<環境ニュース(Enviro-News from Junko Edahiro)より転載、一部抜粋・引用>
昨年秋に、「福島の教訓」という報告書が、スイス原子力安全規制局から出されたということです。その第5章に「教訓の要約」を吉田文和(北海道大学大学院経済学研究科教授)先生が訳されています。
スイス原子力安全規制局 2011年10月29日
第5章 付録:教訓の要約
スイス原子力安全規制局は、福島原発事故の包括的分析を行い、その結果を2つの報告で公表している。その調査結果によれば、事故を招いた一連の組織的、技術的不適切さを示している。この分析からの知見をここに、39 の教訓としてまとめる。
これは、一方で事実による裏付けがあるが、他方で仮説に基づいている(2011年8月までに得られた情報)。一連の教訓は、内容的に限界はないが、これまでの深められた分析を要約している。
教訓1 学習する組織を発展させない欠陥
国内および国際的事故の経験が十分に考察されていない。2007年のIRRS(IAEAの総合的規制評価サービスIntegrated Regulatory Review Service)委員会が求めた事故について、何も公式の検討がなされず、国外の事故から改善措置が日本の原発でとられていない。
教訓2 貧弱な企業文化
経営者は、偽造と隠蔽を助長する企業文化のもとにあるように見える。
教訓3 経済的配慮から安全を制限した
経営企業は、2010年の年報において、コスト節約プログラムのもとで設備検査の回数を減らしたと述べている。
教訓4 保安院が経済産業省に依存している欠陥
保安院は、経済産業省の一部である。これは利益相反であり、結果にいたる決定構造の不透明性をもっている。
教訓5 検査における全体システムの構造的欠陥
日本の検査機関の役割と責任は不明確に規制されてきた。
教訓6 不十分な検査の深さ
検査機関は、設備の建設と運転に当たり、津波と安全などをただ表面的にしか検討しなかったという大きな誤りを犯した。
教訓7 企業の安全文化の欠陥
安全検査がなおざりにされ、あるいは偽造された。その結果は欠陥のあるメインテナンス管理であった。
教訓8 意思決定到達の欠陥
海水注入がもっと早く行われるべきであった。多くの理由で、会社・検査機関・政府(首相)が不十分な意思疎通のために、時機に適した決定を妨げた。決定のために必要な設備のパラメーターが連続的に検査されなかった。
教訓9 非常事態対処に対する不十分な準備
日本では、非常事態に対する準備が企業の自主的取組に任された。既存の緊急対処計画は多くの欠陥があった。過酷事故に対する不適切な手立て(過酷事故管理指針:SAMG)が技術的に行われ、連絡手段も貧弱であった。
外部の非常対策が節約され、全体のインフラが同時に破壊されることを十分に考慮していない。この大きさの非常事態に対して、要員が不十分にしか用意されていなかった。
外部事件(地震、津波など)のコントロールに対する追加システムが日本では、できるだけ部分的にしか行われていない。
教訓10 要員への過大な要求
非常事態のインパクトを緩和する過酷事故管理手段が適切に実施されないので、大規模で長期間にわたる放出が続いた。
教訓11 規制上の欠陥
非常事態への対策が、法律に基づいて適切に規制されなかった。
教訓12 当局の非常事態計画の遅れ
地域の危機管理部隊が準備されず、呼び出されず、関係者の連絡がとれなかったという問題がある。加えて、国際的援助の調整も十分でなかった。
などと続き、
教訓37 損なわれた環境監視
教訓38 不十分な廃水処理
教訓39 危険物質
で終わっています。全文は以下のURLを...
http://www.es-inc.jp/lib/archives/120724_113920.html
昨年秋に、「福島の教訓」という報告書が、スイス原子力安全規制局から出されたということです。その第5章に「教訓の要約」を吉田文和(北海道大学大学院経済学研究科教授)先生が訳されています。
スイス原子力安全規制局 2011年10月29日
第5章 付録:教訓の要約
スイス原子力安全規制局は、福島原発事故の包括的分析を行い、その結果を2つの報告で公表している。その調査結果によれば、事故を招いた一連の組織的、技術的不適切さを示している。この分析からの知見をここに、39 の教訓としてまとめる。
これは、一方で事実による裏付けがあるが、他方で仮説に基づいている(2011年8月までに得られた情報)。一連の教訓は、内容的に限界はないが、これまでの深められた分析を要約している。
教訓1 学習する組織を発展させない欠陥
国内および国際的事故の経験が十分に考察されていない。2007年のIRRS(IAEAの総合的規制評価サービスIntegrated Regulatory Review Service)委員会が求めた事故について、何も公式の検討がなされず、国外の事故から改善措置が日本の原発でとられていない。
教訓2 貧弱な企業文化
経営者は、偽造と隠蔽を助長する企業文化のもとにあるように見える。
教訓3 経済的配慮から安全を制限した
経営企業は、2010年の年報において、コスト節約プログラムのもとで設備検査の回数を減らしたと述べている。
教訓4 保安院が経済産業省に依存している欠陥
保安院は、経済産業省の一部である。これは利益相反であり、結果にいたる決定構造の不透明性をもっている。
教訓5 検査における全体システムの構造的欠陥
日本の検査機関の役割と責任は不明確に規制されてきた。
教訓6 不十分な検査の深さ
検査機関は、設備の建設と運転に当たり、津波と安全などをただ表面的にしか検討しなかったという大きな誤りを犯した。
教訓7 企業の安全文化の欠陥
安全検査がなおざりにされ、あるいは偽造された。その結果は欠陥のあるメインテナンス管理であった。
教訓8 意思決定到達の欠陥
海水注入がもっと早く行われるべきであった。多くの理由で、会社・検査機関・政府(首相)が不十分な意思疎通のために、時機に適した決定を妨げた。決定のために必要な設備のパラメーターが連続的に検査されなかった。
教訓9 非常事態対処に対する不十分な準備
日本では、非常事態に対する準備が企業の自主的取組に任された。既存の緊急対処計画は多くの欠陥があった。過酷事故に対する不適切な手立て(過酷事故管理指針:SAMG)が技術的に行われ、連絡手段も貧弱であった。
外部の非常対策が節約され、全体のインフラが同時に破壊されることを十分に考慮していない。この大きさの非常事態に対して、要員が不十分にしか用意されていなかった。
外部事件(地震、津波など)のコントロールに対する追加システムが日本では、できるだけ部分的にしか行われていない。
教訓10 要員への過大な要求
非常事態のインパクトを緩和する過酷事故管理手段が適切に実施されないので、大規模で長期間にわたる放出が続いた。
教訓11 規制上の欠陥
非常事態への対策が、法律に基づいて適切に規制されなかった。
教訓12 当局の非常事態計画の遅れ
地域の危機管理部隊が準備されず、呼び出されず、関係者の連絡がとれなかったという問題がある。加えて、国際的援助の調整も十分でなかった。
などと続き、
教訓37 損なわれた環境監視
教訓38 不十分な廃水処理
教訓39 危険物質
で終わっています。全文は以下のURLを...
http://www.es-inc.jp/lib/archives/120724_113920.html