一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

『敵対的買収の最前線』

2008-04-09 | 乱読日記
toshiさんの課題図書に指定されていたので購入してみました。

『敵対的買収の最前線―アクティビスト・ファンド対応を中心として』というものものしい副題がついています。
本書は「西村高等法務研究所叢書」というシリーズの2冊目で、西村あさひ法律事務所の研究部門である西村高等法務研究所の講演会をまとめたものです。

なんかやたらと「高等」が目について、講演会のまとめなら「口頭」じゃないか、などとまずは悪態をついてもみるのですが、考えてみればこの手の本はけっこうありがたいです。

講演会といっても、人気のものだとそもそもはいれないし、スケジュールがあうとも限りません(それに講演会だと「緊急の要件」に負けてしまうことも多い)。
また出たは出たで満員だと冬場は特に荷物の置き場がないし(まあ、「西村高等・・・」であればホテルのクロークつき宴会場とかでやるのでしょうが)、夏場は隣の人が体臭がきつかったりすると最悪です。
なので、講演内容をまとめた本は時間のあるときに細切れで読めたり、ポイントは読み返したりできるのでけっこう重宝します。
本書もコンパクトにまとまっていて、講演時のスライドなども乗っているので、自分の資料にパクれを作るときに参考にもなります。
これで1400円は時間効率からいってもお買い得です。


内容的には、落合中央大学教授、中山弁護士、マーク・ラムザイヤーHLS教授らが委任状争奪戦(proxy fight)について、岩倉弁護士がブルドックソースの話(高裁決定時点)をしています。

中山弁護士は委任状勧誘と株主提案権の行使について概観をさらっとふれています。
これはモリテックスの事件に代表されるように、いざ実戦となると相当いろいろなパターンがあるでしょうから、奥が深い話です。
(大統領選挙の集計でももめるアメリカ由来の議論だからというわけでもないでしょうが)

さらに保管振替機構の実質株主名簿にカストディー名義で登録されている場合の大量保有報告とのずれについてもさらっと書かれていますが、この辺もけっこう厄介な問題がありそうです。

実務的には詳細な検討がされている中での氷山の一角の講演だと思いますので、ぜひ氷山の水面下の部分も別の論稿で拝見したいと思います(というか、そこは仕事として依頼しなさい、ということでしょう。)。


講演を聴きにいって、最近のトピックスや論点を仕入れる、という役目は十分果たせる一冊だと思います。


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