一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

「脛のキズ」の賞味期限

2006-03-16 | よしなしごと
「電柱と電信柱の違い」というトリビアがあります。

電柱というのは電力会社の建てた送電用の柱で、トランスが乗っていたりするやつです。(東京では区別のために「東電柱」などと言ったりもします)
電信柱は、NTTの電話用の柱のことをいいます。
最近は道路にいっぱい立っているのも邪魔だ、ということで共有したり共同溝で地下化されているところも多いようです。

ただ、昔から電柱と電信柱を区別なく利用していた会社があります。


USEN、フジ保有のライブドア全株買収へ
(2006年 3月16日 (木) 06:09 朝日新聞)

USENはもともとは「大阪有線放送」という社名で、店舗などに有線放送を提供する仕事をしていました。
「有線放送」というだけに各店舗までケーブルを引かなければならないのですが、それには電柱・電信柱を使う必要がありました。
ただこれを大阪有線は東京電力やNTTに無断で使用していることで有名でした。
(そのへんの経緯はWikipedia参照、書きぶりが批判的ですが。)

大阪有線放送は2004年4月に過去に遡って無断使用について電力会社とNTTと清算に合意すると共に社名を有線ブロードネットワークスに変え、2001年4月にはナスダックジャパンに上場します。


今や自前のインフラを持つプロバイダになっているわけですが、もともとのインフラは違法な既成事実を積み上げたものなわけです。

創業が1961年なので40年近くも違法行為を続けられたということは相当の政治力やその他の影響力があったはずだし、繁華街の飲食店をメインの営業ですから、まあ、その筋との関係も噂されていた会社でした。

USENは今やあのフジテレビも認める(認めたのは金の力だけ?)真っ当な企業、ということになったわけですが、考えようによってはライブドアも虚業で資金を集めた後M&Aで本当の実業を買収して業態転換すればエスタブリッシュメントの仲間入りができていたかもしれません。


「出る杭は打たれる」と言いますが、それこそ電柱くらいまで伸びれば、誰も打たずにかえってぶら下がってくるようになるわけです。


まあこれはUSENだけの話しではなく、大企業も創業当初は反社会的なことをやっていたところは多いわけです。ただそのときに「アウト」と言われなかっただけで。

たとえば鉱山会社の鉱毒問題とか、繊維会社の女工哀史とか。
大塚製薬などは出入り先の顧客名簿をこっそり書き写して営業したなどと創業者が書いていました。


コンプライアンスが叫ばれていますが、「過去は過去として再発防止に全力を尽くす」というおきまりの姿勢は実は既存の企業に有利なスタンスで、逆にシェアを取ろうと一発勝負にかける新興企業は「コンプライアンスは後からついてくる」という発想になるのもそれなりに合理的な発想なのかな、と思ったりもしたもので。

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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お見事です (bun)
2006-03-17 22:27:24
ネタの縦横無尽さに感服いたしました。
面白かったです (rainer)
2006-03-18 08:29:16
前の方に同感です。快刀乱麻ですね。
恐縮です (go2c)
2006-03-19 17:54:30
bunさんrainerさん

ありがとうございます。

目の肥えたかたにお褒めいただくのは光栄です。

(ネタを仕込みに旅に出ておりましたため、レスが遅れて申し訳ございません)

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