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一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

『共生者 株式市場の黒幕とヤクザマネー』

2009-01-14 | 乱読日記
『情報革命バブルの崩壊』では「論外」として扱われていたろくでもない事業を怪しい筋からのファイナンスとM&Aで化粧している会社(切込隊長自体はこっちを語っても詳しそうですが)の仕組みやそこに関連する人々について実名で語っているのが本書です。

著者は証券会社勤務後、ソフトバンクでイー・トレード証券の立ち上げに携わります。そのとき知り合った仕手筋を顧客として囲い込む中でいろいろな筋の人と知り合い、時にはファイナンスのスキームを提案したりしていました。
そのへんの仕手筋の裏話から資金供給する暴力団との関係、資金繰りに困った会社が仕手筋や暴力団の手に落ちたり、新興企業の経営者やファンドマネジャーたちが取り込まれていったり、それに群がって一儲けをたくらむ「共生者」たちの実態が描かれています。


著者は適法なファイナンス(資金調達)の手伝いをしているだけで違法な行為には関わらないことをポリシーにしていたそうで、まあ、それはそうと信じるとしても書いていない(書けない)部分は他にいっぱいあるんだろうなという感じでもあります。

さらに著者は最近の仕手筋の変質を指摘しています。
昔は市場で株価を吊り上げて高値で売り抜けるという「真っ当な仕手戦」をやっていたものが、今は第三者割当てた新株引受権付社債などを投資ビークルで取得しその出資権を市場外で転売していったり、会社の経営権を握り自らの会社に融資をさせたり担保提供させるなどで会社を食い物にしていく、という市場外に活動を移していて(春日電機などがいい例です。)、そこは市場外なので法の規制がほとんど及ばないため、詐欺・甘言・恫喝・脅迫なんでもありの世界になっているそうです。
こうなるともはや「錬金術」ですらなく、「相手の弱みに付け込み、当事者能力を奪ってしゃぶりつくすのは、ヤクザの”シノギ”そのものである。」
といいます。


普段の仕事では怪しそうな案件はその時点で排除してしまうのですが、投資ファンドの仕事をやっているインセンティブ報酬の高い(=体のいい歩合制です)連中はけっこうややこしいものに手を出していたりしていしたようです。
これからそういう「しこった」投資案件の破綻や換金処理の過程で、本書に書かれたような実態が表に出てくるのかもしれません。




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