失われた時を求めて

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小さな恋のメロディ

2009-05-05 21:17:46 | 映画
昭和46('71)年
制作:デヴィッド・パットナム(ダウンタウン物語、炎のランナー)
脚本:アラン・パーカー(ダウンタウン物語、ミッドナイト・エクスプレス、ミシシッピー・バーニング)
監督:ワリス・フセイン
撮影:ピーター・サシツキー(スターウォーズ帝国の逆襲、裸のランチ、マーズ・アタック)
出演:マーク・レスター
   トレイシー・ハイド
   ジャック・ワイルド
   ロイ・キニア

 '70年代に何度も劇場でリバイバル上映された作品で、TVでも何回か放送されました。私が最後に見たのは中学校2年生くらいの頃だったかなぁ‥‥。
ホントに何度もリバイバル上映されるほど、日本では突出した人気がありますネ。一説には、元はTV映画なのだそうで、DVD化されるのは難しいという話も聞いたことがありました。無事にDVD化されて良かった!

 原題は単純に『Melody』。もちろん主人公の少女の役名ですが、邦題の『小さな恋のメロディ』だと、音楽の「メロディ」とのダブル・ミーニングで、詩情が感じられますネ。語感も良く、リズムがあります。日本ヘラルドはイイ仕事をしたと思います。

 とにかくトレイシー・ハイドTracy Hydeの魅力! 前半は彼女の魅力をこれでもかというほど見せて、ダニエルが恋心を抱くに至った過程に、見ている者も同化できます。
 悪ガキのトムを、ワイルドが好演しています。当時のイギリスの学校では、悪ガキはネクタイを短くするのかぁ!
 ダニエルはちょっと幼過ぎるように感じます。この3人の中では浮いた感じ‥‥。メロディが彼を好きになるのかなぁ‥‥^^; 2人のバランスが合っていないような‥‥。学校をズル休みして海岸に遊びに行ったシーンでは、トレイシーも子どもっぽい表情を見せるので、ここだけはイイ感じですが。

 運動会でダニエルがメロディのことを想って頑張っちゃう気持ちは、ワカルなぁ~(^^ゞ あのフラッシュバックは、まさにあんな時の気持ちです。子どもの頃は何とも思わなかったあのシーンなのに、最近はウルウルしてしまいます‥‥。ああいうピュアな気持ち、どこに行っちゃったんだろ‥‥(^^ゞ

 トムは貧しい家庭なのはわかりますが、メロディは普通の家庭なんでしょうか。あれくらいがイギリスの中流家庭なのかな? アメリカ映画を見慣れた目で見ると、かなり生活水準が異なりますネ。日本でいうと小津映画のような感じです。
あ、イギリスはイスとテーブルの生活だから気にしていませんでしたが、食事中の登場人物はけっこう低い位置から撮影されています。テーブルの高さギリギリくらいでしょうか。これを畳とお膳の日本に持ってくると、小津監督のアングルになるのか!

 子どもの生活を切り取ったということでは、画期的な映画なのでしょうネ。そしてそれがイギリスが舞台ということで、貴重な記録にもなっています。学校で賛美歌66番を歌うシーンは、日曜日に教会学校に通っていた私には驚きでした。そうか、イギリスでは学校で礼拝をするんだぁ。さすがイギリス!(?)
 学校からの近道に墓場がある、というのも象徴的な気がします。薄暗くジメジメした雰囲気は、子どもの隠れ家的な印象です。子どもの生活を切り取っているから、子どもの目線でみずみずしい映像になったのかもしれません。
あれ? そういえば、ダニエルとメロディは海岸に遊びに行きますが、季節はいつなんだろう? 金魚を持っているメロディのシーンはずいぶんと寒そうな感じだし‥‥。

 ダニエルとメロディの「結婚」に向けては、スラップスティックな流れにちょっと違和感があります。映画的には盛り上がるのでしょうが、先生たちやダニエルのお母さんの演技が過剰のような‥‥^^; 前半の詩情が台無し‥‥(T_T)
それでも、ラストのトロッコは名シーンですネ。空撮まで駆使して、どこまでも伸びる線路を見せてくれることで、ダニエルとメロディの逃避行は成功することを暗示させてくれます。しかし‥‥、彼らには戻る場所はあるのでしょうか。私が子どもの頃は、この現実から逃げ出すことで自由を得る結末に拍手を送っていましたが‥‥。そう甘くはないよなぁ‥‥。パーカー(脚本)やフセイン(演出)はこのあとのことも考えていたのでしょうか。CS&Nの「Teach Your Children」が皮肉です(^o^)

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8 コメント

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最初に親しんだ洋楽かも (桃)
2009-05-05 23:07:20
7歳上のイトコが、よく主題歌のシングルを聴かせてくれました。
ジャック・ワイルド、検索したら、もう故人なんですねぇ。
長く使ってた鉛筆削りには、森永のアントルメ(プチロールケーキみたいなもので、大好きでした)のおまけについてた、マーク・レスターのシールを貼ってました。
高校生になって、ちゃんと見た映画の結末は、すんごく謎でしたけど…。

邦題は、みつはしちかこの「小さな恋のものがたり」をヒントにしてたり…は、しないか
チッチとサリー (自由人大佐)
2009-05-06 00:58:14
 年代的には有り得ますネ~。案外その通りかも。

 「あの頃の土曜日」という記事にも書きましたが、7歳上の従姉の部屋にトレイシー・ハイドのポスターが貼ってありました。この映画のトレイシーは10歳かな? 従姉の方が2歳上か。この映画は好きだったみたいです。
そういえば、『小さな恋のものがたり』も何冊か持ってたな。亜土ちゃんのグッズとかも。典型的な'70年代のティーンズだったんだ♪

 ジャック・ワイルドは3年ほど前に亡くなったんですよネ‥‥。53歳だったそうで、キヨシローさんよりさらに若くしてお亡くなりになったようです。
ほんとよく見た (南 うなみ)
2009-05-06 09:25:25
高校生の頃、京都のリバイバル館で5~6本だて必ずこれか、卒業が入っていた。何回見たことか。あまりに何度もやってるのでこれが始まると睡眠タイムに当てていていつも、トロッコあたりで目が覚めた記憶があります。
マークレスターも日本ではアイドル扱いでマーガレットとかのグラビアページに載っていましたね。
日本人が好みそうな題材ですよね。
アイドル扱い (自由人大佐)
2009-05-06 18:26:42
 マーク・レスターはアイドルでしたネ。『王子と乞食』を最後に銀幕の世界を離れたそうですが、出演オファーが減ったのでしょうか。子役スターによくある道を辿ってしまったようです。

 前半に描かれている「初恋物語」のような情緒は、日本人好みですネ。
でも、本来描きたかった題材は、子どもたちの大人へのレジスタンスだったのかとも思えます。伏線としては、「裸婦の絵を描いているダニエルから絵を取り上げる母親」とか「執拗に繰り返される爆弾実験」、「横暴な教師達」などなど。でも、映画的には前半と後半で分裂してしまっているような‥‥。
走りのスタイル (あぶもんもん)
2009-05-08 16:05:24
運動会で走るマーク・レスター、見せ場でしたね。胸を突き出して、とても俊足とは思えないスタイルの走り方で勝っちゃう。あの走り方まで演技だったとしたら凄いです(笑)。
私もいつも運動会ではビリで、胸を突き出して走っていました。だからあの場面はとても励みになりました。
制服 (モデラート)
2009-05-08 21:56:13
メロディーが着ていたギンガムチェックの制服がおしゃれだなぁと思いました。
色が何色かあるようで、それも素敵でした。
Unknown (自由人大佐)
2009-05-09 15:30:19
>あぶもんもんさん

 運動会のダニエルの走り方は、リアリティがありますネ(笑)。苦しそうな表情だけど勝っちゃう。とても劇的です。


>モデラートさん

 学年で色が違うのかと思ったら、どうも同級生でもバリエーションがあるようですネ。
パンツが見えそうな丈の長さは、ワカメちゃんを連想してしまいます(苦笑)。
Unknown (公園のアルツ)
2019-11-01 03:13:26
これを観た人たちはのきなみ還暦ですね~国鉄機関区の大きな町で育ったのでエンディングの手押しトロッコとか萌えますね~。

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