昨日、原稿・データともに担当者にお渡しし、私の役目はめでたく終了!
でもってようやく腰を落ち着けて『韻鏡』の勉強に集中できる環境になった。
参考としているものは、『中古音のはなしーー概説と論考』『漢和大辞典』の巻末にある「中国の文字とことば」など。
『中古音のはなしーー概説と論考』には、『廣韻』・『韻鏡』の構造を、練習問題などをまじえて分りやすく順を追って説明がされている。
このテキストを送って戴いたのは、2年前の10月。
折に触れて眺めてはいたものの、『韻鏡』に入る1歩手前で立ち止まっていた。
『廣韻』は、科目等履修生であった時に授業で先生が取り上げてくださったので、どうにか理解はしている。
今回は、中古音を調べるために是非とも『韻鏡』の壁を突破したい!
このテキストの設問に「以下の字の中古音を調べる」とあるのが目に入り、よし、このテキストの内容をマスターすれば自分で中古音を調べられるようになるんだ! と思った次第。
練習問題には、反切・小韻代表字・梅県音・広州音などを調べて記入する表が設けられている。
反切・小韻代表字を調べるには、先生に薦めて戴いた澤存堂蔵板の『校正宋本廣韻』がすでに手元にあるので大丈夫。
梅県音・広州音を知るには、『漢語方音字彙』が良いようで、これもさる筋からゲット!
あとは根気よく調べていくのみ!
これは私がもっとも得意とするところ!
じっくり腰を落ち着けて・・・ のはずが、何かを調べ始めるとつい他のところに目が・・・
「中国の文字とことば」の韻鏡に関するところを読んでいると「日本の上代特殊仮名遣い」というのが目に入った。
特殊仮名遣いのうち、「き・ひ・み」の甲類・乙類を表すために使われた漢字が、『廣韻』や『韻鏡』の漢字音と関係があると書かれている。
へぇ~~~、そうだったんだぁ~~~ なんて感心して・・・ ふと
手元に橋本進吉著の『古代国語の音韻に就いて』があるのを思い出してパラパラとめくってみると、
「甲類に属するものと、乙類に属するものとの音の上の違いは、まず支那の韻の違いに当ります。」とあり、『韻鏡』の等位に関しても書いてありました。
読んでいたのに全く記憶に無く・・・
マーカーまで付けてあったところをみると、読んだ当時も関心はあったんだろうに・・・
仮名遣いと言えば、萬葉学会の機関紙『萬葉』210号に「西風の見たものーー上代日本における中国詩文」(内田賢徳)と題した論文が掲載されている。
その初めのほうに以下のようにある。
「倭国の固有名の表記に中国語の音節のうち、近いと聞かれた文字を使って写し、~~~。そうした思いつきやすい文字が選択されている。その方法は、基本的に『萬葉集』の音仮名に引き継がれている」ということは、甲類・乙類に当てられた漢字も耳で聞いて近い音の漢字があてられたはず。
となると『漢和大辞典』に書かれている「日本の『上代特殊仮名づかい』は、くしくもこの差異を反映している」とある「くしくも」という表現は妥当なのだろうか?
あ~~~~、又とんでもなく脱線してしまった!
でも、何か引っかかるなぁ~~~