自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★漂う総選挙の雰囲気 どうする能登地震の被災地

2024年05月05日 | ⇒ドキュメント回廊

  総選挙が近いのだろうか。最近、代議士のポスターが街中で目立つようになってきた。近所の交差点に地元代議士らの「自民党演説会」のポスターが貼ってあった。よく見ると、演説会の日程はことし9月8日とある。ということはこのポスターをあと4ヵ月間はこのまま貼って置くということなのか、と。とても選挙を意識したポスターのようにも思える。

  4月28日に投票が行われた衆院3補欠選挙で自民党が不戦敗を含め全敗した。このころから、にわかに衆院解散・総選挙が取り沙汰されるようになった。「6月23日の今国会会期末か」とか、「9月の自民党総裁選の後か」などと。このような新聞・テレビのニュースやコメンテーターの論調を目にするたびに、「能登半島地震のことを忘れるな」と言いたくなる。

  一つには、被災地の避難所では2420人、被災地を離れて金沢市の宿泊施設などに避難している人が2186人、合せて4606人がいまも避難所での暮らしを余儀なくされている(4月30日現在・石川県危機対策課まとめ)。被災地の避難所にいる場合は投票に行けるが、遠隔地で避難している有権者はわざわざ出向いて当日か期日前で投票することになる。これが負担にならないか。

  二つ目は、自治体が対応できるかのか、どうか。「能登の自治体は戦時下の状況だ」と知り合いの議員から聞いた言葉だ。全半壊した建物の公費解体の手続きや上下水道の復旧工事、避難所の運営管理などの対応に自治体職員の手が相当に取られている。現在の状況で選挙となれば、地震で壊れた公民館などの投票所の復旧は難しい。さらに、自治体が避難先を把握できていない人の数も相当数に上るといわれていて、有権者名簿の確認といった作業ができるのかどうか。

  総選挙にそれ相当の大義名分があるのであればいざ知らず、自民党の裏金問題の逆風を避ける思惑を抱いた選挙であれば、有権者の不信感を煽るだけだろう。震災の復旧・復興を最優先で判断してほしい。そして地元選出の代議士はぜひ、「待った」と選挙の阻止に動いてほしい。そう願うばかりだ。

⇒5日(日)夜・金沢の天気    くもり

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