先日のニュースの主役の著書です。
東京高検、石橋産業事件の田中森一・元特捜検事を収監
(2008年3月31日(月)20:06 読売新聞)
特捜検事が内幕を書いた本は多分初めてなのではないかと思うのですが、なかなかリアリティがあります。
著者は長崎の離島の貧しい生活を脱却しようと大学進学を志し、そして司法試験に合格、検事任官後は捜査畑のたたき上げとして頭角を現し、弁護士に転じた後は「バブル紳士」との交流、と戦後の貧しい時代から55年体制の中の検察、そしてバブル経済とその崩壊と戦後日本と併走するかのような人生を一気に読ませます。
幻冬舎のこの手の自伝本に共通する、ライターが入っているのではないかと思わせるような語り口の上手さがちょっと気になりますが、内容的の面白さがこれを補っています(最後に自分の訴追された事件に関してはさすがに歯切れが悪くなりますけどそれは仕方ないですね)。
企業や公務員、議員だけでなく特捜検察といえども、組織や人間の営みである以上「絶対的な正義」はない、ということが共通認識として広まったことが、戦後60年の日本社会の成熟した証かもしれません。
東京高検、石橋産業事件の田中森一・元特捜検事を収監
(2008年3月31日(月)20:06 読売新聞)
特捜検事が内幕を書いた本は多分初めてなのではないかと思うのですが、なかなかリアリティがあります。
著者は長崎の離島の貧しい生活を脱却しようと大学進学を志し、そして司法試験に合格、検事任官後は捜査畑のたたき上げとして頭角を現し、弁護士に転じた後は「バブル紳士」との交流、と戦後の貧しい時代から55年体制の中の検察、そしてバブル経済とその崩壊と戦後日本と併走するかのような人生を一気に読ませます。
幻冬舎のこの手の自伝本に共通する、ライターが入っているのではないかと思わせるような語り口の上手さがちょっと気になりますが、内容的の面白さがこれを補っています(最後に自分の訴追された事件に関してはさすがに歯切れが悪くなりますけどそれは仕方ないですね)。
企業や公務員、議員だけでなく特捜検察といえども、組織や人間の営みである以上「絶対的な正義」はない、ということが共通認識として広まったことが、戦後60年の日本社会の成熟した証かもしれません。