1960年代後半にリオデジャネイロの郊外に貧困層を住まわせるように作られた公営住宅「シティ・オブ・ゴッド」に住む子供たちの成長(といってもギャングにしかなりようがない世界での)の物語です。
予告編を観たときは、暴力シーン満載だけが売り物の映画かな、と思っていたのですが、実際に観てみると脚本もしっかりしてなかなか楽しめました。
監督はブラジルで有名なCMディレクターとのことで、斬新なカメラワークやカット割りが、殺伐とした雰囲気をうまく表現しています。
映画の中に、5,6歳の子供たちが将来の夢を語るシーンがあります。
「大きくなったら(麻薬の)売人になって、それからディーラー(卸)になって、そしてエージェント(ボスから商売を任される)になるんだ」
麻薬か犯罪しか仕事がないことを象徴的に語っている台詞ですが、なりたいものの良し悪しを別にすれば単なる素直な向上心の表明なんですよね。
この映画の登場人物たちのおかれている状況のように過酷なものでなくても外部環境によって価値観が制約を受ける、というのは誰にでもあるわけで、彼らに向ける自分の視線は、ひょっとすると自分たちに向けられ得るのではないか、と。
昔で言えば「東大に入って大蔵省に入って最後は天下りして」とか
今で言えば「起業してIPOして」とか、
会社の出世とか子供のお受験もそうですね
自分はひょっとするとアブナい奴になりかけていたり、逆に現状を正当化するために現状を「シティ・オブ・ゴッド」と名づけてしまうようなイタい奴になってたりしないか、をたまには見直してみるのもいいかなとふと考えたりしました。
ただ、こういうことをしていると、麻薬の元締めに一直線に上り詰めるようにはなれないんですけどねw