自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★タカになりたかったトンビ

2023年06月30日 | ⇒ドキュメント回廊

   きょう久しぶりに金沢城公園を散歩した。コロナ禍を経て観光客が戻っているようで、団体やインバウンド観光客の姿が多く見られた。休憩所に入ると、「トンビに注意!」のポスターが数枚貼ってあった。

   休憩所にいたボランティアガイドの男性に尋ねた。「トンビに注意とありますが、どんな被害があるのですか」と。すると、ガイド氏は困ったような顔つきでこう話してくれた。公園の広場で弁当などを食べていると、トンビが空から降りて来て、人に危害を与えないが食べ物を取っていくという事例が目立っているという。これまでも、サンドイッチやおにぎりなどが狙われた被害があったそうだ。確かに、注意書きの下には、「食べ物をねらって、空から急降下してくることがあります」と記してある。

   タカ科の猛禽類のトンビはピーヒョロヒョロと鳴きながら、空でくるりと輪を描いているイメージだが、地上の獲物を狙っている。ヘビやカエルなどが好物のようだが、以前、能登の千里浜海岸で打ち上げられたの魚の死骸を突いている様子を見たことがある。雑食性の鳥だ。「トンビに油揚げをさらわれる」という言葉もある。自分のものになると思っていたものや、大切にしていたものが不意に横取りされることのたとえで使われる。このようなことわざがあるくらい油断ならない生き物なのだろう。

   悪いイメージだけではない。「トンビがタカをうむ」という言葉もある。平凡な親が優れた子を生むことのたとえ。そして、「トンビも居ずまいからタカに見える」という言葉もある。普通の人間であっても、立ち居振る舞いによって立派な人に見えるというたとえだ。

   前回のブログの続きになるが、ロシアのプリゴジンをトンビにたとえてみる。タカ(将軍)になりたかったトンビが軍勢を引きいてモスクワに進軍したが、ベラルーシのルカシェンコ大統領にトンビはトンビと諭されておじけづいた。しょせんトンビはトンビ、タカにはなれない、と。

⇒30日(金)夜・金沢の天気    くもり

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☆粛清へと向かうのか 「プリゴジンの乱」の余波

2023年06月29日 | ⇒メディア時評

   たった一日とは言え、私兵を率いて政府軍に盾突いたプリゴンジはプーチン大統領にとっては、いわゆる「反逆者」だ。はたしてプーチン氏は彼を許すだろうか。ロシアには「チーストカ(粛清)」の歴史がある。あのソビエト連邦時代の最高指導者だったスターリン(1878-1953)は反革命や不正者を徹底的に弾圧したことで歴史上で知られる。粛清は、ある意味で敵の脅威をつくり出すことで国民を恐れさせ、団結させることにあるとされる。プーチン大統領も国民の団結の「道具」として、プリゴジンの粛清を行うのではないか、との読みもある。(※写真は、6月25日付・BBCニュースWeb版)

   たとえは適切でないかもしれないが、ロシアにはもう一つの粛清の方法がある。それは墓などをつくらず、地上に存在したことを消去することだ。第二次世界大戦で、ヒトラー率いるドイツ軍は1945 年5月 8 日に無条件降伏したが、ヒトラーは降伏前の4月30日に自決する。遺体はヒトラーの遺言によって焼却されたものの、焼け残った遺体は当時ベルリンを占領していたソ連軍によって東ドイツのマクデブルクに運ばれ、ソ連諜報機関の事務所前の舗装の下に埋められた。1970年になって、ネオナチの崇拝目的になることを怖れ、遺体を再び焼却して遺灰をエルベ川に流したとされる(Wikipedia「アドルフ・ヒトラーの死」より)。

   この粛清の方法はロシアだけではない。第二次大戦後、極東軍事裁判(東京裁判)で死刑判決を受けた元総理の東條英機ら7人のA級戦犯の遺骨もそうだった。アメリカ軍は1948年12月23日、東京・巣鴨プリズンから遺体を運び出し、横浜市内の火葬場で焼かれ、遺骨は別々の骨つぼに納められた。そして、小型の軍用機に載せられ、上空から太平洋に散骨されている。

   また、ニューヨークの同時多発テロ(2001年9月11日)の首謀者とされたオサマ・ビン・ラディンに対する斬首作戦が2011年5月2日、アメリカ軍特殊部隊によって実行された。パキスタンのイスラマバードから60㌔ほど離れた潜伏先を奇襲して殺害。DNA鑑定で本人確認がなされた後、アラビア海で待機していた空母カール・ビンソンに遺体は移され、海に水葬された。

   遺骨が遺族に返還され、墓がつくられることになれば、その墓が将来、聖地化や崇拝の地になることを想定しての処置なのだろう。「死をもって罪をあがなう」という発想ではなく、存在証明を許さないのだ。プリゴジンの処遇をめぐっての書き出だしだったが、話がずいぶんと逸れた。

⇒29日(木)夜・金沢の天気    くもり時々あめ

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★宗教画を強制移設 「聖戦」勝利はプーチンの願い

2023年06月27日 | ⇒ニュース走査

          ロシアをめぐる騒々しいニュースは、「プリゴジンの乱」だけではないようだ。BBCニュースWeb版(今月5日付)は「Ukraine war: Holy Trinity painting on display in Moscow」の見出しで、ロシアでもっとも有名な宗教画とされる「聖三位一体」がプーチン大統領の命令で、国立美術館からモスクワ大聖堂に移され展示されたことが物議を醸している、と伝えている=写真=。

   宗教画は「イコン(Icon)」と称され、聖三位一体のイコンは15世紀初頭に描かれたもので、旧約聖書の一場面でとされる。16世紀にモスクワ教会はこれをイコンと定めて保管してきたが、ロシア革命の後は宗教活動が認められなくなったため、1929年から国立トレチャコフ美術館で所蔵されていた。それをプーチン大統領がロシア正教の総本山であるモスクワ大聖堂に強制的に移設し、6月4日から一般公開している。

  ただ、このイコンは壊れやすく、美術館ではこれまで温度と湿度が制御された部屋に置かれ、修復チームがメンテナンスを行ってきた。まさに、「it was like a person in intensive care(集中治療室にいる人のような)」状態だった(BBCニュースWeb版)。それほど破損が危ぶまれる作品を、プーチン氏はなぜ移設を命令したのか。

   ロシア正教の総主教はウクライナ侵攻を「holy war.(聖戦)」と称して、プーチン氏を支持してきた。そして、総主教は「This icon returns to the Church at a time when our Fatherland is confronting massive enemy forces」と信者に語っている。つまり、戦争中にイコンを大聖堂に戻すとロシアが勝利する、と。

   BBCはこう締めくくっている。「To make Russians believe that God is on their side. And to make them forget that it was their country that invaded Ukraine.」。プーチン大統領の狙いは、イコンがここにある限り敵国に勝てるとロシア人に信じさせる。それは、ウクライナを侵略したのはロシアであることを彼らに忘れさせるため、なのかもしれない、と。

   モスクワ大聖堂に展示されている聖三位一体のイコン。プーチン氏はイコンが奇跡をもたらすと本当に信じているのだろうか。

⇒27日(火)夜・金沢の天気    くもり時々あめ

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☆ホタル舞う田んぼ 自然との共生のドラマがある

2023年06月26日 | ⇒トピック往来
   石川県の白山ろくで農薬や化学肥料を使わない農業を営み、ホタルの保存活動を行っている知り合いから勉強会の誘いを受けて昨夜、出かけた。勉強会は白山市渡津(わたづ)町の集会所であった。テーマは「第12回白山麓わたづ町・蛍の里・ホタル観賞会~自然と共に環境は未来へ~」。勉強会に参加するのは9年ぶりだった。

   誘ってくれたのは稲作専業農家の大田豊氏74歳。先祖代々からの里山の田んぼを受け継ぐ。標高220㍍の棚田に無農薬、そして無化学肥料のコメづくりに取り組み、2011年に「渡津蛍米」を商標登録した。いわゆる「生き物ブランド米」だ。兵庫県但馬地域の「コウノトリ米」や新潟県佐渡の「トキ米」が有名だが、大田氏も「生き物は田んぼの豊かさを示すバロメーター」が持論で、独学で田んぼと生物多様性について学んでいる。多彩なゲストを招いての勉強会もその一環。
 
   60人余りが参加した勉強会は午後6時から始まり、6人のパネリストが発表した。印象に残った発表の一つが、NPO法人「日本ホタル再生ねっと」理事長の草桶秀夫氏(元福井工業大学教授)が説明だった。西日本と東日本ではゲンジボタルのオスの光り方が異なり、フォッサマグナ地帯を境とした西日本では2秒間隔、東日本では4秒間隔との内容だ。ゲンジボタルのミトコンドリア遺伝子につながる塩基配列を用い、全国108地域の個体間の遺伝的類縁関係を調べるなど調査した。その結果、進化の過程で遺伝的変異とともに、発光パターンが変化したとの解説だった。
 
   そして意外だったのは、「ホタルは遺伝的多様性が大きいので、むやみに放流をしないこと」という言葉だった。「ホタルの移植(放流)3原則」というのがあって、▽移植元と移植先が同一河川に限る▽大きな山の尾根を越えた移植はしない▽10㌔以上離れた場所からの移植はしない、とのこと。つまり、よかれと思い遠くから幼虫などを大量に運んで放流したとしても、遺伝的には繁殖につながらないとの説明。つまり、ホタルの環境保全という視点から、ホタルの大量放流や飼育はできる限り、避けるべきとの解説だった。
 
   午後8時ごろから、大田氏の水田でのホタル観賞会に参加した。水田に舞うヘイケボタル、そしてすぐ近くの河川に舞うゲンジボタル。夕闇の中、ホタルの群れが黄緑色の光跡を描きながら乱舞していた。ホタルが舞う田んぼには、耕す人たちのドラマがあるのだろうと感じ入った。そして、ホタルはきれいだという印象にとどまらず、農薬や化学肥料を使わずに自然との共生を考えるシンボルになってほしいとの思いを新たにして水田を眺めていた。
 
⇒26日(月)午前・金沢の天気     はれ
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★たった1日の「プリゴジンの乱」でもプーチンは許すか

2023年06月25日 | ⇒ニュース走査

   BBCニュースWeb版(25日付)はそのことを、「Prigozhin was adamant this was "a march for justice", not a coup. Whatever it was, it came to an end very fast.」と伝えている=写真=。プリゴジンは、これはクーデターではなく「正義のための行進」であると断固として主張した。それが何であれ、それは非常に速く終わった。BBCはじつに簡潔な表現で伝えている。

   ウクライナへの軍事侵攻をめぐり、ロシア国防省を非難する民間軍事会社ワグネルは24日朝にロシア南西部のロシア軍の拠点に入った。これに対し、プーチン大統領は同日午前、緊急テレビ演説を行い、ワグネルの行動は「我が国民を後ろから刺す」「裏切り」と非難した。これに対し、ワグネル創設者のプリゴジン氏は、この行動はロシア国民のためで、「正義のための行進」だと述べ、モスクワへと北上を続けた。

   それが一転、部隊を引き返す。プリゴジン氏は24日夜(日本時間の25日午前2時すぎ)にSNSの音声メッセージで、「われわれは正義の行進に出た。しかし、ロシア人の血が流れることへの責任を自覚し、部隊を拠点に戻すことにした」と、流血の事態を避けるための決断だと述べた(25日付・NHKニュースWeb)。

   一連のニュースに注目していて、プリゴジン氏は反乱者なのか英雄なのかと思っていたが、どうやらただの反乱者のようだ。メディア各社の報道をまとめると、ロシアと同盟関係にあるベラルーシのルカシェンコ大統領がプリゴジン氏と直に協議を行い、プリゴジン氏がルカシェンコ大統領の申し出を受け入れた。プリゴジン氏をベラルーシに亡命させる。ワグネルの部隊はロシア国防省に組み入れる。プーチン大統領は緊急テレビ演説で「国家反逆罪と見なす」「全員処罰すると」と述べていたが、ロシア大統領府の報道官は、プリゴジン氏ならびにワグネルの戦闘員に対して、「罪は問わない」と表明した。

   以下は憶測だ。プリゴジン氏は現政権にたった一日とは言え、反旗を翻した反乱者であることは事実である。この「プリゴジンの乱」をプーチン大統領は許すだろうか。今後プリゴジン氏はベラルーシに逃れるとは言え、将来、同調する勢力が現われ再び反旗を翻すとも限らない。プーチン氏はそう考えるのではないか。覚悟なき反乱の報い、その顛末はどうなる。

⇒25日(日)夜・金沢の天気    くもり

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☆真珠湾とヒロシマを世界の子どもたちの平和教育の場に

2023年06月23日 | ⇒ニュース走査

   もう7年前になる。アメリカの当時のオバマ大統領が2016年5月27日、伊勢志摩サミット(G7首脳会議)の帰りに、安倍総理とともに広島市の平和記念公園の原爆死没者慰霊碑を訪れ、献花に臨んだ。オバマ氏は献花の後に頭を下げずに黙祷した。原爆投下の「謝罪はせず」という意味を込めていた。アメリカの現役大統領で初めての献花だった。(※写真・上は、オバマ大統領が安倍総理とともに原爆慰霊碑で献花=外務省公式サイト「オバマ米国大統領の広島訪問」より)

   そして、その7ヵ月後の12月26日、安倍氏はオバマ氏とともにハワイのパールハーバー(真珠湾)を訪れ、かつて攻撃した側と攻撃された側の国の首脳がそろって慰霊した。このとき、安倍氏は「不戦の決意」を語ったが、謝罪に関することは口にしなかった。安倍氏とオバマ氏の双方が戦争の始まりと終焉の地で慰霊したことで、過去の悲しみを耐えて憎しみを乗り越え、過去への謝罪ではなく、未来志向で平和と和解のかけ橋の役割を果たす決意でもあった。(※写真・下は、パールハーバーを訪れ、声明を発表する安倍総理=外務省公式サイト「安倍総理大臣のハワイ訪問」より)

   そして、ことし5月19日、G7広島サミットに訪れた各国首脳らが原爆慰霊碑で一列に並んで花を手向け、記念の植樹をした。国際社会に向けて核兵器による惨禍を二度と起こさないという強いメッセージとなったことは間違いない。

   そのハワイのパールハーバー国立記念公園と広島の平和記念公園が姉妹公園の協定を結ぶことになった。メデアィア各社の報道によると、広島市が発表した。ことし4月、アメリカ側から広島市に対し、G7広島サミットをきっかけに協定を結びたいという打診があり、同市はG7サミットで出された核軍縮に関する声明「広島ビジョン」の実現に向けた機運の醸成にもつながるとして、受け入れを決めた。今月29日に姉妹公園の協定を結ぶ(22日付・NHKニュースWeb版)。

   協定は署名から5年間有効で、具体的には▽若い世代に平和の尊さを伝える企画や▽公園の保全や来場者を増やす手法の共有などで連携する方針。アメリカ側は、パールハーバー国立記念公園について「太平洋戦争の当事者間の相互理解と平和の推進を目的とし、平和公園と目指すところは共通している」という見解を示している。29日の調印式は都内にあるアメリカ大使館で行われる予定(同)。

   パールハーバーとヒロシマにはその背後に脈々と流れる歴史の連続性というダイナミックなドラマがある。ぜひ、日米と世界の子どもたちへの平和教育の場として連携してほしいと願う。

⇒23日(金)夜・金沢の天気   あめ

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★マイナカードぶれぶれ 大ぶれ米中関係 ガソリン上ぶれ

2023年06月22日 | ⇒ニュース走査

   きのう自宅近くのガソリンスタンドで給油した。これまで1㍑165円前後だったのに、急に1㍑170円にアップした=写真・上=。スタンドの店員との立ち話だが、政府が石油の元売り会社に支給している補助金が徐々にカットされていて、「補助金がなくなれば、あと10円ほど高くなりますよ」とのこと。政府の補助金カットだけでなく、アメリカのFRBも年末までにさらなる利上げを示唆したことから円安が進んでいる。ガソリン価格もどこまでぶれていくのか。

   マイナンバーカード問題もぶれまくっている。目立つのは、マイナンバーカードと一体化した健康保険証をめぐってこれまでに他人の情報が登録されていたケースが7300件余り確認されているにもかかわらず、政府は来年秋に保険証を廃止し、マイナンバーカードに一体化する方針を進めている。政府とすれば、カードを発行する自治体による共用端末のログアウト忘れや事務処理の誤りなど人為的なミスによるもので、マイナンバカードの仕組みそのものに問題はない、との理解のようだ。

   岸田総理はマイナンバーカードを「デジタル社会のパスポート」と位置づける狙いがあるようだが、国民世論は健康保険証の廃止について、「廃止を延期するべき」38.3%、「廃止を撤回するべき」33.8%と、計72.1%ものが来年秋の廃止に違和感を持っている(共同通信・今月17,18日調査)。このミゾをどう埋めるかが先決だろう。

   アメリカと中国の関係もぶれにぶれている。アメリカのバイデン大統領は20日にカリフォルニア州で開かれた民主党の政治資金パーティーで今年2月にアメリカ軍が偵察用と思われる中国の気球を撃墜した問題に言及。「偵察機器を満載した気球を私が撃墜した際、習氏は激怒したが、それはそこに気球があったことを知らなかったからだ」「真面目な話だ。何が起きたか知らないというのは、独裁者にとって非常に体裁が悪いものだ」と述べた。習主席を「独裁者」呼ばわりした(21日付・AFP通信Web版日本語)。

   米中関係が悪化する中、アメリカのブリンケン国務長官が中国を訪れて19日に習主席と会談し、関係改善に向け対話を維持することを確認したばかりだった。バイデン大統領の心情は察するが、タイミングが悪くぶれ幅が大きく感じられた。

(※写真・下は、2022年11月、バイデン大統領と習主席がバリで会談=中国外務省公式サイトより)

⇒22日(木)午後・金沢の天気    あめ 

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☆真っ赤に焼けつくような 夏が来た

2023年06月21日 | ⇒ニュース走査

   きょうは二十四節気の「夏至」にあたる。太陽が真南に来たときの位置が一年で最も高くなる。簡単に言うと、一年で最も日が長く、夜が短い。これから夏の盛りへと、暑さが日に日に増していく。で、ことしの夏は猛暑なのか冷夏なのか、普通の夏なのか気になっていたが、ウェザーニューズ社はきのう20日、公式サイトで7月から9月までの気温に関する見解「猛暑見解2023」を発表した。

   それによると、ことしの夏の気温は全国的に平年より高く暑い夏になる見通し。7月下旬から8月上旬にかけて暑さのピークを迎え、西日本や沖縄を中心に猛暑となる予想だ。添付されている予想図を見ると、真っ赤に焼け付いた日本列島が描かれている。

   ことしは海面水温が高くなるエルニーニョ現象がやっくるとこれまで報道されていた。エルニーニョは冷夏をもたらすとのイメージがあったのだが、どうやらそんな単純な話ではないようだ。猛暑見解2023の記事を読んでいて気になった言葉が「ダブル高気圧」。高度が異なる太平洋高気圧とチベット高気圧があり、チベット高気圧が日本付近まで張り出した場合は、太平洋高気圧と上空で重なり合ってダブル高気圧となり、厳しい暑さをもたらす。35度以上の猛暑日が続いたり、フェーン現象が起こりやすい場所では40度前後の酷暑になることもあるそうだ。

   気になる北陸の状況をチェックすると。【7月の気温】平年より高い予想。梅雨期間中は、晴れ間が出て蒸し暑い日もある見通し。梅雨明け後は、夏空が広がって暑さの厳しい日が多くなる。【8月の気温】平年より高い予想。晴れて暑くなる日が多い中、にわか雨や雷雨の発生で暑さが和らぐ日もある。【9月の気温】平年より高い予想。月の前半は晴れ間の出る日が多く、残暑が厳しくなり、後半は曇りや雨の日が多く、蒸し暑くなる日もある。

   これだけ猛暑が長く続くと、熱中症が気になる。エアコンの室温設定を上げればよいが、6月から値上げされた電力料金も気になる(北陸電力は39.7%アップ)。なんとか乗り切ったとしても「夏バテ」でヘトヘトになるのではないか。この先が思いやられそうな、夏が来た。

⇒21日(水)午前・金沢の天気     くもり

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★ガタ落ち内閣支持率 ゴリ押しマイナカード

2023年06月20日 | ⇒ニュース走査

   ウクライナのゼレンスキー大統領も飛び入り参加するなど、G7広島サミットが注目されて岸田総理の株は上がった。が、その後、秘書官を務めていた長男が総理公邸で親族を集めて忘年会を開いていたことが発覚し、最近ではマイナンバーカードをめぐる相次ぐトラブルや健康保険証との一本化を進める政府方針をめぐって世論は揺れている。共同通信社の世論調査(今月17、18日)によると、内閣支持率は40.8%と前回(5月27、28日)47.0%を6ポイントも下げた。不支持は41.6%で前回35.9%より6ポイント上がり、再び不支持が支持を上回った。

   下げの主な要因は、やはりマイナンバーカードにあるようだ。世論調査では、マイナンバーカードについて、「他人の年金情報が表示されたり、他人の口座や医療情報が登録されたりするトラブルが相次いでいます。あなたは、政府が進めるマイナンバーカードの活用拡大に不安を感じていますか」と問いに、「不安を感じている」39.8%、「ある程度感じる」31.8%と、計71.6%が不安に感じるていることが分かった。

   そもそも論ではあるが、マイナンバーカードは市区町村長が交付するもので、取得は義務ではなく任意である。なのに、健康保険証を来年秋に廃止して、マイナンバーカードに一本化するなど本末転倒ではないかとの強い違和感が世論調査で浮かんで見える。

   ところが、デジタル庁は2026年中にも偽造防止のため、暗号技術などを採用する新たなマイナンバーカードの導入を目指す方針を示していて、改正マイナンバー法を今月2日の参院本会議で可決成立させている。民意とは裏腹に、岸田総理がマイナンバーカードの普及をゴリ押しする背景には、これを「デジタル社会のパスポート」と位置づける狙いがあるようだ。

   であるならば、国民にもっと丁寧に説明すべきだろう。世論調査では健康保険証の廃止について、「廃止を延期するべき」38.3%、「廃止を撤回するべき」33.8%、「予定通り廃止するべき」24.5%と、来年秋の廃止に対する異論は72.1%にも及ぶ。マイナンバーカードのゴリ押しで、内閣支持率がガタ落ち。こうなると衆院解散の話どころではない。どうする岸田内閣。

(※写真は今月18日、母校の早稲田大学で講演する岸田総理=総理官邸公式サイトより)

⇒20日(火)夕・金沢の天気    はれ

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☆アワビが絶滅危惧種に どうする舳倉の海女さん

2023年06月19日 | ⇒トピック往来

   能登半島の舳倉島の沖合250㌔に北朝鮮が弾道ミサイルを落下させたことをきっかけに、記者時代に取材に訪れたこの島のことを再認識する意味で書き綴っている。ブログをチェックしてくれた東京の知人から、「この島で大伴家持の時代からアワビが採れていて、いまでも海女さんたちがアワビ漁を続けているということは、まさにSDGs=持続可能な海の資源ではないか。でも、それがどうして可能なんだ」と、メールで感想と問い合わせがあった。

   確かに周囲5㌔ほどの小さな島で、大伴家持が能登を訪れてアワビのことを詠ってから1270年余りの間、連綿とアワビ漁が続いている。素潜りなので、一番深いところ18㍍ほどと採取エリアが限られている。そして、海女さんたちは自主的に厳しいルールをつくっている。アワビの貝殻の大きさ10㌢以下のものは採らない。漁期は7月1日から9月30日までの3ヵ月。海に潜る時間は午前9時から午後1時までの4時間と制限している。さらに、休漁日は一斉に休む。こうしたルールを互いに守ることで、持続的なアワビ採りの恩恵にあずかっている。

   しかし、漁獲量は減少している。昭和59年(1984)の漁獲量39㌧をピークに右肩下がりで減少し、近年では2㌧ほどと20分の1に減少している。このため、島に禁漁区を設け、種苗の放流、アワビを捕食するタコやヒトデなどの外敵生物の駆除作業などを行っている。この傾向は舳倉島だけでなく、世界のアワビを襲っている。

   野生生物の絶滅のリスクなどを評価しているIUCN(国際自然保護連合、本部=スイス・グラン)は去年12月10日、世界に54種あるアワビのうち、日本で採取されている3種(クロアワビ、マダカアワビ、メガイアワビ)を含め20種について、「絶滅の危機が高まっている」として新たにレッドリストの絶滅危惧種に指定した(IUCN公式サイト)。

   アワビは日本だけでなく世界でも高級食材であり、南アフリカでは犯罪ネットワークによる密猟で壊滅的な打撃を受けている。さらに、「海洋熱波」によりアワビがエサとしている藻類が減り、西オーストラリア州の最北端では大量死。また、農業および産業廃棄物が有害な藻類の繁殖を引き起こしていて、カリフォルニアとメキシコ、イギリス海峡から北西アフリカと地中海にかけてはアワビの病弱化が報告されている。このアワビ激減の対応策として、IUCN研究員は「養殖または持続可能な方法で調達されたアワビだけを食べること。そして、漁業割当と密猟対策の実施も重要」と述べている(同)。

   舳倉島でもクロ、マダカ、メガイの3種のアワビが採れている。今回のIUCNによるレッドリスト化によって、海女さんたちはさらにどのような取り組みを進めるのか。海の生態系から得られる恵みを肌で感じている海女さんたちがこの難題をどう乗り越えるのか、国際的にも注目されるときが来たのではないだろうか。アワビ漁は来月1日に解禁となる。

⇒19日(月)夜・金沢の天気    くもり

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