LOVE&DESIRE

沖縄で頑張る爺バンドのブログだったがいつの間にか爺の独り言(涙)。

ともたか君

2014-10-21 15:22:07 | ブログ

 小学校に入るまで、いつも一人で遊び、家族、親戚の子共以外との交流は無く、隣近所は柄の悪い子が多いからとの理由で、Y小学区域だったが越境入学でK小学に通う。新入学の1年生の時は学校に馴染めず、一日中机に伏せて顔を上げなかったり、教室から逃亡して家のミシンの下に隠れたりした。現在だったら立派な自閉症と言われたでしょう。これ、わしの子供時代の様子です。前置き終わり。

 50年前・2年の新しい組で他の生徒と初めて顔合わせの日、ちょっと大柄で背の高い子が僕を見て微笑んでくれた。なぜか、気持ちが軽くなり、すなおにお友達になれると思った。かつみ君との出会いでした。僕のはじめてのお友達。かつみ君の家は僕の家と大きな道を隔てたY地区にあり、細い通りに添って古い家とかトタン屋根の長屋とかが、ごちゃごちゃしていて、そこに住む、かつみ、よしはる、みのる、ひであき、まーぼー、のぶまさ、は8班の子共で、僕は6班だったけど、かつみ君のおかげで仲間に入れてもらえたし、喧嘩になってもかつみ君が庇ってくれたりした。みんなの歳はまちまちだったけど、気にせず遊べたね。

 みんなでお風呂に行ったり、忍者ごっこ、三角野球、鬼ごっこ、とか道具が無くても簡単に出来る遊びを見つけて、毎日、楽しく遊んでいた。だけど、ひとり気になる子が居て、その子は生れつき体が不自由で、右手、右足がうまく動かなくて右手は伸ばしたままで、ビッコをひいてゆっくり歩く。かつみ君に聞いたら名前は「ともたか」で僕より一個年上だった。

 初めはともたか君の体の事が気になったけど、遊んでいる内に体の不自由は当たり前のことと、気にもしなくなり、歳が一個上で僕らより話が上手で、沢山喋り、口では勝てないな~と、みんなは悔しがったね。心が強いともたか。

 だから、僕たちは区別しなかった。2チームに分かれて花火合戦をするときには「みんな~動きの遅い、ともたかを攻撃せよ~」とか、してたしね。ともたかも狙われると嬉しそうに、うひょ~とか言って必死に逃げて、みんなを笑わせていた。

 こども時代はあっという間に終わり、中学、高校とか行き出すようになると8班の仲間とも会う機会は少なくなったね。でも、ずっと地元に住んでいると、バス通りを昔のままの歩き方でゆっくりと前に進む、ともたか君を時々見かける事が有り、僕は「ともたか、なんて強い人間なんだろう」とひとりしみじみ。でも、あれから、長い間合わなくなったね。

 20年かもっと前・「わはは~酒は旨いの~あ、千葉さん、お替りね~けけけ、ここ、建物が古くて屋根から雨漏りしてます、けけけ、傘を差しましょうランララン。うぷ。あれ、あなた、どこかで会ったような気がするが~え~っと、あ、ともたかじゃあないか~ぎゃははは~何十年振りか?もしかして30年くらいか?このやろ~生きていたか。」

 「こら、首絞めるの止めんかい、それに俺が年上だろうが、この馬鹿もん、だから~首絞めるな~苦しい~」

 「お、ともたか、大丈夫か?なんだ,こいつは。先輩に対してどうよ?、〆るか」

 「え~先輩方すみません。僕、ともたかさんの幼馴染で、本当にうれしいんです。生きていたかよお富さんぐらいうれしい」

 「はいはい、判ったから首を締めるのは止めて大人しく?んでね」

 「は~い」「げほげほ」 平和なリーガル(グランドオリオン通りの最初の店)の夜は更けゆく。

 つい最近・嗚呼、お酒は旨いね、あ、煙草切れそうだから自販機まで行ってくるね。と、のこのこ歩き、煙草を買い終わり、ふと建物の角の隅っこに視線をやれば「ガリガリ痩せてハゲ頭の推定年齢70歳にも見えるお爺ちゃん」が缶ビール(発泡酒)を立ち飲みしつつ薄ら笑い。あれ?どこかで会ったような気がするが~え~っと、あ、ともたかじゃあないか。

「うげげ、あんたに見つかるとは・・。残念。」「なにしてるの~?」「なにもすることがなくて、最近はこの場所で立ち飲みしつつ人の流れを見ているのデス」「暇人だね」

 少しの時間、幼馴染の今について情報交換しつつ昔を懐かしみます。お互い爺に成って歯も毛も抜けて哀れな姿になりましたが、心は子供の頃のままのふたりでした。