一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

介護保険制度について(その2)

2007-06-14 | まつりごと

介護保険制度についてはあまり調べないで思いつくままに書いていたのですが、Nikkei BP netに「コムスンを生み出した瀕死の介護業界」 という記事があり、制度の変遷と問題点について簡潔にまとめられていました。 

介護保険制度導入後、給付が当初の見込み以上に増大したため、政府は財源不足に危機感を持ち、06年に仕組みを抜本的に見直し「介護予防サービス」を新設し、予防重視に切り替えて給付を抑制する措置を取りました。

しかし

そのやり方が極端かつ強引の上に準備不足だったために現場には混乱が生じている。利用者は必要なサービスを受けられず、介護サービス会社(事業者)は収益の悪化と人材不足に悲鳴を上げ、介護スタッフは報酬カットと労働強化に苦しんでいる。

そして

事業者は監督者である自治体の指導や改善命令を恐がって、利用者へのサービスよりも保身に走り、必要以上に自粛している。
 (中略)
こうした不正行為は厳しく処罰するべきだが、だからといって必要なサービスを利用者から奪い取ることは許されない。厚労省や自治体は不正行為を取り締まるだけでなく、給付の適正さをチェックし、適正なサービスは提供するのが当然だろう。

ここまではなるほど、と思いながら読んでいました。

ただ、最後のくだりに  

介護保険料を支払いながら、これまで受けていたサービスが急に受けられなくなるというのは、民間企業であれば契約違反だ。サービスを受けられる権利を得ながら(介護認定を受けながら)、保険料だけを払い続けて、サービスを受けていない利用者がいることを厚労省はもっと深刻に考えるべきではないか。今後、保険料を払いたくないという国民が増えることが危惧される。

この記事は連載の第1回のようですが、それにしてもこのまとめは疑問です。 


介護保険制度がまだ試行錯誤の段階にあることは記事を読むと良くわかります。
であればこそ「厚労省や自治体は不正行為を取り締まるだけでなく、給付の適正さをチェックし、適正なサービスは提供する」ために制度や運用を改善していく必要があります。

そのなかで、利用者だけが過去に受けていたサービスを当然のように継続して受けられる権利を持つ、ということを前提に置くのはどうなんでしょうか。

年金や医療保険でも、財政難に陥ったり、公平の観点から問題があれば仕組みの見直しを行ってきました。
出来たばかりの介護保険制度はまだ制度として十分定着していないわけですから、この時点で「当初のサービスを受ける権利」を声高に主張するだけでは、かえって制度の破綻を早めるだけだと思います。

制度の不正や無駄をなくし、国民が広く、かつ将来にわたって、できるだけ高レベルの介護サービスを受けられるようにするにはどうするべきか、という議論が必要だと思います。


今回の騒動で、どうやら介護保険制度うまくいっていない(それも、利用者のサービスは低下、財源は不足、事業者も赤字、従事者の労働受験も悪いと、だれもHappyになっていない)ということが明らかになったのですから、傷口が浅い今のうちに、そもそも「保険」制度が最適なのかというところまで含めて幅広く議論することが必要だと思います。


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