自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★自然は「きびしい」

2017年09月19日 | ⇒トレンド探査
    北朝鮮は15日朝、平壌近郊から弾道ミサイルを発射した。北朝鮮が8月29日に発射したものと同じ中距離弾道ミサイルで、北海道上空を通る飛行コースもほぼ同じだった。16日に北海道で買い求めた新聞各紙は「渡島半島と襟裳岬の上空を通過するルートは北朝鮮の『実験街道』になっているのではないか」と今後もミサイルの通過があると危惧する記事を載せていた。

また、17日付の北海道新聞朝刊によると、北朝鮮が10月10日の朝鮮労働党創建記念日を控え、アメリカ本土も射程内とされるICBM(大陸間弾道ミサイル)を太平洋に発射する恐れがあると伝えている。これに対応して、道庁は来月10月から毎月1回、Jアラート(全国瞬時警報システム)の緊急情報を自動的に伝える手段を持つ市町村を対象に、住民への情報伝達訓練を行うことを決めたと報じている。これは防災行政無線の音声放送などが正常に作動しないケースがあったためで、定期的な訓練で、機材の不具合などを未然に防ぐ狙い。併せて、ミサイル発射を想定した住民避難訓練も実施していく。この記事を素直に読めば、地域の危機意識にリアルさを感じる。

    先のブログで述べた 定期的に噴火を繰り返す有珠山と共生する、という周辺地域の人々の価値感があれば、被災地域を超えて「大地の公園」、ジオパークという発想に立てる。ところが、ミサイル発射は人為的なリスクだ。それでも、北海道の人々は自然災害と同じように「防災」「減災」「リスクヘッジ」をひたむきに追求している。もちろん、この危機対応や被災に対する心構えといった感性は北海道の人々だけではないのは言うまでもない。

   北海道旅行の2日目(17日)午後、洞爺湖から登別にレンタカーを走らせた。日和山の噴火活動でできた爆裂火口跡。谷にはあちこちに湧出口や噴気孔があり、泡を立てて煮えたぎる湯の様子を「地獄谷」=写真=と称して観光名所としている。言い得て妙だ。観光パンフレットによると、温泉の湯量は1日1万㌧あり温泉街のホテルや旅館に給湯されている。大地の恵みだ。

   登別の温泉街を歩くと、「登別日台親善協会」の看板が目に入った。登別温泉ではインバウンド観光が盛んで、中でも台湾からの観光客が多いこともあって、2013年8月に設立された。登別の公式ホームページをのぞくと、日台親善協会は北海道では札幌、旭川、釧路など9つの協会があり、登別は10番目だそうだ。組織的なつながりだけでなく、北海道と台湾の直行便は、新千歳空港をはじめ函館、帯広、旭川、釧路などの道内の各空港で台湾とつながっている。そのため北海道を訪れる台湾人観光客は47万人(平成26年度・北海道経済局調べ)とインバウンド観光では圧倒的に多い。延べ宿泊人数だと151万人だ。地球の南と北、大地の景色も歴史も街並みも異なる「異郷の地」に台湾の人々は魅力を感じているのかもしれない。

   北海道の最終日(18日)は台風18号の直撃を受けた。朝から登別は暴風雨だった。新千歳から小松への空港便は果たして飛ぶのか。観光どころではなくなった。叩きつける雨の中、レンタカーを空港に向けて走らせた。欠航が相次ぎ空港カウンターは混乱していた。が、フライトの午後2時35分ごろには台風一過、晴れ間ものぞいて無事飛んだ。しかし、台風余波の影響かエアポケットにどんと機体が落ちる感じがして、キャッーと女性や子供たちの悲鳴が機内に響いた。自然は油断ならない、そして、きびしい。

⇒19日(火)夜・金沢の天気  くもり
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