一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

誤審

2009-03-23 | よしなしごと

昨日何の気なしにテレビをつけたら、選抜高校野球の開幕戦ををやっていて、思わず見入ってしまいました。

こういう大激戦で、8回の裏に倉敷工業が追いついたところから見はじめました。
ところが9回表に金光が3点とって突き放し、これで万事休すかなと思ったら、9回の裏倉敷が追いつきます。
1アウトランナー1塁から果敢に盗塁を決め、その後3連打で追いつきます。 3点ビハインドでの盗塁は、バッターにゲッツーを恐れずに積極的なバッティングをさせようという意図があったのでしょうか。見事な采配です。
そして同点に追いついた一死一塁から、今度は一転してスクイズを仕掛けます。
ここでは「犠牲フライでいいのにここで勢いを止めかねないスクイズかよ」と思ったのですが、三塁ランナーがホームでタッチアウトになってしまいます。
そのシーンがこれ。


2009/3/21 甲子園 疑惑の判定【正面からのスローあり】


中継のときも スローを見て、キャッチャーがボールをこぼしているように見えたのですが、NHKのディレクターもまずいと思ったのかここで再生をやめ、二度とこのシーンは出てきませんでした。アナウンサーと解説者も黙ってますね。

改めて見てみると、こぼれたボールを一塁手が拾ってランナーにタッチして審判にアピールしようとしたら審判が既にアウトのコールをしていたので知らん顔してそのままボールを持っています。
ここで即座に倉敷がアピールしたら「現行犯逮捕」だったのでしょうが、アピールがちょっと遅かったようです。
また、審判としても間違ったと思っても判定を覆したらその場でサヨナラゲームセットなので、わかっても一旦落ち着いた後に訂正するのは難しいかもしれません。

試合は結局、11回に勝ち越された倉敷が裏に逆転サヨナラ勝ちをしたので結果オーライではありました。


で、この誤審、現在のご時勢ではけっこう非難されそうですし、落球したのに知らん顔していた金光のキャッチャーや一塁手も「スポーツマンシップにもとる」と非難されそうです。
確かに今回のはキャッチャーミットの捕球を確認していればよかったので審判もうっかりしていたとは思います。
でも、野球に限らずスポーツは一定のルールとそれを運用する審判の判定という人間の行為を前提にしている以上見間違いはあるわけで、それは双方のチームは承知していた(承知しているべき)ことなのではないかと思います。判定での有利不利はお互い様なわけです。
それに審判だってボランティアの人なのですし。

なので今回も倉敷は一度は抗議したものの引き下がったのだと思います。

よしんば倉敷工業が結果的に負けていたとしても、「青春の集大成としての汗と涙の甲子園をけがした」などと大騒ぎはしてほしくないものです。
そうしないと高級野球では、隠し玉とかとかは当然のこと、ピックオフプレーやグローブを掲げて捕球をアピールする行為も「高校野球の精神に反する」などとしてできなくなってしまい、結果的につまらない、想像力に欠けた力勝負の野球だけになってしまうのは避けたいです。


最近の証券取引等監視委員会や公正取引委員会の活動に対するマスコミ報道や、反面検察への「国策捜査」議論などを見ても、「審判は間違わない」または「審判は間違ってはいけない」というドグマティックな考え方は世の中をあまりよくしないように思った次第です。


また、4月から新卒者の採用面接が始まりますが、これになると合否の判断の正しさというのは検証すら不能になってしまいます。
不合格にした学生がその後どれくらい成長し活躍したかは全くわからない反面、入社した学生のパフォーマンスが悪いと「誰が採ったんだ?」ということになってしまうので、ややもすると採用側もミニマックス戦略をとって無難な学生ばかりを採ってしまうことになります。
それを見越してか、学生の側もゼミやらサークルやらの代表とか幹事がどうこうということをアピールする人が多く見られます。ホント、構成員の数だけ代表がいるのかという感じです(「代表代行」とかいうのは民主党だけで十分だと思うのですが。)。
採用人数に枠がある以上、有用な人材を採用し損ねるという点で採用面接は「誤審」の積み重ねでもありますので、就職活動中の学生の方は落とされた会社についてあまり思い悩まないほうがいいと思います。


話がとっちらかってしまったので、最後に野球の終盤の采配にからんだネタを。
キューバのフィデル・カストロ元議長、WBC日韓戦の感想「あそこでバントはないな」

3月10日のWBC予選リーグでの韓国戦の話です。 さて、韓国が1点を先制し、日本の攻撃が残り2イニングとなった場面だ。 とても危険な選手で、また日本の象徴ともいえるイチローが、3打席凡退の後にこの日の初ヒットを打った。 すると日本の監督 (原辰徳) は2番打者 (中島裕之)――彼は疑いようのないほど素晴らしい選手だ――に バントを命じたのだ。これでアウトカウントはみすみすと2に増えてしまった。 我が国のファンは野球をよく知っている。彼らならここでバントを命じた作戦はどう考えても失敗だったと 思うだろう。

原典はこちらFidel Castro: A Fair and Constructive Criticism

The game between the teams of Japan and South Korea, Cuba’s two strongest rivals, which was played today, Monday morning, was 1 to 0 in favor of South Korea when Japan had only two more chances at bat.

The dangerous and emblematic Ichiro, who had failed three times, connected a single.

The Japanese manager instructed the second batter –who is, no doubt, a good player- to lay down a bunt, which brought about the ‘out’ number two.

I am sure that our experienced fans, after any elementary analysis, thought that was a mistake.

あのシーンはスポーツニュースで見ただけですが、同感。
そもそも負けても後がある試合だし、今後勝ちあがっていけば何度か韓国と対戦するので、ここで動くならイチローに盗塁をさせて相手に嫌なイメージを植え付けるほうがよかったのではないかと。

しかし、キューバチームは二次予選で敗退してしまって、カストロ議長は相当おかんむりでしょうね。
 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『イントゥ・ザ・ワイルド』 | トップ | 『実録・連合赤軍 あさま山荘... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

よしなしごと」カテゴリの最新記事