New Horizon

~紆余曲折の日々の中で...

灼熱アジアー中東

2010-08-29 | ビジネス
NHKスペシャル、灼熱アジアの2回目を見た。中東のクリーンエネルギーについての壮大なプロジェクトのことを知ることになった。話の中心は、UAEのアブダビであったが、カタールのLNG大規模プラント建設、サウジアラビアのことも触れていた。

先ずは、日本との関係では、千代田化工建設が進めているカタールのLNGプラントの現場風景が大変印象に残った。新入社員も研修の一環として、ここに派遣されており、全く未知の世界に踏み込んだという感じで、先輩諸氏、他の国から来た作業員やエンジニアと一緒になって、一部始終を体験、体感して、これから始まる企業人としての人生の第一歩を踏み出しているといった印象を受けた。先輩から、イスラムのラマダンの説明を受けていた映像もあったが、宗教や文化習慣も異なる国にあっては、基本的な事項であり、当然、教えるべきものだと思った。

現場での工事遅れを回避するためのカタールガスとの意思決定会議という緊張した場面も流されたが、リスクの考え方、軽減策、何か起きたときの責任の取り方が、テーマであり、適切な判断をしていた。でも、やはり、海外の現場で、50℃にもなる灼熱の下、多国籍作業員をマネージメントして進めていく大規模プロジェクトは、大変だなと思った。日本の若い人たちの内向き指向について、新聞やテレビで知ることが多いが、ここの現場では、そんなことは言ってはおれない。新入社員も、「やるしかない!」と。

原子力については、現代やサムソンなどの韓国系企業グループが、日本の牙城を切り崩し、今回、受注したという話もあった。韓国李MB大統領も現地を訪問し、政府ー企業が一体となったことが勝負を決めたのかも知れない。

さて、LNGも化石燃料であるが、アブダビの壮大な動き(マスダール計画)の背景には、欧米のメジャー(かってのSeven Sisters)に辛酸をなめてきたOAPEC諸国の巻き返しのような遺恨のようなものを感じた。非化石燃料である太陽光発電、太陽熱発電、風力など、自然エネルギー、再生可能エネルギーの大プロジェクトが出現している。膨大なオイルマネーをふんだんに使って、新エネルギーの一大センター、環境技術の研究開発・輸出拠点になりつつある。世界からも、ドイツのメルケル首相などの要人も駆けつけ、ビジネスパートナーとしての具体的な話も進んでいるようだ。

全てが破格のように映った。一度機会があれば、こういう舞台(環境都市マスダール)で仕事をしてみたいような気もする。2015年完成予定のようだが、動きが取って分かるような番組であった。




地球の奇跡

2010-08-26 | ビジネス
本日、東大の先生から、【レアメタル資源とリサイクル技術】というお話を聞く機会がありました。今まで目にしていた情報とは、かなり違っていたので、正直、驚いた次第です。

第一に、レアメタルがこの言葉のとおり希少金属であって、枯渇しているということ。
これに対しては、枯渇の心配はないそうだが、需要変動や資源ナショナリズムによる短期的な供給障害は起こり得るという事のようである。供給がタフになる要因としては、投機、事故、政策、優良鉱山の枯渇などが考えられ、レアメタル価格は乱高下します。

枯渇性に関連しては、副産物として得られるレアメタル、例えば、In(インジウム)は亜鉛の副産物ですが、主産物が生産される限り生産されるので、枯渇の心配はないということです。
レアメタルには、こうした誤解が多いようですが、情報操作による部分も大きいと言われていました。

第二に、レアメタルが中国などに偏在して埋蔵されていること。
これに対しては、アメリカや豪州などにも存在しているし、2000年初めまでは、アメリカからも供給されていた。但し、採掘コストや環境コストの問題があって米豪などでは採掘されなくなった。中国は優良鉱床、安価な労働力、緩慢な環境規制などの理由で、希土類生産が、中国に独占されているということでした。

第三に、レアメタルとは、周期律表の上で規定されているということ。
これに対しては、①資源的に希少な金属(In, Ga, Ta, Dy,...) ②資源的に豊富でも、メタルを得るのが困難な金属(Ti, Si, Mg,...)③資源的に豊富でも鉱床の品位が低い金属(Sc, V,...)、その他にも定義があるそうです。つまり、レア(稀)と思えたら、レアメタルだとか...?

日本とレアメタルについては、レアメタル鉱山は偏在しており、日本にはその資源がない。一方、日本はレアメタルの生産大国、技術超大国である。ハイブリッドカーやFC自動車など、【走るレアメタル】が本格的に普及しだすと、桁違いのレアメタルが必要となる。製造技術の開発、高効率リサイクル技術の開発など、日本が世界をリードしていかなければならないが、課題は多いそうです。何でもリサイクルすればいい、というものではないので...

最後に、レアメタルは、地球が生み出した奇跡の産物であるが、その価値が正当に評価されていない、あまりに低く評価され、タダ同然で採掘され消費されている。地球温暖化防止のために、燃料である石油の消費を減らし、稀少で高価なレアメタル満載のエコカーを走らすことは、何故か一面的な対症療法のような気がする。もっと次元の高いパラダイムへと移行しなければならない。【Value of Nature】に、想いを致すべきではないだろうか、という締めの言葉は、妙に納得が行くものでした。


灼熱アジア

2010-08-22 | 報道/ニュース
NHKスペシャルで【灼熱アジア】が始まった。1回目の22日はタイの金型企業などについてのレポートが流れた。いくつかの取材が行われていたが、複雑な想いがしたのは、タイのサミットが日本の金型企業を買収したというケースであった。

8名の熟練日本人がアドバイザーとしてタイにおもむき、現地の技術者、技能者などと働いている。「技術・技能は目で盗む」という環境の中で生きてきた日本人にもプライドがあって、最初は、全てを教えるという姿勢ではなく、タイ人がやっているのを脇で見ていたようだ。タイ人には、色々とまずい部分もあったようで、「このままで行けば、製品にはこういう不具合が出る」ということを、シミュレーションで示して、タイ人の自覚、理解を促した経緯はあったようだが、それはタイ人には受け入れられなかった。「先ずは製造してみてから、どうするのか考えよう」といった文化、仕事の考え方が根本にあったためである。

製品も思ったように出来ないことを、日本人の教え方が悪い、マニュアルがない、コミュニケーションができていないなど、諸々の原因探しに費やすタイ側。それに対して、日本人も、このままでは、何のためにタイまで来たのか分からない、リストラされるなどの議論を行った末、自分たちのプライドは忘れて、もっと現場に入り込んで直接指導していこうという結論に至った。最後は、ハッピーエンドのようにも感じたが、解決すべき課題は多いのであろうと思った。

タイには、地理的なメリット、FTAを踏まえての市場の拡大、技術・品質面での優位性などの点から、日本企業を含む多くの外国企業が製造拠点を展開している。その一面を垣間見た感じがした。

5~6年前に、英蘭企業で働いていた時、2回ほどバンコックを訪問したことがあった。その当時も多くの企業が来ていたが、その当時をはるかに凌駕する勢いである。確かに、優秀なエンジニアも多くいたし、生産性を上げる活動、TPM(Total Productive Maintenance)や6シグマなどの活動にもエネルギーを注入していた。あるレベル以上の人たちは、英語でのコミュニケーションも上手だった。タイで生産拠点を展開していくのには反論はない。

日本人として複雑なのは、かってはお家芸として有名だった金型産業が、日本ではビジネスが厳しくなってしまい、海外に出て行かざるを得ない状況にあることである。海外に出ていけば、当然、技術や技能の移転は起こるわけで、平準化というのか、日本の特徴がなくなってしまう。タイサミットで働く8名の日本人アドバイザーにも、その辺りの葛藤のようなものが見られた。

経済・技術は国境を越え、往来の頻度も指数関数的に増加している。その関係の中で必要となる要素は、give-and-takeである。何を与え、何を受け取るのか、色々な場面で考えていかねばならない状況が増えて来る。それは難しい話ではあるが、別の見方をすれば面白い時代になったとも言える。そういう機会が多い人たちは、良い準備をして戴きたい。そう願うだけです。


環境マネジメントツール

2010-08-09 | ビジネス
久し振りに、環境マネジメントのお話を聞く機会を得た。環境マネジメントシステムと言えば、ISO14001が浮かぶ。もう12年前のことだったか、欧州でのビジネス機会を失ってはいけないということで、日本の多くの電子電気機械のメーカーが、先陣を切って、ISO14001の認証取得に奔走したという記憶がある。外資の半導体関連企業に勤めていた手前、JACOで、監査員講習を受講したのもその頃の話であった。

ISO14001について、日本子会社でも認証取得するのかという点では、お客様からの要望もあったが、結局、「親会社の環境や安全衛生マニュアルに従って、確実に業務を進めていれば問題ない筈だし、アメリカの企業は、ISOよりも、自分たちのシステムを優先する」という論理で、取得しないままになった。

また、医薬品メーカーでは、工場で取得していたISO14001の認証を返上するという話も出て、「どうしましょう?」という相談を受けた。審査員補の立場では、「認証には、社会的なイメージもあるし、お墨付きのようなものだから、負荷が耐え難いものでなければ、維持していてはどうか?」というような返事をした。「システムとして確立し維持していれば、指摘事項も少ないし、メリットを感じない」と。それならば、環境管理の業務は、同じような精神と手法で続けていくことの言質をとって、返上に賛成した。

今回、エコステージという講習会に参加した。似ているようで、特徴のある考え方と手法。これは、ピラミッドや積み木を積み上げて行く構造になっていると感じた。そして、環境だけが対象ではなく、エコ=Σ(Environment+Economy)で、従来の、品質、コスト、安全、納期などに、環境を加えた、全体的な、ホーリスティックな取り組みのように思えた。即ち、品質や安全、環境、内部統制、CSR(企業の社会的責任)などが横的に配置され、それぞれにマネジメントシステムがあるのではなく、垂直的な関係(ステージを5段階)をもった取り組みのように捉えることができた。そうであれば、正に、経営ツールそのもの。既存の経営システムを活かしながら、その上に、積み上げていくということで、一体感のある取り組みが出来るということを売りにしていた。

大きな負荷を掛けずに、マネジメントシステムを構築していきたい企業には、こちらの方が現実的かも知れないな、と思った次第です。




総合技術監理

2010-08-08 | 暮らし
8月7日(土)、総合技術監理部門の試験を受けて来た。9時頃、試験会場である池袋の東京電子専門学校へ到着した。あまり、人はいない。指定された教室に行ってみたが、誰もいなかった。暫くしたら、三々五々集まって来た。PETボトルの水を買いに、一旦外に出た。戻って来ると、9時17分位になっていたが、教室の前で受験生が入室を待っている。

確か、9時15分ころから入室していいんだったよなと思い、受験票で確認。一人で教室の中へ。試験管1名とサポートの男性が1名。「入っていいんですよね?」と尋ねると、うなずく。自分の席に着く。残りの受験生も、後に従った。何だろうと思う。

試験は、午前は10時から2時間で選択式。問題は40問で、経済性管理、人的資源管理、情報管理、安全管理、社会環境管理、それぞれ8問ずつ。難しいかと聞かれれば、「それほどでも」と答えたくなるが、かといって、易しくもない。自信のある設問に○をつけると、27点くらいか?6割が目安なのだが、微妙なところか?でも、うっかりやポカでミスをすることもあるし、怪しい答えがあっているという嬉しい誤算だってある。まあ、運を天に任せるかという気持ちで、何度か見直しをした。そうこうするうちに、12時の「止め」の合図が出た。

さて、お昼をどこで食べようか?家でつくって貰ったおにぎりときゅうりの漬け物、外の自販機でお茶を買った。近くの公園に行った。すでに、ベンチには人が座って弁当を食べている。それに日差しが強く、そういう所では暑すぎて身体にも目にも良くないので、木陰を探した。公園の中と言うよりも、外周に木陰とパイプのてすりのようなものが柵のように走っていたので、そこに腰掛け、おにぎりを食べた。

そこから公園の中の方をみると、木々の緑と赤い花を翳した木、遠くに見える青い空、どこからか吹いてくる涼しげな風、そこに見える受験生、その他の人たち...何故だか、少し幸せな気分になった。

さて、午後からの試験、記述式で全てが決まる、という気分で行った。13時から16:30間での3時間半。長丁場であるが、この時間の上手な使い方で、試験の当落が決まると言ってもいい。試験問題のページを捲った。3つのケースから1ケースを選び、そのプロジェクトの責任者として、(1)プロジェクトの概要(目的、将来の絵姿)、社会便益などを具体的に示しなさい (2)前提条件に変化があるとした場合、どういうデメリットをもたらすか、また、それはいつ頃で、どういう条件のもとか (3)そうしたデメリットを防止、乃至はその影響を軽減するにはどうするのか という3つの課題について、総合技術監理者として、5つの管理の視点から3つ以上の視点で論ぜよ というものだった。

3つのケースとは、①エコカー ②複合高層ビル建設(?) ③先端技術を導入した大きな博物館の建設(?)で、①を選んで解答することにした。エコカーといっても、電気自動車、プラグインハイブリッド、燃料電池車がある。その中から1つを決めて、それについて述べよという設問だった。20分間くらい考えた。問題用紙の右下の空白に、気になるポイントと構成についてメモ書きした。最初は、3つのエコカーのどれを選んでも同じかなと考えていたが、結局、まだ実現が先と思っていたのに町を走るようになった、しかも開発競争が激しい電気自動車を選んだ。このままの趨勢が継続すれば、市場を席巻する筈だから...ひょっとして、そう思うことに落とし穴があって、低炭素社会の先に見え隠れする「水素社会」が予想より早く実現でもしようなら、燃料電池の復権があるかなと...20分の間に、そこまでのシナリオは考えなかったが、何となく、そういうイメージを想像して書き始めた。

書いているうち、そういう方向の議論の展開になって行った。リチウムイオンバッテリーの動向については仕事で少し関係していたので、少しは知っていることも披露しながら、議論を展開して行った。

書き始めると筆は走るので、答案用紙5枚(600字X5=3000字)の最後の行まで文字で埋め尽くすと、4時前だった。それから読み直したり、受験番号などを再度確認したりした。大分、手首も痛くなってきたし、全てのページを埋め尽くしたので、気になるところを1箇所書き直すとすれば、消しゴムで消した文字の枠に上手く収まるような語句を見つけるのも大変だし、消している最中に、他の行まで消してしまいそうになるし、ピラミッドの石を一つ外すと、周りが崩れるという心境になったので、「まあ、いいか」ということで、終了の20分前に答案を提出し、教室を出た。

今日は、最初も最後も一番初めだった。それが、本日の特筆すべきことだったのかも知れない。結果が送られて来るのが10月。合格であれば、例の体験論文を提出しなければならない。それから、12月か来年の1月に口頭試験が予定されている。全てが上手くまわれば、3月には合格が決定する。まあ、「天命を待つ」という心境とでもいいましょうか.