古都奈良の世界文化遺産を訪れる外国人観光客は、文化に興味の強いスペイン人が多いとの分析がある。スペインにはローマ時代からの聖地巡礼の道があるそうであり、と云ったところで、「山の辺(やまのべ)の道」や「柳生(やぎゅう)街道」が好まれる訳でもないだろう。矢張り駆け足で古都奈良の文化財を観るとすれば、東大寺大仏殿の毘盧遮那仏(びるしゃなぶつ)と奈良公園の鹿たちであろう。
一方、修学旅行生の場合、高校生や大学生であれば、ひょっとすれば、班別行動でマニアックな班が柳生街道あたりを狙うかも知れないとは思われる。春日山原始林(かすがやまげんしりん)は古都奈良の世界遺産リストに挙げられてはいるが、春日大社などの背景の役割でもあり、只(ただ)の小山に過ぎず、柳生街道はその裾(すそ)を巡っているだけであり、会津八一のガイドを受けた早稲田の学生を気取ることは難しそうだ。