失われた時を求めて

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人間の証明

2009-04-05 17:06:38 | 映画
昭和52('77)年
監督:佐藤純彌(キイハンター、新幹線大爆破、敦煌、男たちの大和)
脚本:松山善三
制作:角川春樹(犬神家の一族、白昼の死角、戦国自衛隊、復活の日、魔界転生)
音楽:大野雄二(ルパン三世(2nd.シリーズ以降)、犬神家の一族、水もれ甲介)
出演:岡田茉莉子
   松田優作
   ジョージ・ケネディ(大空港、エアポート'75、エアポート'77、ナイル殺人事件)
   ハナ肇
   岩城滉一
   鶴田浩二
   夏八木勲
   三船敏郎
   ジョー山中
   伴淳三郎
   竹下景子
   大滝秀治
   坂口良子
   范文雀
   長門裕之
   峰岸徹
   地井武男
   山浦栄
   鈴木瑞穂
   ロバート・アール・ジョーンズ(スティング)
   E.H.エリック
   鈴木ヒロミツ
   シェリー
   小川宏
   露木茂

 小学校6年生だった私は、朝のTVで連日放送される「母さん、ボクのあの帽子、どうしたでしょうね。」というセリフと「♪Mama~ Do you remember~」という歌が流れるCMが気になっていました。「読んでから見るか、見てから読むか」にまんまと乗せられ、ハードカバーの小説を買いました。母さん、ボクのあの本、どうしたでしょうネ。(^^ゞ
 映画の方は、結局劇場では見ることができませんでした‥‥。だって、近くの映画館では上映されていなかったんです‥‥。当時はまだ、「電車に乗って有楽町や新宿に行って映画を見る」という感覚は無かったもので‥‥。見たのは数年後のTV放映の時です。第一印象としては、「小説とはずいぶん違ってるナ」というものでした。まだ当時は原作と脚色の関係を知らなかったんです。
 原作の方はだいぶ忘れてしまいました‥‥(^^ゞ 映画では刺青として描かれていたシュフタン刑事の特徴は、原作ではヤバい表現だったこと、郡恭平の生活がもっと乱れていたこと、「キスミー」の手がかりとして同名の化粧品会社について言及されていたこと、などが記憶にあります。

 角川映画は、当時、洗練されたイメージがありました。この『人間の証明』もコーティングされたチラシで、特別感がありましたよネ。主題歌は英語だし、国際的な雰囲気は映像からも感じられました。あまり情緒に流されること無く、ハードボイルドに淡々とストーリーが進んでいくのは新鮮でした。

 昭和52年というと、戦後32年目。当時35歳くらい以上の人は戦後の混乱の記憶を持っている世代なのですネェ‥‥。戦後の混乱期に進駐軍の米兵たちにレイプされていた八杉恭子(岡田茉莉子)、彼女を助けようとしてその米兵たちに父を殺された棟居刑事(松田優作)、その米兵の1人だったシュフタン刑事(ジョージ・ケネディ)が運命的に絡むストーリーは、戦後が遠くなった今となってはリアリティが薄くなってしまったかも‥‥。『私は貝になりたい』のリメイクが映画化されましたが、若い人たちに理解できるのか‥‥。私も戦後の混乱期は知らない世代ですが、辛うじて戦争体験者が身近にいたので、理解できる程度ですが(^^ゞ

 「麦わら帽子」をモチーフに、西条八十の詩と、ホテルニューオータニの外観がうまく採り込まれ、ストーリーに説得力があります。「ストウハ」と「キスミー」という「r」を発音しない言葉を結び付けるのにも無理が無いプロットだと思います。原作者・森村誠一さんがホテルニューオータニに勤めていたことがあり(映画にも登場しています)、霧積高原に旅行した時に見た弁当の包装紙の「帽子」の詩を記憶していたことが活かされているそうです。棟居、シュフタン、八杉の3人の運命以上に、この作品の成立過程のなんと運命的なことか!

 角川映画の第2弾として映画化されましたが、地井武男さん、大滝秀治さん、坂口良子さんは第1弾『犬神家の一族』にも出演されていますネ。松田優作さんと坂口さんは『俺たちの勲章』でも共演されています。
岩城滉一さんは声が聞き取りにくいということで、別人の声がアフレコされているんですよネ。
私のこだわりとしては、『ジャイアントロボ』や『Gメン'75』の名脇役、山浦栄さんに注目しています。セリフは一つも無いのですが‥‥^^;
ジョニー・ヘイワード(ジョー山中)の父、ウィルシャー・ヘイワード役はロバート・アール・ジョーンズ。彼は『スティング』でロバート・レッドフォード演じるフッカーのお師匠さんであるルーサー役を演じられていた俳優で、『レッド・オクトーバーを追え』や『フィールド・オブ・ドリーム』に出演されているジェームズ・アール・ジョーンズ(「ダース・ヴェイダー」の声でもお馴染み)のお父さんなんです。

 冒頭のファッション・ショーのシーンが長くて、ちょっと退屈‥‥。一方、「日本デザイン大賞」の表彰式での八杉恭子のスピーチは、畳み掛けるような回想のインサートがあり、ジョー山中さんの熱演もあって感動的です。松田優作さんはずっと不機嫌な印象で、彼のキャリアの中ではあまり良い仕事とは言えないものだと思います。

 峰岸徹さん、ハナ肇さん、松田優作さんがワンフレームに収まっている映像を見ると、感慨に浸ってしまいます。

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