自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★岩城宏之氏の「運命の輪」

2005年12月20日 | ⇒トピック往来

   「ステージ上で倒れるかもしれない。でも、それがベートーベンだったら本望だ」と指揮者の岩城宏之さんは言う。そして、ことしの大晦日にまたベートーベンの全交響曲(1番から9番)を9時間30分かけて演奏する。「岩城さんは本気だ」と共感した演奏者たちが続々と集まった。31日15時30分から東京芸術劇場で繰り広げられるコンサートは、さしずめ「運命の輪」の広がりか。

  去年の大晦日、ローカル民放テレビ局に在籍していた私は岩城さんの初めて試みをなんとか番組にしたいと思い、CS放送「スカイ・A」と共同制作でライブ番組にこぎつけた。自局ではその後2月に岩城さんの生き様を交えドキュメンタリー番組(全国放送)になった。そのドキュメンタリー番組が放送される前の1月に私は50歳を期して人生の一つの区切りとしたいと思いテレビ局を辞した。

   その数ヶ月後、ドキュメンタリー番組を担当したディレクタ-から、「岩城さんが再度、ベートーベンチクルス(連続演奏)に挑戦すると言っているんです。また、番組をつくれませんか」と聞いた。「番組をつくれませんか」というのは、つまるところ「お金をつくれませんか」との意味だ。 お金をつくれませんかといわれても、すでにテレビ業界から足を洗い、大学というアカデミックな場に身を置いていたので、これまでのように口八丁手八丁でスポンサーと掛け合うことはできる立場でもないし、番組とかかわる理由もなかった。だから、話は聞いてはいたが、放っておいた。

   そして、「運命の日」が巡ってきた。インターネットで地域の映像資産を配信する実証実験事業(経済産業省)に石川県映像事業協同組合の申請が採択された。この事業のコンソーシアムに金沢大学がかかわることになり、地域連携コーディネーターである私が担当となった。そして実証実験として県内のテレビ局が制作する優良な番組コンテンツをネットで配信することが決まった。季節は秋になっていた。

   番組の公募が始まり、くだんのディレクターに「岩城さんの番組の話、エントリーしてみたら」と促した。そして番組企画書がコンソーシアムに送られてきた。審査で採用が決まったが、それからが大変だった。演奏者の権利の処理問題など難問が山積していた。しかし、不思議な気がした。去年は放送でかかわり、今度はインターネットでかかわる。岩城さんの「運命の輪」に自分自身もいつしか絡まっていたのである。<次回に続く>

⇒20日(火)朝・金沢の天気    くもり


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2 コメント

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TBありがとうございました (stonez)
2005-12-22 18:46:35
こんばんは。私のブログにTBいただきありがとうございました。

岩城さんのベートーヴェンは、オーケストラアンサンブル金沢とのCDで聴いたことがありますが、ぜひ一度生で聴いてみたいものです。それにしましても、ベートーヴェン1~9番までとは相当な体力を必要とするのでしょうね(^^ゞ
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完成度が高いですね (BY 「自在コラム」)
2005-12-23 18:55:01
 stonezさん、コメントありがとうございます。stonezさんのブログの完成度の高さに脱帽しております。
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