧問業という性格から、機動性や価値観の統一が求められるために仲間うちで強固な連帯を取るというのは合理的な行動だと思います。
※団塊の世代と団塊ジュニアにはさまれた谷間の世代としては、(スポンサーとしてならさておき)上の世代の人間とビジネスで組んでもロクなことはない、という気持ちも、わからなくもありません。

しかし、ファンド7本で運用資産が4,000億を越え、しかもアクティビストを売り物にしている(=その分役者が必要)となると、体制的には限界に近かったのではないかと思います。
その結果、7本のファンドは合同運用に近い形で、最後は阪神電鉄の1点買いによる大勝負をせざるを得なくなっていたのかもしれません。


一方でホリエモンの組織運営は、近づいてくる人の中で使えそうな人をとりあえず使い、逆に使えない・気に入らないと思えばすぐにクビにする(袂を分かつ)という感じで、そのへんまことにドライというかあっけらかんとしています。

それが、収益の源泉のファイナンス事業に偏った運営になり、また、そういう「わがまま」なスタイルが最後には宮内氏の供述のきっかけにもなったのだと思います。


このような村上ファンドの「この最後まで内輪で抱える」スタイルとホリエモンの「自己中・あっけらかん」スタイルの違いは、経営者の性格(エリート意識と圧倒的な自負心)によるのでしょうか、はたまた世代の特性(谷間の世代と団塊ジュニア)によるものなのでしょうか。

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村上氏逮捕

2006-06-06 | M&A

いやあ、なかなか展開が早いですね。

最近のビルはエレベーターで株価・為替とbloombergとか日経のニュースを流していて、今日いきなり「村上氏記者会見」とあったので、テレビをつけて実況中継を見てしまいました。


まあ、相変わらずよう喋るオッサンなのですが、内容的には

「確かに宮内さん(ORIXでなくLDの)が『村上さん、よろしくお願いします』と頭を下げたのは記憶にあるのですが、それがインサイダー情報にあたると言われてしまうのであれば、身の不徳を反省するしかない。だから検察調書にサインした」

というようなものでした。
ただ、ケレンの人は発言に毒がなくなると迫力もなくなるな、と思いました。
記者会見の意図が今ひとつわからなかったのですが、自分は「殉教者」であることをアピールしたかったのでしょうか。
※細かくは(会見で予告したとおりHPに個人名でupされたhttp://www.maconsulting.co.jp/PDF/060605_apology.pdf にまとめてあります。



あとは雑感をいくつか


宮内氏が落ちたのが村上氏の誤算?

ホリエモンと村上氏が阿吽の呼吸で取引を進めるのでなく、ホリエモンは宮内氏に取引の絵図を書かせていたために、宮内氏が落ちてしまった結果、LD-MACの協議内容が明らかになってしまったのが誤算だったのでは。


村上氏のシンガポール移転の理由

素直に考えれば、逮捕は避けられないと考えた村上氏が、国内に運用会社を置いていきなり投資顧問業の免許停止をくらうより、シンガポールに拠点を置いた方がファンドの後始末が可能と思ったのかもしれません。自らの処遇だけ考えると、国外にベースがあると保釈も出にくいので不利になると思うのですが。


検察の次のターゲットは?

ホリエモンは脇が甘そうですし、ライブドア周りにはキナ臭い人々(シャブ中のマンション屋の社長とかそのスポンサーとか)が集まっていたようなので、そっちの方面は当然検察はターゲットにしていると思われます。
村上ファンドも会見では7本のファンドを運用していたそうで、その中にはキナ臭い人々がいるのかもしれません。
もしそうだとすると、どこまで村上氏が話したのかがポイントになります。
村上氏がもし、自分が実刑をくらっても最後まで顧客の名を明かさなかった仕手筋誠備グループの加藤嵩のような人物だとしたら記者会見など開かないのにな、などとも思ったりしました。
またはターゲットは青目?


インサイダー取引ののひとつの基準が出来てしまったのか

「是非(5%以上)買いたい」という発言を聞いたことで証取法167条のインサイダーになるとすると、けっこう実務上影響があるのではないでしょうか。
たとえば「新日本製鐵㈱・住友金属工業㈱・㈱神戸製鋼所間の連携施策の推進状況と更なる深化を確実にするための三社覚書締結について」(2006/3/29、新日鉄のHPからご参照を)をみると次のような記述があります。

これまで、三社は、従来の施策に加え、昨年3月末以降、以下の通り連携施策の実行・検討を着実に推進しております。
(中略)
また、これらの提携策の検討及びその実行をより一層円滑かつ確実に推進して行くため、相手方に出資を行ってまいりました。結果、新日鉄は、住友金属の普通株式を240,826千株(5.01%)、住友金属は、新日鉄の普通株式を123,512千株(1.81%)、新日鉄は、神戸製鋼の普通株式を63,975千株(2.05%)、神戸製鋼は、新日鉄の普通株式を28,017千株(0.41%)、住友金属は神戸製鋼の普通株式を63,975千株(2.05%)、及び神戸製鋼は、住友金属の普通株式を82,184千株(1.71%)、保有するに至っております。

とすると、新日鉄が住金の株の5%超を取得する意向があることを知りながら住金株を取得した神戸製鋼はインサイダー取引なるのでしょうか。

村上氏は元は九州の出?

記者会見で気がついたのですが、正統派の九州村上氏らしく「ムラカミ」の「ラ」にアクセントをおいてましたね。

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いきなり逮捕、のようです。

2006-06-05 | M&A

村上代表5日に逮捕・ニッポン放送株インサイダー容疑
(2006年6月5日 7:00 Nikkei Net)

強制捜査を待たずに逮捕、ですか。
シンガポールに移住したあたりが逆に身柄拘束されやすくしてしまった、ということもあると思いますが、検察側もライブドアの捜査でかなり確証を持っているということでしょう。

記事を見ると、ライブドアのフジテレビ株取得の意思決定がかなり早い時期になされていて、その後に村上ファンドが株の取得をした、というシナリオのようです。

インサイダー取引規制における「重要情報」というのが特に関係者の意思決定にかかるものである場合、どの時点で重要情報になるか(=意思決定がなされたか)というのはけっこう微妙な面もあり、今回の検察(最終的には裁判所)の解釈が友好的買収などに影響を与えるような物でないことを期待します。

また、47thさんの指摘のように、ライブドアと村上ファンドが「共同買付者」だ、と主張した場合、(2者合計で30%を越えてから市場外で取得するシロートのようなTOB規制違反をしていれば別ですが)別人格ならダメよ、という厳格な解釈をされるのと、実務的にはけっこう影響があるかと思います。


それはさておき

村上代表ら同ファンドの幹部4人を証券取引法違反(インサイダー取引)容疑で5日に逮捕する方針を固めた

とあるのですが、村上ファンドは小所帯なので上4人が逮捕されるとライブドア以上に身動きがとれなくなってしまうわけで、投資家としては、解約・資金回収にも支障が出るのではないかとビビっているのではないかと思います(まあ、プロの世界なので、これこそ自己責任か・・・)。


あと、逮捕できるまでネタが上がっている中で強制捜査をするとなると、検察はライブドアだけでなく村上ファンドのお友達まで捜査の視野に入れているということなんでしょうね。


出勤前なのでとりあえずこんなところで。

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長時間の講演で聴衆を覚醒させ続けるための技法

2006-06-04 | よしなしごと

内田樹先生のblogからのメモ。

「声のピッチやイントネーションを絶えず切り替える」

「壇上で挙動不審なふるまいをする」

これは私自身が布教使のかたがたからははなから「誰だろ、こいつは?」的な怪しい人物に見えているはずなので、普段通りふるまっているだけで、十分な挙動不審性は確保できるのである。

「何を言いたいのか聞いてもよくわからない」

人前で話す機会のあまりない方はしばしば誤解することであるが、聴衆の関心をある程度以上長い時間ひきつけ続けるためには、理路整然、口跡明瞭、言いたいことがきっちり伝達されるような話し方をしてはいけない。一つ一つのセンテンスは統辞的に明瞭であるにもかかわらず、あるセンテンスの次にどういうセンテンスが続くのか、まったく予測できないような乱数的コンテクストを展開することが必要なのである。

「話題のたびに別人格に憑依する」

言い換えると「物まね」である。子どもの話をするときは子どもになってみせる。おばさんの話をするときはおばさんになってみせる。声色をかえ、しなをつくり、壇上を歩き回り、ガンを飛ばし、つばきを飛ばし、しゃがみこみ、飛び上がり・・・いろいろな人物を演じ分けてみせる。



ではこれが講演をする機会のない自分が、仕事上でのプレゼンなどに使えるか、とちょいと考えてみました。

プレゼンの技法として理論的に説得したり選択肢を提示して判断を求めるほかに「Eureka!」(目からウロコ、実はこうだったんだ!と気づかせる)というのがありますが
「一つ一つのセンテンスは統辞的に明瞭であるにもかかわらず、あるセンテンスの次にどういうセンテンスが続くのか、まったく予測できない」
というところは、「Eureka!」的なプレゼンで陥りがちな以下のようなミスのチェックポイントになりそうです。

プレゼンで「仕掛け」を作ると、迷彩を施す事に熱心になる結果、「一つ一つのセンテンスが統辞的に不明瞭」でそもそも意味不明になってしまう。

仕掛けに落とし込む事に腐心した結果「あるセンテンスの次にどういうセンテンスが続くのか、予測できてしまう

考えてみると、結局こういうミスは、仕掛け自体がたいしたことがないのに、たまたま思いついたもんだからそれに拘泥してしまうことが原因なんですね。

うーんこれってプレゼンより、ブログで「落ち」ずに単なる意味不明や自己満足になってしまったエントリに当てはまるかも・・・反省・・・

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村上ファンド強制捜査へ

2006-06-03 | M&A

村上氏を任意聴取 週明け強制捜査強まる
(2006年 6月 3日 (土) 12:12 共同通信)

村上ファンドのニッポン放送株売買をめぐるインサイダー取引疑惑で、東京地検特捜部と証券取引等監視委員会は3日までに、同ファンドの村上世彰氏(46)から任意で事情聴取したもようだ。検察当局内の最終協議は終わっていないが、証券取引法違反容疑で週明けにも強制捜査の見通しが強まっている。

同放送株を一時大量取得したライブドアの前取締役宮内亮治被告(38)=同法違反罪で公判中=が東京地検特捜部の調べに「村上ファンドがニッポン放送株の争奪戦から撤退し、ライブドアは仕方なく買い続けなければならなかった」と供述していることも判明。

他紙は任意聴取についての報道程度で、朝のテレビ番組でも立件までにはハードルが、とかいう論調だったのですが、共同通信が踏み込んで書いてます。

インサイダー取引規制については47thさんtoshiさんの記事をごらんいただくとして、上の共同通信の記事の「争奪戦から撤退」というのが前段が関係があるとすると、村上ファンド側は保有株をライブドアに売却しながら、さらに何らかの形(別ビークルなり、別のお友達を通じて)で「争奪戦」に参加していた約束があった、とか、そもそも村上ファンドの当初の取得時点からライブドアによる株取得のシナリオができていたということなんでしょうか(証券取引法167条だと「買付け」が禁止されるだけなので)。

いずれにしろ裁判所の捜査令状が取れる程度の証拠はある、ということですね。

*********************

と、ここまで書いたら、
堀江被告から内部情報 インサイダー取引疑惑
(2006年 6月 3日 (土) 17:58 共同通信)

「村上ファンド」のインサイダー取引疑惑で、同ファンドを率いる村上世彰氏(46)はライブドアの前社長堀江貴文被告(33)=証券取引法違反罪で起訴=からニッポン放送株買い占めの内部情報をライブドアの取締役会での決定前に聞き、同放送株を買い増した疑いが強いことが3日、関係者の話で分かった。

東京地検特捜部と証券取引等監視委員会もこうした経緯を把握。疑惑の核心とみて、村上氏の任意の事情聴取で、同放送株の売買について説明を求めたもようだ。

 ということは、相当前からシナリオができていた、ということなんでしょうか。


一方こんなニュースも
阪神株のTOB成立へ 村上氏、売却の意向伝達
(2006年 6月 3日 (土) 16:07 共同通信)

関係者によると、村上氏が電話で「TOBが成立するよう阪神株を売却する方向で検討する」と伝えてきた。同時に「1週間ぐらいをめどに手続きを進める」とTOB応諾の手続きに入ることを示した。

投資家から資金の引き上げへの対応なのでしょう。
外国の年金などはかなり神経質でしょうから。

でも阪急はちょいとつらいですね。
もうちょっと粘っていればよかったのに、よほど株主提案が怖かったんでしょう。
今更「やめた」とか「まけてくれ」とは言えないですし・・・

ひょっとすると検察もTOBで出口が確保され、村上ファンドを立件しても投資家がクラッシュしないことを確認してから動いた、ということなのでしょうか。


PS
昨日マスコミに文句言っておいて、当の本人が尻馬に乗って憶測ばかりしてますね(自爆)

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外形標準課税における「資本割」分

2006-06-03 | あきなひ

1044社、1億円以下に減資 課税逃れ目的か
(2006年 6月 3日 (土) 09:04 朝日新聞)

 資本金1億円超の企業にかかる「外形標準課税」の適用が始まった05年3月期決算の対象企業のうち、資本金を1億円以下に減資して外形標準課税の対象外になった企業が全国で1044社にのぼることが総務省の調べで明らかになった。このうち100億円以上あった資本金を1億円以下に引き下げた極端なケースも29社あった。これらの企業が赤字なら少なくとも2000万円以上の節税効果があり、多くは外形標準課税から逃れることが目的だったと見られる。

極端なケースでも2000万円というところがいまひとつ小さいのは、外形標準課税の「外形」の中で資本金額に応じて課税される部分は結構小さいことによります。
(制度の詳細はこちらおよび下図を参照ください)



会社法では最低資本金制度が廃止され、そもそも「資本金」というものの性格も変わってきた中で、既存の会社が減資をして「けしからん」のであれば、そもそも「資本金1円会社」もけしからんということになってしまいます。

ちょっと制度として「資本割税率」というのが時代遅れになりつつあるように感じます。

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場外乱闘(追記あり)

2006-06-02 | 余計なひとこと

東京地検、村上ファンドを捜査 証取法に抵触の疑い
(2006年 6月 2日 (金) 03:09 朝日新聞)

村上世彰氏が率いる投資ファンド(村上ファンド)の投資活動の一部に証券取引法に抵触する疑いのあることが関係者の話でわかった。東京地検特捜部は、株式の取引記録など関係書類を分析するとともに、取引関係者らからすでに事情を聴くなどして、慎重に捜査を進めている模様だ。

強制捜査がはいったわけでも逮捕されたわけでもないのに、昔から噂されていた話を今さら検察のリークに載って各誌一面トップという扱いはどうなんでしょうか。

新聞はインターネットに対抗するためにも調査報道に力を入れるのはずだったでは?

検察もリークしといて「慎重に」というのは・・・

村上ファンドがルール違反をしていたのならルールに従ってきちんと咎めるべきで、このようなやり方で溜飲を下げるという「リング外」での決着をつけようとするのであれば、勝負は金持って逃げた村上氏の「勝ち」になってしまうのではないでしょうか。


<追記>

朝一で書き飛ばしたために何がいいたいかわかりにくかったので追記。

報道を見てみると、検察のリークなのか、もともと噂はあったのでマスコミが「検察がいつ動くか、抜かれたらまずい」の横並びモードでなだれを打ってフライングしたのかようわかりませんが、検察リークというのは考えてみればこの時点ではあまり意味がないですね。立件が難しそうなので社会的に葬ってやれとかいう意図があれば別ですが。
となるとマスコミ側ということになるわけですが、インサイダー取引の論点は当時から(著名blogなどでも)出ていたわけですし、公開情報からでもそれなりの整理はできるはずです。
でも検察が動くと確証がなければ怖くて(自信がなくて?)記事にできないうえに、「・・・という報道がなされた」(って自分で報道してるんじゃないw)というだけで急に中身のない報道を一斉にはやし立てるのはいかがなものか、と言いたかったわけです。

そんなことにいちいち目くじら立てる方がいかんのかもしれませんけど・・・

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GKの野望

2006-06-01 | よしなしごと
サッカーワールドカップドイツ大会開幕まであと10日となり、マスコミ(特に放映権を買ったTV局)の特集も力が入ってますね。
また昨日親善試合でドイツとも引き分けたりして(せっかく取った2点を守りきれなかった、という見方もありますが。)ようやく盛り上がってきました。
※それにしても松木安太郎の「解説」は勘弁して欲しいです。


さて、話は急に変わりますが、どの業界でも業界用語というのがあます。たとえば弁護士の先生などは有限会社のことを「YK」と呼んでいます。
匿名組合は「TK」とこれもフリガナ略称ですが、「投資事業有限責任組合」は長いためか英語の「LPS」が当てられています。
更に、「資産の流動化に関する法律」(片山さつきセンセイの出世作ですね)に基づく「特定目的会社」というのがあり、これはまたフリガナ読みで「TMK」と呼ばれています。
※「TMK」までくると、最初に聞いた人は一体なんだ?という顔をするので、私は「月島もんじゃ協同組合」の略だ、と説明するようにしています。


この有限会社ですが新会社法では有限会社という形態自体ががなくなってしまいました(既存のものは存続できます)。
いままで有限会社は証券化スキームの投資ヴィークル(資産を保有する主体)としてよく使われていたのですが、新会社法下では新しく作られた「合同会社」が代わりに利用されることになると思います。
ただ施行直後で実務が固まっていないので、とりあえずは駆け込みで設立しておいた有限会社を使ってしのぐいだりしているわけですが、在庫がなくなってくるとそろそろ真剣に合同会社を使うことを検討する必要に迫られてきつつあります。

で、この合同会社は立法当初は「日本版LLC」などと英語風に呼ばれていましたが、どうやら「GK」とフリガナ読みで呼ばれるようになりそうです。

このワールドカップモードで「GK」とくれば、つぎに「FW」「MF」「DF」も欲しくなるのが人情ですね。


出資者などのイニシャルも全部そろえてこんな布陣を作ってみたいと密かに思っている今日この頃です。

(完成予想図)



※ ローンは「ダイナミック・ファイナンス」ABCとか
  劣後ローンは「メトロポリタン・ファンド」1号2号・・・とか
  社員は「フューチャー・ワールド」ⅠⅡとか
  
  ・・・なんかかなりインチキっぽいですねw
コメント
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