自在コラム

⇒ 日常で観察したことや環境問題、金沢大学での見聞、マスメディアとインターネットについての考察を紹介する宇野文夫のコラム

★「使い切る」意識

2016年09月20日 | ⇒ニュース走査
このところ連日、富山県議会、富山市議会で政務活動費の不正が発覚している。とくに、辞職、辞職願の提出、辞意表明をした市議会議員は自民・民進の2会派で9人にも上る。富山県議会でも2人が不正受給を認めて辞職、辞職願を出している。本来ならローカルニュースなのに全国紙などは社会面や一面で取り上げ、まさに政治スキャンダルと化している。

  富山市議会の政務活動費は議員が調査研究などに使える経費として、市議1人当たり月額15万円が認められている。これは議員報酬とは別で、余った分は市に返還することになっている。地元新聞によると、平成15年度の富山市議会の政務活動費の消化率は100%だったという。前年度の14年度は99%だったと報じられている。

  不正受給を認めた市議9人に共通する不正のポイントはただ一つ、領収書の偽造工作だ。白紙の束を親しい業者にもらい、小切手のように使う。パソコンで領収書を偽造して市政報告会の資料印刷代や茶菓子代などを受給していた。なんとしてでも政務活動費を「使い切る」ことに心血を注いでいたようだ。

  それではチェック体制はどうなっていたのか、ということが気になる。本来議会事務局がチェックするが、難しいのは各会派を通じて所属議員に支給されること。領収書の宛名がたとえば「富山市議会自由民主党」となっていると、第三者からはどの議員が使ったのか分からない。さらに複雑なのは、政務活動費は同じ会派内の議員の間で融通が認められていて、月によってはA議員が20万円、B議員が15万円ということもありうる。さらに、チェックする側の議会事務局は領収書の細かな内容にまで踏み込む立場ではない。たとえば、。「不正ではないか」と気づいても、どんな茶菓子をいくつ買って、誰が食べたかといったことまでチェックできない。あくまでも、領収書に受領印、日付の記載など、体裁が整っているかをチェックするだけなのだ。

  それにしても、そこまでして「使い切る」意識はどこから湧いてくるのだろうか。私個人の推測だが、意外と勤勉・真面目な富山の県民性に由来しているのかもしれないと思っている。政務活動費を余らすのはもったいない、きっちり使うといった生真面目さを感じる。その代わり、不正が指摘されれば、言い訳せずに潔く辞める。「行き過ぎた真面目さ」ではないのか。

⇒20日(火)夜・金沢の天気  あめ 
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☆「ごちゃ混ぜ」の論理

2016年09月11日 | ⇒トレンド探査
  最近のニュースから気になったことをいくつか。「ジェンダーバランス」あるいは「ジェンダーフリー」はすでに定着した感がある。ところが、ここまでやるかというのニュースを見つけた。以下、9月6日付のAFPニュースを引用する。

  ノルウェーでは女性に徴兵を義務付けただけでなく、戦友の男性たちとともに、つまり同じ男女混合部屋で寝泊まりしているようだ。同国軍の男女のバランスはまだ完全に均等ではないが、19歳で徴兵された兵士の3分の1が女性という。歩兵だけでなく、ヘリコプターやジェット戦闘機パイロット、潜水艦の操縦士など陸海空である。徴兵は19歳から44歳まで、2015年からの男女が対象となった。期間は12ヵ月から15ヵ月。これまでも志願兵で女性の割合は高かった。

  同国では現在までの5代の国防相のうち4人が女性で、NATO加盟国で初めて男女両方の徴兵を開始した。男女両方を徴兵しているのは世界でもイスラエルなど少数の国という。その背景もある。ノルウェーで19歳の新兵は毎年1万人ほど、この数字は対象者の6分の1だ。同国では兵役に就くのは「やる気のある人」という評価になり、退役後は労働市場で高く評価される経歴とみなされるらしい。

  男女間のトラブルが起きないのかと考えるがそうではないらしい。男女共用部屋はジェンダーを希薄化させるためにセクハラ対策が有効とされる。つまり、生活エリアを共有することで、男女双方が自分たちの行動に気を付けるようになり、「きょうだい」であるかのような仲間意識を育むことができるというのだ。

  なるほどと思う。確かに19歳という若さでは男女で「きょうだい」感覚があり、生活エリアが共有され、女性が男性を叱咤するシーンもあるだろう。そうすると規律やモチベーション(意欲)も高まるという効果があるのかもしれない。徴兵制とうい中で男女ごちゃ混ぜの論理はうまく働くのかもしれない。

  日本で徴兵制はないが、志願する女性自衛官はいる。このノルウェーの「ジェンダーフリー」「ごちゃ混ぜ」をどう考えるのか。現在、日本の防衛大臣が女性であり、その点インタビューしてみたいと思った。

⇒11日(日)午後・金沢の天気  はれ
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★環日本海を日露の外交モデルに

2016年09月04日 | ⇒トピック往来

   日本海側に住む我々にとって、「環日本海」という言葉はとても響きがいい。大陸との経済的な交易をはじめ、相互に発展する余地がありながらも、まだまだ手が付けられていないという状況だ。それに少し明光が差してきた。今月2日と3日にウラジオストクにある極東連邦大学で開催された東方経済フォーラム(Eastern Economic Forum)で繰り広げられた日本とロシアの首脳による外交だ。

   東方経済フォーラムはロシア極東地域の経済やアジア太平洋地域の国際協力の拡大を目的として、2015年5月にプーチン大統領令で発足した年次開催の会議で、ことしが第2回となる。主な議題は、ロシア極東地域の投資とビジネスの現状を高めることだ。この経済フォーラムを安倍総理はうまく外交の場として活用した。

   3日のフォーラムで安倍総理は「私たちの世代が勇気を持って責任を果たそう。70年続いた異常な事態に終止符を打ち、次の70年の日本とロシアの新たな時代をともに切り拓こう」とスピーチしたこれは双方にまたがる領土問題の解決の糸口を開き、平和条約を締結することを強くにじませたものだろう。2日の首脳会談でも個別にプーチン大統領と話し合ったと報じられている。

  環日本海時代の幕開けを予感させた言葉が、安倍総理の演説にあった、年次開催される東方経済フォーラムを活用して、日本とロシアの首脳会談も年1回、定期的にウラジオストクで開くことをプーチン大統領に呼びかけたことだ。この定期的な会談は8項目の経済協力の進み具合を確認するためだ。その8項目の中で目を引くのが、「ロシアの健康寿命の伸長策では日本式の最先端病院を設立する」「都市づくりは人口100万人以上の中核都市で木造住宅建設や交通インフラの更新」「極東開発支援は農林水産業の輸送インフラ整備を通じロシア国内外への供給力を高める」など。

  安倍総理は演説の中でこうも述べている。「多くの国々が日本のカイゼンの手法に習熟するなか、ロシアはまだ日本企業と深く付き合うことで起きる生産思想の革新を経験していない。プーチン氏が目指す製造業大国へ至る道には近道がある。日本企業と組むことだ」と。

  こうした具合的な8項目の経済協力の提案について、プーチン大統領は「唯一の正しい道だと考えている」と高く評価した、と報じられた。経済協力とパッケージにした北方領土問題の解決案だ。これを「外交」と言うのだろう。日本は法的、歴史的観点から北方4島は固有の領土だとして一括返還を要求し、ロシアは第2次大戦の結果として4島統治の正統性を主張しきた。「返せ」「返さない」では外交交渉に進展はない。日本とロシアによる外交モデルとしての「環日本海」に期待したい。

⇒4日(日)朝・金沢の天気   くもり
 

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☆N響と「体内メロディ」

2016年08月28日 | ⇒トピック往来
  N響(NHK交響楽団)の金沢公演に出かけた。N響は1926年に結成されていて、今年で創立90周年になる。年間54回の定期公演(NHKホール、サントリーホール)をはじめ、全国各地で120回余りの演奏活動をこなしている。時折、NHK教育のクラシック・アワーで聴くが、やはりコンサートホールの方が胸が高鳴る。11年前にサントリーホールで聴いて以来だったので、今回の金沢公演を楽しみにしていた。

  マエストロは高関健氏。1977年にカラヤン指揮者コンクール・ジャパンで優勝し、カラヤンのアシスタントを務めたことがあるベテランだ。開演でメンバーが入場、中でもコンサートマスターの篠崎史紀氏がバイオリンを持って入ってくると拍手が一段と大きくなった。演奏曲目はスメタナ「歌劇~売られた花嫁~序曲」、グリーグ「ピアノ協奏曲 イ短調 作品16」、ドヴォルザーク「交響曲 第8番 ト長調 作品88」。

  よく知られるグリーグのピアノ協奏曲。ピアノを担当した児玉桃氏は赤いドレスで現れた。ティンパニーのクレッシェンドから雪崩落ちるようなピアノのフレーズで演奏が始まる。この出だし、映画やテレビドラマで主人公が絶望の淵に追いやられたときの効果音としても有名ではないだろうか。そして、ピアノが音階を駆け上がり、そして駆け下る。壮大に全楽器で演奏されて圧倒的なクライマックスで全曲を終える。

  この曲を聴いていて、映画で何度か視聴した松本清張の推理小説「ゼロの焦点」のシーンと曲のイメージがかぶってきた。児玉氏の赤いドレスが私の想像をたくましくさせてくれたのかもしれない。男は過去の記憶を消すことが出来ないが、女は上書き機能付きの記録回路を持っていて、割り切りで記憶をコントロールしてしまう。現在と過去が交差しない女と、過去の愛と現在の愛が両立してしまう男の欲望と執念の愛憎劇。北欧ノルウエーの作曲家の感性と、北陸の能登と金沢を舞台にした映画のロケーションが妙に合っているように思えてならない。

  ところで、第一楽章の真ん中あたりから、体内から「メロディ」が鳴っているのに気がついた。胃の上ありで、キュルキュル、グーグーとまるで曲に合わせるかのように腹鳴(ふくめい)がするのだ。普段でも腹鳴はめったにしないし、空腹でもなかった。そして不思議なことに、雪崩落ちるようなピアノのフレーズが三連符で表れて決然と曲を閉じて第一楽章が終わると、腹鳴もピタリと止んだのだ。

⇒28日(日)夜・金沢の天気   くもり
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★タカサゴユリのしたたかさ

2016年08月21日 | ⇒トピック往来
   「立てば芍薬(シャクヤク)、座れば牡丹(ボタン)、歩く姿は百合(ユリ)の花」。女性の美しさとは、立っていても、座っていても、歩いていてもまるで花のよう、との言葉のたとえと自己流に解釈している。五月ごろ、山中の沿道に咲くササユリの横を通り過ぎると、そこはかとなく高貴な香りがする。「お守りして差し上げたい」と本能がくすぐられる。ところが、同じユリの花で姿、カタチはよく似ていても、香りがしないのが高砂百合(タカサゴユリ)だ。わが家でも5、6輪咲き誇っている=写真=。

    ただ、いつ植えたのか記憶が定かではない。というのも、ユリは種から育てると開花までに長い年月を要すると言われる。そのためユリを育てようと思ったら球根から育てるのが普通だ。としたら、球根を誰からかいただいたり、買ってきたりするものなのだが、その覚えがないのだ。

    3日前、そのナゾが解けた。今月18日、輪島市に所要で赴いた。能登半島を縦断する自動車専用道路「のと里山里道」を走行していると、道路を切り開いた斜面地に白い花が咲いていたので、下車してよく見るとタカサゴユリだった。それもかなりの数だ。能登への道はよく走行するが、これまで気に留めていなかったせいか新たな「発見」だった。

    東西の斜面地にあり、日陰でも日なたでも同じように咲いている。確か、この辺りは11月ごろに一面に黄色い花を咲かせるセイタカアワダチソウの「名所」ではなかったと思い起こした。ということは、タカサゴユリは、あの嫌われものの外来種の雑草と同じ生活圏で生育する、いわば雑草化したユリだ。肥料分の少ない斜面地でもすくすくと繁殖できるチカラ強さがある。ということは、風に乗ってやってきた種がいつしか、わが家に落ちて育ったのだろう。

    香りはないものの、花の姿のしなやかで、お茶花としても生けられる。雑草の力強さ、そして床の間を飾る華麗さ。なんとも、したたかなタカサゴユリではないか。

⇒21日(日)朝・金沢の天気    はれ

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☆夏の夜の睡眠不足

2016年08月20日 | ⇒トピック往来
地味なイメージがある陸上競技の競歩。かつて新聞記者時代に何度か取材した経験があり、そのくねくねした歩き方がテレビのモニターで映し出されると、つい目が止まってしまう。昨夜(19日)9時ごろからリオ・オリンピック種目の陸上男子㌔競歩をNHK-BSで視聴していた。3時間40分余りの長丁場、いつの間にかうとうと眠ってしまった。

    ところが夜中0時半ごろ、ふと目を覚ますと大変なことになっていた。日本勢でトップを走っていた荒井広宙(あらい・ひろおき)が3時間41分24秒の3着でゴールした後に妨害行為があったとして失格になっていたのだ。荒井はレース終盤の残り1.2㌔で、カナダの選手を追い抜く際に上半身が接触。カナダ選手はバランスを崩してよろけして後退した。これに、カナダ側が進路妨害だとして抗議し、審判長が受け入れて荒井を失格としたのだった。

    ネット上でその時のビデオが公開されていたので再生すると、荒井が追い抜く際に両者の肘が接触していることが確認できるが、それを「進路妨害」と決めつけるのには疑問符が付くのだ。その審判長の判定がひっくり返ったのは夜中の3時半ごろだった。今度は日本陸連の方がビデオを精査して「不可抗力の接触。カナダ選手の肘が先に当たっている」と判断し、国際陸連理事5人で構成する上訴審判に申立書(英文)を提出して審判長裁定の取り消しを求めたのだ。時間にすれば2時半ごろ。

    それから1時間後、上訴審判は協議の結果、日本側の訴え通り「その接触とカナダ選手の失速に因果関係はない」と判断。荒井は銅メダルを手にしたのだった。その時の第一声が日本人らしい一言だった。「お騒がせしてすいません。(相手に)当たらなければ良かったんですが…」。失格の悪夢を乗り越え、日本の競歩界に初のオリンピックメダルをもたらした喜びはいかほどのものだったか。また、日本陸連のスピーディな対応(抗議と上訴)にも拍手を送りたい。

    この夜、もう一つ注目した動きが同時刻ごろにあった。ジュネーブで開かれていた国連核軍縮作業部会だ。「核兵器の法的禁止を協議する会議を2017年に開くよう国連総会に勧告することに、広範な支持が寄せられた」との報告書が賛成多数で採択された。国連加盟国(193)の半数超に当たる100ヵ国が支持したとされる。今後、国連総会の場で、核兵器禁止条約づくりに向けた議論が本格化することになる。

    核軍縮の問題を国連の多数決で決めるべきではないとし、アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国の核保有国側は作業部会の参加をボイコットしてきた。気になっていたは日本の立ち位置だ。採択は挙手による意思表明だったが、日本は棄権した。同じくアメリカの「核の傘」にいるNOTO諸国もだ。

    これと連動して、8月15日付のアメリカのワシントン・ポスト紙の記事が波紋を呼んでいる。オバマ大統領が進めているとされる「核兵器の先制不使用政策」を構想していることにし、安倍総理がハリス太平洋軍司令官に「北朝鮮に対する抑止力が弱体化する」と反対の意向を伝えたとスッパ抜いた。同紙を引用して日本の新聞メディア各紙も報じた。

    この記事だけを読めば、ことし5月28日に安倍総理はオバマ大統領といっしょに広島の平和記念公園の原爆死没者慰霊碑を訪れ献花に臨んだのだから、今こそ「核兵器なき世界」に向けて安倍総理はオバマ大統領の先制不使用政策をサポートすべきなのに、なぜに反対なのかと考え込んでしまう。

    確かに、オバマ大統領の核兵器の先制不使用政策や、安倍総理の反対の立場もアメリカの有力メディアの伝えた話であって、本人が公に述べたものではない。空中で話が飛び交っている状態だ。ただ、火の気のないところ煙は立たず、である。今後、10月からニューヨークの国連本部に議論の舞台が移る。その場で、オバマ大統領が何を述べるのか。真夏の夜の出来事にますます睡眠不足に陥った…。

⇒20日(土)正午、金沢の天気   くもり
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★続・グランドカバーの攻防

2016年08月11日 | ⇒トピック往来
   庭にどのような樹木を植え、花を咲かせるか、楽しみの一つでもある。そのポイントは地面にどのような植物を生やすかによってもそのイメージが決まる。芝生であれば洋風ガーデンだが、コケ類だったら和風の庭だ。そのグランドカバープランツ(地べたに生やす植物)が雑草に覆われることがある。その手入れが大変だ。

   我が家の庭にはいろいろは雑草が生える。スギナ、ヤブカラシ、ドクダミ、チドメグサなどは通年で生えてくる。ことしはなぜかチドメグサの勢いが強い。これが我が家の芝生ゾーン、スギゴケ・ゾーンにびっしりと映えている。チドメグサは茎全体が横にはって、節から根を出し、どこまでも広がる。これが芝生ゾ-ン、スギゴケ・ゾーンに侵入し、急速に増殖しているのだ。これまではところどころで見かけたので、さほど気にはしていなかったが、ことしは勢いが随分と違う。専用の除草剤はあるのだが、なるべく使いたくないので手作業の草取りだ。

   手作業は地味だ。芝生ゾーンでは、芝生の根に絡まるようにして生えているので、芝生の根ごと除草することもある。スギゴケの場合、スギゴケをかき分けて、チドメグサの茎を捜し出して抜く。一人ではなかなか作業がはかどらないので、きょうは応援部隊を導入した。掃除代行サービスの「ダスキン」から5人のスタッフを派遣してもらった。ダスキンでは草取りも清掃作業の一つとして位置付けており、オーダーすると部隊を編成して派遣してくれる。10日前に担当者が下見をして、草取りの経験が豊富がスタッフをそろえてくれる。

   午前9時に5人の女性スタッフが帽子、手袋のいでたちでやってきた。気温はすでに30度を超えている。まず、芝生ゾーンの除草から始める。葉っぱを取るのではなく、網状になった茎を根こそぎ取る旨を説明し、作業に入った=写真=。作業スタッフの一人から「芝の根もむしってしまったのですが、よろしいですか」と声が上がった。「全然問題ありません。チドメグサの茎ごと取ってください」と返答。チドメグサとの闘いは本戦に入った。茎を縦横無尽に生やすチドメグサ、取っても取っても、切れた茎が残る。人海戦術による「根絶やし」作戦なのだが、そう単純ではない。

   2時間余りの攻防で、芝生ゾーンはなんとかすっきりした。続いて、スギゴケ・ゾーンに入る。スギゴケをかき分け、一本一本抜いていく。その作業の様子はまるでサルの毛づくろいのようだ。午前中3時間、契約の時間が終わった。作業量は20リットルのポリ袋で9個分の分量になった。

   炎天下の作業を黙々とこなしてくれた作業スタッフの皆さんには頭が下がる思いがした。ひょっとしてこうした地味な草むしりの作業をお願いできるは日本だけではないだろうか。そして、チドメグサを名指しで攻撃対象にする草取り作戦を展開するのは我が家だけか。旧盆前の「山の日」の休日、グランドカバーの攻防はひとまず終わった。しかし、茎は絶えてはいない。逆襲のチャンスをうかがっているだろう。次なる闘いが。

   と、友人にこの話をしたら、「雑草を非道の敵とみなして、闘い気分に浸るなんて、風車を巨人だと思い込んで突撃していくドン・キホーテのようだな」と軽く笑われた。

⇒11日(休)午後・金沢の天気   はれ
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☆天皇のお気持ち

2016年08月09日 | ⇒ニュース走査
「憲法の下、天皇は国政に関する権能を有しません。そうした中で、このたび我が国の長い天皇の歴史を改めて振り返りつつ、これからも皇室がどのような時にも国民と共にあり、相たずさえてこの国の未来を築いていけるよう、そして象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくことをひとえに念じ、ここに私の気持ちをお話しいたしました」

昨日(8日)テレビで放送された天皇のお言葉(ビデオメッセージ)にじっと聞き入った。なるほど、天皇はこう考えておられたのだ、ということを知った思いがした。とくに、天皇が国民との関係や距離をどう考え、自らの象徴天皇の役割を担ってこられたのか、改めて感じ入った。

  一つだけ、聞き慣れないお言葉があった。「天皇の終焉に当たっては、重い殯(もがり)の行事が連日ほぼ二ヶ月にわたって続き・・・」。「殯(もがり)」とは。調べてみると、人の死後に本格的に埋葬するまで、遺体を棺(ひつぎ)に納めて安置し、近親者が儀礼を尽くして幽魂を慰める習俗のことを指す。その目的は死者のよみがえり、あるいは死者の魂を呼び戻すことにあるという。

  これに似た葬送を実際に聞いた。これまで何度か訪ねたことがある、フィリピンのイフガオでの葬送の方法だ。死者を布でくるんで白骨化するまで自宅に置く。家族は死者を身近に置くことで、亡き人をしのぶ。その後、家族で洗骨の儀式を営み、埋葬する。2000年も前からこの地で田んぼを耕すイフガオ族の伝統的な葬儀だったが、さすがに現代では敬遠され、すぐ埋葬するのだという。

  イフガオでの話を聞いていたので、天皇が述べられた「重い殯」の意味合いを察した。2ヵ月続く皇室の伝統的な葬送「殯」は、心に重いのだろう。メディアでは「生前退位」を天皇が示唆されたと報じているが、あえて「重い殯」とお言葉にすることで、こうした皇室の伝統的な葬送の在り様も含めて見直したい、とのお気持ちを述べられたのではないだろうか。

⇒9日(火)夜・金沢の天気  はれ
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★ヒロシマの祈り、法の形骸化の危惧

2016年08月07日 | ⇒メディア時評
  「6・9」の季節だ。広島に原爆が投下されたのが1945年8月6日、長崎が3日後の9日だった。あれから71年たつ。ことしも広島市の平和記念公園では昨日「原爆死没者慰霊式・平和祈念式」が営まれた。午前8時からの式典には5万人が参列したという。ことし5月28日、アメリカのオバマ大統領が現職大統領として初めて平和記念公園の原爆死没者慰霊碑を訪れ、献花に臨んだこともあり、被爆者にとっても特別な思いがあったのではないかと察する。

   広島市長が読み上げた平和宣言では、あのオバマ大統領の広島演説の一節が引用されたようだ。「核兵器なき世界を追求する勇気を持たなければならない」。大統領の一文はこうだった。Among those nations like my own that hold nuclear stockpiles, we must have the courage to escape the logic of fear and pursue a world without them. We may not realize this goal in my lifetime, but persistent effort can roll back the possibility of catastrophe.(わが国のように核を保有する国々は、恐怖の論理から逃れ、核兵器なき世界を追求する勇気を持たなければならない。私たちが生きている間にこの目標は達成できないかもしれないが、たゆまぬ努力が大惨事の可能性を小さくする。)

   式典には91ヵ国とEUの代表も出席し、核保有国からはアメリカ、イギリス、フランス、ロシアの代表が出席(中国は欠席)し、成り行きを見守ったした。「核兵器なき世界を追求する勇気」は強調されたが、現実はどうなのだろうか。先月7月12日付の新聞各紙によると、ワシントン・ポスト紙の記事を引用し、オバマ大統領が「核先制不使用」の宣言を含めた核軍縮策を検討、さらに大胆な核軍縮・不拡散の方針を打ち出すことを模索しているという。

   このワシントン・ポスト紙の報道に連動して、民主党のサンダース上院議員らが、オバマ大統領あてに核先制不使用のほか、新型巡航ミサイルなどの核兵器近代化計画の見直しなどを求める書簡を送った。その中で「広島と長崎の原子爆弾(投下)の教訓は、核兵器を二度と使用してはならないということだ」と強調し、現政権での核政策の大胆な見直しを迫ったという(7月21日付・朝日新聞)。

   一方で、去年12月に国連総会で採択された、核廃絶への具体的、効果的、法的な手段を討議するための作業部会(ジュネーブ)の動きも注視したい。今年2月に第1回会合があり、5月に第2回会合が開かれた。今月8月下旬にも開催され、9月の国連総会で報告書が提出される。が、核保有国5ヵ国は欠席している。その対立の構図は、条約制定を急ぐメキシコやブラジル、インドネシアなど9ヵ国が核禁止のための法的措置についての交渉を来年2017年開始することを提案しており、核保有国との間の溝が深まっている。

   では、日本はどのような立場かというと、核保有国と非保有国を分断させるような議論の進め方には反対という立場だ。このスタンスは、日本だけでなく、NOTO(北大西洋条約機構)とも共同歩調をとっている。効果的、法的な手段での核廃絶ではなく、安全保障を重視しながら徐々に核兵器を減らすというアプローチを提唱しているのだ。

   この日本とNATOのスタンスは「どうせアメリカの核の傘に入っているからそう言っているのだろうと」と日本の国内メディアの論調でも一蹴されているが、やはり慎重に進めるという立場にならざるを得ないではないかと最近考える。それは、南シナ海の領有権問題をめぐってオランダ・ハーグの仲裁裁判所が先月12日に示した裁定ですら、「紙くず」と無視されているのが現状である。仮に核廃絶の法が非保有国などの賛成多数で成立したとしても同様に一部の核保有国に無視にされる可能性だってある。無理を通せば道理が引っ込むたとえのように、法が形骸化していくことを恐れる。どのようなプロセスで核廃絶に向かって踏めばよいのか。

⇒7日(日)朝・金沢の天気  はれ   
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☆グランドカバーの攻防

2016年08月05日 | ⇒トピック往来
  庭の木もさることながら、地面に彩りを添え、庭全体の雰囲気を引き立たせるのがグランドカバープランツと呼ばれる下草だ。我が家でそれに相当するのがスギゴケと芝生。スギゴケは和風を醸すゾーンで、芝生は日当たりのよい場所ですくすくと育っている。もちろん手入れが必要なのだが。

  スギゴケは葉が直立して細い葉が並んでいる。スギの葉に似ている。日向よりも半日蔭のような場所が適している。群生している場所はまさに「和の空間」で、心が和む。ただ、夏場の日照りが続くと赤茶ける。結構手入れはしているつもりだが、最近、その場に増殖しているのがチドメグサだ。

  チドメグサはなんともおどろおどろしい名前だが、この葉の汁を傷口につけると血が止まることからつけられたようだ。学名は「Hydrocotyle sibthorpioides」。やっかいなのは茎全体が横にはって、節から根を出し、どこまでも広がる。これが芝生ゾ-ン、スギゴケ・ゾーンに侵入し、急速に増殖している。これまではところどころで見かけたので、さほど気にはしていなかったが、ことしは勢いが随分と違う。専用の除草剤はあるのだが、なるべく使いたくないので手作業の草ぬきだ。

  スギゴケ・ゾーンでの繁殖の場合、スギゴケを分けて、チドゲグサの根を探し出し、ネットを手繰り寄せるようにして抜く。ただ、スギゴケも抜けたりして痛み分けにもなるが、労力はそれほどかからない。根気で勝負する。問題は芝生だ。芝生の根が逆に作業をする手を邪魔してチドメグサの根を探し出すのが難しい。そこでチドメグサの葉を取ることになるのだが、根が残る。難物だ。

  きょうも金沢は日中36度の猛暑日、地べたではグランドカバーの熱い攻防が続く。放っておいたら、チドメグサが止まらない、我が家の庭を制する勢いなのだ。

⇒5日(金)午後・金沢の天気   はれ

  
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★ポスト都知事選をどう読む

2016年07月31日 | ⇒トピック往来
  東京都知事選の投票が終了するやいなや、小池百合子氏の当選確実とNHKが選挙特番で伝えた。孤軍奮闘するジャンヌ・ダルクのように、元総務大臣の増田寛也氏=自民、公明など推薦=、鳥越俊太郎氏=民進、共産、社民など推薦=と戦って破った。初の女性都知事が誕生することになる。ただ、地方から眺めると「東京の課題は山積、大丈夫か」である。

   朝日新聞が人口や資本が東京都に一極集中する傾向について、全国の知事にアンケートした結果が今月22日に掲載された。それによると、43知事が回答し、東京一極集中について、35知事が「問題だ」と回答し、6知事が「ある程度問題だ」と答え、「どちらとも言えない」と2知事が返答した。長野県の阿部守一知事は「企業や大学の地方分散が進まず、東京圏への人口流入が続いている」、東海道新幹線が走り、東京への人口流出が顕著な静岡県の川勝平太知事は「人口減少の最大の元凶」「若者を吸い込む『アリ地獄』の様相」と酷評している。東京の合計特殊出生率は1.17と全国最低であることについて、石川県の谷本正憲知事は「若い世代が、出生率が低い東京圏へ集中することで、少子化・人口減少につながっている」と指摘している。

   東京が日本をけん引しているとの発想はすでに過去のものだ。多くの地方の知事は東京が日本の問題だと指摘している。具体的な問題は間もなくやってくる。団塊の世代が75歳以上となってくる2025年度には、東京圏では75歳以上の高齢者が175万人増加し、医療・介護施設が極端に不足してくる。このとき、地方の介護人材(ホームヘルパーや介護福祉士など)が東京圏に集中すれば、まさに「地方消滅」に拍車がかかる。東京発のこの日本の危機を脱するために、高齢者の地方への移住を含めた抜本的な解決策が必要となる。東京オリンピック後にやってくる「不都合な事態」だ。

   しかし、この問題に小池氏はビジョンを示していない。都知事選での公約は「セーフシティ」(住宅の耐震化・不燃化の推進、都道の電柱ゼロ化、技術開発支援、多摩格差をゼロへ)、「ダイバーシティ」(待機児童ゼロを目標に保育所の規制を見直し、ライフ・ワーク・バランスの実現・都庁が先行実施、満員電車をゼロへ、給付型奨学金を拡充し、英語教育を徹底)、「スマートシティ」(エコハウス・スマートハウスの補助強化、街灯や公共施設のLED化、東京ブランドを確立、観光・インバウンド客を増大)なのだが、少子化・人口減少や高齢者問題についてはそれらしきビジョンがない。

   それより何より、東京一極集中を問題視する他の多くの知事たちと共存のためのアラインスを組めるのだろうか。都知事選への立候補のプロセスを見ていると、小池氏のマスメディアを意識した独走的なパフォーマンスは見事だったのかもしれないが、周囲を説得する努力や根回しをするといったエフォートは感じられなかった。

    今後、要介護の高齢者を受け入れる施設や人材の不足が深刻になる想定として、高齢者の地方移住などをどう提案していくのだろうか。この意味で、東京都知事に必要なのは、近未来を見据えた東京圏と地方の共存の道筋を模索する発想だと思う。上記の東京を見つめる地方の知事の冷めた目線に小池氏はどのような政策を打ち出していくのか、注目したい。

⇒31日(日)夜・金沢の天気   はれ
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☆「生前退位」という人間味

2016年07月18日 | ⇒トピック往来
   今月13日夜のNHKニュースを視聴していて、天皇の位を生前に皇太子さまに譲る「生前退位」の意向を天皇が示しているとアナウンスがあった。このとき初めて聞いた生前退位という言葉に戸惑ったものの、天皇陛下のなんとも人間らしい言葉かと感動したものだ。

  天皇陛下は82歳、皇后さまは81歳で、両陛下は実に多忙だ。報道によると、去年皇居で要人や海外の来客と面会したのは270件、全国植樹祭など地方訪問も75回あった。天皇の公務に関しては、憲法の第六条と七条に列記されている。「第六条 天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する。天皇は、内閣の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。「第七条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。二 国会を召集すること。三 衆議院を解散すること。四 国会議員の総選挙の施行を公示すること。五 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。六 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。七 栄典を授与すること。八 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。九 外国の大使及び公使を接受すること。十 儀式を行ふこと」と。

   このほかにも、公務として新年一般参賀、講書始の儀、歌会始の儀、天皇誕生日祝賀、園遊会、国賓として来日した外国の元首や王族との会見、外国の首相、大使らに対するご引見(謁見)、拝謁、宮中晩餐、宮中午餐、全国戦没者追悼式、日本学士院授賞式、日本芸術院授賞式、日本国際賞授賞式、国際生物学賞授賞式、全国植樹祭、国民体育大会秋季大会、全国豊かな海づくり大会、宮中でも神嘗祭、鎮魂祭、招魂祭、新嘗祭(大嘗祭)など。こうした公務や宮中の儀式はテレビでも放送される。昨年5月、石川県小松市で開催された全国植樹祭で、お手植えの行事に臨まれた両陛下の丁寧なしぐさをテレビでみて、感動したものだ。皇后さまは地べたに膝を着かれて、苗木を植えられたのだ。

   今回の生前退位は、こうした国事行為や公務を先々務めが果たせなくなることを見据えての天皇陛下のご意向だ、と。責任感から出てくる、人間味あふれるお気持ちだと考える。

   現在の公務の負担を軽減する手立てとして「摂政(せっしょう)」は今すぐにでも可能だ。憲法第五条では「皇室典範の定めるところにより、摂政を置くときは、摂政は、天皇の名でその国事に関する行為を行ふ」とある。天皇がご病気など理由に皇太子が摂政として天皇に代わり公務を執り行う(政を摂る)ことができる。

   天皇が生前退位にこだわるのであれば、皇室典範を改正して上皇(じょうこう)になることは可能だ。上皇は天皇を退き、死するまでの地位をいう。そうなれば、現天皇は「平成上皇」と称されることになるかもしれない。そのとき、果たして、上皇が皇位継承権を有するのかどうか、次なる難問が待っている。

⇒18日(祝)夜・金沢の天気  くもり
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★続・東京一極集中を問う都知事選が面白い

2016年07月12日 | ⇒トピック往来
   14日の東京都知事選の告示に向け、自民党都連の推薦を得た増田寛也氏(元総務大臣、元岩手県知事)には『東京消滅~介護破綻と地方移住~』(中央公論新社)という著書がある。若者が集まる首都東京だが、そのバックヤードでは大変なことが起きている。団塊の世代が75歳以上となってくる2025年度には、東京圏では75歳以上の高齢者が175万人増加し、医療・介護施設が元々不足している東京圏では将来、介護施設を奪いあうことになりかねない、というのだ。このとき、地方の介護人材(ホームヘルパーや介護福祉士など)が東京圏に集中すれば、まさに「地方消滅」に拍車がかかる。東京発のこの日本の危機を脱するために、地方への移住を含めた抜本的な解決策が必要というのが著書の内容だ。まさに、東京オリンピック後にやってくる「不都合な事態」なのだ。

  報道によると、増田氏は昨日(11日)都庁で記者会見を開き、正式に立候補を表明した。増田氏は「この4年間で都知事3人が代わり、都政は停滞、混乱している。東京都に必要なことは積み重なった課題を早く解決することだ」と意欲を述べている。その取り組む政策として、「三つの不安の解消」と「三つの成長プラン」を提示した。

  解決すべき不安として、①子育て②超高齢化社会③首都直下地震などの災害をあげた。待機児童を解消するための緊急プログラムも策定すると述べた、という。三つの成長プランは①東京オリンピック・パラリンピックの成功②観光の一大産業化③2020年の後の東京発展の道筋、を示した。冒頭で述べた、東京発のこの日本の危機を脱するための方策は確実にやってくる。その心の準備と政策の備えができるのは増田氏以外の立候補予定者では無理だろう。


  増田氏はこれまで、著書や講演で東京への一極集中の弊害について論陣を張ってきた。今回会見では、総務大臣時代に、東京など大都市に集中した法人事業税を地方に再配分する税制改正を手がけたことなどが記者から問われたようだ。これに対して「一極集中は東京にマイナス面がある。東京や地方が抱える問題を先頭に立って解決したい」と述べている。法人事業税は本社がある東京だけに使うべきではない、支店や工場がある地方にも再配分するべきというのは道理である。しかし、東京にいると地方の実情は見えないだろう。それを税制改正を通じて見るようにしたのは増田氏の功績である。

  これまで東京一極集中を批判的に論じてきたことについて増田氏は「東京が日本全体をけん引することで、地方と共に繁栄する真の共生社会を実現する」と述べた。これまでの東京都のリーダーにはなかった地方目線ではないだろうか。いまの東京都知事に必要なのは、近未来を見据えた東京圏と地方の共存の道筋を模索する発想だと思う。

⇒12日(火)朝・金沢の天気    はれ
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☆東京一極集中を問う都知事選が面白い

2016年07月08日 | ⇒トピック往来
   参院選も最終版、きょうは「最後のお願い」の日だ。ところが、ここにきて、東京都知事選(14日告示、31日投開票)の動きが俄然面白くなってきた。

  昨日8日午後には、俳優の石田純一氏が記者会見した。「普通の市民と政治がかけ離れている。野党統一候補なら、思いを力に変換できる」と野党各党に統一候補になることを条件に出馬表明した。タレントだけに、すでに出演しているテレビCMのスポンサーとの調整も進めているという。その会見の様子を民放テレビが中継していたが、面白かったは靴だった。上下黒のスーツにネクタイ、しかし素足に革靴という異例の足回り。条件付き出馬表明も突厥なら、そのいでたちもバランスを欠く。今の言葉でいえば、エッジが効いたいでたちなのだが。

  自民党では小池百合子氏は党の推薦が得られなくて出馬するという。昨日8日の日本外国特派員協会の記者会見でも「有権者に選んでいただくのは、自民党のアベノミクス一丁目一番地は女性の活躍なので、自信を持って手を挙げた」と。小池氏は英語が堪能らしい。そこで、2020年のオリンピックでは適材と一部で評価する向きもあるが、それでよいのか。東京都が抱える問題は、待機児童問題一つをとっても多難で根が深い。東京の問題点を分析して政策としてまとめて、都民に問うというスタンスならばそれでよいが、そのスタンスがまったく読めない。

  このままでは、政策論議よりも、人気度や知名度が勝敗を左右する「劇場型選挙」になるのではないかと想像していた。ところが、冒頭で「がぜん面白くなってきた」と述べたのは、元岩手県知事、元総務大臣の増田寛也氏が都議会自民党などの要請で、出馬が濃厚になってきたからだ。

  きょう9日付の新聞各紙は増田氏が選挙明けの11日に正式に出馬表明するという。増田氏といえば、「このままでは896の自治体が消滅しかねない。若者が子育て環境の悪い東京圏へ移動し続け、人口減少社会に突入する」(『地方消滅~東京一極集中が招く人口急減』(中公新書)と言い続ける東京一極集中の是正論者でもある。実際の政策では、増田氏が総務大臣だった2007年、東京都の法人事業税の一部を国税に回し、地方に再配分できるように税制を改定。それ以降、都の予算が地方に回され、その額はこの9年間で1兆5千億円とする試算もある。

  こうした東京一極集中の是正論者を東京都民はどう評価を下すのか、あるいは増田氏はどのような新たな政策を打ち出して地方と東京がともに反映するバランス論を展開するのか、これが見ものだ。地域問題に取り組む地方の人たちにとってもなじみの深い人物だけあって、増田氏が出馬する今回の都知事には関心を寄せる人も多いことだろう。興味深い展開になってきた。

⇒9日(土)朝・金沢の天気   あめ
  



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★庭での出来事

2016年06月30日 | ⇒ドキュメント回廊
  庭に無数の穴を開け、ハチがブンブンと音をたてている=写真=。調べてみると、地面に穴を掘るハチのうち、黒くて細長い体つきをしているのがジガバチやアナバチの仲間。地下に巣を作るスズメバチは、少しズングリとした体型とある。やっかいなスズメバチかと思い、観察してみると体系はスリムなので、ジガバチやアナバチではないだろうか。

   この仲間は比較的大人しい種類が多いとされ、直接手でつかんだりしない限り刺される心配はない。現に飛び回る現場に分け入っても刺されなかった。たとえ刺されたとしても、ジガバチやアナバチの毒は攻撃用ではなく、幼虫のエサとなる虫を動けなくする麻酔薬程度なので、毒性は比較的弱いらしい。とはいえ、何かの拍子に刺されれば痛そうなので、ハチ駆除用のスプレーを購入して、プシュー、プシューと吹き付けた。

   数日してその場に行くと、ハチが数十匹固まりになって死んでいた。まるで団子にようなカタチをしていて、異様だった。ここからは推測だが、スプレーの駆除剤で死んだハチを仲間が食べに来た。すると、その死骸を食べたハチが死に、さらにそれを食べたハチが、というように何度か繰り返されたのではないか。駆除剤の効き目には驚いたが、その「死の連鎖」からポピュリズム(populism)という言葉を連想した。

   ポピュリズムを大衆迎合主義と解釈する向きもあるが、むしろ、民衆主義が当てはまるのではないだろうか。プロの政治家(政治エリート)や権力者が政策を立案して、国民を率いていくエリート主義と違って、民衆(有権者)の情緒的な支持を煽って、カリスマが民族主義的な政策を推し進める政治運動とも言える。

   ポピュリズムのシンボル的な事例として旧・ナチス政権がよく引用される。民衆に直接政策を問い、国民投票を何度も繰り返す。その結果として、とんでもない国家主義が醸成される。今回のイギリスのEU離脱もなんとなく、そんな匂いがする。テレビのインタビューで離脱支持者たちの「大英帝国の誇りが取り戻せる」「すべてを支配したがるEUにはうんざりだ」などの声が紹介されていて、ハッとした。こんな民衆の声はヨーロッパでは決して少数派ではないことが、今回イギリスが証明してくれたのではないか。次はひょっとしてアメリカなのか、などと。

   ところで団子のようになったハチの死骸からポピュリズムを連想した理由。ナチス政権がそうであったようにポピュリズムの末路は、民衆同士の憎しみによる死の連鎖だった。駆除剤をまいた本人が言うのも何か矛盾に満ちているが…。

⇒30日(木)午前・金沢の天気    くもり
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