自在コラム

⇒ 日常で観察したことや環境問題、金沢大学での見聞、マスメディアとインターネットについての考察を紹介する宇野文夫のコラム

☆ネット同時配信の成功モデルはラジオにある

2017年02月26日 | ⇒メディア時評
   先日(今月23日)広告代理店「電通」が「2016年 日本の広告費」を発表した。毎年このデータに注目している。それによると、2016年の総広告費は6兆2880億円で前年比101.9%と5年連続でプラスとなった。注目しているのは、通称「4マス」と呼ばれるマスコミ4媒体の広告費だ。テレビメディア(地上波、衛星)の広告費は2兆8596億円(前年比101.7%増)、新聞は5431億円(同95.6%)、雑誌は2223億円(同91.0%)だった。これに対して、ラジオは1285億円(102.5%)。インターネットはさらに伸び率が高く1兆3100億円(同113.0%)だった。

   4マスでの伸び率で言えばラジオが健闘した。これまでだと、ラジオが伸ることはありえなかったかもしれない。ところが、電通の分析はこうだ。ラジオの伸びは年間を通して好調に推移していて、業種別ではシェアの高い「外食・各種サービス」が同110.5%と2桁成長し、11年連続で増加した。そのほか「不動産・住宅設備」「自動車・関連品」なども増加している。とくに、「radiko(ラジコ)」は月間ユニークユーザ-数およびプレミアム会員数が前年に引き続き堅調に推移。また、リアルタイム以外でもラジオ番組が聴けるタイムフリーサービスがスタート(2016年10月)し、利用が促進された、としている。このラジコこそ、ラジオのネット同時配信なのだ。

   ラジコは2010年に、関東と関西のラジオ放送局、そして電通が共同で立ち上げた。全国82のラジオ局と放送大学が参加し、リスナーは今いる地域の放送局の番組は無料で聴ける仕組みだ。2014年からは月350円(税別)で全国のラジオ放送が、昨年2016年10月からは地元のラジオ局の1週間分の番組が無料で聴けるようになった。

   この仕組みをテレビ局でも応用できないだろうか。テレビ局のネット同時配信は東京キー局の番組が全国に配信できるようになれば、ローカル局が「炭焼き小屋」になりかねない、経営危機に陥るという懸念がテレビ業界、特にローカル局にある。が、ラジオもテレビも同じ構図だった。ラジコのシステムと同じように、月額料金を払えば他のテレビ局も視聴できるようにすれば、視聴者に選択肢が広がる。関東圏や関西圏の視聴者のローカル局の視聴ニーズが高いとされている。さらに、スポンサーとすればテレビ局の新たな広告価値も広がるのではないだろうか。

   現状では、ネット上でさまざまな動画サイトが乱立し、テレビ局は視聴者を奪われつつある。これが一番の危機と認識して、テレビ局はネット同時配信を急ぐべきではないだろうか。もちろん、肖像権や音楽著作権など乗り越えるべき壁はあるが、勢いで取り組めばそう難しい話ではない。

⇒26日(日)夜・金沢の天気    あめ
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★放送のネット同時配信をめぐる不協和音-下

2017年02月20日 | ⇒メディア時評
   放送のネット同時配信を想定してすでに「イーメジトレーニング」を実践している人たちがいる。NHKの受信契約の営業マンだ。放送法64条では、NHK番組を実際に見ているかどうかに関係なく、NHKを受信できる設備(テレビ)を持っている人は、受信料を支払う契約をする必要がある。大学の新入生がやってくる3月下旬ごろになると、NHKの営業マンたちがうごめく。学生アパートを訪ね、放送法をかざして受信料契約を迫る。「テレビは部屋にない」と学生が反論すると、「あなたが持っているスマホのワンセグでテレビが視聴できるでしょう」とさらに迫ってくる。ある学生は「なじみのない放送法に学生たちは脅威を感じていますよ」と。

   そこで私は、視聴者コールセンターに電話したことがある。1)学生は勉強をするために大学にきているので、受信契約は親元がしていれば、親と同一生計である学生は契約する必要がないのではないか、2)携帯電話(ワンセグ付き)の購入の際、受信契約の説明が何もないのもおかしい、携帯所持後に受信契約を云々するのでは誰も納得しない、3)そもそも、放送法にある受信機の「設置」を「携帯」と拡大解釈するのは間違いではないか、と。これに対し、電話対応の男性は「ワンセグは受信契約の対象になります。いろいろご事情はあるかと思いますが、別居の学生さんの場合は家族割引がありますのでご利用ください」と回答するのみだった。

   放送法と受信契約をめぐってさまざま裁判が起きている。昨年2016年8月26日、さいたま地裁でワンセグ付きの携帯電話を所有する人はNHK受信契約を結ぶ義務があるかどうかを争った訴訟の判決があり、契約義務がないとの判断が示された。放送法64条は「受信設備を設置した者は受信契約をしなければならない」とし、NHKは64条の「設置」に「携帯」の意味も含まれると主張してきた。判決の骨子は、1)携帯電話は「携帯」するものであり、放送法に言う「設置」にあたらない、2)携帯電話の所持は、放送の受信を目的としたものではない、というものだった。つまり、64条で定める「設置」に、電話の「携帯」の意味を含めるのは「無理がある」と判断したのだ。この判決にNHKは控訴した。

   注目されるのは最高裁の大法廷での初判断だ。昨年2016年11月2日、テレビがあるのに受信契約の締結を拒んだ東京の男性に、NHKが受信料を請求できるかが争われた裁判の上告審で、最高裁第3小法廷は審理を大法廷に回付した。大法廷では憲法判断や判例変更を行う場合などに回付される。この裁判はNHK側が2012年に受信契約を結び受信料を払うよう、男性を訴えた。テレビを有している男性はNHKが契約申込書を送ったが契約しなかった。1審の東京地裁は、申込書を送っただけでは契約は成立しないとしたが、放送法に基づいて男性にNHKと契約を結んだ上で受信料20万円を支払うよう命じ、2審の東京高裁も支持した。

   論点は、放送法64条では受信設備を設置したらNHKと契約する必要があると定めるが、憲法29条が保障する「契約の自由」の観点から「放送法の規定はそもそも違憲だ」と男性は主張してきた。が、29条はその2項で公共の福祉を理由とするなら、契約の自由を制限することが可能だとしている点で争われてきた。1審判決では「規定は不偏不党を貫く放送のため、テレビ設置者から広く公平に受信料を徴収することを目的としており、公共の福祉に適合する」として判断し、男性に受信料の支払い義務があるとした。

   最高裁の大法廷での求めらる判断は、果たしてNHKは公共の福祉であり、放送法は合憲なのか、という点だろう。最高裁がもし「放送法は違憲」と判断すれば、NHKは経営危機に陥る。ただ、今回そこまでの判断はしないのではないか。むしろ、NHK側が受信契約を求めるためにあえて裁判を起こす必要性などが問われるのではないか。

   ネット同時配信の時代を迎えるが、考えてみると、NHK側は受信料契約がとてもやりやすくなる。電波(ワンセグ)とネットと同時に番組が視聴できるという盤石な放送インフラになれば、あとは放送法の改定を整えればよいという段階に入る。

   ちなみにNHKが手本としているイギリス、ドイツの場合。イギリスはテレビやパソコン、スマホなどを持つ世帯に受信許可料(年145ポンド)を支払うよう義務づけている。ドイツでは、テレビが設置されていなくても、全世帯と事業所に公共放送負担金(年210ユーロ)を課している。こうした事例を挙げて、NHK側はネット同時配信で新しく法改正を求め、スマホやPCで番組を視聴する層に対し、新しい受信料を課す制度を設けてくるかもしれない。たとえば、最高裁が「NHKの受信契約は合憲」と初判断すれば、受信料の徴収は大っぴらになる。つまり、NHK側がスマホを提供する主要キャリア3社(NTTドコモ、au、ソフトバンク)などと提携して、親と同居していない学生など若い層から受信料を徴収ということも・・・そんなことが現実になってくるのではないかと想像している。

⇒20日(月)朝・金沢の天気   あめ
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☆放送のネット同時配信をめぐる不協和音-中

2017年02月19日 | ⇒メディア時評
  これはテレビ業界では知られた言葉なのだが、かつて「ローカル局炭焼き小屋論」というのがあった。2000年12月にNHKと東京キー局などBSデジタル放送を開始したが、このBSデジタル放送をめぐってローカル局から反対論が沸き上がった。放送衛星を通じて全国津々浦々にダイレクトに東京キー局の電波が流れると、系列のローカル局は田舎で黙々と煙(電波)を出す「炭焼き小屋」のように時代に取り残されてしまう、といったネット同時配信でささやかれるローカル局側の議論とまったく同じような懸念が業界で渦巻いた。何しろ日本のテレビ局には県域というものがあり、東京キー局の系列テレビ局が地方に110社余りある。

  では、BSデジタル放送が開始されて、系列テレビ局が倒産の憂き目に遭ったかというとそれはない。もちろん、東京キー局側でも地上波をそのまま同時再送信するような放送コンテンツを避けて、独自色のある番組制作をしている。「炭焼き小屋論」は杞憂だった。ただし、今回のネット同時配信では、「ローカル局炭焼き小屋論」が再度沸騰するかもしれない。が、もっと前向きに考えれば、ビジネスチャンスが訪れるかもしれない。

  地方の情報のニーズはある。地域情報をもっと詳しく欲しいという層は地域住民だけではなく、企業のビジネスや全国に各地に転居した人、あるいは世界の各地に住んでいる日本人などいろいろある。ネットで地域情報が映像で視聴できることは新たなビジネスチャンスだ。また、若者の世代では部屋にテレビはないが、スマホで動画を視聴するという層が多い。ならば、スマホへ放送番組を提供できることになれば、間違いなく大きなチャンスだ。さらに、ネット同時配信により、テレビ局と視聴者の双方向性が加速する。これまでテレビ局は一方通行だったが、視聴者のコメントがどんどんと寄せられる。それを視聴動向の分析データすることで、スポンサーへのハイレベルのサービスが可能になるのではないか。

  動画コンテンツの優れた制作技術を背景に、ネット上の動画コンテンツのレベルを全体に高めるくらいの志(こころざし)をもって、ネット同時配信に挑んでほしいと願っている。つまり、ローカル番組が日本全体、世界に打って出るチャンスに恵まれたのである。そう思えば未来可能性が見えてくる。

  冒頭で「炭焼き小屋」の話をした。私が知る炭焼き小屋は能登半島の先端にある。炭焼き2代目だ。一時廃業も考えたが、今では未来の構想をもって仕事をしている。10年かけて、炭焼き小屋の周囲にクヌギの木を植え、今では8000本となった。クヌギはお茶炭(菊炭)の木材だ。炭焼きの技術と山の資源を日本の伝統文化である茶道用の炭に集中し特化した。彼の炉用の茶炭は茶道界できちんと評価され、1㌔3000円の高値がする。彼は自信をつけた。日本の茶道を支える一人になりたいと。そして今後は同じ志を持つ若手を育成したいと夢を膨らませている。

⇒19日(日)夜・金沢の天気   くもり
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★放送のネット同時配信をめぐる不協和音-上

2017年02月17日 | ⇒メディア時評

    最近テレビ業界の人と会うたびに出てくる言葉の一つに「放送のネット同時配信でローカル局はどうしたらよいか、ざわざわしている」と。あるテレビ局の幹部からいただいたことしの年賀状にも「放送コンテンツのネット同時配信に向けて動きが本格化しています。ネットワークの在り方にも変化が出始めました」と意味深な内容だった。このネットワークの在り方の変化というのは、東京キー局とローカル局と関係性に不協和音が出始めたという意味だと直感した。

    この不協和音の震源は昨年(2016年)11月4日に開催された、総務省のネット同時配信に向けた課題を話し合う有識者会議で、2020年までに同時配信の本格実現をめざす方向性が確認されたことだろう。これを受けて、同月9日に開催された第64回民間放送全国大会(東京)で日本民間放送連盟の井上弘会長(TBSテレビ会長)でこれまで慎重だった民放のネット同時配信について「民放は技術の進歩に積極的に対応していく」と述べている。また、NHKについても総務省は同月11日、NHKの改革を検討する有識者会議でネット同時配信解禁に向けた議論を始めている。

    一般のネットユーザーの立場からすれば、2020年などと言わずに今からでも同時配信をやってほしいと思って当然だろう。ところが、NHK、民放それぞれに超えるべき壁がいくつかある。まずは、民放から。私が住んでいる金沢市で東京キー局の番組を同時に視聴することはできない。それはテレビ局はいわる「県域」というものがあり、東京キー局の放送は関東エリア(東京都、神奈川県、千葉県、 埼玉県、茨城県、群馬県、栃木県の1都6県のカバー)に限定される。逆に、関東エリアに住む人が遠く離れた故郷のニュースや番組をテレビで視聴したいと思ってもそれはかなわない。

    民放のネット同時配信の懸念は、東京キー局よりローカル局の方が強い。たとえば、東京キー局の放送番組をネットで視聴できるようになれば、ローカル局が作成する地元情報の番組などは見られなくなるのではないか。また、ローカル局のCMが東京キー局にストローにように吸い上げられ、ローカル局の経営が一層厳しくなるのではないか。そうなれば、ローカル局の存在意義すらなくなるのではないか。

    放送が全国で一元化されているNHKの場合、民放のような悩みとはまったく別の懸念を抱える。それは、国との関係、受信者との関係である。NHKのネット同時配信の一番の問題は受信料だろう。テレビを設置している世帯や会社などはNHKと受信契約を結ぶ義務があるが、テレビを有している世帯のうち実際に受信契約を結び受信料を支払っているのは77%と推計されている。テレビを持たずパソコンやスマホでテレビを見る人が増えれば、受信料を払う人がさらに減少しかねない。

    放送法64条では受信設備(テレビ)を設置している世帯が受信契約を結ぶことになっているが、ネット同時配信によって、スマホを有するすべての人が受信契約の対象になる。そうなると放送法の改正をめぐって国とNHKの間で、さらにもともとネットは無料という意識があるネットユーザーとNHKの間で新たな確執が生まれて来るのはないか。

⇒17日(金)朝・金沢の天気   くもり

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☆「ミズガニ、食べに来ませんか」

2017年02月14日 | ⇒トピック往来
  きょう14日、福井市に住む友人から電話があった。「ミズガニ、食べに来ませんか」と。私は能登生まれで幼少よりカニをおやつ替わりに食べてきたことを自慢してきた。いまでもカニには目がない。とっさに「あすでもいいですよ」と返答した。さすがに先方は「できれば来週で」というので、来週23日に「カニの夜」を福井で楽しむことになった。

  とは言いながら、「ミズガニってなんだっけ」と、さっそくネットで検索した。ミズガニは福井独特の言い方で、脱皮して間もないオスのズワイガニのことを、当地ではミズガニというそうだ。透き通るような薄い赤の甲羅が特徴。漁は今月9日解禁されたばかりで、来月20日まで続く。ただ、ミズガニを食べる食習慣は加賀や能登ではないし、漁期の設定も聞いたことがない。※写真はズワイガニ

  さて、その食味は…。検索はさらに続く。ミズガニは身に水を多く含み、食べる時に足の身がズボッと取れることからズボガニとも呼ばれるそうだ。したがって、通常のズワイガニに比べて、価格は5分の1ほどと安い。越前の庶民の味なのだろう。

  私はカニに対する福井県民の執着心には脱帽している。20代の若いころ、別の福井の友人と「カニの早食い競争」をしたことがある。ハサミも包丁も使わずに、茹(ゆ)でたズワイガニを一匹丸ごと平らげるタイムを競った。福井の友人はパキパキと脚を折り、ズボッと身を口で吸い込み、カシャカシャと箸で甲羅の身を剥がす。黙々と。その速さは5分ほどだった。私は到底かなわなかった。

  そのカニ食い競争後に越前漁協にカニの水揚げ現場を案内してもらった。友人が言うには、「脚折れのカニは普通は商品価値が低いが、この漁協では折れたカニの脚を集めて、脚折れカニにうまく接合する技術がある」と。二度びっくり。そんなカニ脚の接合技術など石川では聞いたこともない。カニという商品をそれだけ大切に扱っているという証(あかし)だと当時思った。そして、同じ北陸でもカニにかけては福井人の執着心には絶対かなわないと自覚したものだ。

  さらに執拗に検索を進める。カニ料理のポイントは塩加減や茹で加減と言われる。単に茹でてカニが赤くなればよいのではない。福井では「カニ見十年、カニ炊き一生」という言葉がある。カニの目利きが上手にできるには十年かかり、カニを満足に茹で上げるには一生かかるという意味だそうだ。カニの大きさや身の付き具合はもちろん、水揚げされた日の気候などによって、塩加減や温度、茹で時間などを調整する、というのだ。とくに福井人が大好きなミズガニは茹で加減が難しく、かなりの熟練度が必要という。カニの商品価値を高めるための技と心意気をひしひしと感じる。23日のミズガニの夜がさらに楽しみになった。

⇒14日(火)午後・金沢の天気   くもりときどき雪  
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★日米同盟を担保した北のミサイル

2017年02月12日 | ⇒メディア時評
   北朝鮮がきょう12日午前7時55分ごろ、日本海に向けて弾道ミサイルを発射したというニュースがテレビメディアで一斉に流れた。北の弾道ミサイル発射は安倍外交にとって、日米同盟を確かなものにする絶妙なタイミングだったかもしれない。

   対応が素早かった。アメリカ訪問中の安倍氏は日本時間12日午後0時30分すぎ、この北朝鮮による弾道ミサイルの発射を受けて、フロリダ州パームビーチでトランプ大統領とともに記者会見し、「北朝鮮のミサイル発射は断じて容認できない。北朝鮮は、国連決議を完全に順守すべきだ。先ほど、トランプ大統領との首脳会談で米国は常に100%、日本とともにあると明言した。トランプ大統領はその意思を示すために私の隣に立っている」と述べた。

   続いて、トランプ氏も「すべての人は、アメリカが偉大な同盟国・日本と100%ともにあることを知るべきだ」と強調し、日本とアメリカが緊密に連携して北朝鮮に対処していく考えを示した。今回の記者会見では記者から質問も飛んだが、答えることもなく1分余りで終わった。記者会見というより、共同で声明を発表したというカタチだろう。発射後わずか4時間半で日米の首脳が顔をそろえて北朝鮮を非難したのである。もし、日米首脳会談で不協和音が生じていたら、このような会見の場を設定することすらできなかっただろう。

   絶妙なタイミングというのは、前日11日の共同会見で、トランプ大統領は「北朝鮮のミサイルと核の脅威からの防衛など、私たちが共有する多くの利益があり、私たちはともに取り組みます。私はこれらが非常に重要度の高いものだと考えています」と述べていた。より日本とアメリカの緊密さを強調しながら、北朝鮮に対峙する姿勢を示していた。まさにその翌日、「重要度の高いもの」が実際に飛んできたのである。

   これにより、トランプ氏は極東における不安定要因をまざまざと実感し、日米同盟の必要性を痛感したに違いない。「同盟国・日本と100%ともにあることを知るべきだ」。トランプ氏の言葉はその心情を率直に物語る。日米首脳会談中の一発の弾道ミサイルが日米同盟をより強固なものに担保した。こんな絶妙なタイミングは外交上の演出では到底、不可能だ。安倍総理の「運の良さ」を感じる。

⇒12日(日)午後・金沢の天気  ゆき
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☆雪の朝、ロウバイの香

2017年02月11日 | ⇒ドキュメント回廊

   けさ(11日)は久しぶりに積雪となった。一面の銀世界、とはいっても積雪は10㌢ほどだろうか。スコップで玄関前の道路を雪かきした。庭に回るとロウバイ(蠟梅)が黄色い花をつけていた。枝の雪の白さ、そしてどんよりした空のグレイの風景にロウバイの薄い黄色が映えている。そして、ほんのりと梅の花のような香りが漂ってくる。春の到来が近いことを感じる。

   きょうは2月11日は3年前に亡くなった妻の命日でもある。先日ちょっと不思議な妄想を抱いた。近所で寄り合いがあったので外出しようとすると雨が降ってきた。普段使っている傘は職場に忘れたようで見当たらない。傘立てに妻が愛用していた傘があったので、その傘を差して自宅から歩いた。少々風もあったので傘の柄を右手で握りしめていると、まるで妻の手を握っているような感覚になった。パラパラと雨が降る中、相合傘の下で妻と会話しながら歩いているような想いにかられた。「アナタ、しっかりしなきゃ」と諭されているような。涙が込み上げてきた。歩いて5分ほど、寄り合いの場に着くと雨が上がった。

   けさのテレビのワイド番組は、アメリカ訪問中の安倍総理がトランプ大統領とホワイトハウスで会談し共同記者会見に臨んだ様子を詳細に報じていた。会談のポイントは2つで、尖閣諸島についてアメリカの対日防衛義務を定めた日米安全保障条約5条の対象であることを両者が確認したこと。もう一つが、日本とアメリカの間の貿易や投資を促進するため、麻生副総理兼財務相とペンス副大統領をトップとする協議をスタートさせることで合意したことだった。かねてからトランプ氏は日本との貿易の不均衡について激しく演説していたので、その解決策に向けて日本側から提案することで、安倍氏が先手を打った。

   個人的に注目していたのは、共同記者会見だった。ひょっとして荒れるのではないかと。というのも、この日の会見は例の、中東諸国7ヵ国からの入国を禁じる大統領令が、連邦控訴裁判所によって引き続き差し止められることが決まった直後というタイミングだった。これについて、アメリカの記者から安倍総理に直接質問が飛んだ場合、総理はどう返答するのか。揚げ足を取られるような答弁だと会場は荒れる。その点に注目して番組をじっと見ていると、はやりアメリカのニューヨーク・ポストの記者から総理に質問がぶつけられた。

   安倍氏は「難民政策、移民政策については、内政問題なのでコメントを差し控えたい」と述べるにとどめた。個人的には物足りなさを感じた。せめて「我が国(日本)はそのような入国禁止令はとらないが、9・11の同時多発テロを経験しているアメリカの危機感は理解できる。しかし、内政問題なので・・・」と続けてもよかったのではないだろうか。

    もう一つ。フォックス・ニュースの記者はこんな質問をした。「アメリカがTPPからの離脱する意向を示しているが、これは間違いだとお考えですか」と。これに対し総理は「アジア太平洋地域に自由でフェアなルールをつくり、それを日本とアメリカがリードしていくことが重要なポイントであり、この重要性は今も変わっていない」と。遠まわしの言い方(間接的に)ながら、TPPの重要性をトランプ氏に訴える格好になった。

⇒11日(土)夜・金沢の天気   くもり

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★トランプと豊洲のニュース

2017年02月10日 | ⇒メディア時評

  最近もう飽きたニュースがある。東京都の豊洲市場をめぐる一連の問題だ。都議会の特別委員会が元知事の石原慎太郎氏の参考人招致を決めたことについて、小池百合子知事はきょう10日の記者会見で「『記憶にありません』と逃げる姿勢も、国民がしっかり見ることになる」と述べ、石原氏をけん制した、という。テレビ局はその参考人招致の今後の成り行きを懸命に伝えているのだが、おそらく東京エリアの視聴率も低いのではないだろうか。豊洲市場の問題は東京都が結論を出せばよい話で全国ニュースではない。そもそも東京ローカルのニュースだ。こんなことをいつまで全国ニュースで伝えるのだろうか。

  むしろ国民の耳目は「安倍VSトランプ」に集まっている。そもそもトランプ大統領の挙動が連日トップニュースになっている。大統領令でできることなら何でも手当たり次第にやっているとの印象だ。テロリストの入国阻止という目的で中東・アフリカの7ヵ国からの入国を一時禁止する大統領令などはその典型だろう。さすがにこれは、ニューヨークやワシントン州の司法長官が信仰の自由を侵害し「危険で憲法違反だ」と非難する共同声明を発表し、ワシントン州連邦地裁が大統領令の一時差し止めを命じた。トランプ大統領が今のままの手法でやり続けるなら、政権は数ヶ月も持たないのではないかと思うくらいだ。

   さて、いよいよこれから、安倍総理がホワイトハウスでトランプ大統領と初めて会談する。トランプ大統領は安倍総理の訪米を利用したいところだろう。では、どのように利用するのか。アジア太平洋地域での日本とアメリカの同盟関係を重視している姿勢を示すことで、世界の同盟諸国を安心させるシンボルにしたいのではないだろうか。先日来日したアメリカのマティス国防長官は、北朝鮮の核開発や中国の軍事的台頭に対抗するための重要なパートナーとして日本をとらえていることを述べている。
   
   一方、安倍総理は強固な日米同盟を国内外に示すほか、通商分野でもさまざまな提案をするのだろう。トランプ氏が大統領就任後、外国の首脳と公式会談するのは、イギリスのメイ首相に続き、2番目だ。その後、マイアミでのゴルフ外交がどうなるのか。メイ首相とは手をつなぎ、安倍総理とはゴルフをする。そのトランプ氏の真意はどこにあるのだろうか。

   改めて、ニュース価値はどこにあるのか。東京都の豊洲市場をめぐる一連の問題は論点整理もなされないまま、ともすれば元知事と現知事の遺恨の話題で取り上げられている。こんな切り口のニュースだったら、キー局が東京のローカルニュース枠でやればよい。

⇒10日(金)夜・金沢の天気    ゆき

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☆アメリカ・ファースト

2017年01月23日 | ⇒メディア時評
   最近ニュース報道はトランプ大統領の就任とその一挙手一投足に注目が集まっている。メディア上では東京都の小池知事の存在感が一気に薄れたような感じもある。東京都議選の行方より、はやり、アメリカの行先と未来、世界の動向に関心が集まる。その意味で、「アメリカは偉大」だ。どのような人物が大統領になろうと、アメリカはアメリカ、世界の耳目が集まる。トランプ氏が声高に言うまでもなく、すでに「アメリカ・ファ-スト」だ。

   21日未明のアメリカ大統領の就任式の模様を視聴した。反対する人たち、就任を歓迎しない人たちの声がこれほど大きく、デモも随所にあり、波乱の幕開けを予感した。その就任の演説で連呼した「アメリカ・ファースト」。すべての政策でアメリカを優先し、メリットを勝ち取ると宣言していた。そこで感じたことだが、公職に就任するとその言葉の重みを意識して声のトーンも穏やかで慎重になるが、トランプ氏の言葉は選挙の時と同じようにエキサイトして聞こえた。さらに演説の内容もさほど変わらない。既視感(きしかん)が脳裏に漂った。

   政策も大統領選での公言と変わらない。「移民を認めない」。果たしてこれでよいのかと疑問に思う。アメリカが牽引するIT産業では、例えばフェイスブックやアップル、グーグル、マイクロソフトといった企業には有能なクリエーター、エンジニアがいるが、アメリカ人ばかりではない。インドからの移民だって多い。それを排斥するというのならば、むしろ産業力や国力の衰退につながるのではないか。

   また、トランプ氏がお得意の「アメリカ国内に工場を戻せ」の言葉で自動車産業界を揺さぶっているが、単純に重厚長大型の産業の復活をイメージしているのだろうか。むしろ、オートドライブ(自動運転)など車社会におけるイノベーションが求められ、産業構造に変化が起きようとしているのに、かつての栄光を生産現場の雇用拡大のみでアピ-ルするのは時代錯誤ではないだろうか。

   オバマ氏のイニシアティブ進めていたTPP(環太平洋連携協定)の脱退をさっそく表明した。それだけでなく、NAFTA(北米自由貿易協定)を再交渉し、応じない場合は離脱するという徹底ぶりだ。

   こうしたアメリカの政策転換を眺めて見ると、単純に「社会分断」「国際的な孤立」「技術革新の疎外」などいろいろなマイナスイメージの言葉が浮かんでくる。天下動乱の幕開けなのか、見る分には面白い時代に突入したものだ。アメリカ・ファーストの行方をウオッチ(見守り)したい。

⇒23日(月)朝・金沢の天気  ゆき
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★「あのとき」のケータイとネット

2017年01月17日 | ⇒トピック往来
   1995年1月17日5時46分、金沢も大きく揺れた。当時、テレビ局で報道デスクの仕事をしていた。確か、当時は成人式が1月15日だったので、翌16日は振り替え休日、その連休明けの朝だった。22年前の阪神淡路大震災のことである。

  さっそくテレビをつけた。「近畿地方で大きな地震がありました」とアナウンサーはコメントで繰り返し述べているが、映像が入ってこない。そこでキー局のテレビ朝日の報道デスクに電話をした。情報が錯綜していたのだろう、これもなかなかつながらない。地震で死者が出ていれば、取材の応援チームを現地のテレビ局(大阪ABC)に派遣する準備をしなければならないので、その情報が知りたかった。

   まもなくしてNHKで映し出された映像を見て仰天した。倒れたビル、横倒しになった高速道路などの空撮の映像が次々と。あの映像を見ただけでも、事態が容易に想像できた。すぐに若手の記者とカメラマンに現地に行くよう指示した。その時、記者に持たせたのが携帯電話だった。被災地では安否を親族に伝えるため、公衆電話に長い行列ができていたこともあり、当時会社に数台しかなかったケータイを連絡用に持たせた。

   このときは携帯電話は「売り切り制」(1994年)に移行した時期だった。つまり、それ以前はNTTとのレンタルで携帯電話を契約していた。デジタルホングループ(現在「ソフトバンク」)などが新規参入したころで、携帯電話が一般で普及する初期のころだった。その後、爆発的に普及したのは言うまでもない。

   このとき、聞き慣れない言葉が飛び交った。「インターネット」だ。神戸大学の研究者たちが、インターネットを通じて被災地の状況を世界に発信したことがニュースとなった。当時はインターネット、メールを知る人も少なく、通信環境も一般化していない時代だった。私が勤務していた職場(テレビ局)で初めて、メールを使い始めたのは大震災から1年たった1996年だった。このときはネット環境をいち早く手掛けていた朝日新聞東京本社から中古のパソコン(確か富士通製)を払い下げてもらい、社内の数人で試験的に使ったのだった。その後、会社全体で通信環境が整備され、社内で一気にネット環境が整った。

   1995年、ケータイとネットの幕開けは阪神淡路大震災だった。その後、2011年3月の東日本大震災では避難所でケータイを使う姿が普通になっていた。

⇒17日(火)朝・金沢の天気    くもり
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☆ハイブリッド戦争

2017年01月13日 | ⇒メディア時評
  昨日(12日)未明のトランプ時期大統領の初めての記者会見をテレビで視聴していて、この大荒れの会見が次の時代の到来を端的に象徴してると実感した。注目したのは、CNNのホワイトハウス担当記者が「報道機関を攻撃するのであれば質問のチャンスを与えてください」と訴えたの対し、トランプ氏は「あなたのところ偽ニュースだ」と質問をさせなかった。

  この偽ニュースとは、会見の前日(11日)に報道されたロシアのアメリカ大統領選への関与かんするニュースだ。以下、11日付のCNNウエッブ版(日本語)。「ロシアがトランプ氏の個人情報や財政情報も集めていたことを示す極秘文書が含まれていたことが分かった。事情を知る複数の米当局者がCNNに語った。」「添付文書の内容からは、ロシアがもともと米民主、共和両党について情報を収集していながら、民主党のクリントン陣営に不利な情報だけを公開していたことがうかがえる。ロシア政権がトランプ氏に肩入れしていた事実が裏付けられたと指摘する当局者もいる。」「文書の基になっているのは、英国の情報機関、対外情報部(MI6)の元工作員がまとめた35ページ分のメモだ。CNNはメモ自体の内容も入手したが、その詳細については独自の確認が取れていないため報道を差し控える。」

  少々長くなったが、要点はロシアはトランプ氏に有利に大統領選挙を進めるためにサイバー攻撃など行い、それだけでなく、ロシアはトランプ氏の個人情報や財政情報なども収集していた。しかし、この程度の記事で怒りの矛先がCNN記者に向かうものだろうか、と。

  というのも、ロシアがアメリカ大統領選の期間中、民主党のクリントン陣営幹部らにサイバー攻撃を仕掛け、メールを含む大量の情報を収集し、クリントン陣営に不利な情報だけを告発サイト『ウィキリークス』などに提供した疑いがあるということは、この記者会見でトランプ氏も「ロシアがやったと思う」と認めているのである。

  事の真贋は別として、この記者会見での様子を見て、「ハイブリッド戦争」という言葉を思い起こした。2014年ロシアが宣戦布告をせずにウクライナのクリミア半島に非正規軍を送り込んで制圧し併合した手法が「ハイブリッド戦争」と世界で言われるようになった。従来の国家と国家という争いの構図ではなく、非国家組織(極右や極左集団、テログループ、民兵などの非正規軍、サイバー攻撃集団、経済詐欺集団など)が、国家レベルではなく、狭い範囲で戦争に起こす構図だ。

  ロシアが前回のアメリカ大統領選で、民主党のクリントン陣営にサイバー攻撃を仕掛けたのも、明らかにハイブリッド戦争だろう。サイバー攻撃だけでなく、経済的手段やメディアを利用する方法もある。相手の社会に深く入り込んで、内部から政治的な意思を突き崩す方法である。おそらく、トランプ氏もこのハイブリッド戦争の仕掛け人になるのではないか。それも陰に隠れてではなく、堂々と実行するのがトランプ流かもしれない。この手法にメディアは無力だ。なぜなら、本来アメリカでもウオッチドッグ(権力監視)がメディアの役目だが、そんなものは不要というのが、あのトランプ氏が記者会見で見せた攻撃的なスタンスだった。

  なぜ、トランプ氏がCNNを目の敵にという理由をもう一つ。それは日本のメディアとはまったく異なる状況がアメリカにはあるからだ。日本のテレビ局は放送法の中で定められている、政治、とくに選挙での公平中立を守らなくてはならない。ところが、アメリカでは公平中立を旨としたフェアネス・ドクトリンがとっくの昔(1987年)に廃止され、テレビ局は政党色を強く押し出して報道している。たとえば、FOXは共和党、CNNは民主といったところが代表的だ。だから、もともとトランプ氏は民主党色が強いCNNを嫌っていたのだろう。このままだとメディアは無力化することになるのではないか。

⇒13日(金)朝・金沢の天気    くもり時々あめ
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★涙の演説、荒れる会見

2017年01月12日 | ⇒メディア時評
  アメリカのオバマ大統領が昨日(11日)在職2期8年の締めくくりの演説を行った。次期大統領のトランプ氏はきょう12日、当選後初めての記者会見を開いた。その二人の様子が余りにも対象的だったので、感想を述べてみたい。

  オバマ氏はイリノイ州シカゴでの退任演説で、リーマンショックとその後の景気回復、キューバとの国交回復、医療保険制度改革(オバマケア)、イランとの核合意など政権の政策の実績を述べ、「Legacy(政治的遺産)」を強調した。

  ちょっと感動したのはこの一節だった。Our Constitution is a remarkable, beautiful gift. But it's really just a piece of parchment. It has no power on its own. We, the people, give it power - with our participation, and the choices we make. Whether or not we stand up for our freedoms. Whether or not we respect and enforce the rule of law. America is no fragile thing. But the gains of our long journey to freedom are not assured. 意訳すると、憲法は美しい贈り物だが、私たちが政治的に参加し責任ある選択をしなければ憲法はただの紙である。  

  本来、大統領の退任演説はホワイトハウスでするのが通例だが、今回オバマ氏の希望で、2008年大統領選で勝利演説をしたシカゴで市民を前に退任演説した。締めくくった言葉は、2008年と同じ「Yes We Can(私たちにはできる)」と、「Yes We Did(私たちは成し遂げた)」だった。この場所設定と締めくくりの言葉でも想像できるように、オバマ氏は「演出家」なのだ。自らのヒロシマ訪問、真珠湾への安倍総理の招へいもそうだ。演説中には涙をぬぐって見せた。役者でもある。

  一方、12日未明にあったトランプ氏の当選後初めての記者会見はテレビのニュースで見る限り荒れ模様だった。自身に不都合な情報を伝えてきたCNNテレビのリポーターからの質問を拒否する一方で、報道に手加減してきたテレビ局や新聞社には謝意を示すなど、メディアの選別を露わにした。このことを逆にCNNはどう伝えたか。12日付のCNNウエッブ版(日本語)は「ニューヨーク市内のトランプ・タワーで行われた記者会見では、メディアや政敵にも容赦ない批判を浴びせ、20日に就任した後も攻撃的なスタイルを変えない姿勢をはっきりさせた。」と記事で応戦している。

  そのほか記者会見では、20日の就任後は即座に医療保険制度改革法(オバマケア)の撤廃に乗り出し、メキシコとの国境を隔てる壁の建設を急ぐことなどが語られたようだ。ツイッターによる攻撃、「ツイ撃」から今度は本人の「口撃」が本格化しそうだ。

⇒12日(木)朝・金沢の天気    くもり時々はれ
  
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☆続・広告のメッセージ性

2017年01月07日 | ⇒メディア時評
  「これは、自虐ネタですよ」。大学の先輩教授は3日付の全国紙の広告を見て笑った。『早慶近』の特大文字とマグロの頭の写真が掲載された全面カラー広告。広告主は近畿大学だった。

   この特大文字を読者が普通に読めば、「早稲田、慶応、そして近大」。これまでは「早慶上智」だったが、最近は上智にとって代わって近大が早稲田、慶応と並んだ、と言いたいのだろうと解釈する。文章を読めば、3日が近大の一般入試出願の受付の開始日と書いているので、インパクトを狙った、自虐ネタだと理解できる。

   ウイキペディアによると、自虐ネタ(じぎゃくねた)とは、主にお笑い芸人が、漫才や漫談などの話題として使用する、自分を貶(おとし)めるネタのこと。自虐ネタの元祖はタレントの坂田利夫かもしれない。自ら「アホのサカタ」と歌って、そのキャラをネタに笑いをとる。

   今回の広告では、その自虐ネタを大学の広報目線で使っているということで価値が高いと感じる。文章を読むと、広告で言うべきことは言っている。「“早慶近”はさておき、日本は語呂がよいだけの大学の“くくり”に依存してませんか? こんなもん世界から見たら、通用するわけがない。2017年。そんな大学界の常識、そろそろ見直してもいい頃じゃないですか。」と。その通りだ。日本でしか通用しない大学のランクを表現する“くくり”はグローバルを標榜するこの社会にどのような価値や意味があるというのだろう。そのことをひと言せていただきたいとの意思が十分に伝わってくる。ただし、オチもつけている。「でも、さすがに“早慶近”て、言いだした自分でもアホくさくて、笑てまうわ。」。言葉表現といい、実に関西らしい自虐ネタのオチである。

    そして最後に“早慶近”の意味を披露している。「みなさまに早々に慶びが近づきますように」。この広告の練り方は深い。

⇒7日(土)夜・金沢の天気   はれ   
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★広告のメッセージ性

2017年01月05日 | ⇒メディア時評
   けさ(5日)全国紙の朝刊を広げて少々驚いた。「これ、なんの広告だ」と。2ページの見開き白黒で、向かって左面に真珠湾攻撃の写真を、もう一方に広島に落とされた原爆によってできたきのこ雲の写真を配置してある。そして、「忘却は、罪である。」「人間は過ちを犯す。しかし学ぶことができる。世界平和は、人間の宿題である」のメッセージが添えられている。最初の印象は、宗教団体の広告かとも思った。出版社の宝島社が、読売新聞、朝日新聞、毎日新聞、産経新聞、日本経済新聞、日刊ゲンダイの全国版に掲載した広告だ。

   同社は昨年1月5日付でも、全国紙に「死ぬときぐらい好きにさせてよ」を掲載した。15段カラー見開きで、女優の樹木希林さんが水面に浮かぶ様子を、イギリスの画家・ジョン・エヴァレット・ミレイの名作「オフィーリア」をモチーフに写真で表現した。ほかにも、「子孫のために、借金を残す。」(2013年)、「ヒトは本を読まねばサルである。」(2012年)など。過去の作品の多くは、数々の新聞広告賞を受賞している。1998年から、商品では伝えきれない「企業として社会に伝えたいメッセージ」を発信したいと新聞広告を掲載している。

   企業のメッセージ性としてはインパクトがある。宝島社のホームページには以下の「広告意図」が掲載されていたので、全文を紹介する。

 今回の企業広告のテーマは「世界平和」です。
 2016年は、オバマ大統領の広島訪問、
 安倍首相の真珠湾訪問が実現した歴史的な年でした。
 そして2017年。世界は大きく変動することが予想されます。
 トランプ新大統領が誕生します。
 イギリスがEU離脱交渉を本格化し、
 難民問題は各国を揺るがすでしょう。
 変わりゆく世界にあっても、
 決して変わらない、変えてはいけない人間の目標が、世界平和です。
 そのために何ができるのか、何をすべきなのか。
 この広告が、それを今一度見つめ直すきっかけとなれば幸いです

⇒5日(木)夜・金沢の天気    くもり
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☆人生の決断に「鶏の声」

2017年01月04日 | ⇒トレンド探査

   ことしの干支は酉(とり)、動物に当てれば鶏(にわとり)となる。中国では、鶏は夜明けを知らせる威勢の良い鳴き声から、吉兆をもたらすと言われているそうだ。日本でも、鶏にまつわる有名な神話がある。太陽神である天照大御神(あまてらすおおみかみ)が、天岩戸(あまのいわと)という洞窟に引きこもり、世が闇夜になってしまう「岩戸隠れ」だ。他の八百万の神々(やおよろずのかみがみ)は天照大御神の気を引いて、洞窟から出そうとする。よく知られている立役者がアメノウズメの踊りだが、闇夜に鳴き声を上げて夜明けを知らせる「常世の長鳴鶏(とこよのながなきどり)」もひと役買った。

  鶏って卵を産むだけでなく、太古から神話にもかかわる貴重な動物だったのだと改めて思いながら、元旦に届いた年賀状(141枚)を読んだ。そして分類してみた。賀状に鶏のイラストで酉年を表現していものが57通、「酉」という文字表現が8通、鶏ではなく鳥類(ツル、トキ、不死鳥、ダチョウなど)で表現しているものが24通、酉とは関係のない「謹賀新年」「富士山」「日の出」「家族」などで表現しているものが51通、残り1通はなぜか豚だった。過半数の89通が酉をイメージした賀状であったことを考えると、干支は今でも賀状に欠かせない年始のあいさつ代わりなのかと思う。

   「鶏」と言えば、実は人生の決断を迫られた思い出がある。50歳のときにテレビ局を辞した。人生の折り返し点で、悩んでいるとき、ある政治家が私にこう言った。「ニワトリのように強制換羽(きょうせいかんう)をしてはいかがですか」と。初めて聞いた言葉だった。

   養鶏業者の間の言葉だ。ニワトリは卵を産み始めてから8ヶ月ほどで卵の質が落ちてくる。この時点で、絶食させる。毛が抜け、衰弱したところでエサを豊富に与えると、また、良質の卵を産むようになる。その政治家は彼なりの解釈を聞かせてくれた。人もまた同じ仕事を続けているといつか周囲が見えなくなったり、アイデアが枯渇したり、その延長線上に嫉妬、やっかみが出てくる。それは人生の劣化の始まりなのだ、と。その年齢が50ごろ。そのとき、「家族が大切…」と言いながら現状を続けるのか、収入減を家族に理解してもらい別の道を歩むのか、それぞれの選択ですよ、と。私の場合、結局後者を選んだ。それから12年、今彼には感謝している。

⇒4日(水)夜・金沢の天気   くもり
   

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