クラシック 名盤探訪

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とっておきの名盤  その132 ワーグナー 舞台神聖祝典劇「パルシファル」

2008年08月04日 | とっておきの名盤「オペラ」
ワーグナーの死の前年に完成した舞台神聖祝典劇「パルシファル」は、彼にとってとりわけ神聖な曲であり、最高の音を出すべく自分が設計建築したバイロイト祝祭劇場以外での上演を禁止したほどであった。
クナッパーツブッシュの、この「パルシファル」に対する心酔ぶりは「クンドリーの本質」という大学での卒業論文を書いているほど若い頃から深く、1951年に戦後再開されたバイロイトでこの曲を指揮して以来、トラブルによる53年の中断を除き64年までずっと振り続けた。
当時の著名な音楽評論家ニューマンが英国の「サンデータイムズ」に載せた、51年の演奏に対する興味深い一文がある。
「・・・今回の上演の音楽の面に関しては、私はほとんど話す気になれない。
それほど魅惑的、かつまた胸の振り裂けるような思いをさせられたほど美しいものであった。
私がかつて見聞してきた”パルシファル”の中でも、これは最高のものであるばかりでなく、我が人生における三つか四つの、最も感動的な精神的体験の一つであった。
クナッパーツブッシュが指揮する管弦楽の演奏の絶妙さは、筆舌に尽くしがたい。・・・」
11年後の62年度バイロイト・ライヴはレコード史上に残る名録音で、バイロイトの奥深い音響の特長を見事に捉えたものであり、歌手陣のワーグナーの音楽の真髄に迫った歌いぶりも特別のものがある。
悠揚迫らぬクナの音楽の流れの運びも最高だし、ホッター意外には考えられない重要な役どころのグルネマンツの深みのある歌、ロンドン演ずる聖槍と聖杯を守る王アンフォルタス、そして素晴らしい魅惑的な歌を披露するダリスのクンドリー役がとりわけ素晴らしい。
これこそ真の不滅の名盤、歴史的名盤であり、これなくしては私のとっておきの名盤たちの本当の価値はありえない。
これほど何度聴いても飽きない、聴くたびに感動が増す曲はそうあるものでもなく、他にあげるとしたらブルックナーの8番とプッチーニの「ボエーム」、それからR.シュトラウスの「影なき女」ぐらいかもしれない。
・ハンス・クナッパーツブッシュ指揮、バイロイト祝祭管弦楽団・合唱団、ジェス・トーマス<T>、ハンス・ホッター<BS>、ジョージ・ロンドン<Br>、グスタフ・ナイトリンガー<Br>、アイリーン・ダリス<S> (62年録音) <PHILIPS>

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1 コメント

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パルジファル (ザックス)
2009-12-09 15:08:45
私も最も好きな曲です。

今、演奏会形式のチケットを売り出していますが、今回はパスして、録り溜めたVHSをじっくり観るつもりです、1W位かけて。取りあえず、
 ・バレンボイム-ベルリン国立
 ・シノーポリ-バイロイト
を。 

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