一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

新年早々「当たり」の予感

2005-01-04 | 乱読日記
今日から仕事始め。

年末に休暇中の残務処理をしておいたので、順調に復帰できた。

正月休みはヌクヌクとしていたのでおやすみしていたが、半身浴も復活。

新しい課題図書は、スティーブン・ピンカー「人間の本性を考える」

この本は、人間の行動について環境的な要因と遺伝的子な要因について、環境的要因がすべてだという極端な立場がしばしば中庸な立場とみなされ、遺伝的子の影響を(すべてではなく)一部として認める立場(=人間の本性というものが存在すると認めること)は人種差別や性差別、戦争や大量虐殺、政治的反動を是認することだと考えられてしまうのか、を問題意識としている。

著者はその考えを「ブランク・スレート(空白の石版)」説(=人間の心は固有の構造を持たない白紙状態で、社会やその人自身が思いのままに書き込めるという考え)と呼び、ブランク・スレート説が現代において以下に優勢な地位を占めるようになってきたか、それに対して人間の本性について新たにわかってきた考え方がどのような疑問を呈し、またそれに対しどのような懸念がもたれているか、そしてより豊かな人間本性の概念が社会生活や道徳にまつわる論争にどのような洞察をもたらすか、について述べている(今までのところでは「述べようとしているらしい」というのが正確か)。

この本、出だしは「当たり」の予感。
著者の広範な知識、客観的かつ公平であろうとする姿勢とウイットに富んだ語り口により、うまく本の中に入っていける。


こりゃ新年早々縁起がいいわい。


ところで、本書の論旨とは関係はないが、人間本性のタブーが議論を曲げてきたことの描写として、次のような部分がある。


「・・・「一部」と「すべて」、「おそらく」と「つねに」、「である」と「べき」の初歩的な区別さえ盛んに無視されている・・・」
「・・・アイデアを分析する場面で、政治的な誹謗中傷や個人攻撃がされることもある・・・」


こういうことって、会社の意思決定でたまにあるよね・・・

人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (上)

NHK出版

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