New Horizon

~紆余曲折の日々の中で...

報告書「福島の教訓」 by スイス原子力安全規制局

2012-07-25 | 暮らし
<環境ニュース(Enviro-News from Junko Edahiro)より転載、一部抜粋・引用>

昨年秋に、「福島の教訓」という報告書が、スイス原子力安全規制局から出されたということです。その第5章に「教訓の要約」を吉田文和(北海道大学大学院経済学研究科教授)先生が訳されています。

スイス原子力安全規制局 2011年10月29日

第5章 付録:教訓の要約

スイス原子力安全規制局は、福島原発事故の包括的分析を行い、その結果を2つの報告で公表している。その調査結果によれば、事故を招いた一連の組織的、技術的不適切さを示している。この分析からの知見をここに、39 の教訓としてまとめる。

これは、一方で事実による裏付けがあるが、他方で仮説に基づいている(2011年8月までに得られた情報)。一連の教訓は、内容的に限界はないが、これまでの深められた分析を要約している。

教訓1 学習する組織を発展させない欠陥

国内および国際的事故の経験が十分に考察されていない。2007年のIRRS(IAEAの総合的規制評価サービスIntegrated Regulatory Review Service)委員会が求めた事故について、何も公式の検討がなされず、国外の事故から改善措置が日本の原発でとられていない。

教訓2 貧弱な企業文化

経営者は、偽造と隠蔽を助長する企業文化のもとにあるように見える。

教訓3 経済的配慮から安全を制限した

経営企業は、2010年の年報において、コスト節約プログラムのもとで設備検査の回数を減らしたと述べている。

教訓4 保安院が経済産業省に依存している欠陥

保安院は、経済産業省の一部である。これは利益相反であり、結果にいたる決定構造の不透明性をもっている。

教訓5 検査における全体システムの構造的欠陥

日本の検査機関の役割と責任は不明確に規制されてきた。

教訓6 不十分な検査の深さ

検査機関は、設備の建設と運転に当たり、津波と安全などをただ表面的にしか検討しなかったという大きな誤りを犯した。

教訓7 企業の安全文化の欠陥

安全検査がなおざりにされ、あるいは偽造された。その結果は欠陥のあるメインテナンス管理であった。

教訓8 意思決定到達の欠陥

海水注入がもっと早く行われるべきであった。多くの理由で、会社・検査機関・政府(首相)が不十分な意思疎通のために、時機に適した決定を妨げた。決定のために必要な設備のパラメーターが連続的に検査されなかった。

教訓9 非常事態対処に対する不十分な準備

日本では、非常事態に対する準備が企業の自主的取組に任された。既存の緊急対処計画は多くの欠陥があった。過酷事故に対する不適切な手立て(過酷事故管理指針:SAMG)が技術的に行われ、連絡手段も貧弱であった。

外部の非常対策が節約され、全体のインフラが同時に破壊されることを十分に考慮していない。この大きさの非常事態に対して、要員が不十分にしか用意されていなかった。

外部事件(地震、津波など)のコントロールに対する追加システムが日本では、できるだけ部分的にしか行われていない。

教訓10 要員への過大な要求

非常事態のインパクトを緩和する過酷事故管理手段が適切に実施されないので、大規模で長期間にわたる放出が続いた。

教訓11 規制上の欠陥

非常事態への対策が、法律に基づいて適切に規制されなかった。

教訓12 当局の非常事態計画の遅れ

地域の危機管理部隊が準備されず、呼び出されず、関係者の連絡がとれなかったという問題がある。加えて、国際的援助の調整も十分でなかった。

などと続き、

教訓37 損なわれた環境監視

教訓38 不十分な廃水処理

教訓39 危険物質

で終わっています。全文は以下のURLを...

http://www.es-inc.jp/lib/archives/120724_113920.html





経鼻内視鏡検査を受けてみて...

2012-07-20 | 健康
先日、経鼻内視鏡というのを経験しました。これまでは、口から胃カメラを入れて見て貰っていましたが、今回は随分楽でした。

口からですと、やはり喉の辺りで「おぇっ」となります。その瞬間を見計らうように、ケーブルを喉の奥に押し込まれるような印象でしたが、経鼻では全然違っていました。事前に、控え室でストレッチャーの上で横になっているときに、鼻に麻酔を受けました。注射かと思っていましたが、クリームのようなムース状のようなものを鼻の中に入れられ、「吸い込んで下さい」と云われました。

その後、治療室に運ばれたわけです。同時に大腸内視鏡も受けることにしたため、その準備も要領よくテキパキとセットアップしてくれました。お尻にクリームを塗り、内視鏡のスムーズな挿入を助けます。頭の前上方に画像が見えています。検査が始まりました。下から始まったような感覚でしたが、いつのまにか寝てしまっていたようで、鼻に内視鏡が差し込まれた瞬間、胃内部の画像についても、はっきりとは覚えていません。

検査時間は、両方合わせても15~20分程度だったのでしょうが、あまり記憶にないんです。その後、1時間程度、リカバリー室で休みます。少し眠かったです。その後の診察では、細胞の赤いところ、大腸ポリープを採取して生検にまわすという話でした。

ポリープを採取したことによって、1週間の食事制限が課せられました。「野菜や果物、繊維質、脂肪分などは避けるように、なるべく消化の良いものを摂って下さい」ということでした。1年後も検査が必要なようです。

大腸内視鏡も全然痛くはありませんし、早い処置でした。他の病院で行った検査では、なかなか大腸の中をカメラが進まず、「特にS字結腸あたりは難しいんですよ」などと云われました。「腸壁をカメラの先端が破ってしまわないのか」と心配になったこともありました。それが全くないんですね。最高水準の無痛/安全/高精度な胃・大腸内視鏡検査と考えてもいいのかも知れません。



!電気料金、25%削減!

2012-07-13 | 暮らし
毎月、東電から送られてくる「電気ご使用量のお知らせ」、今月は、昨年度比25%程度安かった。

確かに、そうかも知れない。ダイニングやリビングのシーリングライトは、あまり点灯せず、アメリカで買ったスタンド式の照明を使っている。部屋全体が少し暗くはあるが、それは欧米のホテル程度の明るさであり、慣れてしまえば、それほど不自由さを感じない。

これで25%の節電は大したものだと思う。暗くて良いことは、気持ちが落ち着くこと、感覚的に涼しいこと、ゆっくりした時間の流れを感ずること、余分なものが見えないこと、他にもいくつかありそうである。

世の中、見えすぎて勝手が良くないことも多いので、少し鈍感さを醸し出す工夫が必要かも知れません...

ご参考まで:日経新聞の記事から
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFE1400K_V10C11A4WZ8000/




Global Harmonization Systemとその対応

2012-07-07 | 暮らし
化学物質の管理・規制については、世界的に色々な取り組みが行われてきました。例えば、1990年のILO「職場における化学物質の使用の安全に関する条約」、1992年の国連環境開発会議「持続可能な開発」での「アジェンダ21」第19章などがそうです。1994年、国際機関協議会で、「健全な化学物質管理プログラム」により、GHSの検討が始まりました。

GHS=Global Harmonization Systemですが、化学物質の健康及び環境に関する有害性、物理化学的危険性、ハザードコミュニケーションを対象として、作業が進められたということです。そして、2002年の持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD)で、2008年までにGHSを実施することが合意されています。

2006年から、日本ではその対応が始まり、化学物質の分類・ラベル表示、SDS(MSDS、安全データシート)へのGHSの採用が進められています。その流れで労働安全衛生法なども改定されています。

その例として、次のようなものがあります。
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【安衛法第24条】
2 危険有害化学物質等に関する危険性又は有害性等の表示等(則第24条の14、第24条の15及び第24条の16関係)
(1)則第24条の14
平成15年に、人の健康確保の強化等を目的に、化学物質の危険性及び有害性を、引火性、発がん性等の約30項目に分類した上で、危険性や有害性の程度等に応じてどくろ、炎等の標章を付すこと、取扱上の注意事項等を記載した文書(安全データシート)を作成・交付すること等を内容とする「化学品の分類および表示に関する世界調和システム(以下「GHS」という。)」が国際連合から公表されたことを踏まえ、化学物質による労働災害を防止するために、危険性又は有害性を有する化学物質等(法第57条第1項に基づき表示が義務付けられている物(労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号。以下「令」という。)第18条各号及び令別表第3第1号に掲げる物(以下「表示義務対象物」という。)を除く。)の表示を努力義務とすること。
(2)則第24条の15
GHSが国際連合から公表されたことを踏まえ、化学物質による労働災害を防止するために、危険性又は有害性を有する化学物質等(法第57条の2第1項に規定する通知対象物を除く。)の通知を努力義務とすること。
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【義務】としないで【努力義務】としたところに、出来るならば化学物質対策を後延ばしたいという企業側に配慮した点が感じられます。【努力義務】には罰則はないわけですから、対策を講じない企業も多いことでしょう。最近の大阪の印刷会社のジクロロメタンの件などが思い出されますけれど...

安衛法は、労働者の安全・健康を守るために作られた法律のはずですが、その制度趣旨が骨抜きになっているような印象すら持つのです。

米系企業で仕事をした経験からすると、Hazard Communicationは、新たに入社してきた社員に対して、先ずは実施すべき教育の一つでした。OSHA(米国労働安全衛生局)の以下のサイトで閲覧ができます。

http://www.osha.gov/pls/oshaweb/owadisp.show_document?p_table=standards&p_id=10099

Hazard Communicationは、化学物質と付き合っていくための基本的な教育であり、履修した後は、化学物質の製造・輸送・使用・保管・破棄などに当たっては、自ら責任で適正な対応を取る。もし、何らかの事故や疾病を招いた場合は、その責めを負うということです。

こうした規定は、日本の安衛法では見られません。厳格に規定されていないがゆえに、責任の所在が不明確、そして後回しという事態に陥るのです。確かに、米国などと比べて、産業衛生や安全の専門家が著しく少ないというのは事実です。しかし、衛生管理者は多い筈なので、責任と権限を与える、そのための試験制度・フォローアップ体制、リフレッシュ制度の充実・強化をすることによって、現状を改善できるのではないでしょうか?

原発事故の一部始終を見ていても、一事が万事だというような印象を拭いきれません。日本を米国以上の拝金主義の国だとは思ってはいませんが、命の捉え方には、歴史的にも再考すべき点が多いと感じてしまいます。

化学物質といえば、米国では、right-to-know(知る権利法)というものがあって、工場などで使用・保管・廃棄した有害化学物質の履歴がインターネットで閲覧できるようになっています。初めて見たときには、相当驚きました。日本のPRTR法も、同じような制度趣旨で制定され運用されていますが、米国ほどの浸透力、認知度、活用性はないようです。

日米の文化・価値観の違いなのかよく分かりませんが、GOOD PRACTICEやBETTER PRACTICEは、積極的に導入すべきではないでしょうか。